再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る 作:たーぼ
評価数1000突破感謝! 評価数1000突破感謝!!
まさか4桁行くなんて思ってなかったので、評価してくれた皆様には感謝しかありません。
まーじでありがとうございます! これを糧に生きていくよ!
文化祭の振替休日も終わり、久々にゆっくりと自分の家と後藤さん家でのんびり体力を回復した翌日。
学校では既にいつも通りの日常が帰ってきていた。
「校内での俺に向けられる視線が好奇すぎて気分悪いから後藤さん連れて早退していいかな」
「まだ朝のHR前だけど!? あと何でひとりちゃんも巻き込もうとしてるの!?」
誰かにとっては日常かもしれないが、俺にとって今朝はいつもの日常とは少し違っていたのだ。
文化祭ライブでの後藤さんダイブと俺のキャッチミス。あの一件の騒ぎは校内ですぐに広まり絶賛拡散中らしい。
高校生の拡散力って凄いよね。後藤さんと一緒に登校してるだけなのに色んな生徒から見られるし。
男子の睨むような視線、女子のひそひそ話+好奇な視線。まるでちょっとした有名人気分だ。それも週刊誌にスキャンダルされた方という悪い意味で。
「普通ああいう視線向けられたら真っ先に壊れんのが後藤さんだろ? でも一昨日からずっと機嫌良くて今日も一生にへら顔してたから周囲の目に気付いてなかったんだよ。後藤さんがいつも笑ってるとかむしろ異常だろ」
「優人君は笑ってるだけで異常って言われるひとりちゃんの気持ちもっと考えた方がいいと思うわ……」
いやまあ笑ってる理由については一応知ってるけどさぁ。
果たしてあの店長にバイト辞めるって言えんのかね彼女は。絶対無理だと思うから放置してるけど。
「とりあえずあの調子だと今日一日中は自分の世界入ってるだろうし心配しなくてもいいかな」
「珍しいのね。ひとりちゃんの教室見に行かないの?」
「今の状態で行ったらまた変な目で見られるの確定だろ。あと何かメイド喫茶以来あの教室には行かない方がいいって何故か俺の脳がそう働きかけてきてるんだよね」
「(あの時記憶消したはずなのに本能で拒否反応出ちゃってるわね……)」
「ん? 何か言った?」
「い、いやっ、何でもないの!」
しばらくは二組に行くのやめておいた方がいいか。
俺と後藤さんのためだ。これで今以上に変な噂が流れないようにしないと。
「あ、男子はどうか分からないけど、女子の優人君を見る視線は多分バカにしてるものじゃないと思うよ」
「……え、何で分かんの?」
「私のロインでも結構優人君達の事が流れてきてたから、文化祭終わった日の内にバンドのボーカルとして私がちゃんと事の経緯と誤解を上手く解けるように広めてって説明しておいたの。だから少なくとも女子には友達づてとか部活の先輩とかにもちゃんと伝わってるはずよ」
「やっぱ持つべきものは第二の家族だな! ありがとう喜多さんっ、女子からの視線ってマジ怖いからほんと助かる! お礼に今日はジュース奢らせてくれ!」
「……え? 女子からの視線?」
喜多さんの顔の広さからして一年の女子はほぼ大丈夫のはず。そんでそこから先輩とかにも説明が回ってるなら女子に関してはほとんどクリアだ。
女子の噂話好きは異常って聞くし、拡散力も段違いだからすぐ広まったんだろう。ほんとありがてえ……これでもう大半は気にしなくて済むぞ。男子からの視線に関してはもう知らん……と言いたいとこだけど。
「……ん? じゃあ俺が女子に見られてた理由って何なんだ? まだ説明回ってない人とか? 喜多さん他の女子からの今の俺の印象って分かる? というかどんな説明したんだ?」
「……えっとぉ……今回は失敗しちゃったけど、いざという時は体張って自分の身を犠牲にしてまで守ってくれる人って……言ったかな……」
自分の身を犠牲にしたつもりは一切なかったんですけどね。
間に合わなさそうと思って慌てて飛んだらミスってああなってしまっただけで、あれに関しては完全に俺のドジです。上手く良い方に捉えてくれたようだから良いけど。
しかし、喜多さんの言葉のままに説明が回っているとしたら、だ。
俺は今校内の大半の女子の中で体張って守ってくれる男子というイメージになってる訳か。捉えられる印象としては悪くない。むしろ男としてこの上ないくらい好解釈だ。
「なるほど……普通に考えれば俺のモテ期到来だな……」
「モテ期!?」
で、よく考えると女子だけに説明したと喜多さんは言っていたが、こういった噂話は基本的に会話中心のはず。そんでもって会話をしている場合その言葉は必ずその場の女子以外……つまり男子にも聞こえる事がある訳で。
俺の評価がマイナスから這い上がってプラスに変わった場合、女子から好意的な視線を向けられる俺を見る男子の視線もまた意味が変わってくるのが必然。
そう、つまりだ。
「学年問わず男子の敵が増えただけじゃん。ならいいか」
「いいの!?」
