再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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はっはっはっはっ!
今流行りのTwitter春のBAN祭りのせいで凍結されちまったぜ!!
もはや笑うしかねえ! 終わりだ! 何もかも!!




51.それいけ秀華祭!

 

 

 

「二年二組お化け屋敷~! 最後尾はこちらでぇ~す!」

 

 まずやってきたのは血まみれナース服の女生徒が宣伝中のお化け屋敷。その名も『幽霊病棟』というらしい。

 実際は教室なのに何でお化け屋敷なのとか病院設定なのとか野暮なこと言うヤツはここにはいない。思ってても心に仕舞っておくのが美徳だ。俺はちゃんと仕舞ってる。

 

 

「目のハイライトがない……そういうカラーコンタクトでもしてんのか? 特殊メイクもしてるし完成度すげえな。あとこの学校全体的に顔面偏差値高い女子多くない? 似合ってるコスプレほど良いもんはないな……」

 

「出てる、オタクの部分めっちゃ出てるよ優人くん」

 

「ちょっと引く」

 

 リョウさんに引かれたら普通にお終いだと思うんですけどやめてくれません? 

 男にとってメイド服やナース服といったコスプレへの潜在的興味(見る側専門)は尽きないものなんですよ。可愛い女の子が可愛いコスプレをする。まさしく大正義ってやつよなあ! 

 

 

「ぼっちちゃんもメイドのコスプレしてるじゃん。ほら」

 

「あっ」

 

「HAHAHA、何を言ってんですか虹夏さん。堂々と着こなしてる彼女達と自信喪失しながら仕方なく着ている後藤さんとじゃ完成度は高くても可愛さや美しさに天と地の差が出るんですよ!!」

 

「声張り上げて言うのはまだいいけどさ。じゃあ何でこっち見ないで目逸らしてんの?」

 

「いやほら、今日俺寝違えたような気がして。もしくはあの可愛いナース服の女子を目に焼き付けておき首がぁぁぁああああああああああああああああ!?」

 

「そんなガン見してたら失礼でしょ?」

 

 完璧な理由を言っている最中に喜多さんが俺の顔を持って首ごと力の限り曲げてきた。

 嫌な音したんだけど。グギリッとか変な音したんだけど折れてないよね? ニコニコ笑顔でやってくるもんだから最初何が起きたか分からなかった。暗殺者かな。

 

 

「まあいいや。実は校内マップ見てからここ気になっててさ、みんなで入ろうよ!」

 

「私も賛成です! クラスの友達がもう行ってて評判とか良いらしいですよ!」

 

「あ、俺今ので首痛めたからみんなで行ってきていいですよ。外で待ってますから」

 

「ダ~メ、みんなで行くんだよ~」

 

 くそっ、適当な口実じゃ無理だったか。

 つうか虹夏さん手引っ張らないで。子供みたいで恥ずかしいから。いや力強っ、握力も強え、これがいつもドラム叩きまくってる人のパワー……? そのうち骨津拳師のKICK BACKみたいになりそう。

 

 しばらく並び続けると、俺達の番がやってきた。

 

 

「では前のお二人から入っていただいて、あとの三名様は少し経ってからお入りくださいねっ」

 

 五人一緒じゃダメだったらしい。

 という事で先に虹夏さんと喜多さんが入り、後から俺と後藤さんとリョウさんで入る事になった。しょうがない。ここまで来たからには入るしかないか。

 

 

「優人はこういうホラー系大丈夫なの」

 

「舐めないでください。こちとらいつも気配を消す後藤さん相手にしてるんですよ。それに比べたらお化けを演じてるただの人間なんて存在感の塊。怖いはずありませんて」

 

「急によく喋るね」

 

「どういう意味すかそれ」

 

 おおん? 

 

 

「では三名様入りま~す! どうぞ~!」

 

 血まみれナースに案内され、三人で中に入る。

 教室の中は黒いカーテンや布で覆われ、目を凝らさないと前も見えにくいほど暗闇に満ちていた。

 

 へ~、雰囲気は意外とそれっぽいのな。教室内なのにそういうのを一切感じさせないほど世界観が作られている。

 暗い中にも注射器やらメスなど、リアルなおもちゃ類が散らばっており病院設定を徹底しているようだ。

 

 

「あっあの、ゆうくん……さっきからずっと私の裾掴んでるけど……大丈夫……?」

 

「当たり前だろ。暗いからはぐれないように掴んでるだけだ。後藤さんの場合こういう暗いとこだと溶け込んでいなくなるかもしれないからな。気にすんな」

 

「よく喋る」

 

「何が言いたいんすか?」

 

 おおん?? 

