再会した幼馴染が引きこもり寸前だったから面倒見る   作:たーぼ

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100話到達と幼メン一周年までもうすぐそこまで来てるねえ。




97.何だかんだ遊園地とかっていると楽しくなってくるもの

 

 

 ブッカー柳による混沌ライブから日も経ち、俺達はいつも通りスターリー……ではなく電車移動でとある場所に来ていた。

 

 

「着いた~! よみ瓜ランド!」

 

「下北からすぐでしたね!」

 

 結束バンド、現着。

 そう、我らはかの有名な遊園地、よみ瓜ランドに来たのだった。

 

 

「今日はライブの打ち上げアーンド!」

 

「スターリースタッフ一同自由参加型慰安旅行です!」

 

 今日も今日とて虹夏さんと喜多さんが元気で何よりです。

 まあ気持ちは分かる。何たって遊園地だもの。よみ瓜ランドだもの。テレビでよく見るやつだもの。

 

 ちなみにメンバーは結束バンドの他に俺、スターリースタッフ陣からは店長とPAさん、あと何故かいるきくり姐さんだ。

 いやほんと何でいるんだあの人。スタッフでも何でもないだろ。めちゃくちゃ部外者じゃん。

 

 ライブの打ち上げ自体はあの日にもやったがそこはツッコミなしの方向で。

 色々目的というか事情がある訳よ。虹夏さん達が無駄に元気出してるのもただ遊園地に来てテンションが上がってるからではないのだ。

 

 どれ、ひとつ現実に戻してみようじゃないか。

 

 

「あと未確認ライオットの審査結果が来る日、ですよね」

 

「「……」」

 

 なんという事でしょう。あれだけ明るかった二人が一瞬で黙ってしまわれましたわ! 

 心なしかリョウさんも死んだ魚のような目で虚空を見つめてる。あれはあれだ、普通に遊園地に来た事に対して陰鬱になってるだけだ。

 

 そしてここに着いてから一言も言葉を発してない後藤さんは俺がリュックを背負ってるから背後に隠れられず、俺の隣でずっと俺の腕にしがみついている。

 袖のしわ凄くなりそうだからそろそろ離してほしいんですけど……。傍から見ればカップルが腕を組んでるように見えるかもしれないが、実際は今から人混みへ向かう恐怖に怯えてる女子が男子を逃がさないようにとっ捕まえてるだけだ。凄い、リア充感微塵も感じないね。

 

 俺の言葉に虹夏さんがスマホを見るも、

 

 

「まだ来てないね……」

 

 そりゃそうだ。来るなら俺のスマホにも通知来てるからね。

 今日は未確認ライオットに出るため、結束バンドの新曲音源を一次審査に出した結果が来る日だ。

 

 しかし昼前とはいえまだ連絡の一切も来ていない。正直あんなに良い曲が出来たんだから通過できない事はないだろうと俺自身は思ってるが、それでもメールが来るまではどうしたって緊張感は拭えない。

 だからこそ今日はここにやってきた。

 

 つまりは。

 

 

「……今日は日頃の不安を吹き飛ばすくらい遊ぼおおおおおおおおーっ!!」

 

「ただの現実逃避旅行かよ」

 

「店長鋭いツッコミ禁止。また虹夏さんにそっぽ向かれたいんですか」

 

「我が家の料理に支障をきたすのはもう御免だ!」

 

「いい加減一つくらい料理覚えたらいいじゃないっすか。何なら俺が教えてあげましょうか」

 

「……じゃあかつ丼のレシピ教えてくれ……」

 

 このシスコン三十路、丼ものに逃げやがったな。

 具さえできればご飯の上に乗せるだけで結構簡単に出来上がるし腹も膨れる一品を選ぶとは、極まってんな店長。けどこの人が上手くとんかつを揚げてるイメージ湧いてこないんだが。

 

 ただ、現実逃避旅行というのもあながち間違いではないから何とも言えない。

 いつ来るかも分からないメールに怯えるくらいなら、せめてメールが来るその時までは楽しい時間を過ごしていたいのだ。

 

 

「せっかく来たんだから今日はお姉ちゃん達も楽しんでね~!」

 

「しんどい」

 

「だるい」

 

「吐きそう……」

 

「優人くん、このやさぐれ三銃士どう思う」

 

「滑稽ですね」

 

 いやほんと。

 

 

「もう~! ほら周り見て! 癒されるでしょ!」

 

