テンションが上がりきって30分で書き上げました(笑)。
やっぱりにこにーは人気者だね!
それではどうぞ!にっこにっこにー!
「キョウやーん!いっしょに昼飯食べようぜー!」
昼休み。俺が弁当を机の上に広げていると教室にうざったい声が響く。
その騒音の発生源を軽く一瞥した後、小さくため息を吐いて哀れな目線を送りながら、
「…残念だったな騒音発生物。生憎と今日は先客がいるんだ…1人さびしく、静かに、食べてろ」
「騒音発生物とは人聞きが悪いな!?あと静かにを強調して言うんじゃねぇよっ!煩くないだろっ!」
現に今うるさい、と言うとさらに煩くなるので大きく、深く息を吐き怒りを鎮める。
「あら、ごめんなさい真永君。別に深い意味もないから貴方も一緒に食べる?」
そんな俺達の側にやってきて声をかけたのは、キラキラと日光を跳ね返すゴールドの髪をポニーテールにしている碧眼の女生徒。そして先ほど俺が言った先客である、生徒会長絢瀬絵里。
煩いやつをわざわざ誘わなくてもいい、と言う意味を込めて少し絢瀬を睨むが、俺の視線を曖昧な笑いでごまかして、すぐそばの席からイスを持ってきて俺の机の上に弁当を広げる。
「は、はい!是非お願いすますっ!あ、しますっ!」と、何故か途中で噛んだ和人も絢瀬同様イスを持ってきて、購買で買ったであろう袋の中身をぶちまける。
「希が生徒会の仕事で今日昼休み居なくて、1人で食べるのはさみしいから御ヶ月君を誘ったの。食事はにぎやかな方が楽しいわよ?」
等と絢瀬生徒会長は言うが、1年の頃は1日中仏頂面で1人で昼ご飯を食べていた生徒だったという事を俺は知っている。今までどんな事があり、なぜ変わったのかは知らないが、別に興味もないのでスルー。
「食堂に行くのと生徒会室は逆方向だから、希…人の波にのまれそうになって大変そうだったけど、本当に大丈夫かしらね…」
「あ、逆方向と言えば、俺もこの間赤い髪の生徒が食堂と逆の方向にスゴイ勢いで走って行くの見たぜ」
心配そうな顔をして言う絢瀬の話を聞いて、パンをモシャモシャと咀嚼しながら和人がその場面を思い出しているのか、上を見上げながら言う。
「うーん…音楽室の前まで行って、中を見てガッカリしたようにため息を吐いてたけど、なんでだったのかな?」
(…ストーカーしてたのか…変態じゃねェか)
俺がそんな事を思いつつ、箸を進めていると、視界の端に映った絢瀬も同じことを思ったのか口元をひくつかせ、苦笑いしていた。
未だに首をひねっている和人を見て将来の心配を若干しつつも箸は止めない。
「…いつか捕まるんじゃねェの、お前」
「なんで!?」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
珍事。いわゆる珍しい事。
珍しいの定義は人によって色々であるが、今起きている事は俺の中では珍しい事に分類されるであろう。
現在、放課後。
場所、通学路。
これはさして珍しい事ではない。放課後になれば学校から家に帰るのは普通だし、通学路を通って帰るのも普通である。
今日が掃除当番の日で、帰るのが若干遅い、と言う点において珍しいとは言えるが、1週間に1回は起こる事だし、これも珍しいとは言えない。
俺が珍しいと言っているのは、その連れ添いである。
基本的に1人で帰るのが好きだが、いつも俺の周りにはなぜか人がいる。
にこ?いつも一緒に帰っているので珍しくはない。しかも今日は俺が掃除当番で遅くなったので先に帰っている。
和人?一緒に帰るのは甚だ嫌だが、追い払ってもついてくるので殆どいつも一緒に帰っている。だから珍しくはない。
絢瀬?確かに珍しいだろうが、いつも生徒会の仕事で完全下校時間ぎりぎりまで残っているのでそもそも一緒に帰った事が無い。
では誰か。答えは今日は昼休みに仕事を終えたので、放課後の生徒会の仕事が無く、アルバイトがあるという東條希。
「…それでな、3人でスクールアイドルやるって生徒会室に言いに来たんよその子ら」
「ふーん…」
東條が話し、俺が適当に相づちを打つ。そんな事を繰り返しながら、とぼとぼと帰宅する。
「だから、御ヶ月君もその子ら見かけたら手助けしてやってほしいんよ」
「…なんでだよ」
急な話題の転換に、思わず歩みを止めて東條の方を見る。
「御ヶ月君ならその子たちを助けてくれる。にこっち見てたらそう思うんよ。なんか、そういうカリスマを持ってるって言ったらええんかな?」
