【凍結】混沌に雑ざるは、如何なるオモイか。   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

最近、若干のスランプに陥っております。どうすれば脱せるか考えていますが、一向に良さげな策が思いつきません。年内には、全ユニットとの邂逅くを果たしたいところです。

近々、アンケートを終了します。日時が決まり次第、お知らせします。

では、どうぞ。



路地裏と溝鼠。

「こういう所に来るのも、久々だな。」

 

 

現在、俺は街の裏側、所謂路地裏と言える所を歩いて回っている。路地裏と聞くと、やれ暴走族が居るだとか、やれヤの字の人に詰め寄られて……なんて事を想像しがちだが、それはあくまで創作の連想だ。現実となると、その様な事に見舞われる事など、言う程多くない。陰に隠れてる分、治安の悪さは確かに悪いかもしれないが。

 

こうした路地裏だったり、人が寄り付かないであろう場所に行く事は、何も今に始まった事ではなく、存外前からこうであった。ある日突然に、そうした場所をこの目で見てみたいと思ったのをキッカケに、今ではたまに見て回ったりしている。前はその事で親に怒られていた。

 

 

「……うわ、久しぶりにこの店見たわ。まだやってたのな。」

 

 

少し歩き回っていると、とある店を見つける。お世辞にも、この街に住む誰もが知る名店、とは言えないものの、隠れた名店として時々雑誌にも載るレベルの店。そして、俺がよく来ていた店でもある。最近は色々あった為、足を運ぶ事もメッキリ減ったものだが。

 

この店は珈琲に力を入れており、ソレに合う食べ物だったりを提供している。それ故、珈琲好きや隠れた名店をめぐる人がしばしば来店する。最近では、SNS映えするだとか何とかで、女子学生が来る事もあるとか無いとか。

 

 

「こうしてぶらり歩き回るのも良いけど、どうせだし、ここにでも寄ろうかな。」

 

 

歩き回って気になる景色を見つけるのも良いが、最近来てなかった事も相まってか、この店に足を踏み入れたくなる。何せ、ここの提供するものは、ハズレがない。俺的には、入って得でしかないのだ。

 

しかも、時々ではあるが、ミュージシャンだったりバンドだったりがこの店のステージでパフォーマンスしてる事もある。何度か見た事があったが、そのどれもに学びがあった。中には、原石の様な人らもおり、この店でパフォーマンスした後に、メジャーデビューを果たした話を聞く事もある。

 

 

「……よし、ここで休むか。」

 

 

さて、今日は何を頼むとしようか。

 

 

 

────────────

 

 

 

「マスター、久しぶりだな。」

 

 

「おや、瀬山くんじゃないか。随分と久しぶりだね。」

 

 

扉を開け、まず真っ先にマスターに挨拶を一言。すると、軽く驚きの表情を見せながら挨拶を返してくる。存外、俺が長い間来なかった事に対して思う所があったのだろうか。

 

久しぶりに来て思うが、やはり他の店とはどこか雰囲気が違う。勿論、良い意味でだが。何と言えばいいのか、的確な表現が出てこないが、強いて言うのであれば、落ち着く、だろうか。他のカフェ…いや、この場合、喫茶店の方が正しいか?とにかく、他の同種店も落ち着く雰囲気はあるのだが、ここはソレらを画す程だ。強いて言うなら、宿泊施設と家が適当か。宿泊施設は確かに落ち着きはするだろうけど、家の安心感には敵わない。ソレに似た感覚と言えるだろう。

 

 

「取り敢えず、今日のオススメで頼む。」

 

 

「分かったよ。少し待っていてくれないかな。」

 

 

そう言って、珈琲豆のある方へと向かっていくマスター。そうそう、前はこの待ってる時間に調べものだったり、ちょっとした詩的表現を綴ってみたり、はたまた、音楽を聴いてみたり。この時間が心地よかったと、この時間を繰り返して思い返す。

 

