再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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前回の男子達との茶番が意外と好評で安堵してた。
評判良いならまたどっかで挟み込みたい所存。


そして新キャラが増えていくぅ。




47.初めて行くライブハウスはちょっと怖い

 

 

 警察の方には俺から上手く説明して帰ってもらった。

 顔の傷とかに関して少し聞かれたが、ボクシング部だから熱い拳を交えただけですと嘘をついて難を逃れる事ができた。噓も方便という事で許してほしい。

 

 

 そして駅へ向かう最中。

 こんな会話があった。

 

 

SICK HACK(シク ハック)のライブをタダで見れる……胸熱!」

 

「シクハック……? それが廣井さんのバンド名なんですか?」

 

「そだよ~! オシャレでしょ~!」

 

「オシャレなのかそれ?」

 

 俺には分からん……。四字熟語をそれっぽく変換するだけでオシャレになるなら苦労しないだろ。

 そしてリョウさんはタダに喰い付きすぎだ。もしお金いるってなったら絶対自分で払えなかったな。俺には分かる。だってさっきいの一番にチケット貰ってたし。

 

 にしても、きくり姐さんのライブか。

 

 

「なあ後藤さん」

 

「えっな、何?」

 

 みんなとは二歩後ろ離れて歩いている後藤さんに歩幅を合わせ話しかける。

 

 

「きくり姐さんのライブ、どう思う?」

 

「あっ、えっと……前の路上ライブで上手い事は知ってるけど、どんな音楽してるかはよく知らないなって」

 

「やっぱ気になるよなぁ」

 

 きくり姐さんの実力は本物だ。後藤さんと路上ライブをした時だって、きくり姐さんにとっては即興だったのに上手く合わせてセッションしていた。

 先ほどのインディーズバンドの中では人気だというのも本当なんだろう。泥酔しながらライブしても人気があるのは、相当な実力者じゃないと許されなさそうなイメージある。

 

 

「だから、楽しみ……かな」

 

「……だな」

 

 軽く笑みを浮かべた彼女を見てこちらも少し安堵する。

 文化祭ライブの事で浮かない表情ばかりしてたし、今日のライブでちょっとは前向きになってくれたらいいな。

 

 

 

 そんなこんなで下北沢駅から新宿駅に着き、西口広場方面の改札辺りまで来た。

 新宿の人混みの多さは異常。弱い人ならここで人酔いしてもおかしくないレベル。

 

 で、酒臭い大人(笑)のきくり姐さんは俺が肩を貸してる状態だ。すれ違いざまにちょっと肩がぶつかっただけでふらっと倒れそのまま嘔吐しかねないから、仕方なく俺が介護する事となった。

 そしてもう一人。人混みが苦手な少女がいた。

 

 

「あっ今日のライブ、凄く良かったです……」

 

「まだ会場にすら着いてないでしょ!」

 

 さっき見た笑みはどこへやら、後藤さんは死にかけていた。

 うん、まあ新宿とか普段来ないしこの人混みはまだ厳しいか。この子の場合、少し目を離すとすぐ人混みに呑まれてはぐれるとか余裕でありそう。それは面倒だ。こんなところで騒ぎになるのは勘弁である。

 

 

「後藤さん、はぐれねえように近くにいろよ」

 

「あっうん……」

 

「何ならいつも通り俺の服でも裾でも好きなとこ掴んどきゃいい。絶対離すなよ」

 

 左側はきくり姐さんに肩貸し中なので右側の方へ来させる。

 というかきくり姐さんヘラヘラしながら俺の首に回してる右手に力入れてくんのやめて。絶対無意識じゃん。余計顔近くなるから危ないって臭い! あと臭い! 

 

 顔を離そうと地味に格闘してたら右手を握られる感触があった。

 咄嗟に視線を戻すと、後藤さんと俺が手を繋いでる状態になっていたのだ。

 

 

「……何でいつもは裾とかなのに今回手繋いでんの?」

 

「あっ、その、こうしとけば私も離す事ないし……ゆうくんからも握っててくれればはぐれる事もないかなって……」

 

「確かにそうだけどさ……まあいいか」

 

 なるほど合理的だ。後藤さんにしてはよく考えたと褒めてしんぜよう。

 しかしこれで俺の両手は塞がった。左に酔っ払い、右にド陰キャだ。

 

 両手に華だと思うかい? 残念、その実ただの介護なのだよ諸君。

 自分でも驚くほど喜ばしい気持ちとか一切湧いてこない。右側がまだマシだと思うくらいだ。後藤さんがマシって、世も末だな。

 

 

「ゆうきゅん達も青春してんね~。いいな~私も混ぜろよぉ~!!」

 

「頼むからちょっと黙っててください」

 

「ほんと優人くんが結束バンドの手伝いでいてくれて良かったよね」

 

「ですねぇ。廣井さんの面倒見るの本当に大変そうですし……こういうのはやっぱり男手が一番ですね」

 

 おい聞こえてんぞ前の二人。

 厄介事ばっか押し付けてくるのは違うんじゃないですかね? ちょっとはサポートするとか考えないかなあ!? 

