再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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はまじ先生が最終回同時視聴配信をするまでは俺達のぼざろアニメ一期は終わらない……終わらないんだ……。




41.勉強は予習復習が大事

 

 

 

 ロインで喜多さんが後藤さんを殺してしまったという報告を受け、俺は喜多さんとメッセージのやり取りをしたまま現場へ向かった。

 居場所は生徒会室近くの廊下。そこに被疑者と被害者はいた。

 

 

「こ、これは……」

 

「し、清水君……私、どうすれば……」

 

 座り込んだまま涙目でこっちを見上げてくる喜多さん。そのすぐ傍には棺桶があり、中には胸に手を重ねて死んでいる後藤さんの姿があった。

 およそ朝の学校でお目にかかる光景ではない事だけは確かだ。

 

 そっと後藤さんの首に指を当てる。

 

 

「外傷なし、争った形跡も道具も見当たらない。だが脈は止まってる……か。恐らく……いいや、確実に精神的ショックの要因がでかそうだな」

 

「清水君、私……人殺しになっちゃったの……?」

 

「そこは全然気にしなくていい。にしても……溶ける訳でも爆散する訳でもなく、実体をそのままにして棺桶まで顕現させてるとこを見ると……GSレベルは4辺りか」

 

「じ、GSレベルって何? どういう意味なの……?」

 

「知らん、今勝手に付けた」

 

 多分GS(後藤の死因)とかそんなんだと思う。ちょっとそれっぽい事言ってみたかっただけです、はい。

 

 

「ちなみに何でこんな事になったか聞いても?」

 

 コクンッと小さく頷いてから被疑者(仮)は事の顛末を語り出した。

 

 

「昨日、やっぱり後藤さんの事が気になって保健室に戻ったら、もう後藤さんも清水君もいなくて……仕方ないから友達のとこに戻ろうとしたんだけどね。…………その、間違って保健室のゴミ箱に入ってた申請書に気付いたの! だからっ、後藤さんの代わりに私が個人ステージの申請書を出して、それをさっき後藤さんに言ったら急にこうなっちゃって……」

 

「……なるほどな」

 

 妙な間と一部の言葉に関して少し引っかかるが、喜多さんもこのパターンの死に方を見るのは初めてだからテンパってるという事にしておく。

 喜多さんにバレる前にとかそもそも保健室のゴミ箱に捨てるべきじゃなかったとか、もっと色々警戒しておくべきだったなぁ。友人との約束よりも後藤さんが心配で戻ってきてくれたのが完全に想定外だった。良い子すぎんだろ。

 

 にしても話を聞いてる限りこの死体、申請書を出す直前で日和りやがったな……? 

 昨日あんだけやる気になってて今日も出してくる雰囲気満々で別れたのに、日和った後にどういう気持ちで俺と会うつもりだったんだ。土下座してくる未来しか見えねえ。

 

 

「私、どうしたら……」

 

「まあ気にする事ねえよ。いつもと違うパターンで死んだってだけだ。ほっときゃその内起き上がってくるよ。とりあえずもうすぐ朝のHR始まっちまうし、今は棺桶ごと保健室に持って行こうぜ」

 

「う、うん……」

 

 棺桶を閉めて鎖を持つ。どうやらドラクエと似たような棺桶で引き摺っていけるらしい。

 

 

「……いや重っ。そんでもって持ちにくいなこれ!?」

 

「どうする? もう後藤さんだけ保健室に運んで行った方が早いんじゃ?」

 

「けど、そうすると棺桶置いていっちまうし……どうしたら消えるかも分からないんだよなこれ……」

 

 相変わらず後藤さんだけこの世界の人間とは思えない能力を持ってるな。まったく、こんな時に限って棺桶なんか出してくんなよマジで。

 世界の理をどこまで無視するんだこの子。

 

 

「喜多さん、俺が後藤さん運ぶから棺桶だけそのまま引っ張ってこれるか?」

 

「任せて!」

 

「頼む」

 

 そもそも保健室はこの階にないからどこかしらで階段を経由しなければならない。

 後藤さんが入ったままの棺桶だと到底下りれないのでちょうどいい。今回は喜多さんもいてくれるから変な目で見られなさそうで済むかな。

 

 喜多さんの手伝いを借りつつ後藤さんをおんぶする。

 補助がいるので今回はお姫様抱っこではない。あんなの連続でしてたまるかってんだ。はぁ、朝っぱら世話のかかる幼馴染には溜め息が出ますなぁ。

 

 

「んじゃ行きますか」

 

「ええ!」

 

 その後、登校時間という事もあり、ピンクジャージをおぶっている俺と棺桶を引きずっている喜多さんは結局色んな生徒から変な目で見られたとさ。

 これ何てデジャヴ? 

