再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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ぼざろアニメみんなのメイド可愛すぎて最高だった。
え、あと1話? そんな噓には騙されないんだから!




32.後から気付いた時の悲しさは想像以上

 

 

 

 俺は高校生探偵(じゃない)、清水優人。

 幼馴染で同級生の後藤ひとりの家にいつも通り行って、夕飯の手伝いをしていたらふーちゃんと美智代さんの怪しげな取引現場(晩ご飯の試食)を目撃した。取引(つまみ食い)を見るのに夢中になっていた俺は、背後から近付いてきたもう一人の仲間(ジミヘン)に気付かなかった。

 俺はその犬に飛び付かれ顔面から倒れ、目が覚めたら……体が縮んでいなかった! 

 清水優人が普通に起きてまだまだ元気だとジミヘンにバレたら、また背後を狙われ周り(主にキッチン周辺)にも危害が及ぶ。美智代さんの助言で走り回るジミヘンから身を隠す事にした俺は、ふーちゃんに何をしてるのと聞かれ咄嗟に「隠密行動だよ」と言い、ジミヘンから逃れるため、今日も部屋に籠っている後藤さんの部屋に転がり込んだ。

 

 

「後藤さーん、そろそろ晩飯の時間だぞ~って……え、何で寝てんの?」

 

 部屋は何故か真っ暗。時刻はまだ十九時過ぎだというのに既に敷かれた布団。そこに入り込んでいる少女。

 こいつは後藤ひとり。隣に住んでいる幼馴染探偵(じゃない)だ。会社で窓際族の直樹さんや隔世遺伝で超絶ネガティブな祖母譲りの奇行力で、数々のドン引き行動を起こしている。ヤツは俺が面倒を見なくちゃいけない数少ない人物だ。

 

 小さくもなってないし頭脳も同じ。迷宮も特になしの迷探偵、真実はいつも一つ!! 

 

 というのは置いといて。

 

 

「まだ十九時過ぎなのに何で寝てんのって聞いてるんだけど。どうした、発作?」

 

「あっいや、その、えっと……」

 

 煮え切らない返答だな。いや煮え切らないのはいつもか。

 向こう向いてるから表情も読めない。電気を消してこの時間から布団で寝ている……そこから導き出される結論は。

 

 これぞまさしく名探偵清水川ユナンの名推理を見せるとこだ。

 つまり。

 

 

「もしかしてマジで具合悪い? 風邪か?」

 

「……」

 

 可能性として考えるならこの辺りが妥当だろう。

 今はまだ夏休みの八月十九日。新学期前日でもないから仮病で休もうとする理由もない。明日もこれといって予定はない。というか後藤さんは基本予定なんてない。家にいてもギターの練習しかしないのでどんどん腕が上達していくばかりだ。

 

 とりあえず何も言わない後藤さんに近寄る。

 本当に具合が悪いから寝ている可能性も捨てきれないため、一応部屋の明かりは点けないでおく。夏風邪は長引きやすいって言うし、治せるなら早めに手を打たないと。

 

 

「一旦体起こすぞ」

 

「……えっ? あっ、ゆ、ゆうくん……?」

 

 後藤さんの体を支えながらゆっくりと体を起こす。暗くて顔色がよく分からない。

 仕方ないか。

 

 

「ちょいと失礼するぞ」

 

「うぇっ……!? ちょ、あ、あのっ……!?」

 

 体温計が近くにないためお互いの額を当てて熱を測ろうと近づける。

 

 

「へぁ……ぁ、ぅ……あぁわわ……!?」

 

 何かを思い出しおでこ同士がくっつく直前、俺は止まった。

 その距離およそ一センチ。

 

 

「あ、悪い。これこの前ふーちゃんが風邪の時にやったやつだわ。後藤さんには普通に手で測るべきだったな。ごめんごめん」

 

「……………………ぁ」

 

 ふーちゃんが風邪になった時によくおでこコツンッてしてってよく頼まれてたから、ついその癖が出てしまった。

 実際おでこくっつけても極端に熱がない限りはよく分からんのが本音だ。ふーちゃんの場合は熱を測るというよりかはただ俺と額をくっつけたかっただけなんだろうけど。可愛いよね。

 

 後藤さんの額に手をやってみる。……うん……熱なくね? 