「女子はともかく、男子くらいなら別にまあ何思われてても構わないかなって。他人の評価よりも身内の評価の方が大事だし。喜多さん達が分かってくれてんならそれでいいわ」
「いいんだ……」
いいんだよ。グリーンだよ。
「それに、このクラスのヤツらは男子含めて俺を変な目で見てこないからな。何だかんだ良いヤツらばっかって事を再認識したよ」
「ああ、うん、確かにそれはそうね」
「よっしゃ、懸念も解消できたし、HR始まるまで田中達と駄弁ってくるわ」
「ええ、いってらっしゃい」
普段は追いかけ追いかけられるような関係でも、信頼し合えてバカやれる男友達というのはこういう時本当にありがたいと思う。
俺が「よっ」と手を上げると向こうも何人かそれを返してきた。
そして。
「来たな清水。女の子を身を挺して守る事は男として尊敬に値するが、それはそれとして女子からの評判が上がるのは許さんッ。という訳で股間への飛び蹴り十発で許してやるッッッ!! しかもやっぱりバンドメンバー全員可愛かったじゃねえかァー!!」
「よぉーし、勝手に変な評価されてこっちも鬱憤溜まってんだ。憂さ晴らしにまずはオメーの残り少ねえ坊主頭の毛を全部ツルッツルにしてやらぁ!!」
男子達との熱い死闘が幕を開けた。
――――
「今日のぼっちちゃん、ずっとキラキラしてるんだけど」
「虹夏さん、俺への言及はなしですか。またケガしたんですけど」
「また無茶してケガしてきた優人くんにかける言葉なんてありませんっ。あたしだっていつも優しい訳じゃないんだからね!」
「リョウさぁ~ん」
「仕方ない、その辺で拾った草あげる。薬草代わりに使うといいよ。多分効果ないけど」
「ほんと期待を裏切らないなアンタ」
放課後、スターリーに集合したのはいいのだが、後藤さんの奇妙な笑顔にみんな違和感を拭えないようだ。
「……ほら、優人くんこっち来て。手当てしたげるから」
「アッ……」
「伊地知先輩!? 優人君真っ白になりましたけど!?」
「何で!? 手遅れだった!?」
虹夏さんのツンデレ、最高ですやん……。
ほんと伊地知家の姉妹は似てるな。二人共ツンデレの素質しかない。これが見れるならもう死んでもいいや!
もちろんそのまま死ぬなんて事もなく、俺は虹夏さんの愛情たっぷり(誇張)手当てをしてもらいながら事情説明をした。
「あー、そんな事になってたんだ。優人くんも大変だね~」
「ふへっ、ある意味女子からも男子からも熱い視線を向けられる俺って人気者ですね」
「もうやけくそポジティブになってるじゃん。あとぼっちちゃんの笑い方うつってるよ」
ちなみにあの後、田中達からは『お前が良いヤツだなんて最初から知ってるし他人からの評価なんて知らん。身内の評価だけ信じてりゃいいんだ。このクラスの結束力舐めんなよ。結束バンドだけに☆』という大変ありがたいお言葉とクソくだらないダジャレを頂いた。
最後のがなければ髪の毛一本くらい残してやったのに……。
「そういえば件のぼっちちゃんは何であんなご機嫌なの?」
「ああ、ギターヒーローでの動画を直樹さ……後藤さんの父親が収益化してたらしくてですね。いつも使ってるギターは修理も可能だけど、どうせなら自分のギターも買ってみたらって今までの広告収入含めていきなり大金手に入ったんですよ。だから後でバイト早めに切り上げてギター買いに行く予定です」
「へ~、凄いね。まあ、ぼっちちゃんの動画人気だからそのくらいは普通だったり? 今度宅録する時見せてもらうとかできないかな~」
「それで大体十万前後のギター買うとして、あとの余ったお金を全部ノルマ代にあててバイト辞めるらしいです」
「サラッと重要なこと言ってない!? えっ!? ぼっちちゃんバイト辞めっ……ええ!?」
虹夏さんが混乱しておられる。無理もない。
俺も最初聞いた時は随分と驚いた。俺がバイト辞めようとした時は頭ドリルしてきたのに、何で自分の時は迷わず行動力発揮してんだろうと思ったもん。
「何で優人くんその場で止めなかったの!? 止めなきゃでしょ!?」
「いや、よく考えてみてくださいよ虹夏さん。バイト辞めたってどうせ練習はここでするんだし、何よりあの店長を前に後藤さんが辞めるなんて言い出せると思ってるんですか?」
「……い、言われてみれば……」
「なので俺はあえて放置してるんです。あんなキラキラした笑顔の後藤さんなんてこの先一生見れないかもしれないんですから、見ておくなら今の内ですよ。多分あとでゴミ箱の中に入ると思うので」
「もうそこまで予測してるんだね」
これまでどれだけの作戦を練って失敗してきたと思っている。
俺が作戦を全部考えてサルでも仲良くなれる方法とか編み出したのに、全てマイナス方面に結果を出してきた後藤さんだぞ。
彼女自身が考えた作戦なんて上手くいくはずないでしょうに。
明るくいられるのもあと数分しかないよきっと。
「あ、ぼっちちゃんが超スーパーぼっちちゃんになってる」
「ダニィ!?」
あ、あの野郎……! 金色のオーラに青い稲妻を迸らせてやがるッ!