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 放課後。

 喜多さんと俺は後藤さんの様子を見に保健室へ行く事にした。まあ元々今日はスターリーで集まる予定だし起こさないといけないのだが。

 

 

「珍しいな。まだ起きてないのか。いつもならとっくに目覚めて布団に籠りながらぶつぶつ何か呟いてるのに」

 

「ああっ、やっぱり私人殺しになってしまったんだわ! ごめんなさい後藤さん……私ちゃんと自首します……」

 

「せんでいいせんでいい」

 

 どっから出してきたのか、喜多さんは『私は罪人です』というプラカードを首から提げて両手首を合わせている。

 いつから結束バンドは無から有を生み出す(物理)能力者ばかりになってしまったのか。虹夏さんは天使だし、普通の人間がファッキン借金のリョウさんだけって世も末だな。

 

 

「文化祭に冬休み……バンド活動……これから楽しい事がたくさんあったのに……」

 

「いやあるから。これからそれ普通にやっていけるから。捕まる前提で話進めるのやめない?」

 

 冬休みの事までもう考えてるって気が早くないですかね。陽キャは常に未来のイベントを見据えてんの? 

 計画性凄いな。江の島の時も事前に色々調べてたし楽しむ事に全力なんだね。

 

 

「でも……そういやその前に中間テストあったわね……テスト……?」

 

「ああ、そういえばテストも近いな。ぼちぼち勉強しとかねえと」

 

 と言っても普段から授業を聞いて少し復習とかしとけば大体良い点は取れるので、個人的にはそんな慌てる必要もない。

 まあ一人を除いてだけど。

 

 何かを思い出したように喜多さんはいきなり大きな声を出した。

 

 

「後藤さん起きて!!」

 

「あっはい!」

 

 勢い良く飛び起きた後藤さん。誰かの大きな声に慣れてなくてビビッて起きた感じか。とりあえず脈も復活して何よりだ。

 

 

「後藤さんって勉強できるのかしら!?」

 

「あっできません!」

 

「いい返事ね!」

 

 返事だけな。

 聞かれた後藤さんは三点と書かれたテスト用紙を俺達に見せてきた。うん、何度見ても酷い出来ですな。むしろ一~二問正解してるのが奇跡なのほんとどうかしてると思う。

 

 

「清水君……これって……」

 

「見た通りだよ。それが後藤さんの実力。普通にめっちゃ頭悪い」

 

「あっへへ……」

 

 自虐の笑みが凄い。初めて見た時はテストで三点って取れるもんなのかと大層驚いたもんだ。

 不真面目って訳でもないのにこの点数はもはや才能、あるいは呪いだと思う。ただ、ここで三点のテストを見せてくる辺りなけなしの見栄が隠せてないぞ後藤さん。下には下があるだろ。

 

 

「て、テストで補習になったらバンド活動もできないわ! 私もそんなに得意じゃないし、清水君いつもテストの点数良いわよね? 良かったら教えてくれない?」

 

「ん、まあ後藤さんには元から教えるつもりだし別にいいよ」

 

「助かるわ! じゃあさっそくスターリーに向かいましょ!」

 

「あいよ。後藤さんその棺桶ちゃんと消しといてな」

 

「あっうん……」

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

「おはようございまーす」

 

 やってきたのはお馴染みスターリー。

 今日はバイトもなく練習のはずだったのだが、先に来ていた虹夏さんとリョウさんは何やらテーブルでノートを広げていた。

 

 

「あ、先輩達もテスト勉強中なんですか!」

 

「おはよ~! そうだよ~」

 

「次に赤点取ったらやばいから教えてやってんだって」

 

「なるほど、じゃあ今日は予定変更してテスト勉強会ってとこですか」

 

 俺の言葉に店長はそうだろうなとだけ返してきた。

 赤点者は後藤さんだけじゃなかったんだな。まあ誰かは分かり切ってるけど。

 

 そんでもって何も気付いてない喜多さんは虹夏さんの頭に手をポンッと置き、

 

 

「あははっ、伊地知先輩頑張ってくださいね!」

 

「えっ、あたしが教えてるんだけど……」

 

 恋は盲目ならぬ憧れは盲目ってとこか。

 度が過ぎると相手の欠点は見えなくしてしまう。完璧な理想像を求めてしまうが故に良いところしか捉えられなくなるんだとか。

 

 ……いや、結構お金の貸し借りとか草食ってたりとか変なとこ見せまくってんな。

 それでいいのか喜多さんや。

 