 むしろちょっと冷たいような気がする。どういう事? 推理外れたんだけど。と思ってたら襖が勢いよく開かれた。部屋の外からの光が室内に入ってくる。

 

 

「ゆーくん晩ご飯できたから早くお姉ちゃん連れてきてってお母さ……あれ? ゆーくんとお姉ちゃんちゅーしてる? ひるどら?」

 

「してないしてない。後藤さん風邪引いてるのかなって思って熱測ってただけだよ。というかふーちゃんほんとそういう知識覚えるのやめとこうね?」

 

「はーい!」

 

 うむ、良い返事だ。きっとまともに聞いてないなあれ。絶対適当に流しただけだ。

 襖を閉めてとたとたと一階に下りていく足音を聞きながら後藤さんの方へ振り向こうとする。まったく熱がなかったのに何で寝ていたのか聞き出さなくてはならない。

 

 そう思っていたら、突然背後からブシュゥゥゥゥウウウウッ! という音がした。

 

 

「うぉ!? 何だ……ってあっづぁっ!? なにこれ!?」

 

 後藤さんから煙みたいなものが……まさかこれ、蒸気か!? いつもはピンクなのに全部が真っ赤になって溶けていってやがる。

 今まで色んな後藤さんを見てきたけど、こんな彼女は初めてだ。もはやその気になれば何にでもなれるような気がしてきた。

 

 やばいな、この部屋がどんどんサウナみたいになってきたぞ。仕方ない、今は部屋の外に避難しよ……う!? 

 

 

「なっ……足を掴まれてる、だと……!?」

 

 赤白いナニかが俺の足首を掴んでいる。多分後藤さんだったナニかの手だこれ! 

 いつからこの世界はホラーチックになったんだよ。夏だからって季節っぽい事しなくていいから! 物理的に触ってくる分こっちのが幽霊より怖えんだけど!? 

 

 

「は、離すんだ後藤さんっ。このままじゃ俺まで溶かされちまうから! まだそこまでは体が対応できてないんだって!? ネガティブ胞子よりタチ悪ぃのしてくるのはズルいだろ!? う、う、うわぁぁぁあああああああああああああああああああああッ!?」

 

 そして、俺の意識は闇へと堕ちていった。

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

「……あ……赤大根ッ!?」

 

 目が覚めたら知っている天井があった。

 知っていると言っても俺の家ではない。隣の家、後藤さんの家であり、後藤さんの部屋だ。つうか何の夢見てたんだ俺は。

 

 すぐ隣にはふーちゃんが気持ち良さそうに寝息を立てている。どうやら絵日記を書き終わってから寝たらしい。テーブルには絵日記用のノートが置かれている。

 そして近くには後藤さんがいてスマホで一般相対性理論の動画を見ていた。昨日も見てなかったっけ。……ん? 昨日? 

 

 待て、確か俺は後藤さんに足を掴まれて溶かされたはず……。でも今は朝だし体もピンピンしている。何なら後藤さんも普通だ。いや精神的には普通じゃないだろうけどとりあえず普通だ。

 あれからずっと意識を失っていた? の割には美智代さん達も大騒ぎしたような様子はない。おかしい、何だか記憶が混在している。

 

 ……そうだ、絵日記。絵日記を見れば今日の日付が分かる。

 昨日は八月十九日だった。なら今日は二十日のはず……! 

 

 急いでテーブルの上にある絵日記を見た。

 そこにはこう書いてあった。

 

 

 八月三十一日。後藤ふたり。

 今日はゆーくんと一緒にお姉ちゃんにギターを教えてもらってました。お姉ちゃんはいつも家にいてギターを練習して凄いなと思いました。ゆーくんも始めたばっかなのに凄く頑張ってました。

 ふたりは夏休みやることいっぱいだし友達とも遊ばなきゃだから、お姉ちゃんみたいに毎日練習できないので、凄いと思いました! 

 

 めっちゃ天然で残酷な事が書かれていた。姉よ、こんな事が書かれてるけど良いのかこれ。幼稚園の子はまだ理解力少ないからいけるのかこれ。いけていいものなのかこれ。ダメだ、気になりすぎて俺の中の木の葉丸が出てきた。

 …………いや、ちょっと待て。それよりも日付がおかしくなかったか? 

 

 八月三十一日だと? 二十日じゃなくて? まさか俺の記憶が十九日から飛んでる? 

