再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る 作:たーぼ
映画総集編は公開初日に行ってきました。
いや〜良かったね。劇場で聴くバンドサウンドは堪らん。
あとがきにちょっとしたアンケート募集してるから良かったら見てってね。
「こんばんは〜! 今日のイソスタライブはなんとメンバー全員でお届けします! 企画は夏の定番肝試しよ〜! みんなもびっくりして心臓止まらないように気をつけてね〜!」
そんな訳で始まった喜多さん主催のイソスタライブ。
四人中三人が乗り気じゃない企画を半ば強引に始めた白装束の喜多さんはただ一人ノリノリであった。
「ちなみに四人映る必要があるのでカメラマンは私達の共通のお友達、優子ちゃん(仮名)にやってもらってまーす! 身バレ回避のためにカメラマンに徹してもらうから優子ちゃんは喋らないわよ〜!」
どうも、優子ちゃんです。
……いや一応ね? 一応よ? 四人映ってるのに誰がカメラマンしてんのって疑問に思う人もいるかもしれないじゃん。だから一応女子友的な感じの設定で名前だけ急遽適当に考えたって訳。
喋らないのは大前提として、極力反射などでバレないように帽子とマスクとサングラス装備、手は軍手で見えないようにしつつ服装は一ミリでも女子っぽく見せるために後藤さんが明日着る予定のピンクジャージを借りた。
勘違いしてもらっては困るが、ちゃんとシャツと短パンを下に着てるから問題はない。後藤さんは気にしないと言っていたけど何となく俺がダメな気がしたからだ。何となくね。
とまあこんな感じで身バレ防止対策はほぼ完璧と言っていいだろう。
事前に鏡で確認してもただの不審者にしか見えなかったし、後藤さん以外のみんなにも不審者って言われたくらい男女の区別が身長以外分からなかったらしい。最悪見られても身長高めの女子と思われるくらいかもしれない。
あとはカメラマンに徹するだけだ。配信終わるまでマジで一言も喋らないからな俺。ボケもツッコミも全部ここで完結させてやる覚悟でいくぜ。
ちなみに左手で喜多さんのスマホカメラ(自撮り棒付き)を持ち、右手では俺のスマホのメモ帳でいつでもカンペを出せるようにスタンバっている。この徹底ぶり、我ながら自分を褒め称えたい。
「では肝試しを始めるその前に〜ひとりちゃん一言意気込みをどうぞっ!」
「ゔぁっ!?」
即座にカメラを後藤さんに向けると、彼女はすぐさまカメラを回避するようにブリッジをしだした。
普段運動神経カスなのに変なとこで謎の器用さ発揮するの何なんだろう。怖い。
まあ後藤さんはカメラ映るのにも何かしらワンクッションおかないと心の準備間に合わないもんな。
けどごめん後藤さん。カメラマンは出演者の発言や行動に対して即時即行臨機応変に対応しなきゃだから俺は後藤さんを映さなければならないんだ。あと単純に面白いから。
「……あっ、に、虹夏ちゃ……ゆうく……ゆうちゃんにカメラ向けるのやめるように言っ」
「ぎゃああああああああああああああああああああッ!?」
既に明かりを消して薄暗いせいかブリッジしたまま躙り寄る後藤さんの姿は虹夏さんに効果抜群だったようだ。エクソシストかな?
肝試し始まる前にとんでもない撮れ高できたんだけどこの先大丈夫ですかね。これがほんとの出オチってやつ?