 

 幸い暗いから後藤さんの姿もちゃんと見えないし裾を掴むくらいなら余裕でできるな。

 よし、最後までこれで行こう。

 

 ふんっ、これだけ細かく作っていたとしても所詮は学生が作った程度のお化け屋敷クオリティーだ。

 驚かすために待機してる場所でそろそろ出番だなって時にもぞもぞ動き出す音とかこっちに聞こえてくるんだろどうせ。音とタイミングさえ分かればこっちも心の準備ができ──、

 

 

「アアアァァァァアアァァァアァァアアアアアァァアアアァアアアアアッ!!」

 

「ひぃぃぃぃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!?」

 

「ヒィッ!? ……え、ゆ、ゆうくん!? う、腕にしがみ付いて……!?」

 

 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ッ!! 

 いきなり出てくんのはズルいでしょ!! 物音全然しなかったじゃん! 前振り一切なかったじゃん!! 突然エンカウントはダメだって!? ちくしょうじわじわ来るんじゃなくてそういう系のお化け屋敷か!! 

 

 

「……ハッ!?」

 

 し、しまった……。

 俺とした事が長髪血まみれナースに驚いたのを後藤さんとリョウさんに見られたか……!? 

 

 

「ゆ、ゆうくん、大丈夫……?」

 

「……あ、あったりめえよっ。お化け屋敷なんだからこっちも怖がってやんのが礼儀だろ。あちらさんも頑張って驚かせに来てんだ。ノーリアクションなんて失礼だと思った方がいいぞまったく」

 

「ぶふぅっ……ぐ、ぐふっ……! さ、さすが優人……優しいとこあるぶふぅっじゃん……いいと思うぶはっ!」

 

 この野郎……笑いを堪える気一ミリもねえな……。

 

 

「よし、次行くよぼっち。面白くなってきたかも」

 

「あっはい。ゆうくん……よ、良かったらまだ掴んでていいからね……」

 

「……は、はぐれねえためだからな」

 

 結局、そのあとも教室内は俺の悲鳴ばかり響きながらゴールした。

 

 

「外まで優人くんの悲鳴聞こえてたよ」

 

「優人君怖いのダメだったのね。意外かも」

 

 外で待っていた虹夏さん達と合流し、俺は廊下の窓際で座り込む。

 暗いとこから一気に明るい場所へ出たせいか目がチカチカするが、気持ちを落ち着かせるのにはちょうどいい。はーしんどっ。

 

 

「ぷふっ、優人の悲鳴……最高だった……! ぶふぉっ……優人、何ならもう一回入るのもありふへっ」

 

「やめなさい。んでぼっちちゃんは何でそんな満足気に溶けそうな顔してんの?」

 

「うへへ、うへ、うぇへへ……いやぁ、ゆ、ゆうくんが珍しく私にくっついて頼りにしてくれたのが嬉しくて、つい……ふへへ」

 

 あ、目が慣れてきた。

 ついでに気分も落ち着いてきたっぽい。けどそのせいで痴態を見られた羞恥心が俺を襲ってくる! やめろ、よりによってリョウさんに見られるのだけは避けたかったのに!! 

 

 

「あれ? でも優人くんこの前ぼっちちゃん家行った時、ぼっちちゃんの部屋で怪奇現象っぽい事起きても全然動じなかったよね?」

 

「ホラー系って言ってもじわじわ来るのとかは大丈夫なんですよ。来るタイミング大体分かるし。ただいきなり飛び出てくるとかそういうドッキリ系がどうも苦手みたいで……ほら、ああいうのって突然出てきたら対処できないから……。ちなみに後藤さん関連なら全部平気です。ほぼ全て慣れてるんで」

 

「はえ~、そういう事だったんだ」

 

「優人君はドッキリ系のホラーに弱い、と」

 

 おい喜多さん、何をメモしている? まさかいつか俺にそういうの仕掛けてくるんじゃないだろうな。

 やめろよ、ショックで引きこもるぞ。後藤さんも巻き込んで引きこもってやるからな! 

 

 

「ゆ、ゆうくん……もう一度私と行ったりとか」

 

「行ってたまるかあ!!」

 

「だから目合わせて言いなって」

 

 いやほら、寝違えた可能性あるからちょっと……。

 

 

「まあいいや。よーし次行こ~!」

 

 切り替え早いっすね。

 

 

 

 続いて来たのは三階。三年生がいる階だ。

 目の前には三年二組の標識があり、でかでかとたくみクレープと書かれている。巧み? 匠? どっち? 

