再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る 作:たーぼ
導入と触りの部分だけだから今回はちょい短め……いや普段とそんな変わらんかもしれん。
それよりぼざろ予告映像でぼっちちゃんの頭の悪さが露呈して原作のセリフとか使われてたけど、これ勉強回カットとかじゃないよね? 虹夏ちゃんのぼっちへのあのセリフやってくれるかなと少し不安になってきたり。
神制作陣を信じるしかねえ……!
突然だけど夏休みの響きって良いよね!
学生の間でしか味わえない最高の長期休み。大人になったらほぼ二度とできない約一ヵ月超の休みである。今日はそもそも日曜日だけど。
最近はバイトやら結束バンドの手伝いとかで色々忙しかったが、今日はもう完全にオフ。夜はいつも通り楽器などの勉強はするとして、昼間と夕方はぐうたら確定の最高期間だ。
登校時とか毎日四時起きでバイトがある日は夜の九時や十時に帰る事も余裕である。つまり学校もバイトもない貴重なオフの日は飯時以外自室に籠ってゲームとアニメ三昧をするしかねえのだった。
いつも朝から夜まで動いてるんだ。オフの日くらい全力で休んだってきっと神様も怒らない。後藤さんの面倒も見なくていいとかまるで夢のようだ……。
よぉーし、今日は思いっきりぐうたらしてやるぞー! 家事もしなくていいとか超楽。もういっそ一生ここで引きこもってたい……は後藤さん化するのでNG。
そんな俺はまだベッドの中だ。冷房をガンガンに付けてちょっと肌寒いところに夏用の薄い掛け布団で寝るのが最高に気持ちいい。罪って感じする。
時間はまだ昼前か。よし、あと一時間惰眠を貪ろう。無駄に寝る事なんてこんな時じゃないとできないしな!
スマホは昨日から事前にサイレントにしておいた。一切の連絡をシャットアウトする事で自分のやりたい事に集中できるのだ。これで後藤さんからのロインは全て気付かなかったと言い訳できる。対策は完璧だ。
ちなみにこの前虹夏さんと喜多さんのロインをスルーした件については、翌日土下座とお詫びとチケットノルマ達成させた事で何とか許してもらった……はず。やっぱ人って笑顔が一番怖いんだね。
できる限り虹夏さん達のロインはスルーしないと約束し、俺はその日心に恐怖を刻まれた。もう思い出したくないからやめていい? 寝ていいもう? 寝るわ。
お休み世界。僕はまた夢の世界へ旅立つよ。
目を瞑りドリームランドに行こうとしたその時だった。スマホではなく、部屋の外から声がした。
「しーみーずーくーん!」
「下ーりーてーきーてー!」
ぞわりと一気に寒気と身震いがしてベッドからずり落ちた。
え、スマホからじゃないよね? でも今の声、下にいる……? いやいや、そんなまさか。あの人達がここにいる訳……。
もはや恐怖から聞こえる幻聴に違いない。下北から二時間近く離れたこんなとこに来るはずないもの。
きっと気のせいだ。何ならむしろこれが夢まである。よし、寝よう。そしたら夢から覚めるかただの幻聴だったって証明できるはず。
「優人~、下にお客さん来てるわよ。ひーちゃんのバンド仲間の子でしょ?」
母からの一声で俺は現実から悪夢へと引き戻されたのだった。
我が家の一階、ベランダにて俺は土下座をしていた。
「すみません、どうか帰っていただけますでしょうか」
「だが断る!」
どうやら二回目の土下座は効果が薄くなるらしい。くそ、寝起きで階段から下りてするっと土下座する高校生なんてこの世で俺くらいだぞ。そのくらい許してくれたっていいじゃない!
