再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

76 / 143


久々に幼メンCPアンケートいってみるかあ!!
あ、あとがきの方にアンケートありますんで良かったら気軽に投票してってください。




76.クリスマスイブの夜

 

 

 

「じゃあ次はぼっちちゃん!」

 

 くずり姐さんのプレゼント(ゴミ)を然るべき場所に捨てた後、リョウさんが外で作ってきた雪だるまピエールくん(リョウさん命名)を店内に持ってきて店長からどやされていた。アホだなぁ~。

 そして一応リョウさんの番も終わり、虹夏さんは順番通りに後藤さんへ名指しした。当然、さっきの視線からしてこの子が店長に渡すプレゼントを買い忘れているのは察している。

 

 普通に自業自得なのでこのまま放っておいてもいいのだが、何かないかと必死に周囲を見渡してプレゼントの代わりになる物を探しているのを見てるとこっちが情けなくなってきてしまう。

 一応保険は用意してあるけど、どうするか。

 

 

「ゆ、ゆうくぅん~……」

 

「……はぁ」

 

 出てくるのは大きな溜め息。

 何故かピンクジャージのポッケから出てきた目薬を俺に見せながら泣きついてきた。のび太かお前は。

 

 ここで俺が突っぱねると精神崩壊して即興弾き語りソングとかいうドン引きされる地雷プレゼント第一位(※下北沢調べ)を披露するに違いない。

 そうなるとこの場は聖夜の天国ステージから血濡れの地獄会場になってしまう。さすがに俺の誕生日会も兼ねてる以上、見え透いた最悪な未来は回避しておきたい。

 

 幼馴染の失態は今までも数えきれないほど見てきたが、何度も見させられるこっちの身にもなってほしいものだ。面白いを超えてもはやいつ爆発するか分からない爆発物を見ている事しかできない人質になってる気分だ。笑えねえ。

 あと俺の腕を強く握ってきてるせいで既に逃げ場はない。こいつ、あわよくば俺を道連れにしようとしてやがるな? 

 

 まあ、即興弾き語りなんて俺が付き合うはずもなく、できるだけ虹夏さん達に気付かれないよう自然に後藤さんを連れ店長の前へと移動する。

 保険を持っておいて本当によかった。これでとりあえずスターリーを葬儀場にしなくて済む。

 

 

「店長へのプレゼントですけど、実は俺と後藤さん二人で一緒に選んできたんですよ。な、後藤さん」

 

「……え? えっあっと、うっ、うん……!」

 

「ほうほう、確かにぼっちちゃん一人でプレゼント選ぶのはハードル高そうだもんねぇ。優人くんと一緒に選んだんなら安心もできるでしょう! それではどうぞ~!」

 

 後藤さんへの理解度が高いのはさすがですけど、自然にディスリが入ってますよ虹夏さーん。

 いや何も間違ってないから否定はしないけども。100点満点の回答だけれども。

 

 

「ということで俺達からのプレゼントはこれです」

 

 事前に持っておいた袋からプレゼントを取り出し、店長に渡す。

 

 

「バスグッズとスキンケア用品です」

 

「おぉ、思ったよりちゃんとしたプレゼントなんだな。前の二人が論外すぎて余計良くみえるわ」

 

 ハードルが下がったという意味では一応あのクズベーシスト達も役に立ったということか。

 いや別に立ってはないな。何もしてないに等しいし。

 

 

「バスグッズは入浴剤です。バスボムなんで何が出るかは風呂入った時のお楽しみという事で」

 

「……一応この歳にもなっておもちゃ系のバスボムで楽しむと思われてんのか私。まあいいか、ありがとな」

 

 ちなみにバスボムに入ってるおもちゃ、というよりかはフィギュアと言った方が正しいか。フィギュアは可愛いうさぎだったりパンダだったりする。

 みんなの前で表立って可愛い系の物をあげるとそれこそキツいと思われそうだし、これなら良いカモフラージュになるだろう。

 

 

「んでスキンケア用品は入浴後に使うやつですね。店長ほどの人ならまだ大丈夫かもしれませんけど、女性に美容品は必須でしょうし年齢的にも気を遣わな」

 

「ありがたいけどもうそれ以上は言うな。言うな……」

 

