再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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最終回からちょうど半年という事で、久しぶりの更新してみた。



※一応何でも許せる人向け。
※時系列適当、キャラ誇張、バカみたいなギャグあり。

まあ幼メンを見慣れた人からすれば大丈夫か!
幼メンノリと思って気楽に見てください。



番外編:高校生にとって青春とは日常の中の一コマにある

 

 とある朝。

 いつものように二時間かけて秀華高校へ登校した俺と後藤さんは流れるように自分達のロッカーへ向かっていると、

 

「おはよーひとりちゃん! 優人君!」

 

「んぁ? おう、はよ〜す」

 

「あっおはようございます」

 

 朝からパァッと明るい笑顔でやってきたのは我らが二年三組の最強陽キャ、喜多さんである。

 今日も朝から太陽みたいに眩しいな。もうちょっと雲がかってくれると助かるんだけど。主に後藤さんが。

 

「今日も良い天気ね!」

 

「そうだな、そういや喜多さんって天候操作できる?」

 

「良い天気をさっそく台無しにしようとしてない!?」

 

 ほら、太陽が二つあると温暖化がより深刻化しちゃうから少しでもマシにしようと、ね? 

 

 

「ひとりちゃん優人君がまたおかしな事言ってるわ〜!」

 

「あっ多分私のために言ってるかと……」

 

 言う人間違ってるよ喜多さん、一番おかしい人はその子なんだよ。

 そして後藤さんはちゃんと俺の気遣いに気付いてる辺りやっぱり喜多さん眩しいと思ってたのね。

 

 こんな感じで談笑しながらロッカーに向かう。

 三人共同じクラスなので靴箱のロッカーも同じ箇所だ。

 

「ん?」

 

 何の気なしにロッカーを開けた時だった。

 自分の上靴の上に何かが置いてあったのだ。

 

 薄い紙のような何か。

 

 

「何だこれ?」

 

 誰かが提出用の書類を忘れないように入れておいたとか? 思いっきり場所間違えてるけど。

 一応手に取って確かめてみる。

 

 そして俺はすぐに気付いた。

 

「こ、これは……!?」

 

 その紙は手紙の形をしていたのだ。

 しかもハートのシールをご丁寧に貼っている。

 

 学校、靴箱のロッカー、ハートの手紙。

 三つも条件が揃えば、それはもう完全にアレである。世の男子高校生なら一度は夢見るあの超定番すぎてもはやあり得ねえだろって思っちゃうアオハルイベントの一つ。

 

 そう。

 これは。

 

「俺にラブレター……だと……!?」

 

「「え゛ッ!?」」

 

「ッ!! ……誰も見ていないか」

 

 一瞬誰かのイタズラとかドッキリを疑って周囲を見渡すも、俺の事を気にもせず教室へ向かう他の生徒達と、なんかもうドットレベルまでカクつきながらわなわな震えてこちらを見ている後藤さんと喜多さんだけで何もおかしいところはない。

 いたずらでもドッキリでもないという事は……。

 

「ひゃっほおおおおおおおおおおおいッ!! とうとう俺にも青春ラブコメイベントってやつが来たぜええええええ!! ふへへ、待っていなされラブレターちゅわん、今すぐその中身をじっくり眺めながら見知らぬ差出人への期待ってやつを膨らませてあげるからねえ〜〜〜!!」

 

 もう周囲の気配りなど一ミリもせずに雄叫びを上げる。

 ハッ! 何たって俺はラブレターを貰ったんだ。言うなれば勝ち組、勝者、リア充への仲間入りなのだよ。こんなの目立ってなんぼでしょうが! 

 

 といっても誰も俺を気にも留めない。そうだ、この学校のヤツらは割と校風が自由だから頭のネジが一本抜けてる生徒がいてもただの日常と何ら変わらないのである。

 ソースは俺のクラス。大体バカしかいない。主に男子。

 

 

「ま、まだ油断しちゃダメよ優人君!」

 

 突然喜多さんから声がかかった。

 

 

「油断って?」

 

「その封の中身を確認するまではドッキリの可能性を捨てない方がいいと言ってるの。外側がそれらしくても手紙の内容が大きなドッキリの文字で埋め尽くされてる可能性だってあるのよ!」

 

「た、確かに……!」

 

 そうだ、手紙の内容を確認するまでは安心できない! 