「開幕から盛り上がってきたわね!」
喜多さんはとりあえず盛り上がれば何でもいいのね。
さて、出オチが多分一番の撮れ高であろう肝試しが始まった。ルールは簡単、どこかの部屋に置いてあるぬいぐるみにお札を貼ればクリアだ。
今のところ視聴者数は100人いるかいないかを前後している。コメントもちらほら見かける辺り固定ファンはついてくれてるらしい。あんな始まり方で申し訳ない気持ちだ。
喜多さんの進行によるとまずは階段を上るらしく、俺はカメラマンのため最後尾で着いていく。
先頭は何故か虹夏さんである。ああ無情。
「うぅ……何でこんな事に……家に帰りたいもしくは早く寝たい〜!」
「ククク……この階段、昼間は12段ですけど夜は13段になって絞首台に続いてるとかなんとか……」
「喜多ちゃんうるさい!!」
だから人様の別荘になんつー設定盛ってんだ。というか設定ごちゃごちゃじゃねえか。
「ああもうじゃあまずはこの手前の部屋からいくよ! ……絶対何か出てくるよね?」
「それは開けてからのお楽しみですっ☆」
「絶対出てくる時のやつじゃん! リョウ代わりに開けてよ〜!」
どうしよう、怖がってる虹夏さん可愛いな。俺最後尾だし仕掛けあっても最初にリアクションするのはメンバーだから怖くもない。
いいね、結束バンドのためでもある企画と同時に若干俺得だぞこの肝試し。虹夏さんのかわゆいリアクションもっとちゃんと収めないと……。後で動画データにも保存しておこっと。
とりあえず虹夏さんがリョウさんに振ったからそちらにカメラを向けてみる。
めっちゃ無表情だった。
「無の境地に入ってる!?」
「騒がずさっさと終わらせて早く寝たいという固い意志を感じるわ!」
「うわ〜んっ、結局あたしが進まない限り終わらないのか〜!!」
早く終わらせたいならリョウさんがパッパと開けてった方が早いんじゃないかというツッコミはしないでおく。
別に怖がる虹夏さんが見たいからという訳ではないよ。カメラマンだから喋らないだけだよ。ホントダヨ。
後藤さんは基本映れないしリョウさんやる気ねえから虹夏さんと喜多さんを映すしかないんだって。
誰に言い訳してるんだろう俺……と思いながら恐る恐るドアを開けようとする虹夏さんへ少しズームアップさせる。分かりきってる仕掛けほど怖くないものはないのだよ。
「きゃああー!! やっぱり何か出たあああああ!?」
そう、虹夏さんを除いてね。ええ、ばっちり撮ってますよ見逃すはずがなかろうて。
最高だぜ虹夏さん。俺の推しは今日も輝いてるな!
ぶらんぶらんと揺れながらぶら下がってるのは糸を付けたこんにゃくだ。超古典的な肝試しアイテムである。
正直古すぎて化石なんじゃないかってレベルの発想。でもこれでビビるのがマイラブリーエンジェル虹夏さんだ。目の保養になります。
「びっくりした〜……こ、こんにゃくかぁ……」
「ベタ」
こんにゃく食ってんじゃねえ山田。
「び、びっくりした……」
「……」
そして仕掛けよりも虹夏さんが驚いた時の声にビビってる後藤さんは多分驚く方向性がズレてると思う。
あと何でどさくさに紛れて俺の腕掴んでんの。メンバーなんだからせめてもっと前に行きなさい。
「クフフ……まだまだ古今東西バリエーション豊富な恐怖が皆さんを待ってますよ……」
今どっかに骸様いた?
そして。
その後は喜多さんの言った通り、本当にバリエーション豊富な仕掛けが虹夏さんを何度も襲った。
「ぎゃー! ところてんー!!」
本当に。
「いやー! はんぺんー!!」
本当に。
「ぬがぁー!! 寒天まで〜!?」
本当に。
「ぎゃあああああああああ!! 博多名物おきゅうとおおおおおおおお!?」
無駄にこんにゃくのようなぬるぺた系統の物ばかり出てきた。
バリエーションってそっちかい。暗いからほとんど変わんねえよそれ。むしろあんなのでも純粋に怖がってる虹夏さんがすげえ。守りたい、あのビビり顔。
「もう嫌だ優子ちゃん助けて誰も頼りにならないっ!!」
ごめん虹夏さん優子ちゃん今左手カメラ右腕後藤さんで両手塞がってるからどうにもできないんだよだから普通に真正面から抱き付かれると剥がせないし無防備なのでちょっとダレカタスケテー。
声出せないのってこんなにもどかしいんだね。
「さあさあ伊地知先輩、優子ちゃんにくっついてないで次の部屋行きますよ〜! ……ちょ、だから先輩くっつきすぎですってぇ! それとひとりちゃんもいい加減普通に映ってちょうだいよぉー!」
「ふむ、もっと味が欲しいところだけどその辺の草よりはマシか」
みんな俺のこと優子ちゃん呼び普通にしてるけど馴染むの早くない? 俺って優人じゃなくて優子だっけ? あれ?