 でもさっきは後藤さんがまた宇宙の動画見てるのを知ってた。なら記憶が飛んでる訳じゃない。あまりにも強烈な夢(?)すぎてここ最近の記憶が薄れてたんだ。

 

 そしてあの夢もおそらく夢じゃない。現実のはずだ。

 俺はそれを確かめるべくふーちゃんの絵日記を捲った。十九日に何が起こったのかを知るために。

 

 

 八月十九日。後藤ふたり。

 今日は晩ご飯になっても下りてこないお姉ちゃんとゆーくんをもう一回呼びに行ったら、二人共すらいむみたいになってました。お姉ちゃんのはよく見るけど、ゆーくんのは初めて見たから驚きました。でもゆーくんもこんな事ができるんだって凄いなと思いました。お母さん達に言ったら二人でていねいにお姉ちゃんとゆーくんのすらいむを集めて、人の形に戻してました。手品って凄いなと思いました! 

 

 どうやら俺も新たな領域に足を突っ込んだらしい。なるほど、溶ける事に対応するために俺はここ約十日ほどの記憶が薄れるくらい体力を消耗していたのか。

 何を言っているのか分からねーと思うが、俺も何がどうなったのか分からなかった。だって溶けてんだもん。

 

 しかし絵日記を見た事で薄れていた記憶が少しずつ蘇ってくる。

 そういえば今日はスターリーで練習する日だったはずだ。そのために一応早起きして朝の七時くらいにこっちに来たら美智代さんやふーちゃんは起きていて、後藤さんだけが部屋で寝てたから勝手に部屋に入りふーちゃんの絵日記に付き合っていた。

 

 だけど夏休みという事もあってか気の緩みから睡魔に負け、再び寝てしまったという訳である。普段なら眠くなる事なんてないのに。

 時計を見ると朝の九時過ぎ。寝てたのは一時間半くらいか。二時間かかると言っても練習までの時間も少し余裕がある。早起きして正解だったな。

 

 とはいえそろそろ準備も始めておかないと後でバタバタされても困る訳だ。俺はここに来てる時点で既に万全、まあ後藤さんもメイクとかしないしジャージだから準備に手間取るような事はない。

 軽く体を伸ばす。さて、この宇宙少女を現実に戻さないと。

 

 

「後藤さん、そんな動画見てる暇あんならまず飯食って出る準備しな。俺はふーちゃん下のソファに運んどくからジャージに着替えてくるんだぞ」

 

「(結局誰も……誘って、くれな……あ、ああ、やっぱりここはブラックホールなんだ……)」

 

 小声すぎて何言ってるか聞こえないけど多分現実逃避したままだな。

 まあそのうち正気に戻って下りてくるだろう。

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 そして後藤さんは正気に戻らないままスターリーまでやってきました。

 

 

「という訳で変になったまま連れてきた結果、今ライブハウス前にセミのお墓作り続けてます」

 

「色々限界すぎる! 何であんな事になってんの!?」

 

「電車の中でもずっと夏休み夏休みって呟いてたんで、普通に夏休み終わるのが嫌なだけだと思いますよ。中三の冬休み終わる前日もこんなんだったし」

 

「それであんなんなるの……」

 

 スターリーの入り口で俺、虹夏さん、喜多さん、リョウさん、店長で階段の上を見上げていた。

 後藤さんの姿は見えづらいが、負のオーラはどんよりと天にまで昇っている。快晴だから天気に影響しなければいいけど。

 

 

「というかさ、お前ら夏休み誰か遊び誘ってやったの?」

 

「え?」

 

「この前夏休みはどうしてるって話をぼっちちゃんとしたんだけど、予定は空けてますってずっと言ってたぞ」

 

 おお、割と店長と話せるようになってんのな。むしろそこに感心したわ。

 

 

「誘おうとはしたんですけど……ここに来る日以外は全部予定が埋まってて、知らない子いたら後藤さん萎縮しちゃうかなって」

 

 まあ確実に縮こまるでしょうね。もしくは物理的に空気と化すか。もし遊ぶとしても逆に喜多さんが苦労しそう。

 つうかスターリー来る日以外予定埋まってるってどういう事? 全部友達と遊びに行ってんの? そっちの方が異常だろ。一日くらいは家でだらだらしたいと思わんのかこのリア充陽キャ。

 

 

「虹夏さんは?」

 

「あたしは……練習の日以外は家事してたり、ここでバイトしてたから……」

 

「店長家事手伝ったりしないんですか?」

 

「……ほっとけ」

 

 あらやだ可愛い。やっぱこの人絶対家事できないわよ。居酒屋で薄々気付いてたけどこれ本当に虹夏さんに全部やらせてんだな。

 

 

「リョウさんは?」

 

「三人が誘ってると思ってた」

 

 うん、リョウさんはまず誘わないよね。分かってた。そんな雰囲気全然ないもの。

 ていうか遊ぶお金持ってんの? 

