ラブライブ! ―9人の女神を照らす月―   作:sound

10 / 10
タイトルの通り、原作基準だと既にプロローグは終わっていますが、この物語はここからが本番です!

ですがまぁ、あんまり気にしないで大丈夫です(笑)一応の区切りってだけですので。


今日もにこが可愛い!にっこにっこにー!


長い長い前奏曲の終わり

 

 昼休み。人がにぎわう食堂や中庭と逆方向にあるためひっそりと静まり返った廊下で、私は少し早足で目的地――――――音楽室にたどりつき、そしてその中を見て誰もいない事を確認して小さくため息を吐く。

 私の目当ては、始業式の日の放課後に見た男子生徒の演奏。私自身ピアノを弾けるけど、まず思った感想は上手いという事。そして目を瞑ったまま、流れるような動作で弾くその姿に、不覚にも見とれた。

 そしてもう1つ、私の聞いたことの無い…オリジナルの曲であるということもある。私自身作曲した事はあるがあれほどまで完成度の高い曲は初めて聞いた。出来れば楽譜かなんかがほしい。

 それらの事を含めて、もう一度あの演奏を見て、話をしてみたいと思い、あの日から毎日通っているのだけど…。

 

 

「全然いないってどういう事なのよ…」

 

 

 そう、あの日以来あの男子生徒は音楽室に現れず、未だにその姿も見ていない。

 1年生は1クラスしかないので、1年生で無い事は分かっている。なので放課後にそれとなく2,3年生の男子を確認したりしているのだけど、あの日見た顔を見つける事は出来なかった。

 

 

「むぅ…直接教室に行ってみるしかないのかしら…」

 

 

 と、呟いてみたもののそれは最終手段にしたい。いくら好奇の視線にさらされてもかまわないと思っている私でも、好んでその状況にしたいとは思っていない。

 取り敢えずはしばらく此処に通ってみようと思い、踵を返そうとして―――――――――――

 

 

―――――――――――後ろから、誰かに胸を掴まれた。

 

 

「…え、あ…うえぇ!?」

 

 

「ふむ、今は残念やけど将来性はある…今後の成長に期待、ってところやね」

 

 

 私の胸から手が離れると、真後ろでそんな声が聞こえる。解放された胸を腕で守りつつ、後ろにいる人物から距離を取りながら振り返る。

 そこに居たのは、私より随分と凶悪な(モノ)を持った紫の髪の女子生徒。

 

 

「な、な、な…何すんのよ!!」

 

 

「いやあ、ウチの前で随分と無防備にしてたから…ついつい」

 

 

 てへっ、と軽く舌を出して首をかしげつつ、握りこぶしで頭を軽くコツン、という女に対しては逆効果な仕草をする。私を怒らせたいのかしらこの人…。

 

 

「で、この時間にここに居るって事は御ヶ月君の演奏が目的なんやろ?」

 

 

「っ!?」

 

 

 先ほどの可愛らしい(女性に対しては逆効果)な仕草から一転、小悪魔な笑みと共に放たれた言葉にびくっ、と反応してしまう。御ヶ月、という名前は知らないけど…あの演奏してた人の名前かしらね。

 

 

「あの子、1ヶ月に2回くらい…かなり不定期に演奏するからあんまり聞いた事ある人はいないんよ。昼休みにここまで来る人はなかなかいない。そう考えて演奏を聴きに来たと思ったんやけど…」

 

 

「…その通りよ」

 

 

 別に隠す必要性も感じられないので、ここは正直に白状する。それにあの演奏者の事を知ってそうだから、もしかすると何かしらの情報も貰えるかもしれないしね。

 

 

「1週間後はテストやし、テストが終わるまでは演奏しないと思うよ。聞きたいんやったら、テストが終わった日、放課後にここに来てみるとええよ。絶対ここに来るやろうから」

 

 

「…そう、ありがとう。それで、貴女はあの人の知り合いなの?」

 

 

 早速得られた情報に、内心で喜びつつ次の質問。

 

 

「そうやけど…御ヶ月君に用でもあるん?」

 

 

「あ、いや…用ってほどの事でも無いんだけど……」

 

 