こうして無駄に現実逃避をしてるのは虹夏さんを引き剥がそうと必死になってる喜多さんと抵抗する虹夏さんのせいで俺の体がめちゃくちゃ揺さぶられているからだ。自分が映らないようにカメラをリョウさんに向けるので必死です。
だから呑気にもっちゃもっちゃ寒天とか食ってないで助けろ山田。
何で出演者が半分以上カメラマンに縋ってきてんだよ色々とおかしいでしょ。これじゃ視聴者に変な探りとか入れられるかもしれないじゃん。肝試しよりそっちのが怖いわ。
仕方ない、ここはリョウさんのアイコンタクトで助けを求めよう。
これでもライブ中とかよくアイコンタクトで自分の意思を伝え合ってる人だ。俺の気持ちもきっと汲み取ってくれるに違いない。迫真の目をリョウさんに向けると、彼女は口にところてんを加えたままこちらを見た。よし、いいぞ。
「……っ、……っ!」
「……なるほど」
おお? まさか理解してくれた感じ? さっすがリョウさん、こういう時だけは頼りになるぜ。虹夏さんを引き剥がしてくれ。ついでに後藤さんもお願いします。
そんな俺の気持ちを受け取ったかのようにリョウさんはこちらへ近づいてくる。
そして、俺の側まで来ると喜多さんと一緒に虹夏さんを引き剥がそうとする……事もなく、ヤツは手に持っていたおきゅうとをぶりんっと半分に千切ってこちらに差し出してきた。
「仕方ないから半分あげるよ優子。……フッ、慈悲深い私に感謝する事だね」
「……………………………………………………」
「ヒィッ!? なんかいきなり部屋の温度下がってきてない!? 寒気するんだけど!? あれっ、でもやっぱり熱い! どうなってんの!?」
「伊地知先輩離れてください! お化けより怖い人すぐそこにいますから! マスクとサングラス越しでも顔がだんだん般若に変形してきてますって!! 久々に見たわあの角!!」
「あ、ところてんの方が食べたかった? 私の食べかけでいいならあげるけど。ほら」
「リョウ先輩火に油というかガソリン注がないでください!! 優子ちゃん怒ったら本物の悪霊くらい瞬殺できるんですからね多分!!」
一分後。無事喜多さんの説得によって虹夏さんは俺から離れ、後藤さんもゆっくりとだがカメラに映るようになった。
俺はといえばちゃんと怒りを抑えたので安心してほしい。我を忘れかけたところで後藤さんが怯える姿を見て元に戻ったから。それはそれとして後で覚えとけよ山田。
コメントでは『これが結束バンドの日常か……』とか『結束……?』などと書かれていた。みんなもやっぱそこ気にするよね。
気を取り直して肝試し再開。次の部屋に入ると喜多さんが懐中電灯でとある壁を照らしだした。
「見てください! これはこの世に未練を残して死んだ人からの呪いにメッセージです!」
「ギャー!!」
そこには『呪』『殺す』『許さない』『タスケテ』『激おこ』『 』といった文字などがあった。
問題は全部女の子が書くような丸文字といったところか。怖さ皆無だし呪いのメッセージなのに書き方現代っ子すぎるだろ。幽霊のくせに絵文字使うな。
どうしよう、今のとこマジで虹夏さんしか映す価値ないな……。無表情山田は置いとくとして後藤さんは虹夏さんの声にビビりはするが仕掛け自体には全然だし。
喜多さんは進行と解説だから論外。企画提案者ならもっと凝った仕掛けをしてほしい。大丈夫かこの配信、視聴者の需要に応えられてんの。
「あれ? ひとりちゃんあんまり怖がってない? もしかしてこういうの平気だった?」
「あっ、人の驚いてる声につられてビックリはしますけど、ゆ、幽霊の存在自体は別に……」
「そうだったの!?」
そうなんです。
「ゆ、幽霊って暗闇に隠れてたり呻き声しか出せなかったり、ラップ音みたいに基本音でしか存在主張できない感じが自分と重なってるし……。やっ、やっぱり好きな所も一緒で私もお墓とか廃墟にいつの間にか行ってる事があるんですよね……。あ、あはは、幽霊と友達になれば人気者なれますかねぇ……」
「それ下手するとあっちの世界に連れてかれるやつよ!?」
俺の記憶でも確か後藤さんがいきなり墓地のある方へ歩き出した時があったな。慌てて止めたら『い、いるはずのない仲間が私を呼んでる……』とか言い出したらから普通に困った覚えがある。
いるはずない仲間なら仲間でも何でもないだろ。だからマジで幽霊に呼ばれた説濃厚なんだよなあれ。心霊番組とかに今の内容で応募したら案外採用されそう。
「ね〜もう早く次行こうよ〜! こうなったらさっさと駆け抜けて一秒でも早く終わらせたいんだって〜!」
その二分後。
「あああああああああああああああああああああッ!? サルの人形が歩きながらシンバル叩いてるうううううううううッ!?」
見事に虹夏さんの絶叫が別荘に響き渡った。
そしてその声にビビり散らかした後藤さんが溶けかけてちょっとした騒ぎになったのは内緒だ。いや生配信だから内緒もくそもないけど。
で、ようやく。
「あ、あった……! ぬいぐるみ! これにお札を貼って終了!! はい終わりー!!」
虹夏さん念願の終わりがやってきた。
部屋数が多い分無駄に時間かかったな……。後半またこんにゃく地獄で虹夏さんだけ叫んでたけど。
「あ〜怖かった……もう二度とやんない……」
「やっと寝れる」
「疲れた……」
俺も疲れた。何気に長袖ジャージに帽子マスクは普通に暑いんすよね。
それと配信中喋れないのも中々辛い。優子ちゃん辛いわよ。もう配信切っていいかな? この回ちゃんと成立してる?
