魔法少女マジカルピーチ外伝 魔法少女マジカルストロベリー   作:青果 魔法露

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魔法適性

 魔法少女になると決めたもののそうすぐに物事が進むわけもなくて、ミカンは今回のこの町の襲撃に関しての報告をする為に一旦魔法少女の基地に戻らないといけないみたいで、明日また集まって色々決めるために電話番号だけ交換して別れることになった。

 みんなが避難しているこの学校には、魔法少女さんたちの手で支援物資とかはもう運び込まれてるみたいで、ちゃんとしたご飯(レトルトだけど)は出たし、簡易的なシャワー室みたいなのもあったからそこら辺も困らなかった。

 寝る時は寝袋がみんなに配られてそれで寝る感じだった。物はしっかりしてたからちゃんと暖かかったけど、初めて一人で寝るのは何というかとっても心が寒かった。

 

 朝になってすぐにミカンに起きたことを連絡するとそれから2,30分ぐらいしてからようやく避難所についたって言う連絡が来た。

 全くこんなに待たせるなんて、ちょっと一言言ってやろうかしら。そう思いながら集合場所に向かうとなんか頬っぺたに真っ赤に手形がついたミカンが立っていた。

 一体何があったらあんなに綺麗に手形なんてつくのかしらね...

 

「おはようミカン。その頬っぺたどうしたの? 凄い綺麗に真っ赤に痕ついてるけど」

 

「ああ、おはよう苺。うむ、何と言えばいいのだろうか。ちょっとここに来る前に友達と喧嘩してしまったんだ。一応後に残るような喧嘩ではなかったからあまり心配しないでくれ」

 

「ふーん、そうなのね。まあそれならしょうがないわね。私を30分も待たせたことは不問にしてあげるわ」

 

「すまない、そうしてもらえると助かる」

 

 ほんとはもうちょっと弄ってみたかったけど、まあ今回は許してあげよう。

 次があったら容赦するつもりはないけど、乙女の時間は有限なのよ。

 

「さて、苺。昨日話した通りちょっとこれからの話をしていこう。とはいえ少し長い話もある。立ち話もなんだから、駐車場にある私の車に乗って欲しい。向かわないといけない場所があるのだが少し距離がある、向かいながら話したい」

 

「車? ミカン、まだ年とかは聞いてないけど免許取れる年じゃないでしょ、私だってそれぐらいは分かるわ。それに移動ならあの時みたいに空を飛んでいけばいいじゃない」

 

「ああ、それに関しては問題ない。魔法少女は基本的にそういう年齢制限は解除されている。お酒とかギャンブルとかは例外だがそれ以外はおおむね大人と同じと考えていい。あと、飛ぶのは結構疲れる、あまり長距離を長時間となると出来ればしたくない」

 

「あ、そう...何というかこう思ったより現実的なのね、魔法少女って...」

 

 

 

 

 そんな訳で私はミカンが運転する車の後部座席に乗って移動する事になった。

 行先は

 

「政令指定要塞都市、青果市。度重なるベジタブルーンの襲撃により壊滅した旧首都東京に変わり、行政機能をを分散させることでリスクを軽減するという思想を元に各地に作られた政令指定要塞都市その一つで、特に主にベジタブルーンへの防衛を担当する部門が集まっている街だ」

 

 という所らしい。

 何というか凄く小難しい話で理解するのには少し時間が掛かりそう...

 そう考えているとミカンは少し申し訳なさそうな顔をした。

 

「ああ、すまない。苺にはまだ難しい話だったな。とにかく今向かっている所が魔法少女の総本山的な所だという事だけわかってくれればいい」

 

 ...むぅ。確かにまだ子供だし分からないことも沢山あるのはそうなんだけど露骨に子ども扱いされるのは何だかイラっとする。

 悪気はないのは分かっているし、純粋にこっちを気遣ってくれてることは分かるのだけど、何というか気に障る。

 多分朝友達から頬っぺたに一発貰ったのもこの余計な一言が原因だったに違いない。

 取りあえず運転に支障がないくらいに殴っておくことにしよう。

 

「で、まあそこに向かうのは良いとして私たちはそこでこれから何をしていくわけ?」

 

