再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る 作:たーぼ
みんな今月のきららMAX見た?
虹夏ちゃんとお姉さんの過去編見れるからみんな買おうな。気になりすぎて初めて電子書籍できららMAX買ったけど、原作一巻さえ読んどけばあと見てなくても見れる過去話なのでそれだけで価値あるし是非とも読んでみてほしい。
虹夏ちゃんの笑顔を守りたい(切実)
「で、ギターで話しかけてもらう作戦は失敗したと」
「は、はい……」
昼休み。
俺と後藤さんはいつも通りの場所で昼食を食べながら彼女の作戦結果を聞いていた。
「そんなホイホイ作戦上手くいってたら中学でもっと話しかけてもらってるよな」
「うぅ……」
まあ教室の外から見てたし分かってたけど。
やっぱり虹夏さんと出会ったのはただの奇跡だったようだ。そりゃタイミング良すぎたものね。
「も、もう調子に乗るのはやめます……慎ましく細々と生きていきます……」
「今まで散々失敗してきたんだし虹夏さんが特例なだけだって。あまり気にすんな」
半泣き状態でおにぎり食べるのやめろって。余計しょっぱくなるぞ。
って、あれ?
「何かおにぎりいつもより小さくないか? 前までは手のひらサイズだったよな」
「ッ!? あっ、あぁ……いや、その、ちょ、ちょっと今日のご飯そんなに炊いてなかったのかなぁ~なんてっ……!」
「へえ~」
まあそういう事もあるか。美智代さんだってミスをする事くらいあるだろう。
後藤さんって女子にしては食べる方だからお腹満たせるかどうかが気になるとこだけど。
「ゆっ、ゆうくんのは逆に、多くなってないですか……?」
「ん? ああ、まだつい最近だけど夜に筋トレ始めてさ、その分昼飯の量は多めに作ってるんだよ。筋肉痛もようやく取れてきたし色々トレーニングとか取り入れてみるかなー」
今後の事も含めて今の内に力仕事はいつでもできるように鍛えておかなければならない。
元々力は付けたかったし始めるにはちょうどいいきっかけだった。後藤さんを重いと思ってしまうのは単純に俺が非力なだけかもしれないから。贔屓目を抜きにしても後藤さんはジャージの上からでも分かるほどスタイルが良いと思う。
普通に見れば美少女に見えるのに、何故こうも魅力的に見えないのか。それはおそらく数々の奇行を見てきたからだろう。
60上がった好感度を奇行で70も落とすのが後藤さんだ。これぞまさに上げて落とす。自分で。
彼女の雰囲気自体を何とかしないとなーと思っていたところで、周りに目がいった。
「それにしてもよくもまあこんな暗いとこで昼ご飯食べようと思ったな。教室で食べればいいのに」
「ひ、一人だと教室で食べづらいから……ここなら、落ち着いて食べれるし誰にも見つからないので……」
「お、おう」
理由が全部暗すぎてさすがの俺も反応に困った。
俺達がいるのは階段を下りたとこにある机とかイスとか置いてある謎スペース、いわゆる誰も近づかない物置きのような場所だった。何故か学校にはこういうのが一ヵ所くらいあるけど何でなんだろ。
「ま、確かに誰にも気を遣わなくて済むって点ではありかもな。こういうのも何か自分だけの秘密基地っぽくて少しテンション上がるわ」
「ゆ、ゆうくんはいつも私と一緒に食べてくれるけど……クラスの人とかは、大丈夫なの……?」
後藤さんがらしくない心配をしてきた。
なので軽くデコピンをしてやると「あうっ」と額を押さえている。
「いっちょ前に俺の心配なんかしなくていいっつの。他クラスの友達と食べてくるって言ってるし気にするほどでもねえよ」
それに、後藤さんがこんな所で一人孤独に食べているのを知ってて放っておける訳もない。
自分だけ友人と食べていても、心のどこかに彼女がここで静かに一人で食べている景色がどうしても出てきてしまうのだ。それはあまりにもノイズすぎる。
なら最初から一緒にここで食べれば何も問題はない。
「それと、放課後は先にスターリーに行ってろって言った事は覚えてるな?」
「あっはい」
「もしかしたら用事が長引いて少しバイト遅れるかもしれないから、先に伝えておくわ。虹夏さんにはもう言ってるから伝言はしなくて大丈夫」
「わ、分かりました」
よし、愚図らなかったのは素晴らしい進歩だ。頼むからそこから後退しないでくれよ。
後藤さんの場合一歩取り戻すのにどれほど時間かかるか分かったもんじゃないしな。
「ごちそうさまっと。じゃあ俺は自販機でジュース買ってから教室戻るから。またスターリーでな」
「あっはい。また……」
先に別れを告げて階段を上っていく。
一応バレないよう左右の廊下に誰もいない、もしくはこちらに向いていない事を確認してから何事もなかったかのように歩き出す。これが違和感を悟られないためのコツだ。……いらんスキルばかり身に付いていくな。
「午後にはやっぱ午後ウィーだよなあ」
そんな事を呟きながら教室に戻る最中の俺。
自販機で午後のウィークポイント、略して午後ウィー(ミルクティー)を嗜んで廊下を歩いていた時だ。
遠めではあるが見覚えしかないピンクジャージが俺の教室の前で屈みながらこっそり何かを覗き込んでいた。
何やってんだあいつ。というか昼食時以外で自分の教室にいないってだけでめちゃくちゃ珍しいんだけど。俺の教室だし、俺を探しに来たんだろうか?
