ギリッ
クロメは自分の唇をかんだ。
まさか自分がいない間に知らない女と一緒に住んでいるなんて。いくら任務でもちょっと耐えがたい物がある。くそあの泥棒女め、お兄ちゃんが気にかけていなかったらその首斬り落としちゃうのに。どうしてお兄ちゃんはあんな女を大切にしてるんだろう。もしかして?いやそんな事はないだろう。今までそんな事には無関心だったお兄ちゃんが目覚めるはずがない。
それとも、まさか、もう一つのあの理由か?いやそれこそあり得ない。でもお兄ちゃん最近集め系の任務しかやっていないって言っていたし。
これは聞くしかない。
「お兄ちゃん!!」
「あらクロメちゃん」
「出たな!この鼻糞尻軽泥棒猫女!」
「ヒドすぎない!?」
何がひどすぎない!?だ、私のお兄ちゃんを奪っておいて。
「泥棒猫、私の愛しのお兄ちゃんがどこにいるか知らない?」
「さっき危険種狩りに行くって外に出たわよ。それより私にはチェルシーって名前があるのよ」
やっぱりお兄ちゃん。
治っていなかったんだ。
私はお兄ちゃんをよく見ているからわかる。あのとき話していた時の顔を、あれは嘘をついている顔だ。お姉ちゃんに相談するべきか、それとも秘密にするべきか。
「ちょっと聞いてるの?」
「ふん」
私はそっぽを向く。
「って何してるの!」
「何ってリュウの荷物をまとめてるのよ。明日の朝出発だしね。変に空きを作るとヤバイしね」
「あし……た?」
ぐらりとめまいがした。
明日、しかも荷物まとめを妹である私ではなくこの女に頼んだのか。
なんだか私の立場が!!
それよりお兄ちゃん明日って何よ!いくら斬ってないからって魔物狩りする前に私に言ってくれたらやるのに!
「えーいどけこの泥棒猫!私がお兄ちゃんの荷物を整理するんだ!」
「は、ちょ、待ちなさいよ!」
「これで25体目」
危険種を切り捨てる。
これでましになってきたな。やはり戦い、敵を切り捨てることは俺には必要不可欠らしい。これでしばらくは情報収取に専念できるな。
村正を納刀する。今日はもうやめにして帰ろう。
やはりこうしていると無性に落ち着く。
本当はいけないことだろう、生き物の命を奪って快感を得るなど馬鹿げている。しかしどんな事をしてるときよりも、今この瞬間に満足しているのは事実である。
一時期はおさまっていたが、今は違う。
「帰ろう」
帰ったら精一杯チェルシーに甘えよう。
「おにーちゃん?」
「クロメか」
後ろを無理向くと愛しの妹が立っていた。
ニコニコしながら。
「お兄ちゃん最近あの女にかまってばかりだね」
「そうか?」
そんなつもりはないのだが。
「それより荷物まとめるなら私に言ってくれればよかったのに」
「チェルシーのほうが都合がいいんだよ」
それなりに俺と彼女だけの秘密とかあるのでなかなか他の奴らに見せれない資料とかもあるしな。
「それよりどうしたんだこんな所で?」
「お兄ちゃん、率直に訊くね?」
「なんだ?」
「戻ってるでしょ?」
俺は背筋がひやりとした。
「何がだ?」
「遠まわしに言うと持病かな?」
「あれは克服というか自然消滅したよ」
「うそつき」
そう言って俺に抱きついてくる。
俺もクロメの体に手をまわして頭をなでてやる。
「私お兄ちゃんのことなんだったわかるもん」
「……まいったな。秘密にしておいてくれよ」
「……わかった」
もうしばらく隠し通さしてもらおう。
「すっかり忘れるところっだ。タツミに帝具をやろう」
「え!?」
今!?って顔するな。俺も結構忘れていたんだよ。
俺は長い布を取っ払いタツミに武器を見せる。
それは赤く長い武器だった。
「すまん!槍しかなかった!」
「剣じゃないの!?」
なんとか剣の帝具を探そうとしたのだがそれらしき物もなく、どうせ帝具倉庫に忍び込んだのだから何か一つでも持って帰ろうかと思ったら、これが目についたのだ。
