再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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何も関係ないけどぐらんぶるのアニメ二期が決まって個人的にめっちゃ喜んでます。




129.サプライズされるのは嬉しいけど内容にもよる

 

 

 さて、夏休みが明けて早一週間。

 そろそろ新学期の学校生活にも慣れてきた頃。

 

 俺達(主に後藤さん)にはある懸念があった。

 それは電車で登校中の時に後藤さんから始まった会話にある。

 

 

『そ、そういえば夏休み明けてから、だっ誰一人として未確認ライオットの件に触れてこないんだけど……ゆうくんは誰かから何か言われてない……?』

 

『あ〜言われてみれば誰も言ってきてないな。クラスの連中は応援来てくれてたから感想くらいは言ってくると思ってたんだけど』

 

『な、なんか最近教室で見られてるような感覚はするけど……ハッ!? ま、まさか集会の時に言ってたロッキン出場をみんな鵜呑みにして勘違いしたままだから嘘つきだと思われてる……!?』

 

『いや、さすがにそれはないんじゃあ』

 

『しゅっ集団訴訟……私はきっと詐欺罪と無駄に喜ばせた罪で終身刑にされちゃう……どうしようゆうくん……!!』

 

『飛躍しすぎて空の彼方まで行ってるよそれ。大丈夫だって、何も言ってこないならこないで話しかけてくる心配もないから後藤さんも安全だろ?』

 

『で、でもっ』

 

『クラスの連中みんな良いヤツらだって事くらい後藤さんも知ってんだろ。いつも通り普通にしときゃいいんだよ』

 

 

 まあこんな事があったのだ。

 その場は何とか後藤さんも落ち着いてくれたから問題はなかったが、よくよく考えてみれば確かに何で誰も感想すら言ってこないのか疑問ではある。

 

 考えられるとすればライブ審査で落ちたから気を遣ってくれている。もしくはあれもみんなにとってはイベントの一つでしかないから特に何も言う事はないか。

 あるいは失望……はさすがにないな。このクラスに限って。

 

 と思いたいところだったのだが、

 

 

「ハァ、ハァ……ハァ……やっと終わった……」

 

「「「「「「「うぶぇぅ……」」」」」」」

 

「おかえり〜清水〜、よく勝ったね〜」

 

 ようやく教室に帰宅。廊下に横たわっているバカ共はうちのクラスの男子連中だ。

 今日学校に来るや否やいきなり「バイト先に可愛い女子が二人も入ってきたらしいな清水まともに明日を迎えられると思うな死ねえッ!!」というありがたい言葉と共に追いかけっこという名の死闘が始まったのだ。

 

 そんで何とか全員ボコして今教室に戻ってきたのである。

 ああ悲しきかな。俺の方がクラスのバカ連中に失望する時が来るなんて。というかバイトに女子二人入ってきたとか昨日の事なのに何で知ってんだこいつら。情報網どうなってんの普通に怖いよ。

 

 とりあえずさっさんに適当な相槌だけして自分の席に戻る。

 ちなみに新学期になってから席替えをして俺の席は窓際の一番後ろ、まさかの主人公ポジションを勝ち取った。これで俺も授業中頬杖ついて物憂げな表情しながら窓の外を眺めるという主人公あるあるを気取れる。意味はないけど一度やってみたかったんだよね。

 

 しかし神様のいたずらはやはり俺を見逃してくれないようで、突然前の席に座っている女の子がこちらに振り向いた。

 言わずもがなピンクジャージ後藤である。

 

 

「ゆうくん……や、やっぱり誰からも声かけられない……。これは訴訟案件なんじゃ……!?」

 

「落ち着け。クラスのバカ共(男子達)にはそんな頭ねえし女子はみんな喜多さんフレンドなんだから間接的に後藤さんも大丈夫だよ。ほら、さっさん見てみ」

 

 そう言って俺の右隣の席にいるさっさんを差す。

 俺と後藤さんの視線に気付いたさっさんは俺達を交互に見た後、

 

 

「? ……ふっ」

 

「な、なんか意味深な笑みを浮かべてるような……」

 

「浮かべたねえ……」

 

 あれ、もしかして訴訟はなくとも何か企んでる説ある? 