 生まれて初めてのラブレターがドッキリだったらもう一生お婿に行けないレベルで人間不信になって後藤さんを道連れに引きこもりになっちゃうかもしれない。あとドッキリ仕掛けてきたヤツを殺すしかなくなっちゃう! いや絶対殺す。

 

 少しの不安と共に手紙の封を開け中身の内容を確認してみる。

 何故か喜多さんと後藤さんも両隣から覗き込んでいた。やはり女の子はこういうのが気になるものなのだろうか。

 

 とりあえず内容を見ると、手紙にはこう書かれていた。

 

 清水優人さんへ。

 突然のお手紙ごめんなさい。実は一年の頃から清水君の事が気になっていて、去年の文化祭ライブで女の子のダイブを受け止めようとしていた勇気ある行動に心を惹き込まれました。

 普段は頼りになるけどクラスの男の子とふざけあったりしている時もあったりして、それが男の子って感じで微笑ましくも思っています。気付けば私の瞳は清水君を追っている日々が増え、最近では家にいる時も考えちゃってたり……。実は何度か会話もした事があるんだけど、清水君はよく女の子と会話してるから多分覚えてもらってはないと思います。

 だからなけなしの勇気を振り絞る事にしました。声をかけるでもなく手紙という形になってしまったのは、私の不甲斐なさです。でもこれだけは直接伝えたいので、明日の昼休みに屋上に来てください。あなたを待っています。

 Tより。

 

「「「……」」」

 

 あれ、これめちゃくちゃラブレターじゃね? 

 この子純粋に俺のこと好きになってくれてる超良い子なんじゃね? 

 誰が何と言おうと絶対会うしかなくね? 

 

 ドッキリの文字もない。

 縦読みや斜め読みでもそのようなイタズラっぽいセリフはない。

 待ってこれ手震えるんだけどとか言わなくていいらしい。

 

 どうやら本当にただのラブレターのようだ。

 つまり……。

 

 

「っしゃおらぁぁぁああああああああああああッ!! 勝ち確演出キタコレ!! 俺は今から無敵だぜえええええええええええええええッ!!」

 

「やばいわよひとりちゃん!! このままだと私達本当にやばいわよ!? 顔も知らない誰かに取られちゃうわよ!?」

 

「(大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫ゆうくんは私を一生面倒見てくれるって言ったんだからきっと大丈夫誰かと付き合ってもそこには私の居場所も用意してくれるに違いないんだ大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫……)」

 

「ひとりちゃんも壊れてる!?」

 

 何やら外野が騒いでいるようだが知らん。

 こちとらもうラブレターの事で頭がいっぱいなのだ。余計な情報はシャットアウトすべし。

 

 ……いやしかし、ラブレターの送り主と会うのは明日の昼。

 それまではこのラブレターの存在を隠し通さねばならん。特に同じクラスの男共には。あいつら同性の色恋沙汰にはゾウ並に嗅覚鋭いしバレたら絶対殺される。

 

 平静を、あくまで平静を保つのだ。

 なぁに、いつもと同じように過ごせばいいだけさ。それか今日はずっと後藤さんといるのもありだな。……いやいつも一緒だわ。

 

 まあいい。

 とにかく普段通りにしていれば明日にはピンク色の青春が俺を待っている! 

