再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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先日Twitterでも貼ったけどキャラメーカーで作成した清水優人のイメージ画です。
上がイメージ画で、下は髪色とかがこんな色だよって感じ。

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参考にどうぞ~。
一応閲覧は自己責任でオナシャス!



55.必ずしもハッピーエンドで終わる訳ではない

 

 

 暗闇の意識の中、ふと自分の両手が何かに包まれているような感覚があった。

 いいや、握られていると言った方が正しいか。どちらも自分の手より小さく、しかし柔らかい。なのに指先だけは少し硬い印象がある。

 

 何だ、夢の中か? 

 いつの間に寝たんだ俺。というか周り真っ暗なんだけど、その癖俺の姿ははっきり見えるし、やはり夢の中というのはよく分からない。

 

 未だに両手が握られてるという感覚はあるけど、周囲に誰かいる訳でもないか。

 そして夢というのは不思議なもので、体の自由が急にきかなくなる事がある。今がその時だった。身動きが全然できない。

 

 そもそも俺が立ってんのか寝てんのかすらも分からない。明晰夢って確か自分の思うようにコントロールできるんじゃなかったのか。なんで何もできないの。

 夢と分かっているならさっさと目覚めたいんですけど、この場合ってそういう方法とかあったっけ……? ダメだ、何一つ分からん。

 

 あーもう、起きるまで暇だな~。

 そう思った時だった。俺の足元が突然白く輝き始めたのだ。

 

 え、何が起こるの。まさか異世界転生とかしちゃう系だったりする? それはそれで興味はめっちゃあるけど。

 いやしかし俺には後藤さんの面倒を見るという役目が……というかまだ動けないんですがいい加減動けよ俺の体っ。

 

 力を入れて無理矢理動かそうとするもビクともしない。辛うじて動くのは視線と首だけだ。

 そして、足元の白い光から二つの頭が出てきた。スゥ~と流れるように出現してくる顔には見覚えがある。

 

 そう。

 

 

「優人」

 

「ゆうきゅん~」

 

 やべー女のツートップであった。

 

 噓でしょ。何でよりによって夢の中でこんなベーシスト達が出てくるんだよ。

 たった今から悪夢確定じゃねえかこんちくしょう絶対ロクな事にならねえよこれ! 

 

 

「お金貸して優人」

 

「ゆうきゅんもたまには酒飲んじゃおうよ~! 高校生なんだからこんくらいのやんちゃしたって誰も怒んないって!」

 

 ふざけんな! こちとらそういうルールは絶対守るって決めてんだよ! 後藤さんに示しがつかねえでしょうが! 

 ……って、あれ? 喋れない? 口は開いてんのに言葉が発せられない!? 

 

 

「一万……いや十万貸して。いつか必ず倍にして返すから」

 

「自分じゃまだ抵抗感あって飲めないかー! しょうがないっ、ここはいっちょきくりお姉さんが大人な口移しで飲ませてあげようじゃないか~!!」

 

 夢の方がえぐい事しようとしてるぞこいつら!? 

 やめろ……来るな、近づいてくるんじゃない! きくり姐さんもそれ酒口に含んでないから口移しとかじゃないじゃんそれただのキスじゃん!! 

 

 ちょ、や、やめ……うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!? 

 

 

 

 ──

 

 

 

「……ひ、ヒアルロン酸!?」

 

「ひぅッ!?」

 

「きゃあ!? お、起きたのね優人君……」

 

「……あれ、喜多さん、後藤さん……?」

 

 目が覚めると俺は保健室にいた。

 学校の保健室のようだ。

 

 

「結構うなされてたけど、大丈夫?」

 

「あ、ああ……もうどんな夢見てたか覚えてないけど……というか、あの……お二人さん」

 

「どうしたの?」

 

「ゆ、ゆうくん?」

 

「その……そろそろお手を放していただいてもよろしいでしょうか……」

 

 起きたら女子高生二人に手を握られていたでござる。

 これは役得……だなんて思うはずもなく、普通にはずいんでやめてほしい。

 

 

「え? あっ、ご、ごめんなさいっ。心配だったからつい……」

 

「わ、私はその……早期回復を願っての念を送ってたから……」

 

 後者の言ってる事はよく分からん。念を送ったくらいでどうにかなるのはハンターハンターくらいだぞ。

 

 