 何となく俺も周囲を見てみると、家族連れやらカップルやらがキャッキャウフフしながら楽しそうに歩いている。

 家族連れはともかくリア充は爆発してくれないかな。なんかこう、女子の前でソフトクリームを落としちゃうとか躓いて転けそうになるとかほんの少しの不幸に見舞われてほしい。俺もああいう青春送りてえ~。

 

 

「この歳になるとこういう所に来るのがなんか辛くなってくんだよ。自分で選んだ道だから後悔もしてねえし間違ってたとも思わないけど、幸せそうな同年代の子連れ見ると胸が締め付けられるんだ……こう、胸がな……ギュッてなるんだよ……」

 

「毎日家に帰っても一人、おかえりと言ってくれる人もいない……料理しても誰も食べてくれない。添加物満載のコンビニ弁当を一人で買っては貪る毎日、壊れていく身体壊れていく心……うぅ、しくしく……」

 

「ちくしょ~! 借金まみれなのも築52年風呂なし事故物件アパートに住んでるのも全部バンドのせいだ~! えーんっ、ほんとに出るんだぞ~!」

 

「廣井さんのは全部お酒のせいでしょ。……え、出るって何が? 優人くん、何で目を逸らすの?」

 

 以前シデロスの内田さんときくり姐さんの家行ったら科学では証明できない現象ばっか起きたのをこの目で見てしまったので。

 ああ、本物っているんだなってなったよ。内田さんは俺の上を見ながら「ユウトさんがいれば大体の悪いモノがいても大丈夫そうですねぇ~」とか言ってたけど。そっちのが怖かったわ。

 

 

「こんな天気の悪い曇りの日に遊園地なんて来るもんじゃねえよ……」

 

「ほら雨降ってきましたよ……帰りましょう。……あ、私の涙か」

 

「アルコール類の持ち込み禁止の遊園地とか来る価値ね~……」

 

「いや今日快晴だけど!? 廣井さんのに関してはほとんどの遊園地がそうでしょ!?」

 

「園内入ってすぐなのにもうグロッキーなんですか!?」

 

 普段地下のライブハウスに生息してる陰の大人達はひとたび陽の遊園地に来るとこうも弱体化するのね。

 哀れ、哀れすぎるぜ。ここまでくるといっそ俺にくっついて必死に我慢してる後藤さんの方が偉く見えてきた。内心では帰りたいと思ってそうだけど、口に出さないのは彼女なりにみんなで遊びたいと思ってるのも本心だからだろう。

 

 うん、偉い、偉いぞ後藤さん。何も言わないだけで株が上がるなんて珍しいね。

 木にしがみつくコアラと思えばこの怯えようも可愛いものだ。しわなんてもう気にしないでおこう。何ならペットを可愛がる勢いで頭も撫でちゃう。

 

 

「……え? ゆ、ゆうくん……? い、いきなりどうし、何で撫でて……う、うぇへ、うぇへへへへへへ~っ……」

 

 なんか知らんが後藤さんの機嫌も良くなってきた。誠に良い傾向だ。

 

 

「あーもうっ! ちょっと優人くんっ、この大人達何とかこっから動かして!!」

 

 いきなり結構な無茶振りしてきますやん。

 しかしうちの天使が言うのなら従者であり信者のわたくしめがしかとその任務を承ろうじゃありませんか。

 

 ふむ、このどんより三銃士を少しでも元気づける方法ねえ……。

 仕方ない、昼にはまだ少し早いけど出しますかな。

 

 

「後藤さん、リュック開けたいからちょっとだけ離してくれ」

 

「あっうん」

 

「優人君、何か出すの?」

 

「……ハッ!? 優人、まさかこの匂いは……!?」

 

 何で開けてもないのに匂いが分かるんだよこの草食系(物理)。

 遊園地に来るのが楽しみすぎてテンション上がったついでに作った大きめの弁当箱を全部取り出す。

 

 

「一応昼食用に弁当作ってきたんですけど、食べます?」

 

「「「食べる」」」

 

 食欲は旺盛だなオイ。

 

 

「清水君、私に毎日おかえりって言ってくれる係やりません? 毎月お金払うので」

 

「遠回しにプロポーズしてんじゃねえよ。こっちには虹夏だっているんだぞ」

 

「ちょっとお姉ちゃん今余計な事言ったな?」

 

「店で酒買えば弁当をつまみに合法で飲めるぜぇ~!」

 