しかもだが断るの使い方ちょっと違うし、虹夏さんが腕組みしながら言ってもただ強がって言ってるだけの可愛い女の子でしかない。
「さあ、行きましょうか清水君♪」
「ぶふっ、やだ、やだよっ! 寝起きジャージの俺をどこに連れて行く気だ!? 今日は久々のオフだから惰眠を貪って夜までぐうたらするって決めたんだっ。たまの休日にどこに連れ出されるかも分からないままこの清水優人がほいほい言う事聞くと思うなよお!」
「優人くん、またあたし達のロイン見てないよね。昨日の内に送ってたんだけど」
「……………………………………」
あ、あるぇ~? 何かデジャヴ感じるんですけど~。やっぱまだ夢の中とかないですか? ないですか。ないですね、はい。
おそるおそるスマホを出してロインを確認してみる。虹夏さんとの個人ロインを見たらこう書いてあった。
『前々から言ってたけど明日ぼっちちゃんの家でライブで着るTシャツのデザイン考えるから優人くんも来るんだよ? ライブには関係ないからって関わらないのはナシだからね?』
「前々から言ってたけど明日ぼっちちゃんの家でライブで着るTシャツのデザイン考えるから優人くんも来るんだよ? ライブには関係ないからって関わらないのはナシだからね?」
まさかの一言一句違わずセリフを仰っておられる。あれ、天使ってこんな顔だっけ?
慌てて虹夏さんから顔を逸らし、喜多さんのロインを開いた。
『一緒に来るわよね?』
「一緒に来るわよね?」
もう冷や汗しか出てこない。何でなの。短いこの文章にこそシンプルに突き刺してくる怖さってどんなだよ。込められた意味を考察していくだけで泥沼に落ちそうなんだけど。
ここは俺の家。つまりは逃げ場がない。袋のネズミである。
いや諦めるな清水優人。まだ全部の道が途絶えた訳じゃない。道がないなら自分で作るんだ。こじ開けるんだよ。
恐怖を捨てろ。前を見ろ。進め、決して立ち止まるな。退けば老いるぞ臆せば死ぬぞ。叫べ!!
「それでも俺は休日を謳歌し」
「「いいからさっさと着替えてきなさい」」
「ふぁい……」
斬月のオッサン……俺の休日は終わりだ……。
ささっと私服に着替えて玄関に向かう。
女子を待たすと……いやあの人達を待たすと何をされるか分かったもんじゃない。髪のセットは……特に目立つ寝癖もないし今日はもういいか。どうせ隣に行くだけだしな。
「お待たせしました……」
「めちゃくちゃ不服そうな顔するじゃん。でもこれでやっとぼっちちゃんの家に行けるねー」
「そうですね! 横断幕も気になりますし!」
横断幕? 何の事を言ってるんだろ。そんなもの近くにあったっけ?
「ところでリョウさんはどうしたんですか? ないとは思いますけどもう先に行ってるとか?」
「そんな事ある訳ないじゃん。おばあちゃんが今夜峠なんだって。今年で10回目だけど」
「絶対噓ですやん」
山田だけに今夜が山だってか。やかましいわ。
「あら? 清水君今日はいつもより髪の毛ツンツンしてないのね?」
「セットする時間なかったからな。いつもは寝癖目立たなくするために軽く立たせてるだけだし」
「へぇ~、そうなのねえ。癖っ毛なのかしら。私ホントはストレートだからちょっと面白いかもっ」
あの、靴履こうと座ってる時に髪触るのやめてもらっていいですか。むず痒さ半端ないんで。
というか隣に行くだけなら靴じゃなくてサンダルでもいいじゃん。いやもう靴下履いてるしいいけど。
「じゃあぼっちちゃん家行こー!」
「おー!」
そんな張り切って行くようなとこじゃないと思うんだが。ましてや後藤さんの家だし。
外に出ると灼熱が全身覆ってくるような感覚に襲われた。あ、あちぃ……すぐ隣とはいえ真夏マジ地獄すぎん? たった数秒の距離だけでもやばい。こんなん後藤さんじゃなくても溶けるわ。
快晴すぎるのも悩みどころだ。太陽お前もたまには有給取れバカ野郎。
玄関の日陰から出たくねえ~と思いながらもう何百回と往復した距離を歩いていく。
「あっ、でね優人くん。ぼっちちゃんの家って旅館なの?」
「そんな訳ないでしょ。こっから見ても分かる通り普通の一軒家ですよ」
「じゃあアレは何なのかしら?」
「アレってどれのこ」
足が止まった。ついでに俺の中の時間も止まった。決してザ・ワールドを発動した訳ではない。
暑いのにも関わらず立ち止まった理由は目の前にある。
見慣れた家に見慣れない横断幕が掲げてあったのだ。
こう書かれている。
『歓迎! 結束バンド御一行様! 癒しのひと時を皆様に……』
と。
まるで本当に旅館に招待されたみたいになっている。
いつの間にあんなのあった? 昨日まではなかったはず。というかどうやって掲げた。梯子でも使ったのか?