「優人君覚えてる? あなたステージからダイブした後藤さんを受け止めようとして……その、失敗しちゃって後藤さんと一緒に気を失ってたのよ? 優人君なんて凄く鼻血とか出てて大騒ぎになったんだから」

 

「あー、どうりで鼻声っぽいと思ったらティッシュ詰め込まれてたのか」

 

 何となく思い出してきた。むしろあの衝撃でよく鼻血で済んだものだ。後藤さんのキャッチ失敗で大量の鼻血出して気絶、ね。

 うん、できれば思い出したくなかったな。恥ずかしさで死ねそう。くそ、夢のように忘れていてくれればよかったのに……。

 

 いや……その前に確認しなければならない事がある。

 

 

「それより後藤さんはどこかケガしなかったか!? 腕とか足とか大丈夫なんだな!? お前……その顔のガーゼはなんだ!?」

 

「えっ? あっ、こ、これはちょっとしたかすり傷だから気にしないで……。これ以外はゆうくんのおかげで何ともなかったから」

 

 ……見たところ本当に顔のかすり傷以外は何ともないように見える。

 後藤さんがイスに座っているという事は、俺よりも早く目が覚めて寄り添っていてくれたんだろう。二人には感謝だ。

 

 だが。

 

 

「よし、なら遠慮なく説教できるな」

 

「……えっ?」

 

 思い出した以上は容赦せんからなアホピンク覚悟しろ。

 

 

「元はと言えば後藤さんがあんな誰も受け止められないダイブなんてしようとしたからああなったんだぞ! 何で一言って言われてんのに何も喋らず無言でダイブするんだよ日本語の意味分かん」

 

「はいそこまでにして優人君。一応あなたが一番のケガ人なんだから大声出さないの。ここは保健室なんだからね」

 

「……はい」

 

 正論を言われちゃ黙るしかない。

 つうか元凶の元凶は喜多さんなんだけどね。君が後藤さんにいきなり話振るからパニクって奇行にはしったんだからその子。という事で彼女に後藤さん係の称号はまだ譲れんな。

 

 まあ後藤さんも反省してるようだし、今回はお咎めなしにしといてやるか。俺も鼻血程度で済んだから良しとしよう。

 

 

「あの、ゆうくん、ごめんなさい……。き、喜多さんも、ライブ台無しにしちゃってすみませんでした……せっかくの文化祭ライブだったのに」

 

「ううん、何故か逆に盛り上がってたかも」

 

「人が気絶してんのに盛り上がる学校って何なんだよ」

 

 やっぱ割とおかしいヤツらの集まりなんじゃないのここ。

 

 

「そういや虹夏さん達は? 外で待ってんの?」

 

「今片付け中。優人君達が大丈夫ならこの後打ち上げ行こうって。でも無理そうならまた今度にしようって言ってたわ」

 

「俺は別に大丈夫だけどきくり姐さんいるのは厄介だな……。よし、ロインでみんなに今日は打ち上げなしって口裏合わせてもらって、きくり姐さんだけ帰らせよう。そんでその後みんなで打ち上げ行くか」

 

「優人君廣井さんに対しては本当に容赦ないわよね……。でも、分かった。じゃあ私が伊地知先輩に連絡しておくわね」

 

 悪く思うなきくり姐さん。今日くらい大人しくお家に帰っててください。

 あと今は個人的にちょっと会いたくないんで。会ったら俺が気まずくなっちゃうかもしれない。何でかは分からないけど。

 

 どんな夢見てたんだ俺……。

 思い出したらダメな気がするし、ここは話題を変えよう。

 

 

「それにしても喜多さん、演奏頑張ってたよな」

 

「え?」

 

「あっ、私も驚きました。喜多さん、凄く上手くなってて……」

 

 陰で練習していたとはいえ、まさかアドリブであそこまでやり切るとは思わなかった。

 ギター初めてまだ半年くらいなのによくもまあ上達したものだ。最近ギターを始めたから余計分かる。喜多さんの努力量は間違いなく本物だ。その熱量とひたむきな熱意には感服してしまう。

 

 

「……バッキングだけだけどね」

 

 謙遜……という訳でもなさそうだな。

 なまじ後藤さんの実力を知ってる分、あのボトルネック奏法を見てしまったからまだ自分に対して自信を持てないってとこか。

 

 

「あの、えっとっ」

 

「……」

 

 後藤さんが何か言いかけるのを手で制す。

 フォローしようと思ったんだろうけど、何となくここは喜多さんの言葉を待つべきだと思った。

 