 だってあの笑みは俺も見覚えがある。ああいう時のさっさんの顔は俺をからかう時の表情だもの。ちょっと背筋がゾクっとしたのは主に被害者が俺だからだ。何も嬉しくねえ。

 

 

「後藤さん」

 

「?」

 

「訴訟はないにしてもナニかはあるかもしれん。そしてターゲットは多分後藤さんだ」

 

「ひぃ……!?」

 

 今朝の登校中の会話にもあったが何やら最近クラスの人達、主に女子からの視線を感じるらしいのだ。もちろん俺ではなくて後藤さんが。

 普段の奇行が災いしての奇異な視線というよりは、隠れながら何かを計画しているような感じに見える。俺達にバレたら困る何かがあるのかって思いもしたけど、そんなことをされるような覚えもなく、心当たりがあるとすればやはり未確認ライオットの件だろう。

 

 部外者から見れば期待はずれと思われても仕方ないような結果だったが、被害者意識の強い後藤さんみたいに訴訟されるような事は決してないはずだ。

 ……まあ変に難しい事は考えなくていいだろう。俺も含めて所詮は高校生。変な陰謀や良からぬ計画を考えうる思考を持ってる人間はここにはいない。クラス男子を除いて。

 

 視線を感じるのはどれも女子からか。みんな大体後藤さんをチラ見してるから多分俺は関係ないと思う。

 ここは見に回ろう、そう思った直後。

 

 

「後藤さーん」

 

「えっ!? あっはい!」

 

 さっそく向こうから接触があった。

 クラスの女子、名前は覚えてないがリアルでは珍しいツインテールの子だ。……いやめっちゃ癖強なツインテールの知り合い何人かいたわ。さっそく主人公っぽく頬杖をついて窓の外を眺めながら聞き耳を立ててみる。

 

 

「今日さ〜放課後喜多ちゃんと付き合ってもらいたいんだけどいいかな?」

 

 最初の今日と放課後だけを抜いたら何とも百合百合しく聞こえると思ってしまった俺は多分脳をやられている。何もかんも桜trickが悪い。

 

 

「(……バンドマンなら前科持ちでも大丈夫か)」

 

「えっ何!? なんで手錠かけられる時みたいなポーズしてるの!?」

 

「え、だ、だって詐欺で逮捕されるからじゃ……」

 

「何の事!?」

 

 後藤さん、訓練されてない一般人に後藤ワールド見せちゃダメだって。初心者じゃありきたりなツッコミしかできないんだから。

 

 

「ってそうじゃなくて、喜多ちゃんにも言ってあるから放課後一緒に来てほしいんだぁ。時間は喜多ちゃんに伝えてあるから、私達より少し後に来てほしいんだよね」

 

「あっえっ?」

 

 状況把握できなくて思考がショートしかけてるな。

 けど話を聞いてる限りヒソヒソ話の原因はおおよそ掴めた。これなら何の心配もなさそうだ。頑張った結束バンドへの労いなら喜んで後藤さんにも受けてもらおう。

 

 俺は俺で後藤さんの勇姿を見送ってから先に帰ってふーちゃんと遊ぼうかねえ。

 

 

「あっもちろん清水君も来てね!」

 

「……えぁ? お、俺もっ?」

 

 いきなり声をかけられたもんだから変な声出た。

 

 

「当然っ、三人が来ないと意味ないもん」

 

「いや、何となく想像はできるけど、俺は別にいらなくないかな? ちょっと場違い感出そうなんだけど……」

 

「そんなことないって〜。それに清水君来てくれたら私達も助かるし安心だから」

 

「? それってどういう」

 

 言葉が終わる前に止まる。

 もの凄い勢いでこっちに振り向いた後藤さんが頬杖をついていた俺の右手を両手で強く掴んできたからだ。

 

 そして彼女は必死すぎる眼光を放ちながら、

 

 

「お願い一緒に来て……!」

 

「こういう事っ」

 

「ああ、なるほどね……」

 

 つまり後藤さんを制御できる存在が欲しいって事ね。

 確かに関わりがそんなにない後藤さんをこの子達が相手するのは少し荷が重いかもしれない。喜多さんから後藤さんの事は大体聞いてると思うが、だとしてもハードルは高いだろう。暴走を抑え込める俺がいればみんなも安心できると言いたいのね。

 

 

「まあ、邪魔にならないならご一緒させてもらおうかな」

 

