再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る 作:たーぼ
一応クラスの男子とも仲は良いよ感を書きたくて執筆してたらバカみたいな茶番が長くなった件。
前半ほぼ読まなくても大丈夫レベル。
多分年内最後の更新かも?
一応よいお年をとだけ!
HRが始まる五分前、俺はクラスの友人とこんな会話をしていた。
「いいか佐藤、鈴木、高橋、田中。文化祭一日目をいかに楽して自由に見回れるようにするか、そのための出し物を最優先に考えるんだ」
「じゃあ普通に展示物でいいんじゃねーの。それだとクラス全員自由に行動できるだろ? 常識的に考えたらそんな事すぐ分かるっしょ清水。はい俺あったま良いー」
「はいバカ田中バカ通称バカタナ。んな古典的な楽したい作戦が団結力あるこの五組で通じると思ってんのか俺らん中で成績最下位君よぉ」
「よぉーし表出ろ清水そのふざけ腐ったお口をチャックしてゴミ箱にフォークボールしてやらぁ!」
「いいぜ来いよ。理解力のねえその頭シャッカシャッカシェイクしてカップ入れてその辺の虫にテイクアウトさせてやんよこのスキンヘッド野球バカが!」
「「ああん!?」」
「何で成績真反対の二人がいつもこうなってんの」
朝イチからこうなっているのには訳がある。
そろそろ文化祭の出し物を決める必要があるらしく、一限目を丸々HRにして何をしようか候補をクラス内でグループ分けしてそれぞれ出し合う事になった。そしてクラスの中でも俺がよく喋る方の男子生徒はこの四人。
佐藤、鈴木、高橋、田中だ。全国でも名字が多い順なので非常に覚えやすかった。数少ない仲の良い友人がこいつらとかある意味奇跡だろ。ちなみに喜多さんは他の女友達と決め合っている。当然だ、あんなとこ割って入れる男子がいたらそいつは陽キャを超したアホである。
俺を含めた五人で一つの候補を出すのだが、見事に俺達は文化祭を自由に見たいという意見で一致。そのために最適な案を考えるという段階なんだけど……。
このハゲ坊主頭の田中が初歩も初歩な案を出すもんだからほんと使えない。はーつっかえ。野球ばっかして勉強してないからダメなんだこいつは。
「磁石は引かれ合うものだからでしょ」
「「誰がS極とN極だ佐藤コラァ!?」」
「それ以上揉めるなら剣道部の僕が相手するけど」
「「高橋様どうかその竹刀をお出しにするのはお止めください」」
田中と一緒に土下座である。いや、武器出すのはズルいじゃん。男ならステゴロ一本勝負だろ普通。
そんなの謝るしかないやん。あと鈴木はずっと小説読んでるのやめなさい。せめて話聞いて。
「……話を戻すぞ。このクラスは基本的にみんな仲が良い。故に一致団結がしやすい協力的なヤツらばっかだ。初日からグループロインとか作っちゃうくらい陽キャの集まりなんだぜ、微妙に俺達も含めてな。そこでお前らに簡単な問題だ。常にみんなで何か一つを盛り上げんと考えるようなヤツらが展示物でそれをやろうって乗ってくると思うか?」
「「「「思わない」」」」
「
陽キャは何かをやりたい、とにかくみんなと楽しんで動きたいという精神構造をしている(偏見)
陰キャではないけど陽キャほど明るくない俺達にとっては縁のない心だ。
「じゃあどうすんだ? みんな自由に動けなきゃ意味ないんじゃねーの?」
「逆だよ。見て回りたいと思う生徒ももちろんいると思うけど、年に一回……それもこのクラスでの文化祭はたったの二日間しかない。ではまた問題。こんな貴重な時間をパラメーター振り切った陽キャ達が、自分達は何も動かなくてもいいから楽だ~なんて思うでしょうか?」
「「「「思わない」」」」
「
「BLEACHみたいに言うのやめろ」
「文化祭だしせっかくだから何かはしたい、自分の役割が欲しい、思い出を残したい。とにかくそこら辺の欲求を適度に満たせるモノがいいんだよ。そんでもって教室に配置する人数は少なめで回せる案が良い。ちなみに調理系はダメだ。接客も必要な分人数確保が必要になるからな」
人が全然必要ない展示物や人がたくさん必要な調理系は軒並みアウト。
できる限り少数精鋭でも臨めるモノじゃないと陽キャ達の欲求は満たせない。あいつらは動いてないとむしろ落ち着けないヤツらなんだから(ド偏見)
「……なら清水は良いアイデアがあるの?」
「よくぞ聞いてくれたな鈴木。完璧とまではいかないけど案としては悪くないものならある」
「それは?」
顔を合わせて聞いてくる最大手名字達。
俺は人差し指を立てて、