 

「私にはみんなを惹き付けられるような演奏はできない。でも……みんなと合わせるのは得意みたいだから」

 

 後藤さんと自分では決定的な違いがある。それを理解しているような口ぶり。

 でも、その割には喜多さんの表情は明るかった。

 

 

「これからもっとギター頑張るから教えてね。後藤さ……ひとりちゃんっ」

 

「……え? あっえっあ、はっはいっ」

 

「じゃあ、私先に行くから優人君のことお願いっ。準備できたら来てね!」

 

「あっはい!」

 

「また後でな~」

 

 ちょっと照れくさかったのか喜多さんはそそくさと退室していった。

 うーん、これは中々の青春イベントじゃないだろうか。言ったら後藤さんスライム化しそうだから言わないでおくけど。

 

 

「ゆ、ゆうくんっ……喜多さんの、今のって……!?」

 

「ん? ああ、下の名前で呼んでもらえてたな。良かったじゃん、もっと仲良くなれたみたいだぞ」

 

「あ、そ、そう、かな……」

 

「いっそ後藤さんも喜多さんの下の名前……は向こうがNGだっけか。ならさん付けじゃなくてちゃん付けで呼んでみたら?」

 

「いぃぁああっ!? そ、それはまだ私の心の準備が数ヵ月くらい必要だからむりぃ……!」

 

「だろうなとは思った」

 

 どんだけかかるんだよ。年越すぞそれ。

 別に下の名前で呼ぶ訳じゃないんだからそれほど緊張するものでもないだろうに。いくらライブでかっこよくてもこういうところはまだまだヘタレだな。

 

 さすがいざという時しか頼りにならない女だ。面構えが違う(目が外れかけてる)。

 ほんと、ライブじゃ別人みたいにかっこよかったのに。……そういやライブの感想言ってなかったか。

 

 

「とりあえず、後藤さんもライブお疲れさん」

 

「え? あっうん」

 

「アドリブでボトルネック奏法やってた時の後藤さん、めちゃくちゃかっこよかったぞ」

 

「……え?」

 

 喜多さんや他のメンバーにはまた後で感想伝えるとして、今は後藤さんだ。

 

 

「あんなトラブルがあっても最後には観客の目を自分に向けさせたんだ。今日の後藤さんは間違いなく最高のバンドマンだったよ」

 

「あっ……で、でもっ、ゆうくんのおかげもある……というか……ゆうくんも私と同じ考えをして信じてくれたから……」

 

「ん? 俺は別に何もしてないぞ? カップ酒だって俺が声かける前に後藤さん手伸ばそうとしてたし、結局俺が何もしなくてもトラブル自体は解決できてたって事だからな。強いて言えば信じ切る事しかできなかった訳だ」

 

 これはもう本当に、痛感した。

 俺にやれる事は何かと自問自答を繰り返し、ようやく見つけ出した解答も既に彼女は見付けていた。トラブル時ほど俺のできる事はなく、ただただ信じる事しかできない。

 

 ただ、身をもって体感したから分かる。

 店長が俺に結束バンドを信じとけばいいと言った真意も理解した。

 

 彼女達なら、俺が特に何かをせずとも自分達で解決できるんだと。それだけの実力がもう結束バンドには備わっているんだと分かった。

 俺はただ、胸を張って彼女達の演奏を信じて見ていればいいんだ。そして最大限に楽しむ事こそ、結束バンドのためになる。

 

 

「ゆう、くん……」

 

「まあ、俺は俺で今回いくつか収穫あったし、ライブは成功だと思ってる。ラストの曲できなかったのは残念だったけどさ、それ以上に後藤さんが夢を叶えてるとこを見てたら、胸がもの凄く熱くなったんだ。本当に、自分の事のように嬉しかったよ」

 

「あ、そ、それなら……良かった、かな……へへっ」

 

 後藤さんと色々作戦会議をしたりまともになれるよう努力と失敗を重ねてきた。

 だからこそ、仲間ができて、バンドを組めて、一つの夢だった文化祭ライブで演奏している彼女を見て込み上げてくるものがあった。

 

 そう、後藤さんは本当に頑張った。これは素直に褒めるに値する出来だ。

 ご褒美に何か奢ってやるのも悪くはないが、それだと普段とあまり変わらないように思う。

 

 ……よし、腹を括るか。

 これが果たして褒美になるかは分からない。むしろ俺の自意識過剰な気がして気は進まないけれど、彼女も一度は喜んでいたから間違ってはない……と思いたい。

 