普通に考えてそうとしか考えられない。俺以外友達いないし。
俺に伝え忘れた事でもあったのかもしれない。にしてもあんなコソコソしなくてもいいのに。むしろ変に目立ってるぞあれ。覗くならもっと俺みたいにバレないようにしないと。言ってて悲しくなってきた。
歩く速度を速める事もせずただ普通に歩いて近づいていくと、後藤さんの体がビクッと跳ね返ったり何かを話してる……ようにも見える。
ようやく話せたのか、俺以外のヤツと……。
そう思っていた矢先。
「……ん?」
後藤さんとの距離も十メートルにまで縮まり話し声が聞こえるかなと好奇心を躍らせていた時だ。
彼女は立ち上がって足を昔のマンガのようにグルグルさせて、まるでF1カーを彷彿とさせる音を出しながら俺の元へ突っ込んできた。突っ込んできた???
「え、何でこっちに向かぼへぁッ!?」
そのまま後藤さんは俺に突撃し、俺は彼女に轢き殺された。後藤さんは走り去って行ったので轢き逃げである。
『再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る』完ッ! ご愛読ありがとうございました。次回作にご期待ください。
「えぇ!? ちょっと待って後藤さ……ってきゃー! 清水君っ!? いったいどうしたの!?」
「お、俺達の戦いはこれからだ……」
「何か全部終わりそうな雰囲気出すのやめて! あぁでも……ごめんね清水君っ。今ちょっと急いでるから!」
そう言って喜多さんは俺を置いて走り去っていった。
これでいい。俺を置いて先に行け。後で必ず追いつくからよお……。死亡フラグを立てながら俺の意識は遠くなっていき、やがて暗闇に沈んでいった。
一分もしない内に目が覚めた俺は目の前の惨状を見つめる。まあ最初から目瞑ってただけだけど。
廊下の一部に広がっている惨状。ぶつかられた拍子に零れた俺の午後ウィーが床を紅茶色に染め上げていたのだ。
「昼休み終わるまでに拭き終わんのかこれ……」
ほぼ涙目で一人モップ掛けして終わらせた。ほんとに学校生活死ぬところだったわ。めちゃくちゃ見られて恥ずかしかったんだけど。
被害者だぞ俺。許すまじ後藤ひとり。俺はヤツを絶対に許さない。必ず弁償させてやる! 午後ウィーの仇!!