 店長……誕生日なのに表情に陰りが……30歳にもなったらもう素直に誕生日も喜べなくなってくるのか。

 確かに20代と30代ではパッと聞いた時の印象かなり違ってくるもんね。強く生きてほしい。

 

 

「いや~ぼっちちゃんの事だからもしかしたらぶっ飛んだ事しそうと思ったんだけど何もなくて良かったね~!」

 

「あっはい……」

 

 俺が阻止したからね。せっかくシデロスのみんなとも仲良くなれ始めたのに後藤さんのせいで距離遠くなるの嫌だし。

 いやヨヨさんもぶっ飛んでるから慣れてそうではあるけども。二人共方向性が違うタイプのやばさだからな。どっちも触るな危険。取扱注意人物。

 

 

「ゆうくん……その、ありがと……」

 

「まったく、世話になってる人の誕生日くらいはちゃんと覚えとくんだぞ? 次はないからな」

 

「うん……」

 

 何はともあれ最大の難関は突破した。

 これでもう何も心配することはないだろう。……ないよな? 

 

 

「ぼっちちゃんは明日も優人くんと家族ぐるみでクリスマス会するからその時渡すんだったよね。んーじゃ、最後はあたしからって事だ。優人くんにはぁ、はいこれっ!」

 

「……二つありますけど?」

 

 虹夏さんから渡されたのは二つのプレゼント。

 どっちか選べ的なやつなのかな。

 

 

「どっちが良いかな~とずっと迷っててさ、思い切って両方買っちゃった! だから二つとも優人くんのだよ!」

 

「マジか……聖夜の天使じゃん……」

 

 いやプレゼントの数で優劣つける気は一切ないんだけど、迷ったからって二つ買っちゃう虹夏さんどうかしてるよ(誉め言葉)

 ここで遠慮すると変に押されそうな気がしたので素直に頂くことにした。とりあえず片方の袋に入ってるプレゼントを取り出す。触り心地的に服かな。

 

 

「こ、これは……!?」

 

 バッと袋から出して服を広げる。それは一見普通のパーカーだった。

 しかし、違うのは前に描かれているデザイン。シンプルなパーカーならいくつも持っているが、これはさすがに持っていなかった。

 

 何故なら。

 

 

「11月に抽選販売されたアニメのデザインパーカーじゃないですか! 俺も欲しかったのに抽選落ちて買えなかったこれを、何で虹夏さんが……?」

 

「ふっふーんっ、優人くんがアニメ好きだって事はもう周知の事実でしょ? でも特に好きなアニメって何だろうなってなった時にパッと出てこなくてさ。ほら、優人くんって聞いてないのにたまにその季節の時やってるアニメで一番好きな作品の話を早口でオススメしてくるじゃん?」

 

 遠回しにオタク特有の早口ディスられたような気がしたんですけど気のせいですかね。気のせいだといいな。

 

 

「それで適当に調べてたら優人くんがその時話してたアニメの服が抽選で発売されるって見たからダメ元で応募したら当たったんだよね。でも一応買ったはいいものの、これをあげて喜んでくれるかも分かんないしこういう服って私服として着るものなのかも知らないから、予備でもう一個プレゼント買ったって感じかな」

 

「いやめっちゃ嬉しいですよ! このアニメは今もやってるんですけど、ネットでも評判で毎回トレンドに入るくらいには話題になっ」

 

「はーいその話はまた今度ゆっくりね~」

 

「あっはい」

 

 なるほど、こういうところだな俺。あまりにも嬉しくてついつい熱く語っちゃうとこだった。

 ちなみに大まかな説明をするとだ。アイドル好きの医者がとある理由で死んで、推しだったアイドルの子供として転生するという作品である。最初は普通にアイドル物として見てたから後の展開には驚かされたね。

 

 

「もう一つの方も開けてみてよ。まあ一個目でそんな喜んでくれるならいらなかったかもだけど」

 

「そんな事ないですよ。虹夏さんから貰えるなら例えムカデだろうが黒いテカテカ野郎だろうが喜ぶ自信ありますよ」

 

「それは渡すあたしが嫌だよ!?」

 

 何ならその辺で拾った石ころでも草でも良い。リョウさんとは違って虹夏さんの拾ってきた物にはもれなくご利益が付いてくるからね。

 拝まなきゃ……と思いつつもう一つのプレゼントを開けると、

 