 

 時間的にもちょっとした腹ごしらえにちょうどいいかもしれない。

 というか高校の文化祭でクレープとか作れるのか。

 

 

「チョコバナナか……いやでもしょっぱい系もいいなぁ」

 

「両方買って一口ちょうだい」

 

「たかる気満々じゃねえか……。後藤さんはどれにする? さっきも言った通り今日は俺が奢るから何でもいいぞ」

 

「あっ、じゃ、じゃあチョコバナナで」

 

「りょーかい」

 

「お、ぼっちちゃんの事チラチラ見始めた」

 

 ちょっと、言い方悪いよそこ。

 各々好きなクレープを買って食べ歩きしながら次の場所へ。

 

 今度はミニ屋台など祭りを模した教室へやってきた。

 射的や輪投げ、千本引きといった祭りの定番ものが出揃っている。

 

 

「ふっ」

 

「リョウ先輩さすがです~!」

 

「はぁー、やるなあ」

 

 リョウさんが射的で無双しておられる。

 食べ物目当てだとほんと容赦というか遠慮がないなこの人。本場の祭りのやつとは違うから商品めっちゃ倒れていくし……。当分は草よりお菓子食べてそうだ。

 

 

 千本引きでは。

 

 

「いっくよ~! とりゃー!」

 

「おぉ~!」

 

「虹夏、半分、半分でいいから私に分けてっ」

 

 虹夏さんがお徳用のんまし棒を引き当てていた。そしてリョウさんがたかっていた。

 半分って結構な量なんですけど。リョウだけに……ってね! 

 

 

「優人君今寒いこと言った?」

 

「言ってないよ」

 

 普通に心読まないで。

 

 

「さて、次は俺がやりますか」

 

「おっ、優人くんの運を見せてもらおっかなぁ!」

 

 目の前の女の子にお金を渡す。

 ラインナップに書かれてる商品にはまだでかいのが二つほど残っている。何が残ってるとか丁寧に書いてくれるのはありがたい。

 

 

「はい、それではお好きな紐を引っ張ってください! ハズレはないので必ずいずれかの商品が当たりますよ!」

 

「男は迷ったら負け……つまりは直感的に決めれば自ずと勝利は掴める。という事でこれだああああああああああ!」

 

「「おおー!」」

 

 勢い良く紐を引っ張る。

 そして出てきたのは、

 

 

「ピロルチョコ一個……ぶふっ」

 

「笑えよぉー! もうこの際思いっきり笑ってくれよおっ!!」

 

「落ち着いて優人くん! むしろラインナップに一つしか入ってないハズレ枠のピロルチョコ当てるのって逆に凄いとあたしは思うよ!」

 

「そうよ! ここで良いとこなんて見せなくても優人君はいつもと変わらない優人君だから! けどオチとしては最高よ!」

 

「何の慰めにもなってねえ!」

 

 やってられるかあ!! 

 

 

 

 お次は美術部の展示へ。

 

 

「ねえこれぼっちちゃんじゃない!?」

 

「うわこわっ」

 

 描かれているのは後藤さんっぽいナニかが壊れた顔をしながら突っ立っているというもの。タイトルは『七不思議』と書かれている。

 後藤さんいつからこの学校の七不思議にデビューしたんだろう。人間辞めてるという点では合致してるけど。

 

 

「あ、優人っぽいのもある」

 

「なにぃ!?」

 

 リョウさんの元へ行くと、そこには人間……ヒト……? オニ……? 的なナニかがあった。

 なんか鬼の形相をした二足歩行の生物が廊下を疾走している絵。

 

 

「うわっ……これはぁ……優人くんだね」

 

「ええ、優人君ね」

 

「ゆ、ゆうくんです」

 

「紛れもなく優人」

 

「ねえ待ってさすがにそんな満場一致されるのはちょっと納得できない。俺のはもっとマシでしょ? こんな目ん玉飛び出しそうなくらい怒り狂って走る事なんてないよ俺。化物じゃん」

 

「でもこんな顔でいられるのって優人くんくらいしかいないし」

 

「「「うんうん」」」

 

【悲報】俺氏、結束バンドからまともな人間として見られていなかった件。

 こんな事ってある? しかもタイトルに『もう一つの新七不思議、走る鬼殺し』とか書かれてるし。俺新しい七不思議作っちゃったよどうしよ。

 