 

 

「さあ行こうか後藤さん喜多さん。輝かしい未来に向かって!! アッハッハッハッハー!!」

 

「明らかに浮かれてる……斯くなる上は先輩達に相談するしかないわね……! 結束バンドのためにも!」

 

「(ゆうくんの背後ポジションだけでも死守しなきゃ……)」

 

 

 ──

 

 

 時間が経つのは早いものでもう放課後になり俺達はスターリーに来ている。

 

 いやマジで時間経過早い。授業中も休み時間も全てラブレターの事を考えてたらすぐに終わった。

 まるで学校のシーンが丸々カットされたみたいな感覚だ。楽しみな事があるのは素晴らしいなまったく。

 

 しかも学校が終わるまでにラブレターの事を誰にもバレなかったのだ。

 あの男子共にすら隠し通せるとか、俺の演技力は日本アカデミー賞受賞されるレベルと言っても過言ではないかもしれない。いや過言だな。

 

 はっはっはっ、今は何を考えてても脳内がハッピーに変換してくれるわ。

 ピンク色の空にお花畑、蝶々がたくさんヒラヒラと飛んでいるのが今の俺の脳内である。

 アハハハハハー、アハハハハハー、アハハハハハハハハー! 

 

 

「それで優人くんはこんな浮ついた顔して頭ぽやぽやしてるんだね」

 

「そうなんですよー! もし優人君に彼女なんてできたら私どうし……私達の活動にも影響が出ちゃうかもしれませんよ! ひとりちゃんなんてずっと何かを呟いたままなんですから!」

 

「(ゆうくん捨てないでゆうくん捨てないでゆうくん捨てないでゆうくん捨てないでゆうくん捨てないでゆうくん捨てないでゆうくん捨てないで)」

 

「喜多ちゃん最近隠さなくなってきたな」

 

「優人にラブレター……フッ、ないない」

 

「山田ァ!! 今笑ったかおぉん!?」

 

「うわぁ、急に戻ってきた!?」

 

 当たり前ですよ。

 俺の青春イベントを笑いものにするたぁ良い度胸じゃねえかこの野郎!! 

 

 

「どうせイタズラかドッキリに決まってる」

 

「そんなことありません〜! 縦読みも斜め読みもありませんでした〜! これは本物の女の子からのラブレターですぅ〜!」

 

「なら送り主に会った時がネタバラシかもね。同じクラスの男子のおふざけとか」

 

「ハッ! そんな巧妙な技があのバカ共にできる訳ないだろう! もしそうだったらリョウさんにキス未遂の写真撮って俺を強請るネタとして提供してやってもいいくらいだぜ!!」

 

「どうせなら実際にした方が拒否権なくせるしちゃんと揺すれる気がする」

 

「お金のために身体張るような事をするのはいけないと優人さん思いますッ!」

 

「そこ日和るんだ」

 

 だって例え頬にだとしても俺のファーストキスをそんな事に捧げたくないもの! 

 ちゃんとしたタイミングとムードでしたいもの! 男子だってそのくらいのロマンは持ってたっていいじゃない! 

 

 

「というか今更だけど喜多さんラブレターのこと虹夏さん達に言いふらしたな!? ひどい!」

 

「ラブレターを貰っただけで頭の中いっぱいになって私達の話を聞かないようになるからよ! 結束バンドのサポーターなら話は常にちゃんと聞いておかないとでしょ!」

 

「ちゃんと聞いてたっての!」

 

「じゃあ昼休み私と何話してた?」

 

「…………………………………………………………い、イソスタとか?」

 

「何とかこじつけようと私の趣味に寄せてきたのがあなたの運の尽きよ。観念しなさい」

 

 わお、久しぶりに喜多さんブラック出てきちゃった。

 どうしよう、なんか手が凄いわなわなしている。男がやったら絶対やらしい手つきとかクレーム入れられそうなくらい喜多さんの手がわなわなしておられるわ。

 

 

「いやあの喜多さん? その手は一体全体何をする気でいらっしゃいますので……あっ、ちょ、あっ、い、いやぁぁぁああああああああああああああ!?」

 

「はいはい喜多ちゃんそこまで。スターリーで男女のいざこざはお姉ちゃんの胃に穴が空いちゃうからまた今度外でしてね」

 

「ふぅ、分かりました」

 

 一瞬で手足を椅子に縛られ邪魔だと判断したのか、俺の制服の上着は半分脱がされかけている状態だ。

 抵抗できないってなんて無力感なんだろう。喜多さんの力が無駄に強いのも気になるし。もうお婿に行けない……。

 

 てか虹夏さん今今度って言った? 

