再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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【小話】
二日前のはまじ先生がやってたアニメ同時視聴配信。どうしても気になって喜多ちゃんのクラスが文化祭で出し物何やってたのか質問してみたら、コメント読んでくれた上に答えてくださったのが最近のちょっとした自慢。

ちなみに答えは、

はまじ先生「マジで何してたんだろ?」
instantさん「私達の街を見てみよう展(展示もの)とかじゃない?」

もしくは何かやってたけど休憩時間か担当外だったんじゃないかと、原作者も喜多ちゃんが何してたか分からないという大変ロックな回答をいただきました。
作者が一番ロックなんだよなあ。

とりあえずこの回答によって、文化祭編は喜多ちゃんとオリ主のクラスが出し物何やってるかを自由に書いても不自然な事にはならないと確定して安心。




33.偏見はしちゃいけない

 

 

 

「……も……モリブデンッ!?」

 

「あ、起きた」

 

 目が覚めたらまずガタンゴトンという音が耳に入ってきた。

 何か凄く嫌な夢を見ていた気がする。どんなのだったかはもう朧げだけど思い出したくもないから良しとしよう。

 

 

「大丈夫? 清水君」

 

「え? あ、うん、全然大丈夫だけど……え、何で電車にいんの俺達?」

 

「優人……記憶が……」

 

 辺りを見れば分かる通り、普通に電車内である。俺は目覚めの一発目に何を言ってたんだろう。自分の荷物は……よかった、トートバッグが横に置いてある。

 左には後藤さんが緑色の胆汁を出しながら気絶している。そういやスターリーの前で何かやってたな。

 

 右には喜多さん、リョウさん、虹夏さんがいた。

 

 

「いい、落ち着いて聞いてちょうだい」

 

 俺は喜多さんから全てを聞いた。

 夏休み誰からも遊びに誘ってもらえなかった後藤さんと俺が負の概念と化し世界に絶望していた事。一刻も早く元に戻そうと考えた結果、俺達に夏の思い出を作らせるため、急遽今日の練習を中止し江の島へ遊びにたった今移動の真っ最中という事を。

 

 なるほど、理解した。

 俺って意外と寂しがり屋なとこもあったのか。記憶ぶっ飛んでるほどだし自分で驚いた。一人でも大丈夫なようにこのメンタルも改善していかないとだなあ。

 

 

「にしてもぼっちちゃんより早く目覚めたね」

 

「さすがに後藤さんほど拗らせてはないですからね。その辺は俺の方がマシですよ。ところで俺達をここまでどうやって連れてきたんですか?」

 

 俺の質問に答えたのは虹夏さんだ。

 

 

「普通に肩貸して連れてったよ。改札とかは何でか知らないけど二人共普通に自分でカード出してたし。あたしがぼっちちゃんで喜多ちゃんが優人くんを連れてきたんだ」

 

「え、マジでか。悪いな喜多さん、肩貸すとはいえ重かったろ?」

 

「ううん、むしろごちそうさま!」

 

「何が???」

 

 え、怖い。訳分かんない返事来たんだが。気絶してる間に何か奢ったの俺。何でそんな笑顔なの。キターンじゃないんだわ。

 意識なくても改札は自分でやってたって虹夏さん言ってたしな……もしかして切符代とかチャージ代を勝手に出してたとか? うん、きっとその辺だ。そうに違いない。

 

 

「むぅ……それよりぼっちちゃんの事なんだけどさっ」

 

「? はい」

 

 何故かちょっとご不満そうな顔の虹夏さん。どうしたんだろう。可愛いしか感想が出てこない。

 無理矢理話題を変えるような言葉で虹夏さんは後藤さんの方を見る。

 

 

「よっぽど学校に行くのが嫌みたいだけど、優人くんも一緒なのにこんなになるまでって相当だよね」

 

「ぼっちって学校でどうなの」

 

 ああ、二人は学校違うしそこでの後藤さんがどうしてるか分からないのか。

 そりゃ気になりますわな。

 

 

「俺も喜多さんもクラスが違うんであんまり干渉はできないんですけど、少なくとも同じクラスで誰かと一緒にいるところは見たことないですね」

 

「私もそうです。二組の友達にそれとなく聞いてみた事もあったんですけど、後藤さんが引っ込み思案なのもあってみんな接しづらそうというか、どう扱っていいか分からないみたいで……」

 

 というか喜多さん二組にも友達いんの。そっちのが驚きなんだけど。どんだけ顔広いんだよ君、人脈凄そう。

 それに比べて俺は体育で二人組作るの困らないくらいの関係もそんな濃くない友人しかいない。精々三~四人程度だ。広く浅くとか狭く深くとかじゃない。もう狭く浅い関係みたいなものである。