 俯きながら言う私の言葉に、ああ、なるほど。と呟いておもむろに音楽室のドアを開け、中に入って行く。そして近くの棚から数枚の紙を取り出して持ってくる。

 

 

「楽譜が欲しいんやろ?楽譜なら御ヶ月君がここに置いてってるから持ってってええよ」

 

 

「…え、いいの?」

 

 

 本人に確認とか取った方が…というと相手は苦笑しながら、

 

 

「普通やったら駄目なんやろうけど、御ヶ月君無断で置いてってるんよ。だからこれは私が没収して君にあげた。気にせんでええよ」

 

 

 釈然としないながらも、この人はどうやっても受け取らないだろうと思い、素直に貰っておくことにする。

 

 

「それじゃあね。御ヶ月君はライバル多いよ?」

 

 

 頑張りーなー、と言って去って行く。私はその発言でしばらくフリーズした後、その言葉の意味を理解し、顔が一気に熱くなるのを感じながら思わず叫んだ。

 

 

「な、な…何それ、イミワカンナイっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

「キョウ、聞いた?」

 

 

「…何が?」

 

 

 いつも通りの通学路。朝日が燦々と輝き、俺にはありがたくない光の恩恵を捧げる。雲ひとつ見えない空を恨めしく思いながらいつもの調子でダラダラと歩いていく。

 朝日にやられつつある俺ににこがいかにも怒り心頭という感じで俺に問いかけるが、主語が無く何の事だかわからない上に弱っているので、小さい声で短く返事をする。

 

 

「音ノ木坂の新しいスクールアイドルよ!」

 

 

 色鉛筆で描かれたいかにも手作りですと言わんばかりの広告を突き出しながら、背後に何かしらの効果音が付きそうな感じでにこが言い放つ。その広告には『ライブやります!』の文字が。そして色とりどりのイラストの中心にはライブ衣装と思しき物を着た、オレンジと青と灰色の少女がデフォルメされて描かれていた。このオレンジの頭の少女はおそらくあの和菓子屋の店員だろう。

 

 

「…で?」

 

 

「ああもう!この私を差し置いてこの学校のアイドルとか舐めてるって言いたいの!」

 

 

 地団駄を踏みながら、両手とツインテールをパタパタと。

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…ど、どうせコイツ等も根性ないような奴らなのよ!どうせ、すぐいなくなるわ!」

 

 

 荒く息を吐きながら、周りの目も気にせず叫ぶ。叫ぶのは一向に構わないが周りから好奇の眼で見られるし、耳がキーンとなるのでやめて頂きたい…。

 

 

 ため息を吐きつつ、取り敢えず暴れた事でにこの髪の毛がとんでもないことになっているのでにこのポケットから櫛を取り出してにこの髪を整える。

 

 

「あ、ちょ、自分でできるって!」

 

 

「…お前に任せると気が済むまでやって時間がかかるだろうが。チャッチャとやるから大人しくしてろ」

 

 

 俺がそう言うと観念したのか頬を膨らませつつも大人しくなる。その間に紙を縛っているリボンを解き、軽く髪をすいた後元の形に戻す。

 

 

「…キョウ本当に器用よね。大抵の事ならそつなくこなすし」

 

 

「…お前みたいにコラ画像は作れねェがな」

 

 

 にこの部屋に所狭しと張ってある、アイドルの画像に自分の顔を重ねて合成して作ったポスターを思い浮かべながら言うと、にこの時が止まったのが分かった。誰もザ・ワールドなんて使ってねェぞ。

 

 

「な…っ!?み、見たの!?忘れなさーいっ!!」

 

 

顔を真っ赤にして学校まで追いかけ回された。何故だ…。

 

 

 

 

 

 

 

 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 

 

 

 

「疲れた…」

 

 

「なんで朝から全力疾走して学校に来るのよ…にこなんて授業中全部寝てたわよ…」

 

 

 午前中の授業を乗り切り、机に突っ伏す俺に声をかけるのは、我らが音ノ木坂の生徒会長。因みににこは未だに眠り続けている。

 

 

「…色々あったんだよ。気にするな」

 

 

「いや気になるわよ…」

 

 

 最近、俺の席に来て弁当を食べる事が多い。普段一緒に食べるはずの東條が昼休みにまで仕事をしてるかららしいのだが…。

 