 何なら外でならまたしてもいい的な感じで言った? 天使のような悪魔の笑顔でこちらを見ている。なるほど、どっちも可愛いな。

 

 

「それで、結局優人くんはラブレター送ってきた子と付き合うつもりなの? だとしたらあたしも色々考えないといけないんだけど」

 

 色々って何ですかね色々って。

 

 

「うーん」

 

 ふむ、ラブレターを貰った事実が強すぎてそこまで考えていなかったが、ここになって俺もちゃんと考えてみる事にした。

 ……いや、正直そこまで考える必要はなかったかもしれない。

 

 

「その子には申し訳ないけど、多分付き合わないと思います」

 

「……へ、へぇ〜、どうして?」

 

「いや、付き合う付き合わない以前に、俺には結束バンドのみんながいるんで」

 

「「「「……」」」」

 

 そう。

 もしその子と付き合ったとして、まずその子との時間を確保できないのが大きい。

 

 ただでさえ登下校だけで往復四時間も消費させられ、学校での休み時間はほとんど後藤さんと一緒、学校が終わってもスターリーでバイトや結束バンドのサポートやら手伝いやらで一日が終わる。

 これだけ見ると毎日が中々にハードな生活だと思う。

 

 だから多分付き合ってもその子とは会う時間もないし、そういうのですれ違いとか起きて最終的には俺がフラれて終わる。

 ラブレター貰っておいて恋人関係になったくせにすぐフラれて破局とかになると、おそらく色んな人からイジられる未来が見えるので最初から付き合わない選択を取るのが賢いと言えるだろう。

 

 なら何故こんなにも舞い上がってたのかって? 

 そんなの簡単だろ。思春期男子なら一度は女の子からラブレター貰ってみたいって思うじゃん。しかも令和の時代に靴箱ロッカーからラブレターだぞ。これでテンション上がらない野郎がいたらドが付く程のモテ男かスカしたクソ野郎だ。

 

 それにこんな俺でも女の子から一度はラブレターを貰った事があると後々自慢できるしな。

 クラスの男子共にどれだけマウント取れるか考えただけで口角が上がりまくるぜ。今話すと確定で埋められるから来年の終業式辺りに言って勝ち逃げしてやろう。

 

 

「ゆ、ゆうくん……」

 

「ん、どした?」

 

「ゆうくんの背後は……私だけのもの、だもんね……へへっ」

 

「えっ、何、暗殺の話?」

 

 人の背後取ろうとする人なんか暗殺者か忍者か後藤さんくらいだろ。

 俺は誰かに狙われてたりすんのか。……いやクラスの男子には結構狙われてるな。

 

 

「どうします、先輩。優人君の発言的に他意はなさそうですけど」

 

「うーん、彼女との時間がないってニュアンスは伝わるけど、セリフがセリフだからこれで丸め込まれるあたし達も結構大概だなぁ……まあいっか」

 

 後藤さんが「あっいやっそうじゃなくてっ……!」とか言ってるのを相手してるうちにどうやら許される流れになっているらしい。

 元々何で詰められてるかもよく分かってないが。あとそろそろ手足を縛ってる紐を解いてくれたら嬉しいなって。地味にはだけてる制服も直したい。男子の制服おはだけとか誰得だよ。そういうのは食戟だけでいいよ。

 

 

「これ以上はラブレターを送ってきた子にも悪いし、ひとまずは明日集まる時まで様子見かな」

 

「ですね。優人君をこれ以上傷物にしちゃあらぬ誤解を招いちゃいそうですし」

 

 おい喜多さん、傷物にしてる自覚あったのかオメー。

 後藤さんが紐を解こうとしてくれるも全然解けないのでリョウさんが代わりに解いてくれた。こんな時も後藤さんは後藤さんのようだ。

 

 

「リョウさん、紐解くの早いですね」

 

「借金の事でよく虹夏に逃げられないよう縛られるから。紐抜けの術は得意になった」

 

「得意になっちゃダメなやつだろそれ。逃走手段増やす前に借金減らせ」

 