 

 

「え、じゃ、じゃあ優人くんは……?」

 

「俺は後藤さん家よく行ってるだけなんで遊ぶとかとは別ですね。自分の家でやらないといけない事もたくさんあったし。そもそもあの一家には俺友達判定されてないので」

 

 隣に住んでる息子が帰ってきたみたいな扱いいつも受けてる。何なら自分の家より滞在時間長いかもしれん。

 

 

「それってつまり……誰もぼっちちゃんと遊んでないって事じゃん!」

 

「お前らもうバンド名変えろよ」

 

【悲報】後藤さん、夏休み誰からも遊びに誘ってもらえなかった件。

 高校に上がる前は俺以外に知り合いいなかったからマシだったけど、こうしてバンド仲間という友達もできたのに誰からも誘われなかったらそりゃダメージは深刻ですよ。そんなの俺だって傷付く。

 

 ……あれ? よく考えたら俺も誰にも誘われてなくない? 

 部屋で勉強してるか後藤さん家で編集とギター教えてもらう事しかやってなくない? まさかの同類ですかボク? あっ、何だか意識が……。

 

 

「ちょっと悲しくなってきたんで俺も後藤さんに交ざって卒塔婆立ててきます……」

 

「どこから出してきたのそれ!? 清水君ダメ! 戻ってき……スライドして階段を上っていった!?」

 

「優人くんも最近ぼっちちゃんと同じくらい人間辞めてきてるよ!?」

 

「後藤さん、一緒にセミを供養しよう。初めての共同作業だ……」

 

「アッウン……」

 

 もはや機械的な言語になっている後藤さんと一緒に卒塔婆を立てていく。

 あ、何だかこっちも浄化されていくようだ……。気分が落ち着く……後藤さんの気持ちが少し理解できたかもしれない。

 

 

「こうなったらもうどこか遊びに連れていくしかないよ! 喜多ちゃん! 案を……何か良い案ない!? 今から夏の思い出を作れるような何か!」

 

「ええ!? ……えーと、えーとぉ……あ、そ、そうだわ! みんなで今から海に行きましょう! 江の島とかっ、ここからなら電車一本で行けますし!」

 

「喜多ちゃんそれだぁ! ぼっちちゃん、優人くん! 今からみんなで江の島に行こう!」

 

「江の、島……?」

 

 脳裏に浮かぶは青い海、白い雲、綺麗な景色と砂浜を走り回るリア充達。滾る殺意。過る悪意。

 アア、リアジュウ、ニクシ……。

 

 

「コ、コロ……リアジュウ……ボクメツ……ア、アァ、コロ……コロ……シテ……」

 

「清水君が変な事言いだしましたけど!?」

 

「ぼっちちゃんに感化されてどんどん悪化してるけど最後の良心で何とか押し殺そうとしてるんだ! 仕方ない、二人が変な事しない内に江の島連れて行くよ!」

 

「本当に大丈夫なんですかそれ!? 心配しかないんですけど!?」

 

「それしか方法ないじゃん! あたしがぼっちちゃん連れてくから喜多ちゃんは優人くんに肩貸してあげて!」

 

「任せてください!!!!」

 

 

 

 





やっぱギャグパート書いてる時が一番楽しい。



では、今回高評価を入れてくださった

☆10:死灯さん、メガマックスコーヒーさん、James H.Nicholsさん

☆9:混沌の闇さん、こひまるさん、ホしさん、シンさん、イキョウさん

本当にありがとうございます!
総合評価15000目指してるからまだ高評価押せてなかったやって人いたらよろしくお願いしまーす!感想ここすきなども毎回見てるよー!


クリスマスに最終話だからクリぼっちだね!!
ぼっちだけに!!!!
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