 俺と後藤さんのスマホから同時にロインの通知音が鳴る。おそらく打ち上げ関連の事だろうが、今は見ないでおく。

 後藤さんはスマホを少し確認しつつこちらに視線を戻してきた。

 

 

「いいか、後藤さん。一度しか言わないから聞くならよく聞いとけ。あと絶対崩れんなよ」

 

「? う、うんっ」

 

 軽く深呼吸。

 ここには俺達二人しかいない。だから昨日よりかは気持ち的にも楽な方だ。

 

 彼女の頭に手を乗せる。

 今ではあまりしなくなったが、過去の作戦失敗時には泣き付いてくる度に後藤さんの頭を慰めながら撫でていたのを思い出す。何だか久しぶりの感覚だ。

 

 後藤さんも後藤さんでいきなり俺の手が頭に乗せられた事でキョトンとした顔になった。

 そして、俺も意を決した。

 

 

「よ、よく頑張ったな……ひとり……」

 

「……」

 

 あ、やっぱ恥ずかしい。めっちゃ恥ずかしいわこれ。

 喜多さんに感化されて俺も一回くらいなら久しぶりに名前で呼んでみようと思ったけど、ちょっとやばい。想像以上にごっそり精神持ってかれた。思わず目を逸らす。

 

 ピロンッという音が後藤さんのスマホから聞こえた。ロインの通知音とは違ったけど、多分メールか何かだろう。

 むしろその機械音が余計静寂な保健室に響き渡り、俺の精神へ侵蝕ダメージを与えてくる。獣域ハウンドかよ。

 

 無性に顔が熱くなってきたのでさっさと話を変えようとするも何も思い付かない。

 完全に思春期発動しちゃってますわこれ。付き合ってもない女の子に呼び捨てで名前呼びは体に悪いです。陽キャとかリア充っていつもこんな感じで呼び合ってんの? ボケる時かやけくそテンションじゃないと無理だろこんなん。

 

 そんで何も言ってこない後藤さんは俺を生殺しにしたいのかな。

 崩れてはないけどさすがに何の反応もないとこっちが逆に溶けそうなんですが。

 

 

「……あっ、えへ、えへへ……ありがと……っ」

 

 ニヤケ過ぎだろ。体全体波打ってんぞどうなってんだ。

 ……まあ、少しは悪くないと思ってくれてんなら良いか。

 

 はー暑い。暑いわ。体あっついわー。十月とはいえまだ暑い時は暑いもんだなーおい。暖房ついてんじゃねえのこの保健室! あっちぃ~! 

 気を紛らわすために自分のスマホでロインを開く。さっきの通知はやはり結束バンドのグループロインだった。

 

 そしてその一個下には虹夏さんからの個人ロインが18件ほど入っている。

 

 

< 虹夏さん(天使)

 

今日

ここから未読メッセージ

優人くん大丈夫?  14:02
      

大きなケガとかしてない?  14:08
      

いっぱい鼻血出てたみたいだけど…… 14:10
      

あたしもそっち行っても大丈夫、かな?  14:12
      

お姉ちゃんに止められたから行けなかったや。ここは喜多ちゃんに任せるね 14:18
      

優人く~ん? 起きたらとりあえず連絡してね!  14:20
      

ぼっちちゃんはすぐ再生するから大丈夫って分かってるんだけど

優人くんはまだ分かんないから心配なんだよね

14:23
      

あたし達は校舎の近くで待ってるから、起きたらちゃんとどこか

痛まないか確認してから来る事。いいね! 

14:25
      

 

Aa          

 

 こんな感じのが下にも続いていた。

 さすがに心配しすぎでは……? ケガの部類で言ったらこの前の男子達とドンパチやった時のがダメージあったんだけど。

 

 というか俺そんなに鼻血出てたんだ。喜多さんにも凄く出てたとか言われてたな。

 何となく鼻を触る。うん、もう痛くはない。やっぱ俺の体はそれなりに頑丈なようだ。

 

 とりあえず虹夏さんに軽く返信だけしておこう。

 今さっき起きたんで帰りの支度済ませたら合流します、と。これでいいか。

 

 そうと決まれば早めに帰り支度をしないといけない。

 いまだにデレデレウェーブ顔になってる後藤さんに声をかける。海流に揺られるわかめかと思った。

 

 