「駄菓子屋だ」
「その心は?」
「駄菓子なら安いし予算的にも多く確保できるだろ? 調理系じゃないから作る必要もない。子供の頃はよく食べてたかもしれないけど、大人や高校生になった今では駄菓子とかって買う機会も少ないはずだ。そこでバラエティー豊かな駄菓子を机に並べて置いとくだけで、懐かしい雰囲気だと入ってきた客は自分で好きな物を手に取るから注文をとる必要もないし席への案内もしなくて済む。何なら適当に机とイスを配置してイートインスペースを作るのもありだな。決められたとこへ案内するより自由に座ったり立食しながら駄弁ったりと、自由度が高けりゃその分需要も高まると思う」
「ふんふん」
「他のクラスで食べ物を買った人達も使えるように、ある種の休憩スペースにするのも良いか。駄菓子コーナーをあえて狭くして昔ながらの駄菓子屋っぽい雰囲気も出せるかもしれねえ。あとは肝心の動員をどうするかだけど、教室の入口で宣伝一人、接客や案内は不要だから会計係をスムーズにするとすれば二人か三人、商品の補充に二人、教室内の見回り兼掃除に二人の大体計八人。これならほとんどのヤツは自由に動けるし、希望者がいればもうちょい増やしてもいい。そいつらは基本的にカースト上位の陽キャだろうから俺達にとっては好都合。シフト制にするにしても楽なものばかりだから思い出作りたいヤツとかやりたいヤツにぶん投げときゃ俺達に回ってくる事はない。これでどうよ?」
「一番最後に本音隠しきれてないね」
「最近の清水は少しクズ成分が出てくるようになったな。最初の頃は俺らにすら優しかったのに」
「案出したのに何で貶されてんの俺」
そんなバカな、俺にクズ成分なんてある訳ないでしょ。基本的には真っ白なキャンバスのように純粋な優しさでできてるんだぞ。
最近二人のベーシストクズに絡まれるけど俺は至って普通なんだ。…………いや、あの二人のせいで若干
「けどその案は悪くないな」
「だろ? 飾り付けとかも含めたら手間もかかる分、むしろ準備期間に功労者となっておく事で当日はあまりシフトに入れられなくて済むって寸法よ。ちな成功確率は70%」
「失敗の確率30%の理由は?」
「問答無用にシフト入れられそう」
「一番あり得そうだね」
しかし俺としては何としても暇な時間を一分でも多く確保しておきたいのが本音だ。こいつらには悪いが底の底にある本心は隠させてもらう。
何故なら文化祭当日は後藤さんの面倒を見たいためである。
中三の時俺が地元に戻ってきた頃には既に文化祭終わってたし、後藤さんと迎える文化祭は今回が初なのだ。
相変わらず青春コンプレックス発動している彼女だけど、せっかくのイベントだからどうせなら楽しんでほしいと思うのが幼馴染心なんです。
俺と一緒のクラスならある程度は大丈夫的な事をこの前言ってたからな。同行できる時間を増やして一緒に校内の出し物を見て回れば、少しはこういうイベントにも前向きになれるかもしれない。
そう、これも一種の後藤さん更生計画の一つだ。
そういや外部の人も来れるって事は虹夏さん達も一応来れるんだよな。近々誘ってみるのもありか。
俺が同行できない時に後藤さんを見張ってくれれば変な事はしないだろう。おそらく、多分、きっと、メイビー。
「とにかく、俺の案のメリットを最大限アピールして票を増やすんだ。クラス内グループは七つ。案が七個出ると考えて四十人中俺達だけでも五人は自分とこに票が入る。あと最低でも七人くらいは欲しいな。各自他の仲良いヤツに探り入れてスパイってこい。生憎俺はお前ら以外に喋るヤツそんないないから、部活仲間が多いお前らだけが頼りだ。頼む」
「清水……お前そこまでして俺達のために自由を勝ちとろうとしてくれるんだな……」
「当ったり前よ。このクラスの中じゃお前らだけが気兼ねなく何でも話せてバカ騒ぎできる家族みたいもんなんだ。頼りにしてるぜ、俺のスパイファミリー達」
「そんな上手い事言えてないよ」
チクチク言葉やめてって。
心に少々傷を負いながらスパイファミリー達を見送る。所詮はただの候補出しだ。グループ分けしたからと言って別グループの生徒が来たところでお前の方は何か良い案出た? とかそういう話になるに決まってる。元々全員仲が良い奇跡みたいなクラスだしな。
だがすまんスパイファミリー達よ。何でも話せるとは言ったが後藤さんの事だけは秘密にさせてくれ。もし運動部に絡まれでもしたら彼女がどうなってしまうか想像もつかないからさ。機密情報にさせてもらうぞ。