 

「おっ、これってヘッドホンですか? あれ、まだ何かある」

 

「そだよ~。優人くんもギター弾いたりするならこれから録音する機会もあるかもしれないし、ヘッドホンアンプ持っといた方が良いかなって! これがあたしからの二つ目のプレゼントでしたぁ~! って優人くん泣いてる!?」

 

「ええ人やぁ……やっぱ虹夏さんしか勝たん……虹夏さんがいっちゃん天使……」

 

 こんなどストライクに俺が喜ぶ物をくれるだなんて虹夏さんやっぱ天使なんよ。

 それでこそ俺の推しの子。いや~とびきりの愛貰っちゃったなぁ~これ!! 今なら重曹舐めれるかもしれない。いっそこの場で舐めてやろうかなもう!! 

 

 

「なんか知らんが嫌な予感するから誰かそこの黒一点押さえつけとけ」

 

「誰か重そむごぐぁ!?」

 

「はい優人君私がこのチキン食べさせてあげるから大人しく座ってましょうねえ~!」

 

 テンション上がった俺の口へ喜多さんが割と大きめのフライドチキンを突っ込んできた。

 あ、顎がぁ……顎が外れるぅ!? 

 

 

「ヨヨコ先輩、清水さんって面白い人っすね。時折やばいっすけど」

 

「しっかりしてるとこもあるけどちゃんと子供らしくて可愛いとこもある男の子って感じだねぇ♪」

 

「さすが凄いモノを持ってる人なだけありますぅ~……」

 

「みんなのあいつへの評価バラバラじゃない……」

 

 俺が喜多さんから強引にチキンを押し込まれて悪戦苦闘してる間に何だかシデロス方面から視線を強く感じる。

 やっべ、後藤さんがやらかさないようにしてたのに気付いたら俺がやらかしかけてるじゃん。俺をこんなに狂わせるなんて、虹夏さん……罪な女だぜ……。

 

 

「優人君次行くわよ~!」

 

「ちょっまっ……喜多さんもういいから! もう何もしないからせめて普通に食べさせて!? クリスマスに女の子からのあーんという男子なら誰もが羨む甘いイベントなはずなのに俺が恐怖感じてる時点でおかしい事に気付いて!? これじゃちょっとした拷もむぐごばぁ!?」

 

「きゃ~! 男女であーんなんてクリスマスって感じするわ~!」

 

 なんか言ってるが俺はもう若干泡吹いて倒れそうです。

 クリスマスイブにチキン食わされて殺されそうになってるの世界で俺だけなんじゃないか。後藤さんはあわあわしながら俺を助けようか迷いつつもしっかり手はフライドチキンへ伸びている。やっぱ揚げたチキンなら何でもいいのな。

 

 

「いや助けろやあ!!」

 

「んぎゃあああああああああああああああ~!?」

 

「お、自力で戻ってきたね」

 

 二個目にぶち込まれたのが骨なしチキンだったから何とか丸呑みで事なきを得たのだ。

 俺クラスの人間にもなると食道を広げる事くらい造作もない。我ながら人間やめてるなとは思う。それもこれも全部後藤さんのせいにしておこう。彼女の対応をしてたらこうなってたし。

 

 そんな後藤さんは俺の声に驚いて喉にフライドチキンを詰まらせ死んでいた。

 クリスマスイブにフライドチキンを喉に詰まらせて死んでるのって世界で後藤さんだけなんじゃないか。ふん、所詮この後藤はアホピンク四天王の中でも最弱よ……。ヤツが死んでもいずれ第二第三のアホピンクが現れるであろう……。

 

 

「そういうのいいから優人くん早くぼっちちゃん復活させてあげなよ」

 

「あ、うっす」

 

 何で独白聞こえてんの怖いよメタいよ。

 

 

「ザオリクッ!」

 

「……んはっ!? わ、私はいったい……」

 

「虹夏さん、蘇生完了です」

 

「ん、ご苦労さま~」

 

「ええ!? あれドラクエの復活呪文っすよね!? どうやってやったんですか!?」

 

 意外な方向から反応があった。

 何やらテンション高めになっている黒マスクの長谷川さんだ。どうしたんだろう。

 

 

「え、いや……ノリで?」

 

「ノリでできるもんなんですか!? 凄いっす!」

 

「ふっ……それでできてしまうのよ清水優人という人間はね……」

 

「何でアンタが得意気なんだよ俺の何を知ってんだよ」

 

「なっ……そ、それくらいこれから知っていけばいいだけでしょ!? そのうちお互いの知らない事なんてなくなるわよ!!」

 

 距離の詰め方エグくない? 