「こいつは投擲必中・グングニル。見た目で分かるが槍の帝具だ。こいつの能力は面白くてな、この槍を投げても持ち主に戻ってくるんだよ」
「ブーメランみたいな物よ」
チェルシーがそう言うがあれはもっと難しいぞ。
「とりあえず持って見てくれ」
タツミに無理やりグングニルを持たせる。よし拒絶反応もないな。相性も悪くないようだ。どうやらタツミはこのグングニルに好印象を持ったいるようだ。
「特筆すべきはこいつを投げた時の速度と威力らしい」
「へぇ」
「ってわけでばちこい」
俺は村正を抜き手を広げ構える。
タツミが驚き呆れる。
「いいんすか?」
「問題ない。最悪かわせばいい」
「じゃあ行きます」
タツミはいたって普通のやり投げの構えをした。
そのまま腕を振り下ろし槍を投げる。ここまで普通のスピードだった、しかしタツミの手を離れた瞬間ありえないスピードをだした。
まさに一瞬。俺はすぐに刀を全力で抜き全速で体をひねり槍を何とかかわす。槍はそのまま壁を貫きどこかへと飛んで行った。
「あ、あぶねぇ」
俺は背中から倒れるそのっま後ろの壁を見ると、危険種が通れるぐらいの大きな穴ができていた。なんて破壊力だ。あの槍を常人が真正面から受けたら死ぬな。
「俺の槍がぁぁぁああ!!」
「大丈夫。念じれば戻ってくるから」
そう言うと深紅の槍が回転しながら飛んできた。それは地面にささりタツミの目の前で止まった。かなり便利で強力な帝具だが、消耗も激しいだろう。
タツミの帝具も決まったが槍である。
後でブラートにタツミを鍛えるように言っておかなければ。
私がクロメちゃんにリュウの居場所を伝えてから数分後、二人揃って帰ってきた。
明日には出発なので私も身支度を整える。すぐにやることがなくなったのでアジトのキッチンを掃除することにした。短かったとはいえ使った場所である。
流しに入っている食器を端から掴み水でゆすいだあと洗剤で汚れを落としていく。基本的に帝都にいるときとやっていることは何も変わりがないわね。なんだかこの主婦業にも慣れて来たわね。
「ちぇるしー……」
そしてこのやたらと甘えてくるリュウにも慣れた。
さすがに皿を洗っている時ぐらい離してほしい。いつの間にか腰に手をまわされて抱きつかれていた。こんな時に気配を消すスキルを使わなくてもいいと思う。最近この調子なのである。いや私としては嬉しいのだが、なんともギャップがありすぎる。
「さすがに離してちょうだいよ」
ちょっと呆れながらも言うがリュウはその手をどけてはくれなかった。
ってかまた寝そうな顔してる。
「こら。寝るならベッドで寝なさい。また変な体勢で寝るのは嫌だからね」
「俺は構わないんだが」
「あんたが良くても私は困るのよ。それよりどうしてこんなに抱きつくのよ」
「だって甘えていいって言ったじゃんか」
確かに言ったけど。
まさかこんな高頻度で来るとは思いもしなかった。
「それと。全てを忘れられるような気がしてね、なんだか心がぽかぽかするんだよ。妙に落ち着くんだよ」
またこれよ。
こんな正面切ってこんな恥ずかしいセリフ言える奴がいるのかしら、ここにいたわ。訊いているこっちまで恥ずかしくなってくる。しかも何よ心がぽかぽかするって。それってやっぱりそうゆう意味なのかしら?こいつはまったく自覚なしっぽいけどね。
私の恋が実るのはもうちょっと先かもね。
みんなただいま!
受験おちちゃった!!
畜生め!!
でもまだチャンスはあるので何度でも大学にアタックします。
いつまでも小説を放置するのもあれなので、アカメだけ先に更新しました。
行進マダー?ってコメントくれた方ありがとうございます!励ましになっています!
とりあえずこれでアジト帰還編は終了。
いろいろ伏線を立てているので、これからいろいろと回収していきたいと思います。
それより、今の時点での原作との違いをまとめた方がいいのでしょうか?
みんなわかる?