「持ってねェよ…」
ため息を吐きつつ止めていた歩みを再開する。
「いーや、持ってるよ。私のカードがそう告げるんや♪」
鞄のポケットから青のカードを取り出して表を向ける。そのカードは法王の正位置。意味は確か慈悲、全体の援助、親切、だったか…。
「…俺はそう言うの信じてねェよ。
「ふふ、御ヶ月君は信じなくても、私は信じてるよ。じゃあね♪」
ふと東條が踵を返す。既に交差点に到着していたようで、東條は俺が行く道と同じ道へと走り去って行った。言いたい事は言えたのでもう満足なのだろう。
相変わらずな東條に再び小さくため息を吐きつつも、東條が走って行った道をのろのろと歩く。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「あ、いらっしゃいませー!」
「…ども」
つい先ほど、東條と同じ道を歩いて帰るのは、なんかアイツの手のひらの上で踊ってるように思えて嫌だと思った俺は入った事の無い路地を進み、見事に迷った末に見つけた和菓子屋『穂むら』へと足を踏み入れた。
「あ、その制服って、音ノ木坂…の先輩!?」
「…ん?」
驚いた声を上げる店員に視線を向けると、古風なエプロン(この店の制服なのだろう)の下には見慣れた制服を着ている事が分かった。そして先ほどの声と合わせて、この店員は音ノ木坂の生徒。しかも後輩なのだろう。
「あら、もしかしてそれが音ノ木坂の男子の制服なの?カッコいいじゃない!」
そうしてその横に居た、おそらくその店員の母親であろう女性に詰め寄られ、スゴい剣幕で聞かれる。
「私も元音ノ木坂の生徒なのよ!私がいたころは女子高だったから…こうしてみると新鮮ねー…君も男前な顔してるしね!」
「…どもっす」
ついでみたいな感じで言われたので本心なのか世辞なのかは分からないが、とりあえずお礼は言っておく。
「君の顔とその制服に免じて今日はサービスするわ!沢山買って行って頂戴!」などと言い残し嵐をおこした店員の母親らしき人物は裏手へと引っ込んでしまった。
「あはは…なんかすみません。お母さんが…」
「…いや、別にかまわねェ」
サービスもしてくれたしな、と言いつつやはり母親か。良く似ている…と心の中で1人納得する。
「…ウチは、お母さんもお婆ちゃんも音ノ木坂出身なんです。お母さんたちが通っていた素敵な学校を、このまま終わらせるなんて嫌で…だから、私スクールアイドルをしてるんです!」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中でカードを構えた東條が「スピリチュアルやんなー?」と言うのを幻視して心の中で盛大にため息を吐く。
「けど、生徒会長に駄目って一蹴されちゃって…どうしていいのか…」
「……………」
「って、お客さんにするような話じゃないですよね…アハハ…」
まったくもってアイツの手のひらの上で転がされたようで非常に腹立たしい。本来ならば「知るか」などと言って商品を買って帰るところだが…。
「けど、まだ私、諦めたくないんです…!」
コイツの眼が、昔に見た光とダブる。強くひきこまれる強烈な光。
それを見て、何故か俺はコイツを無視できなかった。
「…後悔は、先にはできねェぞ」
「…え?」
俺がポツリと呟いた言葉を聞いて呆けた顔を見せる定員。
「…やりたい事があって、それを諦めたくない理由もある。待ってても事は進まねェ。なら話は簡単だ…進むしかねェだろ。ただ我武者羅に、前に。」
自分でも柄でもない事をしているとは自覚している。東條の手のひらの上で踊らされている感がぬぐえない。が、この眼の強い光を無視してしまう事は、俺の中の『何か』を捨て去ってしまうような気がして、そしてそれを捨て去ってしまうと、俺が俺でなくなるような感じがして、無視できなかった。
「その先に、お前の道があるんじゃねェのか?」
しかしこの話ににこにーは出てこないという(笑)
今回は要望が多かったのぞえりとの絡みですね。後はおまけで穂乃果ちゃんも。
この話の穂乃果ちゃんは校門で可能性を感じません。響弥との話で可能性を感じました。
皆さん、多くの感想ありがとうございます!不定期更新ではありますが、楽しみにして頂けると幸いです。感想は全員に返して行きたいと思います!
次もなるべく早く更新したいと思います!それではノシ