「よし、ちょろいなこの大人達。後藤さんもういいぞ、近う寄れ」

 

「あっうん」

 

「優人君あなた今結構な大事に巻き込まれそうになってるわよ」

 

 知らん、俺が受けた命はこの三人をここから動かす事だけだ。

 こっから動いた後の事までは責任持つ必要とかない。どうせ一緒に行動する気は元からなさそうだし。何で遊園地に来てまで高校生が大人三人の面倒を見てやらにゃならんのだ。俺はもうさっさとよみ瓜ランド楽しみたいモードなんだけど。

 

 

「うしっ、食料調達したしどっかで時間潰そうぜ」

 

「酒売ってる店行きましょ~」

 

「ていうか何でお前いんの? 帰れよ」

 

 こうして俺の弁当を全て持ってった店長達はお酒を求め園内を徘徊しに行ったとさ。

 さらば俺の弁当箱よ。虹夏さん達と園内の喧噪をBGMにしながらわいわい食べるという楽しみは消えたが、お前は一応面倒な大人を追いやる程度には役に立ったぜ。

 

 

「という事で昼食は後で適当にどっかの店で済ませしょう。それより今は遊園地ですよ遊園地!」

 

「うーん……そうだね、優人くんのお弁当も食べたかったけどしょうがない。あっちはほっといて周ろっか。それじゃテーマパークマスターの喜多さん進行お願いしまーす!」

 

「今日は私に任せてください! 楽しい一日にしてあげます!」

 

「よっ! 喜多さん! さすが陽キャの極み乙女! テーマパークに来たら一層輝く喜多さんオーラ! 頼りにしてるぜ園内網羅! HP尽きるまで遊ぶぜ今日は! 後藤も山田も顔上げろーや! イェイイェイイェイ!!」

 

「優人うるさい」

 

「よっぽど楽しみにしてたんだね~」

 

 そりゃもう楽しみにもなるってもんでしょ。

 こちとら遊園地なんて小さい頃でさえ後藤さんが嫌がるから来た事もなかったんだぞ。ちゃんとした遊園地は今回が初です。だから年甲斐もなく結構はしゃいでるよ俺。武者震いが止まらないドラゲナイなんだぜ! 

 

 

「喜多ちゃん的にはどっから周るのがオススメとかある?」

 

「そうですね~。とりあえずマップも把握したいのでパンフレット取ってきま」

 

「取ってきたんだぜ」

 

「はっや。優人くん瞬間移動でもしたの!?」

 

「あと色々買ってきたんだぜ。チュロスとかポップコーンとかも売ってたんだぜ」

 

「アトラクション周るっつってんのに食べ物買ってきてるし!」

 

 つい買っちゃったんだぜ。

 

 

「ここは食べるの大好き後藤さんにチュロスを二本装備して無理矢理テンション上げさせましょう。ほい後藤さん、お得意の場の雰囲気に身を任せるんだ。己を解放しろ」

 

「あっえっ……が、ガシャーン! うっ、うぉっしゃ~~~! アトラクション全制覇しちゃいます~~~? チュロスソード! ブッピガン!!」

 

「なら俺もチュロス二本装備でいくぜ! うおおおおおおっ! 月牙十字衝ッ!!」

 

「二人共さすがにハメ外しすぎよ」

 

「「あっすみません……」」

 

 喜多さんテーマパークマスターなのにドライなの何で。

 こういうのってテンション上げてなんぼじゃないの。俺の子供心が純粋にダメージ負ったんだが。

 

 

「こういうのは欲に身を任せて行きたいものから行っても後の楽しみがなくなるんです。だから効率的にワクワクを維持するためにも程よく興味が引かれるアトラクションから攻めつつ、近いエリアにある行きたい所に行くのが最適解なの! 最初からMAXテンションで行っちゃったらそれこそ体力が持たないわよ優人君」

 

「な、なるほど……どんだけ楽しみでも適度に気持ちを抑えとく事も大事なんだな……」

 

 これがテーマパークマスター喜多さん……。

 すげえ、遊園地の楽しみ方ってのを完全に分かってやがる! テーマパーク初心者の俺には高すぎる位置にいるんだな陽キャって。

 

 そんな訳でいよいよ出発となった時。

 一人だけベンチに座ったままのヤツがいた。そう、人混み苦手マイペース山田である。

 

 

「家でだらだらしたかった……」

 

「リョウまであの大人達と同じ事を……もーじゃあみんなと遊んどくからいいよ! ぼっちちゃんですら今日はこっち側なのにっ」

 

「ゆ、ゆうくんの事なら任せてくださいっ……」

 

「おい何で俺が面倒見られる側っぽくなってんだ」

 

 迷子にならないようくっついてきてんのはそっちでしょうが。

 ちょっと得意気に微笑んでんじゃねえ。何だその特定のアトラクションでは役に立てますみたいな顔。

 

 と、リョウさんをほっといて歩き出そうとした俺達の前を横切るように突然何者かが現れた。

 燕尾服を着た……イノシシ頭のゆるキャラ? 