と、特に何もないまま放課後になった。
午後ウィーの仇は割と自分の中でどうでもよかったらしい。五分もすれば怒りは消え去っていた。
学校は終わったものの、問題はここからだ。
「……えっと、清水君」
「準備できたか。じゃあ行くか、先輩のところへ」
女性の人ならそんなに怖がる必要もなさそうだ。喜多さんが憧れるような人ならヤンキーとかでもないだろう。
あくまで付き添いだしささっと終わらせてバイトに向かわないと。
虹夏さんにはもうロインをして『オッケー! 今日は忙しくなさそうだから大丈夫だよー! それよりぼっちちゃん一人で大丈夫なの?』と来ていたから特に問題はない。
後藤さんは大丈夫か知らないけど、今頃一人でちゃんと向かっていると信じたい。
「その先輩の活動拠点ってどの辺りなんだ?」
「下北沢周辺だけど……」
「……」
偶然ってあるもんなんだな。それか下北ってバンドマン多いのか。よく分からん。
後藤さんのようにギターを背負った喜多さんの表情は浮かない感じだ。普段明るい子がこんな顔をしてると少しやりにくいな。明るい太陽をイメージさせる喜多さんほどの人なら尚更。この現象の事は日食と名付けよう。
「あ、あのねっ、清水君……本当に悪いんだけど、謝りに行くのは別の日にしてもらっても大丈夫かしら……?」
「そうやってなあなあにしてたらどんどん行きづらくなってくると思うんだけど、それでいいの?」
「ち、違うの! ただ、ちゃんと謝りに行くにせよ……誠意を見せたいの。だから私、ギターを教わって弾けるようになってから先輩のとこに行きたいのよ!」
ふむ、まあ言いたい事は分かる。ただでさえ逃げてしまって罪悪感に苛まれているのに、何もないまま謝罪だけしに行くのも悪いと思ってるのだろう。
せめて最低限でも良いからギターを弾けるようになってちゃんと謝りに行きたいと。彼女はそう言っているのだ。
「ギターを教わるって、当てはあんの?」
「一応、今日はバイトで無理だけどギターは教えてくれるって言ってくれた子がいたから……何とかなるとは思うんだけど」
喜多さんほど人気があって顔も広いなら、楽器やってる人の一人や二人くらいはいるか。
彼女も彼女で行動していたのなら、それを優先させてあげるのが良いだろう。でも急に手持ち無沙汰になったな。このままバイト行けば済む話だけど……バイト?
そうだ。
「その子は今日無理って言ったんだよな? じゃあまだ今日喜多さん予定空いてるって事で良いのか?」
「ええ、そうなるわね」
「ギター持ってるならちょうど良いや。俺のバイト先にもギターやってるめちゃくちゃ上手い女子がいるんだけど、時間あるなら今日はその子に教えてもらうってのはどうだ? 同じ女子だから教わりやすいと思うし、一日でも早く弾けるようになりたいなら悪くない話だと思うけど」
ちなみに後藤さんの了承はどうでもいい。同じ学校の子にギターを教えるのなら、多少強引でも仲良くなる可能性は高くなる。
それに喜多さんほどの陽キャなら陰キャ王の後藤さんともワンチャン打ち解ける事だってできると信じたい。
いやどうだろう。できるか? 弾けて吹っ飛ばないか後藤さん。
陽キャと陰キャが会うとビッグバン起きたりしそう。主に後藤さん側で。そこは喜多さんの陽キャ的判断で適切な距離を測っていただこう。
「いいの!? それすっごく助かる! 私が教えてもらう予定の子も上手だったし、ぜひお願いしてもいい!?」
「了解。ならさっそく行きますか。俺のバイト先も下北沢なんだ」
────
最初は新鮮だった下北沢駅も、今となれば少し見慣れた景色の一部でしかない。
周囲の街並みに関心する事もなく、俺はいつもの芋ピンクジャージとは違う華やか系女子と一緒に歩いていた。
「まさか清水君のバイト先も下北沢だったとはね……」
「つっても世間はそんなに狭くないし、鉢合わせするような事はないだろ」
「だと良いんだけど、前のバンドの先輩達この辺に住んでるからちょっとね……」
少し怯えながら周りをきょろきょろしている喜多さんはちょっと面白い。こういうのをギャップ萌えと言うのだろうか。
ギター背負いながらそんな事してる方が目立つと思うんだけど。
「ごめん清水君。ちょっと後ろ歩かせてね。万が一って事もあるから……」
「まあすぐ後ろ歩かれるのは慣れてるし別に良いけど」
「それ慣れてるって何!?」
「知り合いがそういう子でね」
問題は最近じゃそれが少し落ち着くと思ってしまうほど俺も毒されてるとこだ。
後ろを見なくても気配感じてちゃんといるなって分かるようになったのもどうかと思う。あれ、俺もしかして気を感じ取れるようになってる?