「え〜ここで終わったら撮れ高微妙だわ〜……みんなもまだ配信見たいわよね?」
いや開幕の幽霊よりやべー女ブリッジ後藤で撮れ高は十分あるでしょうよ。
それ以外の撮れ高は微妙だけどそこは喜多さんの仕掛けがさ……次はもっと頑張ろうな。次があればの話だが。
「あ、そうだわ!」
やめろ。脳内電球ピコーンじゃないんだわ。閃くな。何も閃くな。
ちくしょう、声出せないのが辛すぎる。今の俺じゃこの陽キャを止められねえ!
「優子ちゃんちょっとスマホ貸してくれる?」
こいつ、俺が喋れない=断れない状況で言ってくるとは中々卑劣な……。
仕方なくスマホを差し出すと、彼女は軽く礼を言って何やらポチポチしだした。……まさか誰かに連絡とってる?
そしてその予感はすぐに的中する。
一分もしないうちにスマホを返してきた喜多さんは、カメラの前に立ってこう言ったのだ。
「配信はまだまだ終わらないわよ〜! ではここからはオカルトに縁のある方を招いてのコラボ配信タイムでーす!」
「え!? まだ続くの!?」
「ゲストはこの方〜!」
虹夏さんが代弁してくれたけど今の喜多さんに慈悲はない。
続いてスマホの画面にはコラボ相手とやらが映し出される。オカルトに縁のあるっていったい誰なんだろう。内田さんくらいじゃね。
そう思っていた時期が僕にもありました。
相手というのは。
『右隣りにずっと女が住んでると思ってたけどよく考えたらうち角部屋でした! どうも廣井です〜うぇ〜い!』
幽霊よりやべー女第二号であった。
オリ主が一言も喋らない回。
身バレ回避のために仕方ないんや……。
では、今回高評価を入れてくださった
☆10. kaki0042さん、フレイアさん、エクレア.FFさん、NOTガチ勢さん
☆9. リメイルさん、羽後さん、○○○はCOOLに去るぜさん、アパンダさん、イキョウさん、完全無欠のボトル野郎さん、シン7さん、せてつさん、ザラメ雪さん、Yasu08さん
いつも感想高評価お気に入り登録ここすきthank you!
みんなの感想高評価とここすきを餌に生きてるからよろしく頼むズェア!!
そしてここからアンケート。
マシュマロでオリ主と各キャラとの相互評価を見たいと要望があったのですが、面白そうだしどうせなら少し要素を足してどういうのが見たいのかなとみんなの意見を募ろうと思った次第であります。
オリ主との相性、関係性、好感度を加味した上で相互評価だけを見るか、それだけじゃ何だしついでにもし付き合うとしたらどのような関係になるかも見てみたいなど。
その二つをアンケートで決めたいと思います。
補足としてはどっちにしても私のコメント付き、10段階制はデフォで付いてきます。
キャラ数は作者の気分次第です。
興味があったら気楽に参加してね〜。
ちなみに評価などは本編に投稿できないので活動報告に投稿する予定です。
投稿日については来週か再来週のどこかで。その辺はXでまた宣伝すると思われますぜ。
オリ主と各キャラの相互相性評価について
-
相互評価のみでよい
-
評価や付き合った時の相性も見たい