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

「ここが私のホーム、新宿FOLT(フォルト)で~す!」

 

 酒の匂いを拡散させながら左側のきくり姐さんが声を上げる。

 結局会場に着くまで俺の介護は続き、後藤さんとも手を繋いだままここまでやってきた。

 

 新宿フォルト。

 違うライブハウスってだけで結構印象変わるもんなんだな。内装とかスターリーと全然違って少し新鮮だ。

 

 

「ありがとねゆうきゅん。さあ、みんな入って入って~!」

 

 もう良かったのか、きくり姐さんは俺から離れて案内を始めた。

 ついでに後藤さんと繋いでいた右手も離し、俺達は中へと入っていく。

 

 

「スターリーとは随分雰囲気が違いますね……」

 

「だいじょーぶ。うちと変わらないよ!」

 

 フロアの広さはここの方が大きいのか。の割には地下という事もあり、照明もまだ最低限しか点けていない状態ではやけに雰囲気も暗く感じる。

 うん、スターリーがいつも騒がしいだけですねこれ。本来ならこういうちょっとダークな感じの雰囲気なのがライブハウスの良い所だろう。危ねえ、あまりにもあそこがホームすぎて感覚がおかしくなるとこだった。

 

 

「へえ、ここは料理も提供してんのか」

 

「そだよ~! ゆうきゅん料理上手だし何ならここで働いてくれてもいいからね~!」

 

「別にメニューもレシピも変わらんから一緒でしょ」

 

「ふふん、このライブハウスはシェフのアレンジもオッケーなん」

 

「優人くんは渡しません」

 

「らしいです」

 

「妹ちゃんの目がまた先輩みたいになってる!?」

 

 とほほと案内を再開していくきくり姐さん。すいません、虹夏さんスターリーの事になると本気になっちゃうだけなんです。

 それにしても一日で二度も虹夏さんの瞳からハイライト消させるなんて、きくり姐さんどれだけダメ人間だと思われてんだ。

 

 

「ん゛ん゛っん゛」

 

「ひぃうっ!? いいいいイキってすみません……」

 

「何だどうした」

 

 後藤さんがまた内心勝手にイキって敗北したらしい。

 彼女の視線の先には、どうやらこのライブハウスで今日ライブをするのかただの打ち合わせなのか、明らかにガラの悪いガールズバンドっぽいお三方がいた。

 

 しかも一人はめっちゃこっち睨んでる。

 ベレー帽を被り首にチョーカー、全体的に黒で統一された服装と見た目をしており、一番印象的なのはツインテールをしているところか。

 

 今のこの時代にツインテールしてる人って本当にいるんだな。いやバンドマンだしキャラ付けの可能性もなくはないか? 

 にしても睨みすぎじゃないですかね……。メンバーの一人はタバコ吸ってるけど、ツインテールの人は明らかに未成年に見える。おおよそでしか推測できないが、座高もそんなに高く見えないし身長は低め……見かけで判断するのは失礼だけど多分高校生で同い年くらいなんじゃないかと勝手に思う。

 

 というかあの人後藤さんじゃなくて俺の事見てません? そりゃ女子達の中に一人だけ男が混ざってるのは自分でもおかしいって自覚はしてるけど……そんな邪険にしなくても良くない? 

 バンドマンってあんなに敵意剥き出しにするものなのか。おそらく先ほど咳払いしたのも彼女だろう。それで後藤さんが怖がって萎縮している。

 

 第一印象だけなら、まあ良いとは言えないな。

 

 

「怖いならこっちいろ」

 

「えっ、あっ、ありがと……」

 

 後藤さんをカウンター側に移動させて俺の側に寄せさせる。

 もう一度ツインテールの方を見てみると、彼女はまだ俺を見ていた。目付きは先ほどよりも鋭くなっている。

 

 俺が何かした訳でもないのにあんな睨まれるのは理不尽だろ。またあらぬ冤罪でもかけられるんじゃないかとちょっと警戒しておく必要がありそうだ。いや朝方のは冤罪というか事実だったけど……。

