【凍結】混沌に雑ざるは、如何なるオモイか。 作:Cross Alcanna
お知らせですが、アンケートの締め切りを次話投稿時にします。具体的には言えませんが、恐らくコレの投稿から4~6日後と思っていただければ大丈夫です。そして、とあるところまで行きましたら、この作品は一時凍結とします。理由は、別作品の投稿再開です。いつまで凍結するかは未定です。ご理解の程、宜しくお願いいたします。
では、どうぞ。
「またゲートが開いた?」
「うん。しかも、この短期間で2つもね。」
どういうこっちゃ。
何となくこのセカイでゆっくりしたかったので今日は赴いた訳なんだが、何とまぁゲートがまた新設されてるときた。…いよいよ分からんて。相も変わらず、俺には今のところトリガーとなりそうな事に心当たりがない訳で。その辺の推理小説より難解だぞ、コレ。何せ、ヒントらしいヒントが見当たらないし、唯一のヒントとも言えるゲートの内装も繋がりが見いだせず仕舞い。
ミク達には調査や監視を依頼したが、これといって目ぼしい事もなかったらしい。ただ、廃校の裏セカイの内装が少し変わっていたらしい。曰く、誰かが使ったような跡があったそうな。しかも、
「……で、お前らとは初めましてか。」
「だね。俺は鏡音レン。こっちは鏡音リン。……言わなくても分かってるか。」
「合ってたから良かったとはいえ、もし間違ってたら嫌だろ。」
そう、名前を聞くのは大事だ。特に女性の名前を間違える事は、男性の名誉を大きく傷つける事になりかねん。女性ときたら、よく二次創作だの漫画だのでそういった事に敏感な描写をされる事が多い。それが偏見にしろ誇張にしろ、間違えないに越した事は無いだろう。こっちも普通にヒヤリとするしな。
とはいえ、レンは大人びたの一言で説明が付く(見た目ではなく、精神的に)が、個人的にはリンの方が驚きだ。現実を知ってしまった子供、という印象がどうしても先立つ。好奇心や行動力、口調は子供っぽいのに対し、内側に秘めているモノだったり発言の節々に、達観した者特有の冷徹さを感じる。周りの事情を鑑みず、バッサリと現実を突き付けてしまうような、そんな冷徹さを。良くも悪くも、俺に似ているなと。
「で?今日は何しに来たのさ~。」
「ダラっとしたかったから来たんだけどなぁ……ゲートの様子でも見に行った方が良さそうだな。」
正直な所、今日はホントに何もするつもりではなかった。強いて言うなら、まだ未踏の区域を散策しようと思ってたくらいだろうか。が、ゲートがそこまで開いているなら、いっその事この機会に全部確認した方が良さそうだ。一応、前から確認しようとは思っていたので、丁度いいっちゃあ丁度いいんだが。
全く、ここ最近はずっと動いてばっかりだな。休まる時間がないったらありゃしない。
「ミク。俺はゲートを見て回るが、来るか?」
「うん。報告があってから変化があるかもしれないし。」
随分と、マメなこって。
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「ホントに使った形跡があるな。教科書とか筆記具がある辺り、学校と何ら変わらないな。」
まずは廃校の裏セカイ。話には聞いていたが、本当に跡があるとは。正直、こんな所に俺以外の人間が来れるとはまだ思っていないので、半信半疑ではあった。が、これを直で見ると、もう信じざるを得ない。
……何で急にこんな生活感が出た?そもそも、最初は生気も人がいる気配も感じなかった筈。何がトリガーだ?更に意味が分からない事が1つ。
「……何で、
そう、このデジャヴ感。当然、こんな裏セカイなんぞ以前は存在すら知らなかったと言うのに、この景色が初めましてでない気がして仕方ない。困惑の念しか出てこない。
「見覚えがあるって事?」
「多分な。」
だが、具体的に何の光景かまでは思い出せない。必死に過去を捻り出してはいるが、出てくる気配が無い。益々謎だ。
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「ここが監獄の裏セカイか。初めて見たが……何だココ?」
初めて来て、思った事は1つ。