こんなのを堂々と飾っているとか正気じゃない。え、こんな家の中に俺達入るの? いつもはない謎のプレッシャーが凄いんだけど。
「よく分かんないけどとりあえず行ってみよー!」
マジか、何の躊躇いもなくインターホン押したぞこの人。何回も通ってる俺でさえ逡巡したのに。
「ぼっちちゃん来たよー!」
「こんにちは~!」
『あっ、い、今開けます……!』
何か嫌な予感するのは俺だけなんですかね。変な横断幕掲げるくらいだし多少の警戒はしといた方が良いか。
無警戒でドアが開くのを待っている虹夏さんと喜多さんに対し、俺は少しだけ身構える。実は開けられた家の奥は豪華な飾り付けがされており、いかにもパーティーしますよ的な雰囲気醸し出しながら歓迎してくるんじゃないだろうな。
変な推測をしてる間にドアが開かれた。
その一秒が俺にはスローモーションに見え、徐々に姿が露わになる問題の少女に警戒を向ける。
意外にも家の中は暗く、推測していたような明るい惨状は見受けられなかった。
しかし友人を出迎えるにはあまりにも暗くて、彼女以外の家族がいるようにも見えない。日曜だしもしかしたら出掛けているのかもしれない。さて、問題は彼女だ。
ピンクの少女は星型の光るサングラスを掛け、世界で一番有名な配管工の弟のような付け髭を装備し、クラッカー持って待機していたのだ。
呆然としている虹夏さん達と警戒していた俺を見据えて、待ち構えていたやべー女はシナリオ通りに動く人形のようにパンッ! とクラッカーを鳴らした。
「いっいえええぇぇえぇぇえぇえぇぇぇえい! うぇ、うぇうえウェルカぁああぁぁぁあぁああム!」
「………………………………………………………………………………」
今度こそ俺達の時間は止まった。どうやらザ・ワールドの使い手は彼女だったようだ。
これは、あれだ。俺以外で家に来るような人物がいないため、初めての友人を出迎えようとしたが出迎え方が分からず、あえてパーティーみたいに盛り上げて出迎える事によってウケを狙ってきたのだろうと思う。哀れとはこの事だ。
俺達の時間が止まっているのをどう思ってるか知らんが、彼女は何故か二発目のクラッカーを鳴らした。
パンッ! と鳴って虹夏さん達の意識が元に戻る。危ない危ない、クラッカーの音か。後藤さんが心肺破裂したかと思った。
静寂に包まれる家の中。開いたドアの外からはセミの鳴き声が嫌でも入ってくる。
俺は虹夏さんと喜多さんの手を引いて外に出る。
そして、そっとドアを閉じた。
この世界には見てはいけないものだってあるんだなあ。俺はできるだけ優しい表情を浮かべて二人に話す。
「虹夏さん、喜多さん、デザインなんですけど俺ん家でやります?」
「まっ、ままま待ってゆうくぅん……!」
勢い良くドアを開けてピンクおバカこと後藤さんが俺目掛けて飛び込んできた。
大体分かってると思うけど一応各キャラのオリ主への呼称リスト。
ぼっち→ゆうくん
虹夏→優人くん
山田→優人
いくよ→清水君(今後変わる予定あり)
店長→優人
きくり姐さん→しみず君(今後変わる予定あり)
こんな感じどすえ。
では、今回高評価を入れてくださった
☆10:studioegoさん、自重兵さん
☆9:悠久7723さん、なっつんさん、じょんくらさん、刺身の盛り合わせさん、じょん、どぅー、ゆーさん、花崗岩さん、惰性で生きてる人間さん、よしよしjさん、EsEhEhElpさん、煎茶555さん、刃王剣十聖刃さん、イヴァさん
☆8:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)さん
本当にありがとうございます!
高評価とか感想お気に入りここすきしてくれればモチベ上がってできる限り高頻度で更新していくので、どうかよろしゃす~!
完全オリジナル回とか書いてもみんな読んでくれるのかなぁと思ったりもしてる。
アニメ路線だけでいくと関係性の深堀り中々できないものね。