間違いない……あれは超サイヤ人2の時のソレだ。俺でもまだ習得しきれていないのに、ヤツはもう俺の一歩先へ進んだというのか……!? 江の島でトンビにやられた時、ヤムチャになっていた事から才能はあると思っていたが、まさかこれほどとは……。
「チィッ、俺も負けてられん!! 必ずきさまを超えてやるぞ、ゴトロットー!!」
「優人くんキャラ変わってるよ。どこぞの王子様みたいになってるよ」
「「はあああああああああー!!」」
「ああダメだ。同化しちゃった。こういうところは似てるんだからもぉー!」
で。
「あ? バイトが何だって?」
「あっこれからも誠心誠意心血注いで仕事がんばりましゅ……」
「何で突然の決意表明?」
案の定失敗したゴトロットはゴミ箱の中へと入っていた。
ふんっ、情けないヤツだまったく。たかが戦闘力5にも満たないヤツにやられるなんてな……。
「ほら、言った通りになったでしょ?」
「さすが理解者は違うね~。あと髪の毛逆立ってるから早く元に戻しなね」
「戻し方分かりません」
「……はぁ」
あの、溜め息吐かないでもらえます? ノリでやったらこうなっただけなんですって。
真顔で見つめてくるのやめて。どうした、笑えよニジータ。
「はーい、私が戻してあげるから優人君はこっち来ましょうね~」
「どわっ、喜多さんいきなり髪くしゃくしゃにしてくんのはやめろって!」
「特にセットしてる訳じゃないんだから別にいいじゃない。ひとりちゃんの事は伊地知先輩に任せましょ!」
いやそういう訳じゃなくて女子に髪触られるのは何かむず痒くて落ち着かないんだよ。
何で普通にこんな事できんのこの人。陽キャって距離近いのがデフォか何かなのか!?
虹夏さんに関してはもう俺の方を見てすらいねえし後藤さんの方に向かってますやん。
完全にこっちに興味なくしてますやん。
「♪~」
「……」
何で男の髪触ってご機嫌なんだろう。陽キャの考えてる事はよく分からん。
このくらいのスキンシップが普通なのかな。だとしたらいったいどれだけの男子を勘違いさせてきたのやら。こんなの男子の脳破壊案件だろ。期待させるだけさせていざとなると轟沈ってか。惨いな喜多さん……(偏見)
「優人、見て見て」
「何すか」
喜多さんに髪を弄られてる間にリョウさんがおそらく草の茎を持って寄ってきた。
そしてそれを自分の前頭部辺りに差して、
「ピッコロ」
「ぶふぉッ!!」
「あっちょっ、動いちゃダメよ優人君!」
だ、だって……リョウさんが、リョウさんがいきなり変な事しだすから……!
こんなの吹き出すに決まってるでしょうが! 真顔でやってくるのもまたズルい。ちくしょう、この人にこんな一発芸があったとは、やるな……。
「そっちはいつまでふざけてんのさ~。ほら、ぼっちちゃんギター買いに行くらしいからあたし達も楽器屋さんに着いて行くよ」
「楽器屋!? なら御茶ノ水に行こう。そこならぼっちの求めているギターも絶対あるはず。そしてあわよくば私が次買うベースも見に行きたいっ!」
いつの間にか虹夏さんが戻ってきていた。そしてリョウさんは楽器オタクと化していた。
御茶ノ水か……そういや行った事ないな。何で御茶ノ水なんだろ? 有名な店があるとか?