ところで後藤さんのクラスは出し物何になんだろう。向こう次第ではこっちの作戦もパーになりかねないよな。可能な限り後藤さんに負担少なそうな出し物になってる事を祈っといてやるか。
「家族とかファミリーがどうしたの?」
「あーにゃあッ!?」
自分の席に戻ろうとしたらいきなり背後から話しかけられて飛び上がってしまった。
心臓止まるかと思った……。
「き、喜多さんかよビックリしたぁ……」
「清水君ってそんな驚き方もするのね~。何だかキュウリ見てビックリする猫みたいっ」
「ホラーは大丈夫でもドッキリ系は苦手なんすよ……」
じわじわくるものは余裕だけど突然目の前に出てきたら誰だってビックリするでしょ。それと同じ。
「で、家族がどうしたの?」
あ、そこ掘り返してくるの。別に何て事ないバカな男達の戯れなんですけど。
「男同士の熱い友情みたいなもんだよ。あとその場のノリが九割」
「あ、友情なのね。それなら良かったわ!」
「良かった……?」
何が? もしかしてガチと思われてたって事? まさか男に興味あると思われてるの俺。
凄く心外。僕は女の子が大好きです。って言うとすげえ語弊しかないな。ノンケだよ俺は!
「だって第二の家族は私達だものね!」
「ん?」
違った。思ってた方向性となんか正反対な方へぶっ飛んでった。俺達いつから家族になったの。宗教の誘いか何か?
あと教室で何て事言うんだこの子。幸い他の連中は文化祭の出し物についてという名のフリートークに夢中で聞いてないから良かったものの、もし聞かれてたら俺の高校生活は終焉を迎えてたぞ。
「どゆこと?」
「もうっ、私が結束バンドに入る頃に言ったでしょ? バンドは第二の家族のような感じがするって」
「……あ────、言ってた。言ってたわ。うんうん、言ってたね」
あっぶね~~! 変な勘違いするとこだった。もう少しで自意識過剰になりかけて壮大に自爆するとこだった!
容姿が良いとここまで異性を勘違いさせるのか。恐ろしいな全く。これだから顔が良い人は困る。平常心平常心、思い出すは後藤さんの奇行…………よし、平静を取り戻した。サンキュー下北沢のツチノコ。
「清水君も結束バンドを手伝ってくれる身だし、実質第二の家族よね!」
「いや、あくまで俺はメンバーじゃないからその論は成り立ってないんじゃ……」
「よね?」
「……ははは」
圧が怖え。喜多さんこんな子だったっけ。結束バンド入ってから少しずつおかしくなってないか?
変人達(主に後藤さんやリョウさん)と関わるようになって
よし、ここは話題を変える事に専念しよう。
「と、ところで自分の席に戻ってきたって事は喜多さんも話し合い終わったの?」
「え? うん、良い感じのアイデアが出たから終わったとこなの。私達の案になったら多分イマドキの文化祭っぽくなると思うわ!」
「ちなみに何か聞いても?」
恐る恐る聞いてみる。
天元突破した陽キャの言うイマドキほど怖いものはない。なに、ミラーボール飾ってパリピコレクション的な事でもすんの。パーリナイで踊りあかすの。
「みんなの写真から選りすぐりの映えスポット写真を展示する映えスポット展よ!」
て、展示物、だと……!?
バカな……喜多さんほどの陽キャグループが一番楽な展示物を選ぶなんて……天変地異の前触れか!? それとも後藤さんがまともになっちまう前兆か!?
いやでも待てよ。展示物ならそれはそれでこちらに好都合なのでは……?
陽キャは常に動いてないと死ぬ生き物(偏見)だから展示物は無理だと勝手に決めつけてた。だけど喜多さんがいる上位カースト陣がそれで良いと決めたならもう映えスポット展で良い気がする。
「清水君はどんな候補にしたの?」
「俺は駄菓子屋にしたけど、喜多さんのやつの方が楽そうで良いな。文化祭とか両日自由に見て回れるし」
「……へぇ、確かにそうね~」
クラスの中心人物がそう言うならもうこの案で間違いないだろう。
スマホのロインを開いて田中達に事の経緯を伝える。全員がすぐ既読になり俺の方へ向いて軽く首を縦に振った。楽したいヤツらは協力的で助かるな。
そうして一限目の時間も進んでいき、いよいよ投票の時間となった。
当然結果は見ての通り。
「はーい、では多数決の結果、五組の出し物は映えスポット展に決まりました~」
文化祭実行委員の女子の言葉により正式に出し物が決まった。
よぉし、これで両日共に俺は自由の身だ! 二日丸々後藤さんが逃げ出さないように見張っておけるぞ! 待ってろ後藤さん、常に闇を纏っている君でも文化祭くらいは楽しめるって事を俺がその身に教えてやらぁ!!