「いてて...ああ、そうだな、これからの話をしていこう。先程も言った通り青果市は魔法少女の総本山だ。そして青果市には日本最大の魔法少女育成学校M.A.G.I.Aがある。苺、君にはここに通ってもらいたい」

 

「ふぅん。私はミカンから教えてもらえるものだと思ってたけどそうじゃないのね」

 

「そこに関しては約束を違えることになってすまない。だが私は教職者ではない。こと教えることに関しては数段劣ると言っていい。それに魔法少女は基本的に複数人で小隊を組んで戦うものだ。そういう複数での連携を学ぶためにもちゃんとM.A.G.I.Aに通った方がいい」

 

 正直ちょっともやっとした気持ちも残るけどそこまで考えてもらってミカンが出した結論についてあんまり我がままを言うのも良くないし、子供っぽい気もする。

 だから今回はちゃんと聞いておくことにした。

 ...って言っても約束を破ったことには変わりないからあとで何かしら埋め合わせはしてもらうつもりだけど。

 

「分かったわ、そこまで言うならそうする事にするわ」

 

「うむ、感謝する。でだ、差し当たってそのM.A.G.I.Aに通い始める前に君の魔法適性を計っておきたい。出来れば今日着いてすぐに。M.A.G.I.Aに通う為には願書を提出し最低限の試験を受け合格しなければならないのだが、その願書を提出する際に魔法適性のデータが必要なんだ」

 

「M.A.G.I.Aって願書とかを出す感じの学校なの...何というかこう魔法少女って変な所現実的よね。で、その魔法適性? って言うのはどういうものなの?」

 

「魔法適性と言うのはまずその者に魔力があるのかという事から、その魔法少女が使うことが出来る武器や魔力の属性を見るものだ。武器に関しては多少のカスタマイズは効くが基本的には一人につき1種類、属性は火、水、風、土、雷の基本となる五つの属性と、今まで確認されてはいないが理論上存在するとされている光と闇があって、それぞれの属性毎に扱える強さに応じてE~Sまでのランク付けがされることになっている」

 

 思いの外情報が来てちょっとさっきみたいに処理できなくなりそうだったけど...うん、ぎりぎり理解出来た。

 でもその中に一つ聞き捨てならない内容が...というか

 

「え、魔力がないとかもあるの!? 無かったらどうするのよ、魔法少女になれないじゃない!」

 

「ああ、居る。全員が魔力を持っているわけではないんだ。しかし、別に魔力が無いからと言って魔法少女として活動できない訳ではない。M.タンク、魔力を貯めておける外付けのバッテリーような物があってそれを用いれば魔力がなくても魔法を使うことが出来る。無論、元から持っている者と比べれば様々不自由はあるがな」

 

「なるほど...そういう便利なものもあるのね。とはいえ、魔力はあるに越したことは無いわね。あってくれると良いのだけど...」

 

「ちゃんと調べるまで何とも言えないが、ベジタブルーンに襲われたことがあるものには高確率で魔力があるという。だから期待はしてもいいと思うぞ」

 

「ふぅん、そうね。そういう事ならちょっと期待しておくわ」

 

 ちょっと取り乱しちゃったけど、良かった。

 魔法少女を目指してるのにまず適正からして駄目でなれませーんってことになったら正直ショックで立ち直れなかったかもしれない。

 魔法少女になることは私にとっては今は唯一の目標、それがとりあえずは無くならなそうでちょっと安心した。

 安心したところで少し気になったけど、ミカンはどんな武器でどんな属性を使うのだろう。

 私が助けてもらった時は正直私も取り乱してたし、実は武器とかは見てない。

 これで聞いたのと調べたら一緒だったりしたら嬉しいし、ちょっと聞いてみよう。

 

「ねぇ、ミカン。あなたは武器と属性は何なの?」

 

「ん、私か。私は武器は西洋剣、属性は雷と風の2つでランクは雷がA風がCだな」

 

「二つ? 属性って一つだけじゃないの?」

 

「ごくたまにだが私のように2つ以上の属性を持つ者もいる。その場合私の雷ように主となる属性があり他の属性はそれよりも低いランクであることが殆どだ」

 

「なるほど、つまりミカンって私が思ってるより凄いのね。ごくたまにって言うくらいだからほんとに一握りなのよね、ならとっても強いってことよね!」

 