「後藤さん、さっさと教室戻って帰る準備しよう。これ以上虹夏さん達待たせるのも悪いからな」

 

「へへへ……ふひっ……あ、うんっ」

 

 崩れなかったのはいいけど、そのままずっと変なニヤケ面と笑い声出してるのは普通に気持ち悪いな……。

 もう少し普通に笑えないのかこの子。

 

 

 

 自分達の教室に帰り支度を済ませる。

 俺のところは展示物だったからクラスのヤツらが勝手に全部片付けをしてくれていて机も元通りになっていた。

 

 早めに終えた俺が後藤さんのクラスの方に行くと、彼女は自分の教室を静かに見つめていた。

 放送室から文化祭の終了が告げられ、昨日今日と続いていた特別な喧騒も既になく、今では片付けをしている生徒達の僅かな話し声と足音しか聞こえない。

 

 後藤さんの隣に立ち教室内を覗く。

 昨日はメイド喫茶で今日は執事喫茶だったか。そういった名残もほとんど残っておらず、机とイスがいつも通りに並べられ、誰かが持って帰るのを忘れたかメイドのカチューシャがポツンと一つだけ机の上に置いてあった。

 

 あれだけ騒がしかった祭りが終わった後というのは、どことなく寂しさを感じさせる。

 それもまた一興。イベントの醍醐味である証拠だ。こんな余韻を後藤さんも感じているなら、文化祭ライブをやって正解だったと胸を張って言えるだろう。

 

 

「さて、帰るか」

 

「……うん」

 

 たまにはこんな余韻を抱えるのも悪くないか。

 それに、今回の文化祭は俺の中でも過去一楽しかった。最後は色々あったけど、終わり良ければ全て良しだ。

 

 ふぅ、今日は気分良く帰れそうだな。

 そう思い、二人で歩き出そうとした時だった。

 

 二人の男子生徒とすれ違う。おそらく片付けの最中なんだろう。

 特に何も思う事なく行こうとした瞬間。

 

 背後から声がした。

 

 

「あ、ダイブの人」

 

「ああ、ロックのやべー奴か」

 

「ガッ……!?」

 

 あれま、可哀想に。ここに来て精神ダメージ与えられるとは後藤さんも思ってなかったようだ。

 まあライブでいきなりステージから飛び降りたらそういう印象にもなるわな。

 

 校内での評価上がったと思ったらまさかの下がってるなんてさすがに不憫すぎる。

 神は彼女を見放したのか。こりゃあまた学校行きたくないとか辞めたいとか言い出しそうだなぁ。夢の舞台でライブしたのにあんな事言われちゃ割かし誰だってダメージ来るか。いや後藤さんの自業自得なんだけどね? 

 

 哀れ後藤さん。

 そう思いながら心の中で合掌していると。

 

 

「鼻血大量の人もいるじゃん」

 

「イキったくせにキャッチミスしたダセー奴か」

 

「ガッ……!?」

 

 訂正。神は俺も見放していたらしい。

 ああ、そうだよね。俺も盛大に悪目立ちしてたんだったね。しかも一番かっこ悪い目立ち方だったもんね。そりゃあそうなるか、あっはっはっは!! 

 

 

「後藤さん……早く売れて高校辞めてくれ。俺も一緒に辞めるから……」

 

「うん……」

 

 余韻も何もあったもんじゃなかった。

 最後の最後にトドメさせられたのでもう俺の精神はダメです。あとで虹夏さんに慰めてもらおう……。

 

 

 

 こうして、文化祭ライブは無事終わった。

 その犠牲として、俺と後藤さんのダイブミス事件は校内に噂としてすぐに広まり、ほぼ全生徒からの俺達二人の評価はどん底に落ちたのだった。

 

 

 

 





何で素直にハッピーエンドじゃなくてすぐギャグオチするんだこいつら……。

一日早めのバレンタインだし……せっかくだからチョコあげる感覚でどう?
めっちゃ喜ぶよ!

ほれ、チョコ(評価)やるよ


では、今回高評価を入れてくださった

☆10:Teru9さん、よしよしjさん、蒼天桜猫さん、vongolaさん

☆9:待宵月さん、tomorrow05さん、タスマニアさん、イキョウさん、U-cha!!!さん、完全無欠のボトル野郎さん

本当にありがとうございます!
最近感想減ってきてシュンなのでいっぱいくれー! 非ログインの方でも感想頂けるようにしました!
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