「ね、ねえ、清水君。この道で合ってるの? 何だか私見覚えある記憶しかないんだけど」
「そんな事言われてもこっちはバイト先に向かってるだけだぞ。道被る事くらいはあるっしょ」
「ギターの知り合い……女の子……下北沢……バイト……」
喜多さんが後ろで独り言を呟いてる。
何を考えてるんだろうと思ってたら、不意に後ろから裾を掴まれた。
「し、清水君? そういえば聞いてなかったんだけど……清水君のバイト先ってどんな所なの!?」
「あれ? 言ってなかったっけ。スターリーっていうライブハウスだよ。ギターしてる子もそこで働いてるんだ。ほら、もうすぐそこ……って」
「カッ!?」
指差した方向になんかいた。
後ろで掴まれていた裾が強く握られているのにも気付かず、俺の意識は芋ピンクジャージにしか向いていなかった。
何してんだあのピンク。スターリーの階段近くでずっとぐるぐる徘徊している。パドックかよ。
俺達より先に学校出たはずなのに未だにそこにいるって事は……10分くらいあんな事してるのか。
「おいこらピンク」
「ピェッ……!? あっ、ゆ、ゆう、くん……」
「先に行っててくれって言ったのに何でまだ入ってないんだよ。虹夏さんとリョウさん待たせてちゃ悪いだろうが」
「リョおッ……!?」
なに、なんだよ。今度は喜多さんから奇声聞こえてきたんだけど。心なしか裾掴んでる手めっちゃ震えてない? 俺の制服まで揺れ出したんだが。
そこで俺の真後ろに誰かいる事に気付いたのか、後藤さんが背後を覗き込んできた。
「あっ、あれ……喜多、さん……?」
「ご、後藤さん?」
「んぁ? 二人共知り合いだっけ?」
「えっと、私がギター教えてもらおうとした子が後藤さんなの」
なるほどね。そういや教室で後藤さんに轢き殺された時もすぐ廊下に出てきたのは喜多さんだったな。何だか辻褄が合ってきたぞ。急に予定変更してきたのも後藤さんに教えてもらうためだったからなのね。
俺がモップ掛けしてる間に知り合ってたのか。てか後藤さん俺いなくても誰かと交流できてんじゃん。やっぱ成長してるかもしれん。
そう適当に納得してたら後藤さんがわなわな震えていた。
こちらを指差して、
「あっえっ……? なんっ……ふた、ゆうく……私にはっ、先に行けって断ったのに……ふ、ふた、二人で……そんな、あっ、え、そんっ……あ、あぇああえぇえぁあぁ」
バグり始めていた。何言ってるか全然聞き取れない。
俺と喜多さんを指差しているのは分かるが、指差す手が震えすぎて連続デスビームみたいになってる。危ない、本物のフリーザならとっくに貫かれてた。
「そんな事より清水君っ! さっきリョウ先輩って言わなかった!?」
「え、言ったけど。一緒に働いてるし……ん? リョウ先輩?」
「どうしようごめんねやっぱり私今日帰るねまた後日にしましょそうしま」
喜多さんの声を遮るように声を掛けてきたのは虹夏さんだった。
「おっ、ぼっちちゃーん、優人くーん! みんなタイミング良く集合したねー! あれ、でも優人くん遅れるって言ってなかったっけ?」
「ガァッ!?」
もう、今度は何だ!? 次から次へと奇声ばっか出しやがって! みんな人間だよな!? 喜多さんは固まってるし後藤さんはフリーザのままだし! 一人人間辞めてたわ。
笑顔でこちらに駆け寄ってきた虹夏さんが、喜多さんを見て立ち止まった。
「って、あー!! 逃げたギター!!」
「あひぃぃぃぃぃぃっ!?」
今日はみんなよく叫ぶなーと思いながら俺は一人空を見上げる。
こんなに良い天気の中、何で俺の周りはカオス空間なのだろうと神様に疑問を吹っ掛けた。
そしてどうやら、世間は思ったより狭かったらしい。
高評価と感想ほんとありがてえ……。
みんなーもっとだーもっと高評価をくれー!!
そして明日は投稿できないかもしれない!!
では、今回高評価を入れてくださった
☆10:クジラマッコウさん、大輪ねむねむさん、zyottiさん
☆9:ゲーミングハムの紐さん、タスマニアさん、メヴィさん、夜屋さん、地方山さん
本当にありがとうございます!!
励みにしかなってないよマジで。
ギターヒーローへの道とかラジオとか諸々みんな見ような。
全部ぼざろの良さしか詰まってないから。