 

 休み時間をほぼ全部後藤さんの観察と世話に費やしてる俺の学校生活っていったい……。

 後藤さんの学校での様子を少し聞いて虹夏さんは少しだけホッと息を吐いた。

 

 

「そっか……虐められてるとかじゃないんだ」

 

「当たり前です。休み時間になったら俺が毎回こっそり後藤さんのクラス覗いたり授業が始まるまでの間失踪するのに付き合ってるんで」

 

「いつも休み時間すぐどっか行くと思ったらそんな事してたのね……」

 

「優人くんってさ……何だかんだぼっちちゃんに対して過保護だよね……」

 

「超過保護」

 

「え、そんなに?」

 

 三人でジト目してくるのやめてもらっていいですか。リョウさんに関してはちょっと面白がって適当に合わせてるのバレてるからな。

 うんうんと頷いてくる三人。特に喜多さんと虹夏さんはガチでそう思ってそうな感じで見てくる。

 

 しょうがないじゃん! か弱いペットが猛獣達の中でちゃんと生きていられるか見守るのが飼い主の役目でしょうが! 

 適応が無理なら寄り添ってあげる心も大事だと思います! 

 

 

「じゃ、じゃあさ……仮に、もし仮にねっ……」

 

 急に虹夏さんがどもり始めた。

 

 

「ぼっちちゃんが誰かにそういう扱い受けてるのを見ちゃったら……優人くんはどうする?」

 

「……あー」

 

 そういう扱いとは、まあ、そういう事だろう。

 後藤さんの性格からして虐められていると思われても完全に否定できないのが痛いところだ。実際、こういう子で虐められているような生徒はたくさんいるだろう。

 

 でもって想像してみる。もしも後藤さんが知らない誰かに虐められている現場を目撃した場合、俺はどうするのだろうかと。

 答えは簡単だ。

 

 

「まあ、殺しますね」

 

「「「…………」」」

 

「えっ、いや、ちょっと、そこツッコむとこですよ? それはやりすぎやろがーいって言うとこですよ? 何で何も言わないの? 冗談なのにそんなガチで黙られたら俺マジでやりそうな人みたいに思われるだけじゃん! やめてっ、黙らないで! 誰かツッコミ入れて!」

 

 ちょっとネタに走っただけじゃん。いきなり真面目に答えるとそれはそれで変な空気になっちゃうかなって思ってお茶目に回答したらこれだよ。

 ジト目が更に酷くなってない? この冷たい反応がむしろイジメでは? 

 

 

「だって優人くん、ちょっと前科が……」

 

「言い方ァ!! そこ掘り返すの禁止だから!」

 

 罪悪感に苛まれるからほんとやめて。あと前科とか言うの良くないと思う。虹夏さん最近当たりキツいんですけど何故。

 遠慮がないと容赦がないは違うからね? 

 

 

「いやぁ、過保護な優人くんならやりかねないと思って……」

 

 虹夏さんの言葉に喜多さんとリョウさんが頷く。俺を何だと思ってんだ。

 

 

「さすがにんな事する訳ないでしょ。常識的に考えてくださいよ」

 

「そうよねっ、清水君はそんな事しないものね。結構目が本気だったからもしかしたらって思っちゃって」

 

 うわっ、俺の演技力、凄すぎ……? 

 いや一部は本気だけども。

 

 

「はっはっは、まあ殺しはしないにしてもそれ相応の報いは受けてもらいますけどね!」

 

「あ、それも冗談?」

 

「本気だけど?」

 

 空気が凍った。

 俺もブリザガを覚えてしまったか……。

 

 

「一応聞くけど、何でかな?」

 

「だって、今でさえ引っ込み思案なのにそんな状況になったらもう二度と外出れなくなるかもなんですよ? そう考えたらまともになるまで面倒見るって決めた俺の負担が見ず知らずの輩のせいで余計増やされる事になる訳です。これだけで軽く極刑レベル。あと単純に後藤さんに危害加えるヤツは絶対許さん。どんな手段を使ってでもボコボコにする」

 

「後半まだ良い方なのに前半に私情が入りすぎてる……」

 

 そもそもイジメ、ダメ、絶対の精神なのだ。つまり日頃から後藤さんを観察してるのも言い方を変えればいつでも守れるように見張ってる訳である。

 それに美智代さん達からも娘をどうかよろしく頼むって言われてるから余計ね。ちなみに二組の人達は観察したところみんな良い人そうだったから安心だ。なのに馴染めてない後藤さんはマジで生粋なんだろうなって。