「そうこなくっちゃ! じゃあ後藤さん、清水君、また放課後ね〜っ」

 

 軽く手を振って他の女子達の元へ戻っていくツインテールさん。

 それを二人仲良く眺めてから、また後藤さんが俺の方に振り向いた。

 

 

「……ゆ、ゆうくんと一緒なら三人まとめて訴えられても勝機あるかな……?」

 

「会話聞いてた?」

 

 

 ──

 

 

 放課後。

 喜多さんを含めた三人で指定された場所に向かっているなう。

 

 

「確かに普通に喋ってはいたけど未確認ライオットに関しては今まで誰も触れてこなかったわね」

 

「わっ私ならまだしも喜多ちゃんまで何も言われてないのはさすがに変じゃないですか……」

 

 まだ言ってんのかこやつ。

 

 

「優人君は? 男子からは何も言われてないの?」

 

「そもそも俺は裏方だしな。感想言うなら普通喜多さん達に直接言いに行くだろ。まあそんな勇気あいつらにはないだろうけど」

 

 絶対ない。

 

 

「み、みんなで裁判勝ちましょうね……」

 

「何を言ってるの?」

 

「日本語じゃね」

 

 やめて。解説しろ的な視線送ってくるのやめて喜多さん。

 この子の被害妄想はそう簡単に治るものじゃないんだからね! 

 

 こうして適当に駄弁りながら三人仲良くギターを背負いながら歩いていると、

 

 

「あ、ほら、着いたわよ。あそこ!」

 

 喜多さんが指差したのはカラオケ店。

 そこまでは良かったのだが、俺と喜多さんを除いて後藤さんが見ていたのはその隣の店……というより事務所であった。

 

 

「アモーレ法律事務所……こ、ここが今日から私達がお世話になる法律事務所……弁護士雇えるお金あるかな……」

 

「ひとりちゃん今日どうしちゃったの」

 

「平常運転だろ。後藤さんはいつもこうだよ」

 

「いやさすがに違うと思うけど!? もうっひとりちゃん! 私達が行くのは隣のカラオケだからっ、ほら行くわよ!」

 

 ふむ、喜多さんもすっかり後藤さんを制御できるようになってきたな。

 これは後藤さん検定2級レベルだ。誇っていいよ。俺は誇らないけど。

 

 

「あ、ロインが来たわ。102号室だって。私達も予約人数に入ってるからそのまま入って大丈夫だそうよ」

 

「んじゃ行きますか。ほれ後藤さん、今は俺の後ろじゃなくて喜多さんの後ろに行きな」

 

「えっな、なんで……」

 

「決まってんだろ? 今日はアンタ達がメインだからだよ」

 

「?」

 

 ここまで来てピンと来てないのは鈍感通り越して心配になるレベルなんだけど。

 誰か毎日この子を幸せにして自己肯定感上げてあげてほしい。めちゃくちゃ甘やかすとかちやほやするだけでいいから。俺だと少し説教してしまう時あるからそれだけでとんでもなく落ち込んじゃうのよ。虹夏さんなら簡単に全肯定できるのに!! 

 

 

「あ」

 

「どした?」

 

 カラオケの入口に入ったところで喜多さんが立ち止まった。

 

 

「そういえば優人君、今日の事は誰かから聞いてないわよね?」

 

「何なら今日いきなり誘われてビックリしたくらいだけど」

 

「何をするかは?」

 

「大方見当はついてるとだけ」

 

 どうして喜多さんは一向に振り向かないまま聞いてくるんだろう。

 表情が見えないというのはそれだけでこちら側の判断を鈍らせる。そして経験則で俺は知っているのだ。こういう時はどちらかというと危険信号に近い。

 

 喜多さんが俺と話している時点で矛先は俺に向けられている。

 つまり簡単に言ってしまうと、わたくし何だか不安になってきました。

 

 

「私何度かここのカラオケに来てるのね」

 

「う、うん」

 

「だから覚えてるんだけど、102号室ってそんなに広くないのよ。よくて大体六〜七人くらいの部屋なの」

 

「おう……」

 

 落ち着け俺。今回に関してはさすがに俺に非は一切ないはずだ。やらかした記憶も地雷を踏んだ覚えもない。

 いつもみたいに問い詰められるような事は断じてないと言い切れる。

 

 しかし何だこのどうしようもない焦燥感と不安は……? 