 

「……え? そんな、まさか……リョウ先輩がバカなんですか!?」

 

「できません!」

 

「誇らしげに言うな」

 

 0点のテスト用紙をドヤ顔で見せてきたリョウさん。またもデジャヴを感じるが、いやまさかここでも0点用紙を見るとは思わなんだ。

 大丈夫かこのバンド。美形のクソバカ二人がどうしようもなさすぎる。神様もう少しこの二人に恵みを与えてやっても良かったでしょ。今のとこ顔の良さと音楽の才能以外何も良いとこないぞ。

 

 

「(リョウ先輩はミステリアスでどこか儚げで、思慮深くて無口なのも会話レベルが私達と釣り合わないからだと思ってたけど……まさか何も考えてないだけだったの!?)」

 

 おーおー、どんどん喜多さんの中のリョウさん像が崩れていく音がしてきますな~。

 リョウさんへの憧れでバンドに入った結果がこれだと思うと少し哀れに思えてくる。ドンマイ喜多さん。というか草食べてたりとかは別に平気だったのね。

 

 

「いや~~~! 脳みそが小さすぎて頭の中で転がる音がするわ~!」

 

 虹夏さんが軽くリョウさんの頭を振るとカラコロカラコロ音が響いてきた。構造どうなってんだろう。やっぱリョウさんも普通の人間じゃなかったのかぁ。

 

 

「この音次の曲に使えるかな?」

 

「ならタイトルは『カラカラ』とか良いかもですね。響き的には可愛いですしガールズバンドっぽくて」

 

「やめてー! 私のイメージを壊さないで!!」

 

 喜多さんの顔が壊れてますけど。この時代に楳図かずお作画見れるとは思わなかったや。順調に結束バンドに染まってきてる証拠だ。

 そして喜多さんや、よく分かっただろ。憧れは、理解から最も遠い感情だよ。

 

 

「ゆ、ゆうくん……」

 

「ん、どした?」

 

「わ、私はどうしたらいいのかな……」

 

 ああ、勝手に話が盛り上がると絶対話に入って来れないのが後藤さんだった。

 いつの間にか俺の後ろで服を掴んでおられる。最近は喜多さんとも一緒に学校を出るから普通に歩くし、何だかこれも久々だな。

 

 ……あれ、何で俺落ち着いてんだ? 前まではいつもこうだったから慣れすぎてておかしくなったか。

 このポジションを日常に感じてたせいで俺まで感覚が少し変になってるかもしれない。

 

 

「あ~そうだなぁ。とりあえず教科書とノート出して、先生が言ってた範囲になりそうなページを自分なりに探してみな。あと戒めとして前回のテスト用紙を見直す事。いいな」

 

「あっはい……」

 

 もぞもぞと自分のバッグの方へ向かって行く後藤さんを尻目に、俺はリョウさん達の方へ戻る。

 

 

「今リョウは中一の範囲やってるんだよ」

 

「そこから!? どうやって高校入ったんですか!?」

 

「確か虹夏さん達の学校って進学校だから相当頭良いですよね。何したんですかリョウさん。裏口?」

 

「違う違う。今はアホだけど受験の時はめちゃくちゃ頑張ってたんだよ。あたしが付きっきりで教えてたんだけどさ」

 

 その説明で納得しろって言われてもできるはずないんですが……。

 

 

「リョウは完全一夜漬けタイプだからね。その時は良かったんだけど、今はもう全部忘れちゃったみたいでテストも全部赤点なんだよ」

 

「脳みその容量キロバイトか何かなんですか」

 

「連立方程式楽しい」

 

 大丈夫かこの人。今までどうやって生きてきたんだ。まあ考えるまでもなく虹夏さんのおかげなんだろうけど。

 後藤さんとはまた違うタイプのダメ人間だな。

 

 

「デメリットとしては勉強の事を覚えると代わりに楽器関連を全部忘れちゃうってとこかな」

 

「ベースの弾き方とか忘れちゃう」

 

「よく今までやってこれましたね!?」

 

「デメリット大きすぎん?」

 

 借金クズから借金クズバカに進化しちゃったよ。進化じゃなくて退化か。いや劣化か? 

