士道くんは中二病をこじらせたようです 作:potato-47
早速ですが難易度をお選びください。
VeryHard:十香が反転した状態でスタートします。
→Hard :十香が病んでおり、敵対的です。
Normal :原作と同様の難易度です。
Easy :十香が対話の可能性を信じています。
VeryEasy:十香が何故かデレデレです。隙を見てキスをしましょう。
選んだものになるとは言ってないですけどね。
そんな感じで第二部『十香キングダム』開始です!
-追記-
難易度選択はただのネタです。勘違いさせて申し訳ございません。
本編はプロット通りHardで進みますので、ご了承ください。
序章 宣言
――荒れ果てたビルの中で、少年と少女が向き合っていた。
少年の姿はいたって平凡。ただ全身から滲み出る『凄み』から一般人ではないことが見て取れる。それは両手を顔の前で交差させた、奇妙なポーズによって発生していた。
彼の名前は五河士道。世界を裏側から支配する『機関』の陰謀を阻むために戦い続ける『能力者』――という妄想を貫き通すただの中二病患者である。
対する少女は、この世のものとは思えない美しさを世界に刻み付けていた。砕けた窓から吹き込む風に闇色の髪は棚引いて、まるで版図を誇示するように大きく広がる。鎧とドレスを組み合わせた不思議な装いは、彼女の気品を際立たせながら、戦場を駆け抜ける獰猛な気配を放っていた。
彼女に名前は無い。敢えて呼ぶならば<プリンセス>。圧倒的な美貌と力を持つ彼女に相応しい呼び名であるが、その王者たる者に相応しき輝きには陰りが生じていた。
「それで、おまえは一体何を企んでいるのだ?」
<プリンセス>が猜疑に満ちた視線と共に巨大な剣を突き出した。
ただ腕を前に進めれば切っ先が喉元を貫くことだろう。しかし、士道の表情には一切の変化が起こらない。
命の危機など瑣末な問題だった。
それよりも、見逃してはならない絶望がある。
「やはり……おまえも私を殺しに来たんだろう?」
続けられた言葉に、士道の表情が始めて動いた。眉を寄せて、怒りに唇を噛み締める。
目の前で今にも泣きそうな少女が居る現実に耐えられない。今すぐにでもそんな腐った現実をぶち壊したい。
だが、<プリンセス>の絶望は深いのだ。迂闊に踏み込めば、最後の引き金を引いてしまうことになりかねない。彼女はずっと独りだった。そして周囲には敵ばかりだった。
そんな環境で健全な心が育つ筈もない。
「黙っていては分からん。いや、おまえの返答など求める意味が無かったな。今すぐに私が殺してやる」
だったら声を震えさせるな、刃に迷いを持たせるな。
本当に怖がっているのは<プリンセス>だ。
例え世界のすべてが否定しようとも、士道だけは現実を受け入れない。もっと幸せで愉快な真実を構築してみせる。
世界から拒絶される痛みがどれほどのものか。士道はよく知っている。
だから、肯定してみせる。
世界のすべてよりも強く優しく精一杯に、<プリンセス>の存在を肯定してみせる!
「――俺はただお前に会いに来ただけだ」
士道から返された真っ直ぐな意志に、<プリセンス>は自嘲した。
「信じられんな」
孤独と絶望に塗れた瞳が、外に広がる蒼空を見上げた。
ずっと対話を、救いを、温かい感情を待っていたのに、それを素直に受け取ることすらできない自分自身を憐れんだ。
「この世界に受け入れられることなどとっくに諦めてしまったよ」
暗く淀んだ声。期待を抱くことすら許されなかった憐れな少女は、悲痛に歪めた表情の奥で、静かな慟哭を上げていた。例え涙は零れ落ちなくても、心が泣いている。
士道は構えられた剣など気にせず、一歩前に足を進めた。
首筋の薄皮が裂かれて、真紅の血が剣身を伝って流れ落ちた。
「一ついいだろうか。俺を殺すのは、お前が俺を殺したいからか? それとも自分の身を守るために仕方なくか?」
「どちらにしろ結果は同じだ。くだらん言葉遊びが何になる」
「違うな。断じて同じではない」
「何が違うと言える」
「――お前の心が傷付く」
「なんだと……?」
士道は首筋に当てられた刃を手の平で押し退ける。
抵抗なく剣身は離れていた。
動揺する<プリンセス>に向けて宣言する。
「だから俺はお前に殺されたりなんてしてやらない。そしてお前にこれ以上、誰かを殺させてたまるものか!」
――そして、二人の視線はぶつかり合い、五河士道の物語は再び幕を開けた。
ヤンデレ十香って可愛いと思いませんか?
思わないですか。そうですか。そうですね。