 

 

「あ! マスコットキャラクターの瓜ボーだ! ゆるかわい~!」

 

「きゃ~! 写真撮っていいですか! イソスタにあげたいんで!」

 

 かわいい、のか……? 

 何でイノシ、ウリボーが燕尾服着てんだというツッコミは多分野暮。こういうのはマスコットキャラクターやゆるキャラあるあるなんだろう。にしても顔がなんか絶妙に腹立つな。写真撮られてるのに一切ポーズとらねえし。もしくはそういうキャラ設定とか? 

 

 

「ねえ、優人君のカメラで撮ってちょうだいよ!」

 

「ああ、はいはい」

 

 せっかくの遊園地だし一眼レフ持ってきといて正解だったな。

 適当に声をかけてシャッターボタンを何度か押していく。喜多さんはポーズや角度を変えながらもう一回と言ってくるので、その度に俺は喜多さんと虹夏さんと瓜ボーを撮った。

 

 何度も、何度も、何度も。

 

 

「……あの、喜多さん、もうそろそろいいんじゃ」

 

「うーん、こっちの角度の方が盛れるかしら? でも優人君のカメラだと加工できないし……やっぱり自分のスマホで撮った方が慣れてるからやりやすいわよね。ありがと優人君、あとはこっちで撮るわ!」

 

 まだ撮るんかい。

 虹夏さんもいつの間にかこっちにいるし。

 

 

「喜多ちゃ~ん、カメラ越しじゃなくて肉眼で見る景色をもっと大切にしなよ~」

 

「けど虹夏さん、江の島の展望台で絶景見た時に生だとこんなもんかって言ってたのどこの誰でしたっけ」

 

「げふん」

 

 はぐらかし方よ。

 

 

「? 加工アプリのフィルター通した景色の方がきらきらしてて綺麗ですけど?」

 

「喜多さんも展望台の時絶景だから目に焼き付けとかないとって言ってたよな」

 

「げふん」

 

 だからはぐらかし方よ。

 まあいいや、とりあえず。

 

 

「虹夏さんもっかいだけ写真撮るんで瓜ボーのとこ行ってくれます? ほら後藤さん、虹夏さん達いたら怖くないだろ。一緒に撮ってやるから行ってこい」

 

「えっあっ……ゆ、ゆうくんは……」

 

「俺は撮影係だから」

 

 という事で虹夏さんに連れてってもらった。

 リョウさんは……ベンチでチュロス食ってるからいいか。何か視線めっちゃ感じるけど。実は羨ましくなってきたんじゃないの。

 

 

「撮りますよー。えっとぉ~……はい、けっそーく」

 

「久々に掛け声でボケてきた!」

 

 うん、良い感じだ。相変わらず瓜ボーは直立不動だし相変わらず後藤さんは心霊写真っぽくなってるけどチュロス持ってるおかげか多少マシに見えてる可能性もある。

 ほんと多少。いや微小? 微レ存? 

 

 写真も撮り終え近くにあったショップに行く。

 なんでもそこのテーマパーク特有のグッズを身に付ける事でより一層雰囲気を楽しめるらしい(喜多さん談)。

 

 そこで、

 

 

「そうだ、瓜ボーカチューシャ付けましょうよ! はい、伊地知先輩も!」

 

「え~こういうの付けるの恥ずかしいんだけどぉ」

 

「ぐはぁッ!?」

 

「ゆ、ゆうくんが吐血した……!?」

 

「優人君もああなってますけど」

 

「付けていこう」

 

 くっ……照れながら瓜ボーカチューシャ付ける虹夏さんの破壊力高すぎんだろ……! 

 我が生涯に一片の悔いなし! 