 喜多さんが変に不安を煽ってきているからか? 俺達に挟まれてる後藤さんがあわわわわって身体ごと震えながら困ったような目で俺と喜多さんを交互に見てるんだけど。大丈夫、俺も困ってるから。……じゃあ何も大丈夫じゃないな。

 

 

「優人君ってさっきクラスの男子達は私達に感想を言いに来る勇気がないって言ってたわよね」

 

「えー、うん、言ったな」

 

「それで今日優人君達を誘ってきたのも女子だったのよね」

 

「ツインテールの子だったけど」

 

「……つまり私達とその子を入れるだけでも既に部屋は四人埋まってしまうの」

 

「普通に考えたらそうなるな」

 

 何だろう、喜多さんが名探偵ばりの推理してるっぽいけどよく考えなくてもこれ推理でも何でもないな。ただの再確認だわ。

 にしてもそれならさっさと部屋に行けばいいのに。無駄にドキドキさせないでほしい。え、ほんとに俺何もやってないよね? 

 

 

「優人君、まだ気付かないの?」

 

「え?」

 

 何が、と聞くよりも先に喜多さんがこちらにようやく振り向いた。

 その顔は警戒心……いいや、どちらかというと俺に向けて警告をするような表情だった。

 

 

「最低でも残ってる席はあと二つか三つ。そして確実に他のメンバーにはさっつーがいるわ。だから確定で五人はいる」

 

「そういや今日ニマニマしながら俺らの方見てたなさっさん。で、それがどうしたんだよ?」

 

「今日の企画的に私達に感想を言いに来る勇気がない男子は誰一人としてカラオケに来てない。それでもって残ってる席は最大二つ。私の交友関係の広さは知ってるわよね?」

 

「い、一応……」

 

「ならもう分かるはずよ。男子が来てないって事は、必然的に私達のために集まってくれる人はどういう人達なのかを」

 

「…………………………………………………………………………………………あ」

 

 ま、まさか……。

 そうだ、忘れていた。いや正確に言えば少し考えればすぐ分かる事だった。

 

 クラスの男共は同性に対しては殺意すら出せるのに、喜多さんのようなキラキラしすぎてる女子にはまともに声もかけれない。次に後藤さんが教室で視線を感じていたのは主に女子だったという事。

 最後に喜多さんが言った交友関係の広さ。残りの席の数。導き出される答えはもはや明白だった。

 

 そう。

 つまり。

 

 

「お、俺以外の参加者全員、女子……? しかも同じクラスとはいえそんな関わりもない人達と……?」

 

「優人君」

 

 おそらく今日行われるのはライブ審査を頑張った結束バンドの喜多さんや後藤さんを労うちょっとしたサプライズパーティーみたいなものだろう。

 そこまでならまだ良かったのだが、肝心の参加メンバーを眼中に入れてなかった。てっきりクラスの大半を巻き込んで大部屋で騒ぐものと思っていたが、そもそも誘われてすらいない男子達がいるはずもなく部活やバイト、他の予定が入っているであろう華の女子高生の中からスケジュールが合う女子ともなると人数も多少は絞られる。

 

 確かに今日俺は何もやらかしていないし喜多さんの地雷を踏んだ覚えもない。謎に問い詰められるような事もしていない。

 だからこそ先に彼女は釘を刺しておきたかったのだろう。今日のメンバーが誰なのかをおおよそ想像できていたから。

 

 

「同じクラスでみんな私の友達だけど、くれぐれも()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 おかしい。

 今日は後藤さん達への楽しいサプライズパーティーのはずなのに、気付けば俺だけ肩身の狭い地雷原たっぷりのホラーパーティーが始まってしまう……!? 

 

 

 





再来週の土日月曜予定があって家にいないのでもしかしたら執筆できなくて休みになるかもしれない。
投稿できそうならするけど、8割無理だと思っててほしい。執筆できる環境にいれないからさ……。


では今回新たに高評価を入れてくださった

☆10.遊技林さん

☆9. 城和泉正宗さん、ピーター@DKさん、R1ckさん、ザラメ雪さん、イキョウさん、ざったなっつさん、完全無欠のボトル野郎さん

いつも感想高評価お気に入り登録ここすきthank you!
きらら展の結束バンドカバーソングの試聴聴いたけどどれもフルで聴きたいと思うほど良かったね。
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