 心当たりがあるとすれば、後藤さんが何かやらかした時かクラスの男子と殺りあってた時ぐらいしか思いだせない。

 うん、多分後者だな。詮索されると墓穴掘りそうだし黙ってよう。

 

 あと許可なく俺と後藤さんを勝手に描いたヤツには肖像権やら何やらの侵害で金請求してやろう。

 

 

 

「おぉ~、これが喜多ちゃんと優人くんのクラスの展示物か~」

 

「はい! 各自でイソスタ映えする場所に行って最高の映えスポットを撮ってきました!」

 

「そんで当日は楽して自由に見回るための口実でもあります」

 

「もうっ、優人君!」

 

 少なくとも俺とかはそれが目的だったし別に言うくらいは構わんでしょ。

 おかげで今こうして自由に動けてる訳だし。

 

 

「はぇ~、でもみんなそんなに写真とか被ってないね。行ってるのって大体下北付近なんでしょ?」

 

「友人と一緒に行ったりとかしたみたいですけど、色んな店とか行ってるからそこで各々別に撮ったんでしょうね」

 

 見渡せばオシャレなカフェの外観やら見た目が可愛らしい洋菓子、街並みの景色が見えるスポットに神社など、穴場のスポットに果てにはアニメの聖地巡礼写真まである。

 ちなみに写真の下には撮影した本人の一言コメントが添えられており、スポットの場所や食べ物であればメニューの詳細まで、この映えスポット展に来て気になる所や行ってみたいと思った人向けに店名や簡単な居場所の案内も書かれているのだ。

 

 何気にちゃんと考えられている。抜け目とかもない。

 その証拠にここを見に来てる人も結構いるし、地元なのに行った事ないと言いながらその場で気になった店を調べてる人もいる。クラスの連中は誰一人としていないけど……。

 

 

「……あ、これ優人くんと喜多ちゃんの写真じゃん!」

 

「どうですか! 水族館の写真凄く綺麗だと思いません!?」

 

「喜多ちゃんはシーパラダイスに行ったんだ。相変わらず行動力凄いなぁ。お、優人くんの写真は海か~。……ん?」

 

「どうしました?」

 

 写真を見ていた虹夏さんが俺の一言コメントを注視している。

 何だろう。別に変な事は書いてないはずだけど。『魚とか海とか景色やべえ。横浜シーパラまじパねえ。良ければみんなも行ってみてねえ』ってちょっと陽キャっぽく韻踏みながら書いてみたけど、そんなにおかしかったのかな。

 

 

「……これ、優人くんと喜多ちゃん一緒のとこ行った? というか一緒に行った?」

 

「はい!!」

 

 喜多さん良い返事が過ぎる。もうちょっとボリューム抑えて。他のクラスの男子もいるから。

 

 

「ああうあうあうああううううああううあううあううあううあううううあうああうううううあああっ」

 

「ぼっちちゃんがものすごい早さでヘドバンしてる!?」

 

 おお、これなら俺も普通に後藤さんの方を見れるぞ。

 いっその事今日はもうずっとヘドバンしててくんないかな。

 

 

「優人君と二人で撮ってきたんです! ここに載せてない写真もいっぱいあるんですよ! よかったらあとで見せてあげますね!」

 

「ほーん、優人くんは喜多ちゃんとお楽しみだったかぁ」

 

「虹夏さん言い方」

 

「あうあうあー……」

 

「後藤さん足から溶けてきてるぞ」

 

 おいどういう事だよ何でほんわかした空気がちょっと重くなってきてるんだよ。

 我関せずのリョウさんはドッポ食ってんじゃないよ。最後までチョコたっぷりか。

 

 

「ぼっち、メンダコみたいになってきてる」

 

「いけないわ! 後藤さんが元に戻れなくなる前に後藤さんのクラスに行きましょう!」

 

「え、後藤さんのクラスってメイド喫茶ですよね? それって天国か何かか!?」

 

「優人くん、オタク気分で浮かれるのはいいけど、ぼっちちゃんにも接客してもらうんだよ?」

 

「……」

 

 

 さようなら、俺。

 

 

 

 





投票者数900人超えてめでてえ!!
1000人もワンチャン狙えるかな?


では、今回高評価を入れてくださった

☆10:TEさん、SMCさん、けん0912さん、マタタビドッグさん

☆9:リチウムさん、conさん、stssさん、名も無き管理職さん、Ryonganさん、タスマニアさん、ラングストン教授さん、イキョウさん、待宵月さん、完全無欠のボトル野郎さん

☆8:ねりものさん、U-cha!!!さん

本当にありがとうございます!
慰め高評価待ってます。
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