 

 

「まあ平和……というか何もなさすぎるというか……とにかく後藤さんはいつも一人ですけど、平穏っちゃ平穏な学校生活送ってますよとだけ。俺がいる限りはこの子を守れるんで大丈夫だと思います」

 

 気絶しているからか、さっきから振動と共にガンガンと仕切りに側頭部をぶつけている後藤さんの頭をこちらの肩に寄せて乗せる。

 俺の身動きが取れなくなるけど、頭ぶつける音がうるさいよりかはマシだろう。意識あったらこの時点で爆発してそうだし、ある意味好都合だ。

 

 

「……清水君ってそういう事誰にでもするの?」

 

「何を?」

 

「えっと、その……肩に、頭を……」

 

「え? ああ、これか。ははっ、んなこっぱずかしい事する訳ねえじゃん。何とも思わないふーちゃんか気絶してる時の後藤さんくらいだよ。こんなの誰にでもできるヤツは相当なナルシストか勘違いイカレ野郎くらいだろ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 自分に自信ないとできんだろこういうの。後藤さんに関してはもう保護者みたいなものだから特に何も思わないでできるけど。

 もしかして女子からすればあんまりこういうのやらない方がいいのか? こういうとこで地味に好感度下がってる説ある? 陽キャの振る舞いがよく分かんねえ。

 

 

「まあともかく優人くんがいるならぼっちちゃんは安全だね。今の夢は高校中退だって言ってたけど」

 

「夢って言っていいんですかそれ!? 清水君はそれ知ってるの!?」

 

「ああ。まあその時は俺も一緒に辞めようかなって。後藤さんの付き添いで秀華高受けただけで思い入れある訳じゃないし、最悪スターリーでずっと働かせてもらえればいいかなって」

 

「考え方が一番ロックだわ!?」

 

 わざわざ二時間かけて通学してるのに後藤さん中退したら俺だけ一人で通うのバカみたいじゃん。

 何のために一緒の高校受けたんだよって話になるからね。普通に行き帰りで四時間かかるってヤバいと思う。慣れって怖いな~。

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 片瀬江ノ島駅到着。

 すこぶる天気が良い。暑い。ただただ暑い。

 

 

「よぉーし、今日はぼっちちゃん達と楽しい夏の思い出を作ろーう!」

 

「写真撮りましょ後藤さん! ほら、清水君も!」

 

「え、俺は別にい」

 

「いいから!」

 

 後藤さんに肩を貸しているから回避無効だった。

 なんかもう凄い勢いで自撮りしてるぞこの陽キャ。アングルとか変えても肩貸し状態じゃどうあがいても決まらないと思うんですが。一人は顔色ずっと悪いし。SNSに上げるのはやめてね。

 

 

「じゃあ私は塩ソフト食べてくるので、またね」

 

「こ~ら~、誰が自由行動って言った?」

 

「むしろリョウさんが自由じゃない時なんてなかったでしょ」

 

「ふふん、分かっておるな優人」

 

 褒めてはないです。得意気な顔されても困る。

 

 

「ちなみにどこに行くかプランとかって決めてるんですか?」

 

「ん~、とりあえず海見に行こうかなぁって。まあ時間はあるし、仕方ないからリョウの用事先に済ませちゃおっか」

 

 何だかんだ虹夏さんもリョウさんに甘いじゃん。過保護とか俺に言えないっしょ。

 あと喜多さんいつまで撮ってんの。夏の陽の下でどうしてそこまで元気でいられるの。天照大神様なの。カシャカシャとシャッター音鳴る度に後藤さんから力抜けてくんだが。生気吸い取ってる? 

 

 結局リョウさんの塩ソフトを買うのに付き合い、俺達は真の目的地、海へとやってきた。

 

 

「ほら見て! 海でかぁ~い!」

 

 片瀬海岸地下通路付近で立ち止まる。目の前に広がっていたのは綺麗なビーチと青い海。もう泳げないだろうが砂浜には水着の客が結構いる。

 泳げないのに何やってるんだろ。夏を味わえれば何でも良いのだろうか。リア充の考えはよく分からん。と、さすがに後藤さん起こさないとな。

 

 

「ほれ、後藤さん起きろ~。海に着いたぞー」

 

 ぺちぺちと軽く頬を叩くと、

 

 

「……さ……サビキッ!?」

 