 無言になった。

 こいつ……。

 

 

「さて、それじゃ本題に戻って今後やるライブの会議するよ〜」

 

 パンパンっと虹夏さんが手を叩くとみんながテーブルとイスを会議用に並べていく。

 これももうお決まりの流れになってきた。

 

 

「ねえねえ優人くん」

 

「はい?」

 

 イスを並べていると横にいた虹夏さんが話しかけてきた。

 

 

「ラブレター送ってきた子が優人くんのめちゃくちゃタイプな容姿だったらどうする? 付き合う?」

 

「えっ」

 

 何これ、もしかして俺今試されてる……? 

 俺のタイプな容姿……つまりは顔とか体型の事を言ってるんだろうけど……。

 

 ふと、いつも一緒にいるからという理由で後藤さんを見てみる。それから喜多さん、リョウさんと見て、こちらを覗いている虹夏さんを見る。

 うーむ……。

 

 

「多分ないかと」

 

「どうして?」

 

「そういうのはもう間に合ってるんで」

 

「?」

 

 小首を傾げている虹夏さんきゃわいい。

 そうだ、そういやこの結束バンドって性格難ありだけど顔面偏差値は超高いんだった。これでは交流もないような女の子には悪いが多分俺が靡く事は少しもないだろう。

 

 気持ちを汲んで、考えて、その上でちゃんと断ろう。

 絶対とは言い切れないが、俺は容姿や性格で誰かを好きになる事はほとんどないと思う。

 

 そういうのはもう周囲にたくさんいるから。

 だけどそれでも誰かを好きになる時があるなら……それは多分、その人の生き様を見た時だろう。顔や性格だけでは表せない、その人の全てが曝け出される全力の瞬間。

 

 

 多分、俺が人を好きになるのはそこが一番の要素かもしれない。

 

 

 ──

 

 

 そして翌日の昼休み。

 

 俺は屋上へ向かうために階段を上っていた。

 屋上への扉はもう目の前だ。

 

 正直断るつもりではいるが、一方でドキドキもしている。

 何たって生まれて初めて自分に好意を寄せてくれている女の子がいるのだ。多少そわそわしていたって仕方がないだろ。

 

 扉の前に立つ。

 深呼吸を一つ。

 

 よしっ、と心構えをして扉を開ける。どうしても罪悪感は拭えないが、誠心誠意を見せれば納得してくれるはず。

 まずはこちらから声をかけて相手の緊張感を少しでも和らげてあげよう。この時代にラブレターを送るくらいには奥手な子らしいから。

 

 そういう意図を含めて俺は屋上に出た瞬間に見えた人影に向かい声をかける。

 そして。

 

 

「えっと、俺に手紙をくれたのって、君かn」

 

「はああああああああああああああああああああああいッ!! 私……いいや俺こそが貴様の事がだぁぁぁい好きなラブレターの送り主だぁぜええええええええええええッ!!」

 

 目の前には同じクラスの悪友、野球部所属の丸坊主、田中と複数人のクラスの男子がいた。

 

 

「清水ゥ……お前は俺達と同じリア充憎しの同士のくせにいつもいつも周りにいるのは可愛い女子ばかりッ!!」

 

「少しでも女子と良い関係になりそうな男がいたらいつも一緒にボコっているのにキサマは心の奥でオレ達を笑っていたんだろう!? 嗚呼許すまじ!!」

 

「バンドのサポートをしているから何だかんだ自分は見逃されているとでも思ったかァ! 日頃の恨みを今日こそここで晴らしてもらうぞォ!!」

 

「よーしお前ら、この田中に続けえッ!! ドッキリ大成功のお礼として清水の野郎にこれまでの仕返しという名のレクイエムを捧げてやろうじゃぶるぇぁああッ!?」

 

「「「田中ァッ!?」」」

 

「ら、ラブレターの手紙が頭に刺さっている、だと……!?」

 

 一番のバカは既に潰した。

 なるほどなるほど……このラブレターはこいつらが仕掛けたドッキリだったのか。いやぁ、綺麗に騙された。そういえば昨日のこいつらは俺と話す時妙に優しかったような気がする。それも全部このための伏線だったようだ。

