再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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初めましての方は初めまして、お久しぶりですの方はお久しぶりです。
たーぼです。

面白すぎて原作みて後先考えず書きました。



1.再会した幼馴染が引きこもり寸前だった

 

 小学生の頃に家が隣の幼馴染がいた。

 その少女はピンク色の髪でどちらかというと目立つ方だったと思う。

 

 しかしそれ以上に、存在感もあるだろうが性格故に静かで他のみんなと関わろうとしない、関われない引っ込み思案なとこもあったのだろう。

 気付けば少女はいつも一人だった。今思えば言葉足らずというか、言葉を紡ぐのが苦手だったのだろうと理解できる。そういう子は少なからずいるのだから。

 

 だけど、彼女はそれ以上であった。

 だから常に一人ぼっちだった。

 

 幼稚園児といえど男女で一緒に遊ぶかと聞かれると案外そうでもない。

 男子は男子でかけっこやら泥だんご作りをしたり、女子は女子で室内でおままごとやお絵かきをする。もちろん一緒に遊んだりする事もあるが、基本は前述の通りだ。

 

 その男子の輪の中に自分がいて、そのどちらの輪の中にも、少女はいなかった。

 たまに視線をやると同じ歳の子と遊ばずに、先生とお絵かきをしたり本を読んだりしていた記憶がある。その頃の自分には同性の男子と遊ぶ事を優先し、少女とは家が隣だし喋ろうと思えばいつでも喋れるから今はいいやと、子供ながらの無邪気で純粋で残酷な選択を罪悪感も覚えず毎日そうしていた。

 

 同い年のお隣さん。そうなれば当然家族ぐるみでの交流もあり、自然と仲良くなって話す事もあった。ぎこちなくもお互い名前で呼び合うくらいには。

 そうしていた事で、家以外で彼女への優先度は低くなっていた。男の子同士で遊ぶ事が楽しい時期という事もあり、幼稚園ではほとんど話さなかったのだ。

 

 交流はお互いの家でのみ。それは小学三年生まで続いた。

 そこからは父親の単身赴任で母を残し自分と父親だけ少し遠くに引っ越した。普通子供は地元に置いていくだろうという意見もあると思うが、ズボラな父の代わりに家事と炊事をできるだけやってあげてくれと母に言われたからそうなったのだ。

 

 小学三年生の割には母の手伝いはやっていたし、自分で言うのも何だけど案外イマドキの子供というのは自分の思考をしっかりと持っている。

 おかげで自分の事は大体自分でできるし、ズボラと言っても自分の両親の事はちゃんと尊敬しているので仕事で疲れて帰宅してきた父の世話も難なくこなせていた。

 

 料理の腕も子供にしてはまあまあできる方。家事をするために基本毎日早起きもしている。寝るのは遅い時もあるが。

 こうして、自分という人間は周囲の同い年よりも割としっかりした人格形成を得て成長した。と思いたい。

 

 

 そして約六年が経過し、父の長かった単身赴任もようやく終わって受験生真っ最中の中学三年。中途半端な時期にはなってしまったが、久方ぶりに元々住んでいた家へ戻ってきた。

 父の事もあるしどこを受けるかはまだ決めていなかったけど、元々父は受験生になったら自分を母の元へ戻すつもりだったらしい。

 

 いつ終わるか分からない単身赴任のために近くを受けて、それが終了したらまた転入するのは面倒だからという理由もあったのだろう。

 と言いながらも、だ。自分が家に戻ったのは中学三年の秋、十月である。実に中途半端だった。こんな時期に転校なんて普通考えられない。そんな愚痴も父の都合に付き合ったのは自分だから何も言う事はない。

 

 成績も特に悪くないから今から間に合わないというレベルでもないし。普通に近くで良い高校があればそこを受けようかと思っていた。

 そんな楽観的な事を思いようやく平凡な学校生活を送れると考えていたのかもしれない。

 

 

 さて、前置きはもうこの辺でいいだろう。

 そろそろ現実と向き合う時が来た。

 

 

「……」

 

 目の前にある光景を眺める。

 既に自分の荷物は自室に置き、約六年振りだから隣の家にも挨拶しようという事になった。

 

 母とも久しぶりで元気にしていたようで何よりだが、問題は今だ。

 お隣さん。昔から仲良くしてもらっていてもはや第二の家族のような存在とも言える、のか? 

 

 少なくとも母はそのように思っているようだけど、如何せん自分は小学三年からここにはいなかったので正直よく分からない距離感だ。

 あちらのご両親は笑顔で出迎えてくれた。驚いたのは五歳の女の子が産まれていた事だ。今もこちらに挨拶したあと無邪気に犬(名前はジミヘン)と走り回っている。

 

 そこまでは良かった。

 そこまではまあ再会という名の会話のネタで華を咲かせていた。

 

 しかし、自分には同い年で幼馴染の少女がいたはずだ。

 引っ込み思案で普段から大人しくはあったけど可愛らしくもあった。そんな少女がいたはずだ。

 

 なのに。

 なのに。

 

 目の前にいるのはいったい誰なのか。

 

 

「……」

 

 自分が見ていても決してあちらからは目を合わそうとしない。小学生の頃よりもだいぶ伸びた髪。全身ジャージで自分の家だろうに何故かリビングの隅で体育座り。

 ひと目で分かる。まだ子供で精神が完全に形成されていなかった頃はあまり何も思わなかったのだろうが、形成するにつれてそれは確立し、少女を孤独のまま成長させてしまったんだろうと。

 

 自分も中学三年生。こういう子が学校ではどういう風に過ごしているかくらいは簡単に想像できる。できてしまう。

 纏う雰囲気すらあの頃以上に負のオーラが凄い。ここあの子の家なのにどうしてあんな暗くなれるんだろう。

 

 変わり果てたという言葉が正しいのか分からないけれど、成長の方向性を間違えてしまった感がある。

 だけど、彼女は紛れもなく自分の幼馴染だ。小さい頃はお互い名前で呼び合っていた仲でもある。

 

 興味や好奇心というより、純粋に放っておけなかった。

 だから声をかけようとした。

 

 もっと早く気付くべきだったのだ。

 成長したとはいえ、自分自身もまだ中学生の思春期だったという事を。少なからず女の子を意識するような年頃で、幼馴染なのに数年離れていて実は距離感がよく分かっていなかったという事を。

 

 

「えっと……久しぶり」

 

 幼馴染なのに数年振りに会っていきなり名前で呼んでいいものなのかと。

 答えは自分の口から出た。

 

 

「ひと……後藤さん」

 

「ゔぅァッ!?」

 

 まるで少女の口から出たとは思えない言葉で、目の前の少女はショックを受けていた。

 かもしれない。

 

 

 これが俺、清水優人(しみずゆうと)と後藤ひとりの再会だった。

 

 

 





幼馴染って便利な設定ですよね。



感想など反響が良ければ更新も早くするよう努めますのでどうかよろしくお願いします。
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