 何で釣り用語。海を見てそれを連想したのか。

 ビーチバレーとか海の家とかじゃなくてサビキが出てくる辺り、陽キャの遊びにはてんで無縁なんだなって改めて思った。うーん、この陰キャ。

 

 

「あっあれ……いつの間に……?」

 

「ほんとに今まで意識なかったんだ」

 

「かくかくしかじかでここに来たって訳」

 

「な、なるほど……」

 

「それで伝わるんだ!?」

 

 幼馴染ですから。付き合い長くなると虹夏さん達も慣れてくると思う。

 これ便利なんだよね。説明省けるし。

 

 とりあえず状況を理解したのか、後藤さんは珍しく海を見渡していた。

 まあ滅多に見に来ないもんな。しかも江の島という観光スポットだし。俺もこんな綺麗な景色は久々に見た。

 

 

「あ、そうだ」

 

 トートバッグの中に入れていた一眼レフを取り、空と海をバックにシャッターボタンを押す。

 こういう時にカメラがあるとつい撮影したくなってしまう。今まで結束バンドの練習風景や日常の一コマばっか撮ってたから、景色を撮るのは何だか新鮮だ。俺もカメラマン気質になってきたのかな? 

 

 良い事思い付いたかもしれない。

 海に来るなんて早々ないし、メンバーも揃ってるならちょうどいい。

 

 

「どうせなら結束バンドで海をバックに一枚撮ってみま」

 

 そう俺が提案しようとした時、何かがシュバッてきた。

 

 

「うぇ~~いお姉ちゃん達ィ!! 暇ならウチの海の家で食べてきなよ~~!!」

 

 どこかで見た星型のサングラス、頭にタオルを巻き微かに見える髪色は金、メラメラと太陽に焼かれたであろう黒い日焼け肌、無駄に鍛え上げられた体。

 つまりは真性のパリピ陽キャ海の家店員が俺達の前にやってきた。

 

 まずい、喜多さんとは違う方向性のガチパリピ三銃士はやべえ。しかもよりによって後藤さんの方に目を付けてやがる。ちくしょう、見る目はちゃんとあるなこいつ! 

 

 

「お姉ちゃん達と一緒なら兄ちゃんもどうだ~い! 今ならすぐ席も用意できるよ~可愛いお姉ちゃん達に良いカッコしたいならメニューもお安くしとくよ~~!」

 

 しかも普通に良い人だった!! やめろ、パリピが良いヤツとか俺の良いとこ全部食われちまうでしょうが! 

 

 

「お兄ちゃん達高校生? どこから来たの~?」

 

 会話のコミュレベルも高ぇな。たった数秒間でめちゃくちゃ距離詰めてきやがる。

 どうする、今の俺ならパリピに合わせて会話もできるけど、この圧倒的オーラに耐えられないのがここに……、

 

 

「ミ゜ッ」

 

「ぼっちちゃんが爆発四散した!?」

 

 パァンッ! と風船のように膨れて後藤さんが破裂した。やはり耐えられなかったようだ。

 ティウンティウンティウンと久々にロックマンがやられた時の音がした。

 

 仕方ない、ここは撤退が得策かっ。

 

 

「虹夏さん!」

 

「オーケー!」

 

 空気が抜けてペラペラ状態で飛んでいた後藤さんを虹夏さんに掴み取ってもらい受け取る。

 そして全力疾走でその場から退避。

 

 

「すいません俺達これから違うとこ観光するんでまたの機会にぃぃぃいいいいいいいいいいいっ!!」

 

「うぇ~~い楽しんで~~!!」

 

 ああもう最後まで良いパリピだったなあの人ら!! 

 変な偏見持っててごめんて感じ。

 

 

「あれを相手にするのは分が悪すぎる~!」

 

「急いで海から離れましょう!」

 

「虹夏さん次の目的地は!?」

 

「え~と……とりあえず仲見世通り行こう!」

 

「分かりました! ペラペラのせいか重さ感じねえな後藤さん!」

 

 せっかく江の島に来たのにものの数分しか海を見れなかった俺達は、逃げるように仲見世通りへ走るのだった。

 

 

 





ぼっちちゃんほとんど喋ってないじゃん!


では、今回高評価を入れてくださった

☆10:カフェオレ☕️さん、北海いくらさん

☆9:吉良良影の同居人さん、白銀竜さん、ドングリGAさん、hakuneiさん、1鍵さん、サボテンテンさん、チュミミィイインさん、よしよしjさん

本当にありがとうございます!
評価諸々待ってるよ~!


アニメ最新話の先行カットないの、最終回なんだって感じが凄いしてワクワクと切なさが同時に込み上げてくる……。
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