「いや、そんなことは無いさ、私より強い魔法少女など沢山いる。私はまだまだ未熟だよ、だからこそ君の両親を守れなかった

 

「あっ、ごめんなさい...無神経だったわね」

 

「こちらこそ、すまない。そして謝らないでくれ、君が気にする事じゃない。私の気持ちの整理の問題だ」

 

 私のお母さんとお父さんの事は私はもう許してるけど、きっとミカンはずっとそれを責め続けるのだろう。

 ずっとその重みをまだ小さい背中に背負って、それでも重さに負けずに進んでいくはずだ。

 私はあの時そういうところに憧れて、そういうカッコいい存在になりたいから魔法少女になろうと思った。

 だからだろうか、私の両親の事を悔いて辛そうな顔をしていた時申し訳ないのと同時に少し嬉しいなと思ってしまったのは。

 

 

 

 それからちょっとだけ気まずくなって話すこともあれだけみたいだったから寝ていると、どうやら寝ている間に取りあえずの目的地に着いたみたい。

 看板を見てみると、田畑魔法少女研究所という所らしい。

 もう予約的なものは取れているらしく、すぐに診察所的な所に通された。

 ミカンと一緒に中に入ると、そこには白衣を着た一人の女性がいた。

 年は多分20代前半くらい、顔はすごいおっとりとした感じでとっても優しそうだ。

 あと、こう胸が...何というか凄い。

 女の私でも思わずちょっと小声でおーって驚くくらいにはおっきい。

 お母さんもおっきかったけど、それ以上。

 ちなみにミカンはそれと比べるとかなり小さい、というか私とほとんど変わらないくらいだ。

 ...この人までとは言わないけどせめてミカンよりは大きくなりたいわね。

 そんなことを考えてると、女の人とミカンが話し始めた。

 

「鎌華先生、お久しぶりです。今日はいきなりで申し訳ない」

 

「あらあら、別に気にしなくていいのよ~。私とミカンちゃんの仲じゃない。で、この子が言ってた子かしら。初めまして、私は田畑鎌華。ここで魔法少女に関して研究したり怪我をしちゃった時に直してあげたりしているわ」

 

「っはい! 初めまして! 私は卯月苺って言います。よろしくお願いします!」

 

「ふふ、元気で良いわね。お姉さん羨ましいわ」

 

 ずっと胸について考えてたから反応が凄い事になっちゃったわね。

 大丈夫かな...? 変に思われてないかしら...

 

「さて、苺ちゃん。早速だけど、貴方の魔法適性を調べるためにちょっと血を抜かないといけなくてね。注射をしないとなんだけど大丈夫かしら?」

 

 良かった、とりあえず大丈夫っぽいわね...

 でも注射、注射ね...

 別に怖いという訳じゃない、だって私はもう8歳。注射を怖がるようなおこちゃまとは違うのよ! 

 でも何というかそのちょっといきなりじゃないかなって思うのよ、だってこう、ね! あるでしょ、心の準備的なものが! 

 でもあんまり待たせるのも悪いし...うん、覚悟を決めるわよ。頑張れ私! 

 

え、ええ。大丈夫よ、どんと来なさい! 

 

 さあ、腕は差し出したわ! どっからでもかかってきなさい! 私は逃げも隠れもしないわよ! 

 

「うんうん、いい子ね。じゃあ、行くわよ~」

 

 ぷすっ

 

「っつ!」

 

「はい、終わり~。よく頑張ったわね。じゃあ結果はすぐ出るからちょっと待っててねぇ」

 

「は、はいぃ」

 

 終わった、終わってみれば一瞬だったけど体感凄く長かった気がする...

 ちょっと涙目になってる気がする、怖かったぁ...

 そうしてちょっとしくしくとしているとミカンがおずおずと

 

「えっと、凄く頑張ったな。偉いぞ、苺」

 

 と言いながら頭をなでてきた。

 ...なんかちょっとむかつく。

 だからわき腹を一発殴っておいた。私は悪くない、一言多いミカンが悪いのだ。

 

「何故だ...」

 

 

 

 それから10分ぐらいして、結果が出たのか鎌華先生が帰ってきた。

 でも何というか出て行った時よりそこはかとなく纏っている空気が重い気がする。

 もしかして私、魔法適性がないとか...? 