 結束バンドの未来が少し不安になってきた。やはり頼れるのは虹夏さんだけなのか……。

 

 今日はもう勉強漬け決定かね。底辺が二人もいるとさすがに練習どころじゃない。

 

 

「あ、そうだ。リョウさん虹夏さん、昨日言ってた卵焼き作ってきましたよ。テスト勉強するなら小腹対策にもちょうど良いですかね」

 

「優人の手料理ッ!!」

 

「うおっ!?」

 

 うるっさ! 聞いた事ないくらいの声量と振り向きの風圧で飛ぶかと思った。

 お金と食い物に関してはガチじゃんこの人。一番やばいタイプの人間だこれ。

 

 

「おーほんとに作ってきてくれたの!? ありがと優人くーん!」

 

「手料理ってほどでもないですけどね。というかほんとにって……え、まさか冗談だったんで」

 

「ありがたく頂戴するね~!」

 

 有無を言わさず容器を取られてしまった。

 動きが見えなかった……こ、これが伊地知の黄色い閃光……!? 

 

 

「あ、ちゃんと名前書いてある。こっちがリョウのだってー。あたしのがこれね」

 

「味の好みが分からないんで何となく独断と偏見で味付け変えてあるんですよ。リョウさんは打ち上げの時居酒屋の定番系ばっか食べてたんで、味濃いのが好きなのかと思ってそれに合わせて卵焼きというかだし巻きですね。虹夏さんは天使なんで少し甘めに仕上げました」

 

「あたしの味付け理由がよく分かんないんだけど」

 

 さすが虹夏さん、天使は自分の行いに見返りを求めない。そして自覚もないから自分でもよく分かっていない。まさに聖母のような器を持っているだけある……。

 

 

「う~ん……おいひぃ~。優しい味が染み渡るな~……」

 

「何個でもいける。優人、おかわり」

 

「もうねえよ」

 

 食うの早すぎだろ。ばっくんばっくん食い漁りやがって、パックマンかと思ったわ。

 それに比べて虹夏さんは一つ一つ丁寧に食べては味わってくれている。そうそうこういうの、こういうのでいいんだよ。

 

 これが癒しか……。

 

 

「ねえ清水君これどういう事!? 話が見えないんだけど!?」

 

「ああ、喜多さん昨日いなかったもんな。実はかくかくしかじかなんだよ」

 

「リョウ先輩……そんな事が……」

 

 あ、そこなのね。てっきり流れで私にも作ってよー的なノリで来るかと思ってたわ。

 完全に俺の自意識過剰だった。うわーちょっと恥ずかしい。

 

 

「ゆうくん……私には……」

 

「安心しろ。今日から毎日夜食は作ってやるからな」

 

「あっうん…………えっ!?」

 

 ちょっと理解するの遅れてたな。このくらいしないと後藤さんは赤点回避できないから俺が付きっきりで勉強を見なきゃ話にならないのだ。

 ちなみにテストだけはスパルタでいかせてもらう予定である。後藤さんの吸収率の悪さは俺が一番知っているので、そこからどう上手く点数を取らせるかを考えるのも俺の仕事だ。

 

 介護より介護してるじゃん。

 

 

「ところで清水君」

 

「ん?」

 

「二人で出掛ける日はテスト期間が終わってか」

 

 この日、俺は自分の人生の中で最も反射神経が早く反応したかもしれない。

 みんなが反応する前に喜多さんの口を手で抑え込んだ。

 

 

「(その話はロインで済ませようか喜多さん……!?)」

 

「むがもごむが♪」

 

 何でちょっと楽しげなんだこの小娘。言葉をもう少し選ぶ事もできんのか。語弊しかねえ言い方するんじゃないよまったく。

 みんなは店長を筆頭に虹夏さんを羽交い締めにして卵焼きを一つずつつまんだりしてこちらには気付いていない。虹夏さんはぷんぷん怒ってるけど。後藤さんに関しては今日から行われるスパルタ勉強に泡を吹いてる。

 

 テスト勉強するんじゃなかったのかお前ら。

 何だこの光景。

 

 

 

 

「うーん……地獄絵図」

 

 

 

 

 






ぼっちちゃんの可愛いイラストとか原作読んでると、やっぱり多少のイジりはすれど甘やかしたくなる症候群に駆られてしまう……。
庇護欲半端ないなマジで。

忙しくて更新頻度が緩やかになっていくかもしれない。


では、今回高評価を入れてくださった

☆10:チョウシュンさん、s.s.さん、スコタコさん、ひかぽんさん、s sさん、カキカクロさん、りんくすさん、しろさばさん

☆9:めちょくさん、イッッヌさん、Nira-Tamaさん、火拳さん、さくらんぼの味噌煮さん、やつきさん、vongolaさん、タスマニアさん、グアテマラ派さん、とめぃとさん、シキアさん、takumiさん、完全無欠のボトル野郎さん、スルメ以下さん、けん0912さん、神羅さん、醍醐さん

本当にありがとうございます!
まずは投票者数800、目指してみっかぁ
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