喜多さんも自分が出した候補が選ばれて嬉しそうだった。
いいね、映えスポットの写真については喜多さんみたいな陽キャが良い写真いっぱい持ってるだろうし任せとけば大丈夫だろ。俺の一眼レフには結束バンドのみんなばかりや映えとまではいかない景色しか撮れてないからアウトかなあ。
なので俺は適当に準備の手伝いとかその辺りをして当日まで伸び伸び待たせてもらう。
いやー、やっぱ一致団結って良い言葉だなー!
「じゃあ文化祭当日までに一人一枚ほど自分の思う映えスポットの写真を撮ってきてくださいねーもちろんもうあるやつじゃなくて新規で。映えてたら景色でも人が写ってても大丈夫でーす。まあこのクラスならこんなノルマくらい大丈夫でしょ」
「…………はぇ?」
今あの文化祭実行委員何と言った? 一人一枚は確定で映えを用意しなきゃいけないだと……?
何でそんな惨い事を言うんだ。もうあるやつで良いじゃん。写真に新鮮味とかないだろ別に! 映えスポットとか知らないんですけどぉ!?
両日自由になる代わりに陽キャ以外には結構シビアな条件が追加されてしまった。
名字多いブラザーズから痛い視線が送られてくる。やめろ、俺もこんな事になるなんて思わなかったんだよ。そんなルールあったっけ? 喜多さんから何も言われてないけど……。
俺達五人衆は集まれば基本うるさいが、陽キャ的なノリとかではなくアニメの話とかで勝手に盛り上がってヒートアップしていくタイプの人種だ。映えスポットなんて一つも知らない。
……いや、待てよ。アニメの聖地巡礼とかならまだワンチャンあるか? 今やアニメも世間に浸透して聖地巡礼もしやすくなってきてる。有名なアニメの聖地なら充分映えスポットにもなるはず。さっき実行委員も言ってたじゃないか。
自分の思う映えスポットを撮ってこいと。つまりはそういう事だ。大丈夫、何とかなる。
適当に良い聖地に行って写真を撮りつつ聖地巡り……あれ、案外楽しいかも……? これなら俺が少し遠出するだけで田中達も納得してくれるはず。
「ねえ清水君」
「……え、あ、何?」
「清水君ってイソスタ映えするような所に心当たりってある?」
「いや……この前の江の島くらい、かな」
「だろうと思ったわっ」
図星だけどストレートに言われると何だか引っかかるぞ小娘おい小娘。
そんな行かんだろイソスタ映えするとこなんて。行き過ぎてる喜多さんがおかしいんだよ。俺はむしろ普通だと思う。
「じゃあさ」
少し俺の席へと身を寄せて、声のボリュームを抑えながら喜多さんは言った。
「今度一緒にイソスタ映えするとこへ写真撮りに行きましょうよっ」
「……………………………………………………………………えぇ~」
蘇るは江の島の記憶。
太陽の下で陽キャ成分マシマシになった喜多さんのぶっ飛び具合。あんなのとまた対峙しろっていうのか……? 後藤さんじゃなくても死ぬぞ、俺が。
だがしかしこの案に乗ったのも紛れもない俺。正直喜多さんが一緒なら万が一にも間違えるなんて事は絶対にないという訳だ。
ヤツらとの友情を取るか、安パイを取るかの二択。
数秒考えて、俺は喜多さんに答えた。
「……分かった。俺に映えを教えてくれ」
「そうこなくっちゃ!」
迷わず田中達とのロープを切る。あいつらにはそれぞれ頑張ってもらおう。両日自由になれる代償を考えればまだマシだろ。
許せサスケ……また今度だ。
「でもできればお手柔らかに頼むな? この前みたいに無限に体力いるような場所は勘弁で……」
「色々調べとくわね!」
聞いちゃいねえ……。
ぼっちちゃんどこ……?
では、今回高評価を入れてくださった
☆10:丁瑠シドーさん、Saーがさん、節々の痛みさん
☆9:☆Ayase☆さん、しやぶさん、A徳カルビさん、AC6934さん、研究員さん、ギルネリーぜさん、完全無欠のボトル野郎さん、Incognitoさん
☆8:ソメイヨシノさん、9eyesさん、ツルギャオスさん、良し悪しさん、白い月さん
本当にありがとうございます!
承認欲求モンスター「高評価お気に入り感想くれーモチベ上がらせてくれー!」