ふと、何やら音楽が聴こえてきたので、そちらに振り向く。すると……何という事だ、彰人と冬弥がいるじゃないか。後の2人は見覚えがな……いや、片方は見た事あるような…?あの特徴的な青と黒の長髪、そして少しギャルっぽい髪のアクセサリー(正式な名称は分からないが)。誰だったっけか。もう片方のクリームとベージュを足した色合いの髪の女子は知らないのは分かってるんだが。

 

……あ、思い出した。マスターの娘だったな、確か名前は…白石 杏(しらいし  あん)だったか。危ない危ない、アッチが気付いた後に名前忘れてた、は少し感じ悪いしな。思い出せて何よりだ。そう考えていると、いつの間にかマスターが戻ってきていた。

 

 

「杏達のセッションを見ていたのかい?」

 

 

「えぇ。ああいうのを見るのは、随分と久しぶりだったもので。」

 

 

「君から見て、あのパフォーマンスはどうだい?」

 

 

どう、ねぇ。マスターも元は凄腕のミュージシャンだったと聞くし、ましてや自分の娘がああやってパフォーマンスをしているんだ、一ミュージシャンとして、一父親として気になるのだろう。…俺みたいな素人に聞くのは、果たしてどうなのだろうか。

 

さて、どう表現したものか。暴れている様で、繊細さを欠いておらず、訴えかけるような歌い方もしている。アレンジこそないものの、原曲のイメージを損なわないでいながらも自分達らしさを表していると言っていいだろう。強いて言うのであれば、足りない。この1つに帰結するのではないだろうか。

 

足りないと言っても、技術の種類がではない。()()()()()が、である。どれもしっかり出来ているものの、何が魅力かと聞かれると、スッと出てこなかったり、若しくは出てくるモノがバラバラだったり。"○○と言えばコレ"という物が無い様に思えてしまう。唯一救いなのは、どれも一般水準からは抜きんでている事。そのお陰で、"どれもイマイチ"でなく、"全体的に良い"という評価を得る事は出来る。

 

しかし、その評価が上の世界で通用するかは、また別問題。通用する事が無い訳ではないが、まぁ難しい。十中八九、今以上にレベルを上げない限りは通用しないと言っても良い程、上には今以上の猛者が蔓延っている。音楽というのは、上が見えない。この人を超えたと思えば、それ以上の人が次々と見えてくる。言い換えるなら、壁の上限が無い。だからこそ、張り合いがあるんだろうが。

 

 

「…素人に聞きます?ソレ。」

 

 

「私の勘だけど、君は素人じゃないと思うんだけどね?」

 

 

「……また痛い所を突いてきますね。まぁ、全体的には良いんじゃないですかね。もっと上を目指すなら、これで通用するかは心配になると思いますが。」

 

 

「その意見が出てくる辺り、やっぱり素人ではないんじゃあないかな?」

 

 

そりゃどーも。

さて、そんな話をしているうちにパフォーマンスが終わったのか、俺以外の客からの拍手喝采。ソレに合わせて、俺も拍手を贈る。ちゃんと上手かったしな。RAD WEEKENDに出ても、割と好感触ではあるんじゃなかろうか、とは思っていたし。まぁ、今ではそのイベントも終わってしまったのだが。結構大々的なイベントだとか言われていたし、誰かが引き継いでやるのかもしれないから、断言は出来ないが。

 

と、そんな思考は、彰人の声により掻き消えていった。

 

 

「え?刹那先輩?どうしてここに……」

 

 

「刹那さん!?うわ、ホントだ!久しぶり~!!」

 

 

おいおい、せめて1人ずつ話してくれないか。聖徳太子じゃあるまいし。

というか、凄い驚いてるな、彰人と冬弥は。まぁ、俺が音楽好きなのも、俺がこの店にこのタイミングで来る事も想定外だったんだろうな。にしても驚き過ぎじゃい。俺がこの店にいてもいいやろがい。似合わないとでも言うつもりか?喧嘩なら買うぞ。

 

杏に関しては……まぁ、特に言う事は無いか。

 