 

 という訳にもいかないので立ち上がる。店内での迷惑行為はやめようね。

 あらかた装備を整え外に出ると、リョウさんがチュロスを食べながら出待ちしてた。店内は飲食禁止だから律儀に外で待ってたのね。そこだけは褒めてやる。

 

 

「……ふっ、年甲斐もなくはしゃぎおって。遊園地ではしゃいでいいのは小学生までだよ優人」

 

「わざわざベンチからここに移動してまで言う台詞ですかそれ。絶対みんなが楽しんでるの見て寂しくなったから来ただけでしょ」

 

「べ、別にそんな事は……ぐぬぬ」

 

 強がってんねえ。お可愛い事。

 

 

「……仕方ない、かくなる上は」

 

「ん? うおっ」

 

 いきなりリョウさんに片腕を掴まれそのまま俺の左腕はがっちりホールドされてしまった。

 

 

「優人が私がいないと物足りなくて寂しいって言うから仕方なく混ざる事にした」

 

「全部見てたわはよその腕離せバカリョウ。本当のこと言わないと入れてあげないよ」

 

「やっぱり遊びたいので混ぜてください」

 

 折れるのはっや。ポッキーかよ。

 

 

「……あの、リョウさん? いつまで俺の腕掴んでるんですか」

 

「こうしてれば何か欲しいのあった時おねだりしやすいかと思って」

 

「正直に言ってくれてどうも。俺を甘く見るなよこの野郎」

 

「優人が顔の良い女子に弱いのは周知の事実。いざとなれば近づけて断れないようにする。それでも私から逃げれると?」

 

「だからこういう時は他力本願に限るのさ。アンタを制御できるセーフティならそこにいるからな。そんな訳で虹夏さーん、リョウさんに集られてまーす」

 

「ちょっ、それはずる」

 

「山田ァ!! また給料から引かれたいかぁ!? あと腕離せって言ったでしょ!! そういうのが許されるのはぼっちちゃんだけだよ!」

 

 ふっ……さす虹だぜ。幼馴染の弱みを完璧に理解しておられる。

 遊園地でも説教される高校二年生とはこれ如何に。

 

 そういや俺の幼馴染はどこ行ったっけ。

 ああいたわ。キターンオーラを纏う喜多さんに瓜ボーカチューシャ付けられてめっちゃ写真撮られてるせいか顔がウーパールーパーみたいになってる。

 

 片や借金クズに説教、片やコミュ症の撮影会。

 多分今のこの世界でこんな変な事してんのは俺達だけだろう。まだアトラクション何も乗ってないのに謎のイベントばかり起きてる件。強いて言えば直立不動の瓜ボーに出会ったくらいだぞ。

 

 ちくしょうっ、楽しみにしてた遊園地なのになんか思ってたのと違う! 

 やっぱこのパーティー編成じゃそう上手く事は運べないのか。どこもかしこもツッコミ所しかねえ。

 

 

「あ、優人君、伊地知先輩のお説教そろそろ終わった?」

 

「説教待ちかよ。後藤さん顔だけじゃなくて体までウーパールーパーになりかけてんぞ。ほら、体表面がヌメってきた。ストレスが蓄積してる証拠だ」

 

「そこまでウーパールーパーに寄せなくてもいいのよひとりちゃん!」

 

「ウパ……ウパ……」

 

「さすがに鳴き声はそうじゃないと思う!」

 

「つうかウーパールーパーに発声器官はないぞ」

 

 あとその鳴き声はもうウパ―なんよ。

 みずうおポケモンなんよ。みず・じめんタイプなんよ。

 

 

「よし、リョウもお金全部自分で払うって言ったし仕切り直して再開しよっか!」

 

「もしもの時は私が払いますよリョウ先輩!」

 

「あ、お気持ちだけで十分です、ありがとうございます……」

 

「敬語!?」

 

 こってり絞られたか。天使を怒らすからああなるんだ。

 

 

 かくして、俺達のよみ瓜ランド巡りはまだまだ始まったばかりである。

 

 

「ウパァ」

 

「ウパ―になっちゃった」

 

 

 

 





次回にはもうぼっちも人間に戻ってると思う。
多分。


では、今回高評価を入れてくださった

☆10:湯豆腐冷奴お味噌汁さん、stomatoさん、雪音久遠さん

☆9:シーパラ聖地巡礼済みBさん、タスマニアさん、スイテンさん、至高王さん、ザラメ雪さん、モチモチこしあんさん、イキョウさん、完全無欠のボトル野郎さん

いつも感想高評価お気に入り登録ここすきthank you!!
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