 初対面相手に堂々と睨んでくるあのメンタル。俺には分かる。バンドマンにまともなヤツはいないのだと。

 

 結論、変に関わるとロクな事がねえ。つまりは面倒事なんて御免なのでもう無視させていただく事にした。

 触らぬ神に祟りなし。ああいうのは関わると絶対後々面倒になるタイプだもん。しかも全身黒にツインテールとかちょっとした中二感あるし確実に地雷系だ。

 

 俺の面倒事センサーがヴィンヴィン鳴ってる。華麗なスルーでいこう。

 今日はライブを楽しみに来たんだ。

 

 

「ああいう人達も大体話せば良い人だから大丈夫だよぼっちちゃん」

 

 まあ最初はスターリーの店長もPAさんも見た目で言えば怖い部類だったもんな。

 話せば全然だったというか可愛いもの好きなツンデレ店長と本名不詳の優しい中退PAさんという事が判明したし。いやPAさんに関しては今も謎だらけだな。

 

 

「銀ちゃ~んおはよ~!」

 

「あぁ?」

 

 きくり姐さんが一升瓶片手に手を振った先には、何ともまあ一番物騒な見た目と雰囲気を醸し出している人がいた。

 耳に大量のピアス、口にもピアス、両手首にシルバーを巻き、目付き半端ねえし野口さんやら福沢さんをピラピラと数えていらっしゃる。

 

 パッと見だけで言えばやべー人一択なんだろうが、きくり姐さんの態度からして悪い人ではなさそうだ。まあインパクト強すぎて後藤さんの体内からパチンパチンと何かが小さく弾けていく音してるけど。

 そんな中、先頭を歩いていた虹夏さんが俯きながら静かに俺の方に寄ってきた。

 

 何だろうと思っていると、彼女は俺の手を握り顔が見た事ないくらいふにゃふにゃになりながら涙目になっている。

 

 

「ゆ、ゆうとくん……お姉ちゃんに会いたい……」

 

 あぁ、さすがに虹夏さんもアウェーのライブハウスでこんな人と会ってしまったから怖かったんだな。

 ちょっと幼児化してるもん。精神が一気に退化してしちゃってる虹夏さんもこれはこれで可愛いな。何気に喜多さんも背後から小さく服掴んできてるし、リョウさんは無表情だ。うん、通常運転だね。

 

 

「この人が店長の銀ちゃんね~! あとスターリーが珍しいだけでライブハウスの店長なんて男ばっかだからねぇ! 見た目はアレだけど良い人だよ~!」

 

「あら~、随分可愛くてピチピチなお友達がいるのね~! あたし、吉田銀次郎37歳で~す! 好きなジャンルはパンクロックよ! 好きなように呼んでくれていいからね!」

 

 おぉ、心が乙女な人と出会うのは初めてだな。

 話し方も明るいし普通に優しそうな人じゃん。虹夏さん達は見た目と話し方のギャップで混乱しているようだ。仕方ない、先陣は俺が行こう。

 

 

「どうも初めまして。清水優人、誕生日はまだなので15歳です。好きなジャンルはポップロックとかミクスチャーロックをよく聴いてます。見た目とのギャップ凄いですね」

 

「よく言われるわぁ~!」

 

「ギャップで頭バグるよね~! でも銀ちゃんは心が乙女なただのおっさんだから安心してねぇ!」

 

 こういう人って何故か服装とか見た目厳つい人が多いの何でなんだろうな。この人は違うけどやけに筋肉質の人とかも多い印象ある(偏見)

 でもって話してみるとめっちゃ良い人というね。ギャップが良いよね。銀次郎さん、好きなように呼べばいいって言ってくれたよな……。

 

 

「あの、銀さんって呼んでも大丈夫ですか?」

 

「全然良いわよ~! ならあたしは優人ちゃんって呼ぼうかしら~?」

 

「超オッケーです」

 

 よし、これで自然に万事屋っぽい感じで銀さんと言えるな。中々ない名前だし、銀さんと呼べるならちゃん付けで呼ばれるくらい何とも思わない。

 俺と銀さんの会話を聞いて安心したのか、虹夏さんも普段の調子に戻り軽い挨拶を済ませていると、

 

 

「おい廣井」

 

「ほぉい?」

 

 女性の声と共に、奥の方から声の主っぽい人ともう一人の女性がこちらにやってきた。

 

 

「遅刻するなっていつも言ってるよな」

 

 そう言ったのは黒髪ショートの女性。黒シャツの上から青と白の無地のスカジャンを羽織り、下には黒のズボン装備。どちらかというとボーイッシュな雰囲気でかっこいい系の人だ。