 

「そんなに俺がココにいる意外だったか?」

 

 

「そういう訳じゃないんですけど…まさかこのタイミングで来てるとは思わなかったんで…。」

 

 

まぁ、だろうね。たまたまとは言え、自分達がパフォーマンスしてるタイミングで学校の先輩が来るとは思わんよな。俺も同じ立場ならそう思うだろうし。とはいえ、俺は人前でパフォーマンス(歌が主立ったモノではあるが)しないよう尽力するからな。恐らく、そんな事態にはならんだろう。だが、誰かに見られたくない、そこまではいかずとも、見られるのは少し憚られる人はいるだろう。何より、俺が一番の例だろう。

 

 

「…そこの子は?」

 

 

「あぁ、こはねの事?私達でユニット組んでるんだ~!」

 

 

やはりか。彰人と冬弥が他の誰かとユニットを組む事が少し意外だったが、諸々の事情があるんだろう。…何となく、RAD WEEKENDが関係してそうではあるが。父の立ち上げたステージに憧れた娘、そのイベントを超える為に親友2人で挑む。それがたまたま利害の一致でユニットを組む、とかいう状況に至ったのではないだろうか。だとすると、こはね、だったか。のユニットに入る動機がイマイチピンとこない。3人の誰かの友達だったとか?だとすると、彰人が彼女を入れる動機としては弱い。彰人は、中途半端を嫌う傾向にあると、どこかで耳にした事がある。…分からんな、今の段階で推察しきるのは困難を極めそうだ。

 

 

「あっ…小豆沢(あずさわ) こはねです。」

 

 

「ご丁寧にどうも。瀬山刹那だ。好きに呼んでもらって構わないし、話しづらくなったら敬語も抜いてもらって構わない。」

 

 

挨拶を交わし、握手する。…随分と、非力な握力だな。最後にこうして誰かと握手したのも、遥か昔の事の様に感じる。……ダメだな、もっと人と関わるようにしないと。このままだと、本格的に独りになりそうな気がする。それは、嫌だしな。

 

 

「にしても、意外だな。彰人ときたら妥協が嫌いな性格だって噂だし、冬弥以外とユニット組むとは思ってなかったわ。」

 

 

「まぁ……覚悟は生半可じゃないって分かったんで。」

 

 

しっかり見極めての判断らしい。彼の性格上、きっと衝突したんだろうな。気性難な気がしてならないからな、彰人は。後ろで静かに苦笑いしてる杏が、それを物語ってる様にも感じる。

 

彼らの話曰く、やはり目標はRAD WEEKENDを超えるのだそうだ。結成前は彰人と冬弥、杏と小豆沢で別れていたらしいが、ある日突然に出会い、衝突した結果、今の形に落ち着いたらしい。

 

…俺にはどうも、利害の一致が故の結成に感じてしまうのだが、考え過ぎなのだろうか。それこそ、本人のみぞ知る、だろう。俺が突っ込むべき領域ではない。

 

 

「そうか。決してやわな壁じゃないが、頑張れよ。」

 

 

「ちょっと〜!長い間顔を合わせてなかった私に対して、言う事があるんじゃないの〜!?」

 

 

「…まぁ、元気そうでなによりだ。うん。」

 

 

「面倒くさそうにするな〜!!」

 

 

……いや、実際面倒なんだが。

 

 

 

──────────────

 

 

 

「うわぁ!?何々!?」

 

 

突然の轟音。何かが発生するにしては、随分と大きな轟音だ。音の発生源は結構遠いと思うけど、何でこんなに響き渡ってるのか、大層不思議で仕方ない。ミクに報告しないといけない事が増えた。

 

 

「……あっちかな?」

 

 

何が起きたのか気になった俺は、その音の元へ向かう。この前にも似たような事が起こって、その結果タワー区域で謎のゲートが発生した。恐らく今回も、この区域にゲートが出来たんだと思う。

 