 どんだけ俺と友好深めるつもりなんですか。そこまでいくともう友人の枠超えちゃってるよ。

 

 

「やっぱり只者じゃないですよねぇ~? ぼっちさんもですけどぉ」

 

「そのセリフそっくりそのままバットで打ち返させてもらってもいいですかね内田さん!? 君とは全体的にまともな会話したことない気がする! だって目が合わないもの! 虚空を見つめてるもの!!」

 

 何で私服も派手な格好なのに気配もなくニュルッと出てくるんだこの子。

 あとその抱えてる二つの人形さんちょっと怖いからできるだけ近づけさせないでほしい。たまにそっちから視線感じて寒気するので。

 

 

「はーいそろそろ時間も良い頃合いなんでお開きにするよ~」

 

 良い所で虹夏さんから助け船が出された。

 それを合図に半ば逃げるように俺は後藤さんの背後へ隠れる。

 

 

「あっえっ、ゆ、ゆうくん……?」

 

「気にするな後藤さん。ただの避難だ」

 

「うん……?」

 

 よく分かってないのか小さく首を傾げている。だがそれでいい。だって俺もナニから逃げてるのかよく分かってないから。

 やっぱバンドマンって変な人しかいないのかな。

 

 

 

 

 あれからみんなでわいわいしながら(後藤さんとヨヨさんを除く)片付けを済ませ、気付けば俺は喜多さんから貰ったブレスレットと虹夏さんから貰ったパーカーを身に着けていた。

 話している最中にどうせならちゃんと身に着けてよと言われたからだ。何だかこそばゆいです。

 

 そしてパーティーも無事終了し、駅まで虹夏さん達が見送ってくれる事になったのでみんなで移動していく。

 もちろんシデロスのみんなも含めてだ。

 

 雪が降っているその道中。

 

 

「結束バンド!」

 

 ヨヨさんが突然俺達に声をかけてきた。

 

 

「最後に言っておくわ。私達も未確認ライオットに出るから覚悟しておきなさい! 今決めたわ!」

 

 さっきまで静かなりにパーティーを楽しんでいたように見えたけど、まさかそんなこと考えてたのかヨヨさん。

 というか今決めたのね。逆にそんな堂々と言っちゃっていいのかいそれ。メンバーに報連相してなくない? 

 

 

「あと書類選考で落ちるなんてダサい事されたくないし改善点まとめてあげたから! もっと上を目指したいんならあ、ありがたく読めばっ?」

 

「えっとぉ、ありがとう……?」

 

 あまりのツンデレ具合に虹夏さんも困惑してらっしゃる。

 よく考えたらヨヨさんって後藤さん(コミュ症)店長(ツンデレ)を掛け合わせたみたいな人だよな。……うん、褒め言葉になってないのは確かだ。主に前者部分が強すぎてマイナス要素にしかなってねえ。

 

 

「私ら聞いてないんすけど」

 

「相談はちゃんとしましょうよ! そういうところでみんな辞めてくんですよっ?」

 

「あっ出ても……いいですか……?」

 

「ダサいなぁ……」

 

 かっこよく宣言したのにメンバーから怒られるその姿は泣けてくるぜヨヨさん。

 アンタに爆弾発言はまだ早かったようだね。その辺はまだどっか外に捨ててきたデリカシーゼロのきくり姐さんを見習うべきだわ。やっぱ見習わなくていいかな。

 

 

「ぐぬぅ……ふんっ、まあいいわっ。清水優人!」

 

「んぁ? 何ですか?」

 

 今度は俺に矛先が向けられる。

 もうしっかりとこちらに指を差してきてロックオン状態だ。今更何を言ってこようがヨヨさんの事だし軽くいなしちゃうよぼかぁ。

 

 と、そんな軽薄な事を考えていたからか。

 

 

「貴方の今日の動きを見ていて思った事を言わせてもらうわ」

 