 

「お待たせ~、結果が出たわよ~」

 

「先生! どうでしたか? 適正はありましたか!?」

 

「落ち着いて苺ちゃん。大丈夫、ちゃんと魔法は使えるわ。だけど...」

 

「やった! でも、だけどってどういうことですか?」

 

「結果を聞いていけば分かるわ。まずは魔法適性はさっきも言った通り〇、問題なく魔法を使えるわ。で、使用武器は銃。銃はカスタマイズ性が高くて、カスタマイズによっては近距離から超長距離まで広いレンジで戦える万能武器ね。で、ここまでは良いの。最後属性、苺ちゃんあなたはAランクの火属性とSランクの闇属性、その2つが使えるわ」

 

「闇属性!? それは本当ですか、鎌華先生?」

 

「ええ、本当。グッジョブよ、蜜柑ちゃん。私の所じゃなくて他の研究馬鹿共の所に行ってたら一発でホルマリン漬けだったわ...」

 

「ひえっ...そんなになんですか闇属性って?」

 

「苺、さっきも言ったが闇属性と光属性は今まで理論上は存在していても確認されてこなかった幻の属性だ。ただ出てくるだけでも大事なのにそれのSランク適正。見るものが見れば即研究施設送りだ」

 

「そうだったわ...じゃあどうすればいいの? このまま行くと私は魔法少女として活躍するよりも前に研究所送りになっちゃうのよね?」

 

「うーん、そうね。幸い、闇属性だけじゃなくて火属性の適性も高い。闇属性の方はふいに出たりしないように封印して火属性だけで戦うのが良いでしょう。となると、あれがいるわね。ちょっと待ってて、すぐ戻ってくるわ」

 

 そういうと鎌華先生はまた裏に戻っていった。

 闇属性、何というか私は凄いものの適性を持っていたみたい。

 ミカンと一緒じゃないのはちょっと残念だけど、私でもそんな特別な力があればもしかしたらミカンに追いつけるかも。

 あ、でも闇属性は封印しないとだった、となると火属性で頑張らないといけないのね。

 うん、火属性も適正はミカンの雷と同じA、きっと何とかなる。

 

「またまたお待たせ。はい、これ。これがあれば闇属性の力を良い感じに封印して且つ、普通の戦闘でも結構いい感じに出来るようになるはず。本当はもっと魔法になれてから渡すものなのだけど、蜜柑ちゃんって言う優秀な先生が近くにいることだしきっと大丈夫よ!」

 

 そう言って渡されたのは何か透明な種だった。

 ちょっとひんやりとしていて触った感じめちゃくちゃ固い、ハンマーでごーんってやっても砕けなさそう。

 

「これは?」

 

「キーフルーツの種。魔法少女がさらに魔法を扱いやすい姿に変身する為の鍵よ。それを大切な事とか、後は守りたいものとか想いながらぎゅっと握ってみて。そうすると貴方に合わせた、貴方だけのキーフルーツが育つわ」

 

「分かりました、やってみます」

 

 大切な事...今私にとって大切なのは魔法少女になる事、守りたいものは、うーん...まだ分からない。

 ミカン、貴方ならどう考えるかな。

 いや、考えなくても分かる。ミカンが守りたいのはきっとその後ろにいる全ての人たちだ。

 なら私はそのミカンを守る、そんな魔法少女になるのはどうだろう。

 うん、そうね。そうしましょう。ミカンは望まないかもだけど私がそう決めた。

 ミカンを守れば実質的にその他の人も守ったことになるし一石二鳥よね。

 そう決めるとキーフルーツの種が急にまばゆく光りだした。

 

「キーフルーツが育ち始めたわね。まだそのまま」

 

 言われた通りに握り続けていると徐々に光が収まっていく。

 これで良いのかしら...? 

 

「うん、OK。手を開いてみて。それがあなたのキーフルーツ、これから魔法少女である限りずっとあなたと共にある相棒よ」

 

 ゆっくりと手を開く。

 その中には何の偶然か、いや多分偶然じゃない。

 私の名前と同じ、苺の形をしたキーフルーツがあった。

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