ゲートについて皆が奔走しているけど、何が発生のキーなのか、発生する場所の規則性、ゲートの中の空間について。そのどれもが分からずじまい。頭がキレる刹那ですら、検討の余地が無いと言ってる以上、頼みの綱なのは現地に居る僕達だろう。彼も、そう思って調査を任せたに違いない。

 

他のセカイでは、こんな事例がなかったから、僕含めて皆が四苦八苦している。これからこんな事態になっても問題ないように調査してるっていう側面も、無いわけじゃない。

 

 

「やっぱり来ると思った。」

 

 

「リン、何処に行ってたのさ。」

 

 

「散歩。このセカイ、ぜーんぶ廃墟みたいだから。せめて何か面白い場所がないかなって。」

 

 

ゲートに向かって歩く俺に話しかけてきたのは、鏡音リン。人間でいう、双子と言って差し支えない存在。他のセカイのリンは活発的でちょっと子供な側面が出がちだけど、このセカイでは無邪気、高い行動力、大人びた考え方、そして少しの冷徹さを併せ持っている。このセカイに現界する皆は、どこかサバサバした考え方をする。

 

俺は、割と例外だと思う。冷静さはあるにせよ、どちらかと言えば鏡音レンの精神をを大人に近付けた存在、と定義した方が適してる気がする。他の皆は、冬の様な鋭い冷たさを持ってる。セカイの影響がここまで及ぶなんて、と初めて思った頃が懐かしい。

 

 

「……そう言えば、タワーのゲートの中ってどうなってるのか知ってたりする?」

 

 

「ん〜?確か、個室だった気がするよ?アパートとかにある、ごく普通の。」

 

 

リンか他の誰かに会ったら聞こうと思っていた事を、ここぞとばかりに聞く。返ってきた言葉は、またまた奇妙なものだった。

 

個室?タワーの中に?あの区域の中で1番高いタワーにゲートができた、とは聞いていた。だからこそ、アパートのような個室が内装になっている事に、全く理解が及ばない。リン曰く、俺含めて皆が同じような反応だったらしい。

 

 

「いよいよ法則性が分からないね。」

 

 

「法則性が無い事が、法則だったりしてね〜。」

 

 

正直、そっちの方が有り得る。区域とゲートの内装の規則性がある程度合致してるものもあれば、支離滅裂な程乖離してるケースも。刹那の行動が影響してるにしろ、彼が覚えてなかったり心当たりがなければ、何も無いと結論付ける他ない。アッチの世界に行ける訳じゃないから。

 

刹那の心情とリンクしてるこのセカイにできるものだから、刹那の行動とリンクしてるんじゃないかと皆は一度考えた。けど、それに該当しそうな行動を彼がしていない(或いは覚えていない)。言ってしまえば、確固たる証拠がないから断定出来ないのだ。

 

 

「これじゃない?ゲート。」

 

 

「……だね。随分小さいけど。」

 

 

目的のゲートに着いた。……小さい。今までの見た、どのゲートより。リンから聞いたタワーのゲートは人1人程の大きさと聞いていたけど、このゲートはしゃがんで漸く入れるだろう大きさ。ゲートの大きさまでここまで違うとくると、リンが言う仮説の方が正しいかもしれない。

 

 

「レンは中に入る?私は入りたいけど。」

 

 

「……うん、報告もしないとだし。」

 

 

…好奇心に負けたとは、言わないでおく。

 




はい、いかがだったでしょうか。

この小説を書いているうちに、"セカイの中にセカイ"って原作には無いんだなとまた思いました。勿論、(私の追えてる範囲内で)原作にないのを確認して書いてはいるんですが。セカイの欠片の様なものはセカイに落ちてるらしいですね。一応、原作においてもセカイの中にセカイは存在出来るって事でしょうか。ここで考察しても仕方ないですが。

謙さんの口調について、一部修正を加えましたが、正直合ってるか不安です。まだ間違っていた際は、分かりやすく指摘して下さると助かります。

では、また次回。

修正:12/1

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