「?」

 

 彼女の次に放った言葉を聞いて。

 みんなはおろか、俺でさえ言葉を失うには十分だった。

 

 

「清水優人。貴方、新宿FOLTに来てシデロスのサポートをしなさい」

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………は?」

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 金沢八景駅に着き、俺は後藤さんと帰路についていた。

 こっちにもまだ雪が降っている。

 

 ここまでの帰り道、電車の中も、お互い無言のままだった。

 気心知れた幼馴染故の気にならない沈黙とは違って、今は少し気まずさも感じさせるような沈黙状態。

 

 結局あんな事を言ったヨヨさんはすぐに長谷川さん達にいきなり何言ってんだと首根っこを掴まれながら改札の向こうへ連行され、発言の真意はうやむやのまま終わった。

 あの後俺達はよく分からない雰囲気の中、普通に別れの挨拶を済ませ各々の帰路についた。

 

 そして今に至るのだが……。

 

 

「いや~、まさかヨヨさんがいきなりあんな冗談言うなんてな」

 

「……え? じょう、だん?」

 

 後藤さんが反応した。

 何て声をかけるべきか迷ったけど、やはりこの件が黙ってた原因か。

 

 

「当たり前だろ。あの人って後藤さんと違うタイプで人付き合いが苦手でさ、パーティーの後だったし最後に何か言ってやろうとして空回りしたんだろ。すぐ長谷川さん達に連行されたのがその証拠だよ」

 

「……そっ……か……そう、なんだ……」

 

「おい、まさか俺が鵜呑みにして向こうに行くとか思ってんじゃないだろうな?」

 

「うぇっ!? い、いや、別に……そんなこと、はぁ……あだっ!?」

 

 アホピンクの額にデコピンを一つ。

 

 

「……ったく、お前がスターリーにいるのに放ったまま向こう行く余裕なんてねえっつの。そんくらい分かれバカ」

 

「あうぅ……」

 

「……」

 

 まあ、あれを聞いて何も思っていないと言えば嘘になるが。

 いくらヨヨさんとはいえあの局面であんな冗談を言うとは思えない。言葉足らずで相手との付き合いが下手、それがヨヨさんだという事を俺はもう知っている。

 

 つまりあの言葉には必ず何か裏があるはずだ。

 ……いやまさかマジで冗談で言ったとかないよな。……ないよね? あれ、ちょっと自信なくなってきたかも。

 

 

「あのっ、ゆ、ゆうくんっ」

 

 ヨヨさんの生態をもっと把握しておく必要があるかなと思っていたら後藤さんが俺の前で立ち止まった。

 顔を見るに俺の言葉を信用したのか先程あった不安はなくなったようだ。

 

 

「どした?」

 

「え、えっと……こ、これっ」

 

 そう言って彼女が取り出したのは小さな箱だった。

 でもってここまでされて何か分からないほど鈍感でもないのが俺である。

 

 

「誕生日プレゼント?」

 

「うん……」

 

「けどこれって明日のクリスマスパーティーで貰う予定じゃなかったっけ?」

 

 だからプレゼントを渡す時も後藤さんの順番は飛んだはずだったけど。

 

 

「そう、なんだけど……どうしても今、渡さなきゃと思って……。ゆうくん今虹夏ちゃん達から貰った物付けてるし……」

 

 という事はこれも身に着ける物だろうか。

 

 

「開けても?」

 

「う、うん」

 

 小さな箱を開けてみる。

 するとそこから出てきたのはとても小さなギターだった。いいや、正確にはギターのキーホルダーだった。

 

 

「これって……」

 

「あ、えっと……一人でお店に探しに行く勇気はなかったからネットで探してみたら見付けて、渡すならこれが良いかなって……」

 

「……」

 

「その、ゆうくんが使ってるギターのキーホルダーなんだけど……」

 

 そう、俺の使ってるギターのキーホルダー。

 それが後藤さんからの誕生日プレゼントだった。こんな事があるなんてな……。

 

 

「……はは、あっははははっ!」

 

「ゆ、ゆうくん……?」

 

 思わず笑いが零れてしまう。

 いけないいけない、せっかくプレゼントをくれたのに笑い出すのはさすがに失礼か。

 

 