「ん? どしたのぼっちちゃん?」
「あっあの、店長さんが今欲しい物って何か聞いてきてもらえますか……?」
あ、店長に物でも献上して辞めさせてもらおうとしてんなこのアホピンク。
そんな事したらむしろ後藤さん気に入ってる店長の事だから余計辞めさせてもらえなさそうだけど。
呪縛が強くなるだけだぞ後藤さん。自分で自分の首を絞めてるぞ後藤さん。選んだ選択肢が全て愚策だぞ後藤さん。
分かったと一言だけ言って虹夏さんは店長の方へ向かって行った。
「――ってぼっちちゃんが言ってたよ。お姉ちゃん誕生日近いし、プレゼントかな?」
「特にない」
「いらねえだってー!」
いや虹夏さん言い方。
めっちゃ棘ある風に言うじゃん。
「終わった……」
「ぼっち、私は」
「はいそこ便乗して後藤さんにたかろうとしない」
「優人……めざとい……」
「リョウさんの考えてる事も最近分かってきたんで」
作曲関連以外でリョウさんが後藤さんに近づく時は大抵たかろうとしてる時だ。
それか陰キャ思考で共感した時。今回は完全に前者だったので阻止させてもらった。むしろ何で買ってもらえると思ってるのかが不明だけど。
「ほらみなさーん、楽器屋さんに行きますよ~!」
喜多さんの掛け声と共にスターリーを出る。
後藤さんは予想通り口から魂が出てるので中まで押し込んでおいた。魂に触れるというのは変な気分だ。
「にしても、店長って誕生日近いんですか?」
「うん。といってもクリスマスイブだからまだ二ヵ月後だけどね」
「へえ、何ともロマンチックな日に生まれたもんですね」
「あははっ、確かに! だから可愛い物好きなのかも!」
何その解釈めっちゃ可愛い。そんな事が浮かんでくる虹夏さんも可愛い。
「てことは店長俺と三日違いなのか」
「え? そうなの? 優人くんの誕生日っていつ?」
「12月21日です。だから父さんからはよくクリスマスプレゼントと一緒にされたもんですよ」
「そうなんだぁ。なら今年の誕生日はみんなに祝ってもらえるかもね!」
「別にいいですよ。虹夏さん達の誕生日も今年はまともに祝えなかったし、来年はちゃんと祝わせてください」
バンド活動とかでバタバタしてる内に虹夏さん達の誕生日が過ぎたせいで、今年は結束バンド内で祝えなかったからな。
来年は俺も何かプレゼント用意しておかないと。まあ、その前に店長のプレゼントか。早めにリサーチしておこう。可愛い系だったら何でも喜んでくれそうだけど。
「ほほう、これはみんなの誕生日が楽しみだね~?」
「過度な期待はしないでください。所詮は男が選ぶものなんで」
「え~? こういうのは気持ちが大事なんだよ~」
「何々、何の話してるんですか~?」
「誕生日の話! 来年はあたし達の誕生日に優人くんが素敵なプレゼント用意してくれるって!」
「虹夏さん!?」
何てこと言いだすのこの人! 誇張にも程があるよ!
そうやってプレッシャー出してくるのダメだと思います!
「優人、私今年の貰ってないから今ちょうだい。ベース買ってほしい」
「限度があるだろうがよ限度が」
「ぼっちちゃんは今年優人くんに誕生日プレゼント貰ったの?」
「え? あっはい……ハンドクリーム貰いました……」
「おおー、ギタリストに持ってこいだね~。さすが優人くんだ!」
やめろ、茶化すな。そんな目で俺を見ないで。
ハズいから。期待されるとそれはそれでやりにくくなるから!
「だぁーもう! さっさとギター買いに行きますよ!」
という感じで、俺達は誕生日の話で時間を潰しながら御茶ノ水駅を目指したのだった。
土日は家いないから確定で更新ないです(予告)
では、今回高評価を入れてくださった
☆10:Woodhillさん、ほうでん亭ポン太さん、おとぎソールさん、orion6912さん、八大地獄さん、O.Yさん、鏡洲さん、名も亡き蛸さん、きいばいさん、水野 莉透さん、月の眠り人さん、トラ缶さん、綿本流さん、ちーくさん、ポンの助さん、ヘッピリムシさん、のほほんとゆくさん、ThousandArchiveさん、ぐれーぷぐみさん、スコタコさん、堅あげぽてぃとさん、Y神無さん、400さん
☆9:タズマさん、パラドファンさん、緋色のレンさん、鮭丸さん、sophiamc0604さん、RX-105さん、待宵月さん、Dace111さん、tomorrow05さん、赤と青のエボルトォさん、はろはろ衛星さん、kioriさん、秋缶さん、treebugさん、ザラメ雪さん、GURA-0014さん、タスマニアさん、魄鋼さん、サボテンテンさん、ROMリ隊さん、@taroさん、小型ハサミさん、ねあねあさん、モンペさん、完全無欠のボトル野郎さん、ぶらぺさん、エピメニデスさん、R_mesoさん、霧雨佑夜さん、週膳緋葉さん
本当にありがとうございます!
評価も感想もここすきも全部あってこそこの小説を書くモチベに繋がるので永遠ください(by承認欲求モンスター)