 

「…それで、取り敢えず文化祭に向けての資産はこれくらいでいいと思ってるんだけど…」

 

 

「…校門前と中庭の装飾に振り分けすぎじゃねェか?この2つを減らして各教室の展示に振り分けた方が無駄がねェと思うぞ」

 

 

 何故か生徒会の仕事の相談役みたいな感じになっていた。因みに和人は煩いので別の所に行ってもらった。何故か「私を捨てるのね!あたしなんかよりその女の方がいいのねっ」みたいな気持ちの悪い事を言ってきたので蹴り飛ばしておいたが。

 

 

「…で、スクールアイドルの事なんだけど…」

 

 

 …コイツもか、と内心で小さくため息を吐く。最近、俺の周りにいる人物、皆が皆この話を振って来る。

 

 

「確かにこの音ノ木坂をアピールするのには良いとは思うわ。けれど、それが逆効果になるようにしか思えないのだけれど…御ヶ月君はどう思う?」

 

 

 と、思ったらコイツはスクールアイドル反対派らしい。生徒会長が反対派とは、アイツ等もなかなか厳しい立ち位置にいるらしい。

 

 

 というか良く考えたら昨日の店員がそんな事を言っていたような気もする。忘れたが。

 

 

 …ま、俺も完全な肯定派ではないし、アイツ等をかばってやるような理由もない。

 

 

「…確かに、失敗した時の事を考えると無理に大きいリスクを抱えてやるほどの事ではないように思う」

 

 

「そうなのよね…1生徒としては応援してあげたいんだけど…」

 

 

よってここは生徒会長の意見を推す方が普通ではあるのだが…、

 

 

「…だが、時にはリスクを負わなきゃいけねェ時もある。そう考えると悪くねェ選択だとは思うけどな」

 

 

「…そうね、そういう考え方もある…か」

 

 

 俺の言葉を聞いて、箸を置き、顎に手を置いて深く考え込む。別に考え込むのは構わねェが速く弁当を食べねェと…

 

 

――――――――キーン、コーン、カーン、コーン――――――――――

 

 

 …昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。早く片付けねェと次の授業の先生が来る。これを聞いて絢瀬もあわてると思っていたのだが…

 

 

「…………」

 

 

「気付いてねェし…」

 

 

 生徒会長がこんなんで本当に大丈夫なのか…と思いつつ、盛大にため息を吐く。

 

 

 

 

 

 

 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 

 

 

 

 

 

 この日。音ノ木坂にμ'sというアイドルグループが結成される。

 9人の女神の総称とされるその名前を持った3人の少女たち。その少女達に、強い思いを持つ6人の少女たちは引かれ合う。

 

 

 幼い頃から持っている夢があるのに、強い気持ちが持てず、それを表に出せない気弱な少女。

 

 

 

 憧れの姿を持ちながらも、自分に自信が持てず、周りには明るく振舞いながらも、憧れの姿から目をそらし続けてきた可憐な少女。

 

 

 

 素直な気持ちを言いだせず、人と繋がりたいのにどうすればいいか分からず、素直になれない不器用な少女。

 

 

 

 

 人一倍強い思いを持ち、それに嘘が付けなくて、それゆえ周りと衝突してしまう、一生懸命な少女。

 

 

 

 他人を優先させてばかりで、自分の思いを押し殺してしまうような、優しい少女。

 

 

 

 そして、誰よりも理想が高く、夢を追い続け、高過ぎてとどかない理想に絶望しつつも、諦めない努力家の少女。

 

 

 

 1人1人が様々な思いを持ち、でもそれを叶えられず悩んでいた少女達とμ'sの3人の少女たち、そして三日月が出遇う時、物語は始まる。

 

 

 

 




希の昼休みの暗躍、そして真姫ちゃんが貰った楽譜の曲とは…?


そしておなじみキョウにこの絡み。書いてて楽しかったです(笑)


そして今回は少しポンコツなエリーチカ。以上の3本立てでお送りいたしました。



そしてここから物語は加速していきます。が、不定期更新です(笑)



頭の片隅で期待しておいて頂けると光栄です!忘れたころにやってきますので!



それでは!ノシ
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