「悪い悪い、ありがとな。……でもそっか、そういう事もあるんだなぁ。いや、偶然ってのはほんと凄え」

 

「?」

 

 いまいち状況を掴めていない後藤さんがポカンとしているが仕方ない。

 何せ俺しか分かっていないんだからそういう事にもなる。

 

 本当なら明日渡すつもりだったけど、そもそもフライングで一日早く渡してきたのは後藤さんだ。

 ならば今俺も渡したっておあいこだろう。俺はバッグから小さな箱を取り出して後藤さんの前に出す。

 

 

「ほら、一日早いけど俺からもクリスマスプレゼントだ。これでお互いフライングって事でおあいこな」

 

「えっと、あ、ありがとう……開けてもいい?」

 

「おう」

 

 小さな手で彼女は同じように箱を開けていく。

 俺が渡したプレゼントの箱のサイズは、後藤さんから貰った物とまったく一緒だった。

 

 

「……え? これって……」

 

 つまりは、そういう事だ。

 

 

「まさかお互いプレゼントが被るなんてな。これも幼馴染だからってか」

 

「ギターの、キーホルダー……。それも、私が使ってる……」

 

「どうやら息はピッタリみたいだな」

 

 何の偶然か、運命の悪戯か。

 お互いがお互いの使っているギターのキーホルダーをプレゼントとして渡す。こんな事がクリスマスの夜に起きた。

 

 

「どうせなら後でお互いのギターケースに付けるか。俺のは家に置いてあるし」

 

「……あ、うん」

 

 覗き込むと傘の下にある後藤さんの顔が赤くなっていた。

 さすがに雪が降ってる中立ち止まりながら話すのは寒いか。少なくとも俺はくっそ寒い。

 

 これ以上12月の夜にじっとしているのは個人的に我慢できないので歩き出す。

 

 

「ほら、寒いしさっさと帰ろうぜ。早くあったかい部屋であったまりてえ。そうだ、せっかくだからキーホルダー付けたギターケース並べて写真でも撮るか」

 

「う、うんっ……!」

 

「何でいきなり元気になってんの」

 

「うへへぇ……キーホルダー、お揃いだね……」

 

「……あー、まあ、そうなるか。……なあ、やっぱ付けるのはなs……いや分かったっ。付けるから今にも本気で泣きそうな顔すんなって!? せめていつもみたいに溶けるか何かにしてギャグ落ちにして!! 聖夜に外で奇声混じりの泣き声はご近所迷惑どころか俺が社会的に殺されるから!?」

 

 

 12月、クリスマスイブの雪が降る寒空の下。

 凍り付くような空気にあてられ全身寒いはずなのに、どうにも顔一点に熱がこもったまま俺と後藤さんは街灯だけに照らされながら家へと歩を進めていく。

 

 

 

 





地味に清水優人ってゲーム好きのあくび、料理好き(?)の楓子、何か憑いてるせいで興味持たれてる貧血気味な幽々(面倒見がいある)と、割かし誰でも相性良いかもしれんという事実。

プレゼントで相手に身に付ける物を渡す意味を調べると面白いかもしれないよ。
その上でもう一度読むと言葉の意味が変わってくるかも?


では、今回高評価を入れてくださった

☆10:るうささん、vongolaさん

☆9:ABcD overjoyさん、タスマニアさん、イキョウさん、小型ハサミさん、モチモチこしあんさん、完全無欠のボトル野郎さん

本当にありがとうございます!
感想ここすき毎回楽しみに待ってるよ~。


さて、久々の幼メンCPアンケートですが、キャラもたくさん増えて変化はあるか?
いっちょやってみよう。選択肢多いなマジで。

幼メンの中であなたの推しCPは?(2回目)

  • 揺るぎなき優ぼ
  • だんだん親密な優喜多
  • 天使はやっぱ天使な優虹
  • 例えクズでも優リョウ
  • 意外と優星
  • それでも見たいか優きく
  • 秘めた可能性の女、優ヨヨ
  • ゲーム好き同士か優あく
  • 料理好きでいけるか優楓
  • やべーモノ優幽々
  • マイナーかな優P
  • 禁断の優ふた
  • アニメ好きならやっぱ優イラ
  • まともな優志麻
  • いっそこいつか優ぽい
  • 同クラワンチャン優佐々
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。