松田さんのような記者がウマ娘の世界にいたらおもしろそうだなと思いました(笑)
読みにくいところもあると思いますがよろしくお願いします。
「だから!こんなスキャンダルなんて追っても意味ないですって!編集長!!」
電話を片手に叫ぶのは日刊エヴリースポーツの松田耕作(まつだこうさく)記者だ。
「そんなことを言ってもな、松田よ。猪熊柔のようなスターは早々には出てこん。諦めて地道に稼いでいこうじゃないか。」
編集長の笑い声が電話越しで響く。
「だぁ!このわからずやが!!」
電話を乱暴に切る。
いつもの光景だと横目に見ながら仕事仲間の鴨田が呟く。
「トレセン学園にでも行ってみます?今日は新入生たちの模擬レースがあるらしいですよ。」
「トレセン学園か。」
汗を拭く鴨田を見ながら松田も呟く。
日のさす路地裏で男2人が立ち上がった。
トレセン学園に着くとたくさんの人で賑わっていた。
それもそのはずで今日は中央(トゥインクルシリーズ)での模擬レース。新入生とはいえ、レベルの高いウマ娘たちのレースが観られるとあって記者やトレーナーや学園関係者、そして彼女たちのファンたちがレース場に集まっていた。
「今年は粒ぞろいだな。」
「どれも強い娘たちだね。」
「タンホイザちゃんがんばれー」
あちらこちらでいろんな会話が聞こえてくる。特に注目があったのは、ミホノブルボン、サクラバクシンオー、ニシノフラワー、そしてライスシャワーだった。
「鴨田、お前ウマ娘は詳しいか?」
鴨田の肩を叩きながら聞く。
「ええ、多少なら知ってますけど、、」
カメラを構えながら答える。
「俺もあまり詳しくはないがあのミホノブルボンって娘、すごいオーラだ。周りとは空気が違う。」
「第二の柔さんですか?」
「馬鹿野郎!柔さんに第一も第二もあるか!」
にやけながら喋る鴨田の頭を叩く松田。
「確かにあの娘もすごいが柔さんの様にはなれないんだよ。」
あの時偶然出会った猪熊柔とは違う。
松田は心の中であの時のパンちら巴投げを思い出し少し頬を赤らめる。
そんなぼーっとしている松田に悲劇が起きる。
急な突風により松田の取材メモが飛んで行ってしまう。
「しまった!」
咄嗟に何枚かは拾ったが1枚飛んでいくのが見えた。
「鴨田!あとは頼んだ!!」
「ちょっと松田さん!」
鴨田の声など無視しメモ紙を追いかける。
「どこまで飛んでいくんだよ、まったく!」
空中を漂うメモ紙を追いかけながら嘆いていると真横で速い影が追い越す。
追い越す瞬間の風が頬をかすめる。ウマ娘だ。模擬レースに出るためにジャージに着替えているウマ娘の姿が目前に出てきた。
彼女はあっという間にメモ紙に追いつくと空中でキャッチして着地した。
振り向くその顔には一切の疲れを感じられなかった。
「あの・・大丈夫ですか?」
黒い髪をなびかせながらこちらに向かってくる。
「ありがとう!やっぱり速いなぁ。すごかったよ!」
笑いながら一歩近寄る。
「いえ・・ライスなんてまだまだダメダメです。」
そう言いながら紙を差し出す。
受け取ろうと彼女の手に触れると違和感を感じた。鼓動が乱れていなかったのだ。
「あの距離を走って君は息を切らしていないのか、なんてスタミナなんだ。」
驚きのあまり受け取ったばかりのメモ紙を落としてしまう。そのタイミングでまた風が吹く。
「あぁ・・紙が、ライスが取りにこなければこんなことには・・ライスのせいで。」
目に涙を浮かべながら彼女はぶつぶつと呟く。
「別に君のせいじゃない。俺が落としてしまったのが悪かったんだ。」
そう言って彼女を励ます。
「もうすぐ模擬レースじゃないのか?順番は大丈夫なのか?」
「ああ!もうすぐでライスの番だ!わざわざありがとうございます。」
慌てながらこの場を去ろうとする。
「待ってくれ!君の、君の名前はなんだ!」
そんな声は届くことはなく彼女は去っていった。
「ライス・・ライスシャワーか?!」
注目ウマ娘の一人じゃないか!
「あんなに小さい体で・・なんてすごい娘なんだ。こうしちゃいられない!急いでレース場にいかなくっちゃ!」
こけそうになりながら松田は走りだした。