 

 

「むぅ~、もうリハーサル終わっちゃいましたヨ~!」

 

 少し口を膨らませながら言ったのはアホ毛がピョンと一本飛び出している金髪ロングの女性。黒のキャミソールの上に白い着物を羽織っているが、大胆に着崩しており容姿も相まってか教育上ちょっとよろしくない服装だ。見た目的に日本人じゃない事は確かだけど、どこの人なんだろうか。というか着物とか普通に凄いな。

 

 

「ごめーん! まあ何とかなるっしょ!」

 

「時間を守らない人は徐々に誰からも信用されなくなるんですよきくり姐さん」

 

「ゆうきゅんここで正論はやめてよぉ!」

 

「うおっ!? 一升瓶振り回しながらしがみ付いてくんな! 酒かかるでしょうが!」

 

「こうなったらゆうきゅんを酒漬けにして道連れにするのもやぶさかじゃないよ!」

 

「未成年に何てこと言うんだこの人!?」

 

 そういやテストの時も教師脅して解答盗めとかとち狂った事言う人だった。

 つうかマジで飲まそうとしてくるじゃん! 高校生の口に強引に一升瓶近づけてくる成人女性の構図って色々アウトなのでは!? この人より力強くて良かったと心から思ってる。筋トレ様様だ。

 

 俺ときくり姐さんが格闘しているすぐ隣では、虹夏さんと黒髪ショートの人が自己紹介し合っていた。

 どうやら黒髪ショートの人がSICK HACKのドラムを担当している志麻さんという人らしい。

 

 

「最近うちの廣井がご迷惑おかけしてるようで、あっこれつまらないものですが」

 

「あ、ありがとうございますっ」

 

「……で、お前は現在進行形で迷惑かけるんじゃない」

 

「あべしっ!?」

 

 志麻さんの手刀がきくり姐さんの脳天に直撃。きくり姐さんは崩れ落ちた。哀れすぎる。

 

 

「た、助けてくれて、ありがとうございました」

 

「私のストレス発散にもなるからね。……()()()()()()()()()()

 

「……?」

 

 何だろう、最後の含みある言い方は。

 あときくり姐さん以外からゆうきゅんって言われるのは何だかむず痒いな。しかもかっこいい系のこの人が言うもんだから余計に。

 

 

「はいは~い! 私清水イライザ! イライザって呼んでイーヨ! 18歳までイギリスに住んでました~今日本三年目! 仲良くしてネ~!」

 

「あれ? 清水だって、優人くんと一緒だね!」

 

「え? ああ、そうですね。俺も清水なんですよ。清める水と書いて清水。清水優人です」

 

「オ~! ユウきゅんも清水だったんですネ~! まったく一緒ヨ! きゃは~!」

 

「なっちょっ待っ、抱き付くのはっ!?」

 

 ふぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 

 な、なん……この、このふくよかな感覚……とても甘い香りと包容力のある肌の柔らかさは……!? 

 

 あ、抗えない……これが大人の包容力……大人のお姉さん……俺に足りていなかったもの……。

 酒の匂いがしないってだけでこんなにもハグで幸せになれるのか。フレンドリーハグ万歳! 大人のお姉さん万歳!! 俺はもうこの中で死んでもいい!! 

 

 

「い、伊地知先輩……これって……」

 

「うん……いつもぼっちちゃんやリョウ、何だかんだ廣井さんの面倒を見たりして苦労してる優人くんは、小さい頃から家事ばかりで誰かを甘やかす事はできても自分を甘やかしてくれる人がいなかった。だからきっとこういうのに弱いんだ。自分を甘やかしてくれる包容力のある人にッ!」

 

「ゆ、ゆうくん……!? あっあわ、あわばばばばああばばああばばばばあばば……!?」

 

「きゃあー! 優人君がしぼんでいってるわー!?」

 

「優人も順調に人間辞めてきてる」

 

「んな事言ってる場合か! 優人くん元に戻すよ!」

 

 その後、俺は虹夏さん達のおかげ(修復作業)で人間の形に戻る事ができた。

 俺はいったい何をしていたんだ……? 直前までの記憶が曖昧になってるような……。

 

 

「(伊地知先輩……優人君が記憶を呼び戻そうとしてますよ!)」

 

「(あたしが話題を変えるよ!)」

 

 うーん、何か思い出せそうな気がするんだよなあ。

 確かイライザさんに──、

 

 

「あー! そういえばイライザさんってわざわざ日本に来てまでバンドするなんて、邦ロック好きなんですね!」

 