 

 完全にしてやられた。これはもう天晴れだ。ここまでされりゃむしろ清々しいまである。

 ……しかし、俺が許すか許さないかはまた別問題だ。

 

 このバカ共、確かに俺もリア充カップルは許せんが、俺だけを狙う理由が逆恨みにも程がある。

 俺の周りにいるのはいつも女子? 言われてみればそうかもしれないが、こいつらは知らない。俺の事情なんて何も。

 

 常に介護が必要で将来が心配になるレベルの幼馴染を知らない。

 SNS中毒で何気に一番ぶっ飛んだ思考をしている陽キャを知らない。

 ほぼ毎日何かと理由をつけてお金を貸せと言ってくるベーシストを知らない。

 いつもは優しいけど怒ったら一番怖いしたまに変に突っ走ってしまう天使を知らない。

 暴力上等隠れシスコンの店長を知らない。

 ガチの酒カスを知らない。

 コミュ症ツンデレを知らない。

 バカうるさい体育会系後輩を知らない。

 推し活に全てを捧げる変態を知らない。

 暇があればからかってくる同級生を知らない。

 

 そう、このバカ共は何も知らない。

 周囲に女の子がいるから幸せなんだと勝手に決め付けて、実は苦労の方が勝っている事なんて、何も知らないのだ。

 

 なのに俺をハメてドッキリを仕掛けてくるとは、良い度胸をしている。

 本当に女の子だったら断る罪悪感もあったが、どうやらその心配はなくなったらしい。

 

 

「な、なあ……清水の顔がいつぞやみたいに変形していってるんだが……」

 

「もはや鬼とか般若じゃなくてよく分からない化物みたいになっているだと!?」

 

 さて、こいつらで思いっきりストレス発散させてもらうとしよう。

 俺の心を弄んだ罪は重いぜ。

 

 

「死に晒せやクズ共がぶっ殺してやらァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

 

 獲物に向かって飛びかかる。

 今日の昼飯はコイツラデイイヤ。

 

 

 

 その頃、屋上の扉の方では。

 

 

「気になって優人君をこっそり追いかけてきたけど……まさかこんな地獄絵図を見る事になるなんてね……。私達的には本物のラブレターじゃなくて良かったというべきか優人君が可哀想と思うべきか……」

 

「あっ、で、でもゆうくん何だか楽しそう……」

 

「ひとりちゃんにはあの怪物が人を襲う光景を見てそう思えるのね……私もまだまだのようだわ……」

 

「え、えっと……ゆうくんが帰ってきたら、私達が慰めてあげないと……ですよね……。い、一応楽しみにしてたんだし……」

 

「……そうね、本当に優人君を想ってる人が近くにいる事を思い知らせてあげなくちゃね」

 

「は、はいっ」

 

「その前に優人君捕まらないといいけど……ホントに殺さないわよね……」

 

 

 

 そして俺はこの後無事人間に戻り、リョウさんへのキス未遂写真で当分お金を貸さないといけない羽目になった。

 あと屋上はしばらく使用禁止になったらしい。

 





もうここで書く事はないとか言ってたくせに半年で戻ってくるという優柔不断なバカは私です。
まあ理由としては直近で一次創作が第一章全て書き終えたからひと段落したというのと、We will Bを聴いてたら久々に書きたくなったので。

あとはタイミング的に最終回からちょうど半年だし、気分転換にいっちょ久しぶりに一人称視点のふざけた二次創作書いてみっかと行き当たりばったりでやりました。後悔はしてません。
たまにはバカみたいな話書きたくなるんや。

ちなみに今回の話は以前X(旧Twitter)でマシュマロに送られてきたリクエストを基に私がハチャメチャな調理をして書き上げたものとなっております。
久々の幼メン、どうか少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

では、今回はこの辺りで失礼したいと思います。
次回はあるか分かりません。過度な期待はせずに、しかし気長に待ってくれていたらいつかまた会いましょう。



ぼざろ二期楽しみ。
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