「あは~ノー! コミケ参加したくて日本来たノ~! 本当はアニソンコピーバンドしたいネ~!」

 

「そ、それは……!?」

 

 イライザさんが取り出したスマホケースに付けられているストラップを見て俺の目は見開いた。

 

 

「スローループ……スローループじゃないですかそれ! イライザさん好きなんですか!?」

 

「イエ~ス! 可愛い女の子が出るアニメにハズレはないネ~! もしかしてユウきゅんもアニメ好きなんですカ?」

 

「愛してます」

 

「私達の相性バッチリネ~! いっぱい語り合いまショ~ウ! あ、そうだユウきゅんロイン交換しヨ~!」

 

「イェーイ!」

 

 イライザさんとハイタッチしてスマホを出し合う。

 アニメを語り合える人がいるって最高だネ!! 大人だし包容力あるしアニメ好きだし、もしかして理想の人見付けちゃったかな~! 

 

 

「「またか!!」」

 

 虹夏さんと喜多さんが何か叫んでるが気にしない。同志を見つけた時の感動は何ものにも代えがたいのだ。

 いや~まさかきくり姐さんのバンドメンバーがこんなに良い人達だとは思わなかったなぁ。やっぱバンドマンにもまともな人はいたんだ。

 

 

「ん゛ん゛っん゛ぅっ!? けほっこほッ!」

 

 また後ろの方から咳払いが聞こえて見てみると、先ほどのツインテールが少し涙目でこちらを睨みながらマジで咳き込んでいた。

 わざと咳払いしようとしたらマジで喉にちょっと唾が詰まって苦しいやつだあれ。そこまでして睨んでこなくていいのに。もしかしてかまってちゃんか? 

 

 イライザさんとロインIDの交換を終えると、今度は裾を軽く引っ張られた。

 予想通り、後藤さんだ。

 

 

「どうした?」

 

「あっその……わ、私もそのアニメ、みっ、見てみようかな~……なんてぇ」

 

「俺の気持ちを理解しようとしてくれんのはありがたいけどやめとけ。バトル物ならまだしも、日常系は友達と青春してるやつが多くて視聴してる後藤さんが先にダメになっちまうぞ」

 

「あぅ……」

 

 本来なら日常系アニメは難しい事を考えずに視聴できて癒されるものなんだけど、後藤さんの場合は逆に致命傷受けかねないのが難点だ。

 いや、本当にどうかしてると思う。

 

 

「じゃあ私達は準備してくるので、皆さんはゆっくりしていってください。イライザ行くよ」

 

「ハァ―イ! ユウきゅんまた後で話しましょうネ~!」

 

 軽く手を振って一旦別れを告げる。気絶しているきくり姐さんは志麻さんが引き摺っていった。

 開場時間も迫ってきてるし、外にはもう客も並んでるかもしれない。

 

 

「別のライブハウスで初めて見るライブか。楽しみになってきたな、後藤さん」

 

「うっうん……!」

 

 何とも言えないドキドキ感とワクワク感が一斉にやってくる。

 しかもきくり姐さんのバンドのライブだ。こんなの楽しみに決まってるよな。

 

 開場までもうすぐ。

 俺はもう自分の口角が無意識に上がってしまうほどワクワクしていた。

 

 

「ん゛ん゛っっっん゛!」

 

 

 

 後ろから聞こえる咳払いに対して少し面倒になりそうな予感も感じながら。

 

 

 

 





アニメが好きな時点でイライザさんとの相性が悪い訳ないんだ……。
しかも大人のお姉さん。

次回はあのツインテールとも絡む(絡まれる)予定。


では、今回高評価を入れてくださった

☆10:によによによさん、静養さん、おとめさん

☆9:待宵月さん、GENEさん、Ryonganさん、神威さん、ふぬぬーさん、栄光さん、イキョウさん、cielo4869さん、真っ黒クロスケさん、ラングストン教授さん、タスマニアさん、けん0912さん、完全無欠のボトル野郎さん、ロック365さん、ルーオークさん、八幡零士さん

☆8:花浜匙さん、修羅場好きさん、ずーZさん

本当にありがとうございます!


喜ばしい事に、ブレイアッさんという方から特殊タグを使ったロイン風再現ファンアート的なものを頂きましてね?
許可を頂けたので、それを45話にあるぼっちちゃんからのロイン連投のシーンに差し込んでみました。
気になる方はまたそのシーンのとこだけでも見直すとぼっちちゃん狂気で可愛いなって思うかもしれんよ!
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