意外だった。監獄の裏セカイというもんだから、こんなに何も無い空間だとは思っていなかった。せめて、タワーの裏セカイみたく個室くらいの何かしらはあるとばかり思っていた。
「……拍子抜けだなぁ。てっきり、もっと物騒なセカイとばかり思ってたわ。」
「私も、最初に見た時は同じ様に思ったよ。ココは殆ど何も無いからね。前来た時から、浮いてる物が少し変わってるね。」
浮いてる物が変わるのか、このセカイは。随分と不可思議なセカイだな。今まで見てきた景色の中で、1番摩訶不思議かもしれんな。
……SNSのコメント欄らしきものに、吹き出しマーク。たまに、黒い淀らしきモノ。何だこりゃ。
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「うわ、ホントに個室じゃん。随分こじんまりしてるな。」
「最低限、って感じがするんだけど、刹那はどう感じる?」
全く以て同感。まるで、引越しする前の生活って感じだ。引越しする物件に色んな物を搬出して、引っ越す当日まで最低限の物で過ごすあの感じに、凄く似ている。良く言えば綺麗に整っている。悪く言えば、退屈な空間。
……う〜ん、何でこんなに既視感を感じる光景ばかりなのか。監獄の裏セカイはさて置き、今まで見てきた中の半分以上の裏セカイに、どこか既視感を感じてきた。そこが、引っ掛かる。
「…因みに、最初の報告から何か変化は?」
「パッと見、なさそう。……あれ?机に花瓶なんて置かれてたなんて聞かなかったけどな。」
ミクの言葉に、俺は机を見る。確かに、花瓶がある。花の種類は……何だ?花の種類判別は分かりづらくて困る。多分、ダチュラな気がするな。花言葉には疎い為、どんな意味があるのかという考察は出来そうにない。そもそも、花言葉が関係するかなんて分からんし。
ミクの反応を見るに、恐らく変化は花瓶だけなのだろう。……分からん、全く。
それに、奇妙だ。廃校の裏セカイの変化は人間味があるというのに、他の裏セカイの変化は人間味を感じない。どちらかと言えば、自然発生味が強い気がする。今までは判断材料がないから考察出来ないと思っていたのに、今度は判断材料が繋がらなさすぎて考察出来ない。
「……取り敢えず、荒廃都市の裏セカイを見に行くか。」
せめて、何か掴めると良いが。
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「…裏路地なのは普通なんだけどなぁ……。」
荒廃都市の裏セカイに来てみたものの、景観は裏路地。ここは普通。ただ、おかしな点がある。……色と謎の根のようなナニカだ。
ネオンライトで色付いていると言うには、そもそも屋外だし、辺りに点くと思われる電灯も無い。肝心の色はと言うと、紫である。明るめのでなく、黒紫に近しい。そして根のようなナニカについて。まず、真っ黒。この時点でもうおかしい。こんな街中に根なんて生える訳がないし、こんな真っ黒な根を張る植物なんて聞いた事も無い。それも、かなり太めの根である。
ファンタジーな廃裏路地、これが1番マトモに的を射ているのではないか。少なくとも、俺の脳内ではこの光景をこの言葉以上によく表現出来る自信が無い。
「ツッコミどころは多いが、如何せん目に悪いな。」
現実世界で見る事の無い光景を前に、無意識にちょっとした現実逃避に走る。脳のキャパシティが限界に近いのだろうか。
そういえば。ミク曰く、変化はないそうで。
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「ねぇ刹那。本当に心当たりらしきモノは無いの?」
「それらしいのは無いんだけどなぁ。」
最初にいた場所に戻るべく、歩いている最中。ミクがそんな事を尋ねてきた。俺もそれらしい事があれば記憶に残ってると思うんだけどなぁ。
…………ん?そういえば……。
「……最近、知り合いに会う機会が増えたな。」
「知り合いに?」
「あぁ。同級生だったり、その妹だったり、後輩だったり。」
そういえばそうだ。ここ最近、外を歩けば誰か知り合いと会う事が多かったな。ふと、そんな事が頭に過る。……あれ?よくよく考えてみたら、ソレとゲートができたタイミングって、俺の知ってる範囲だと殆ど同じじゃない?
「……もしかして、コレ?」
「他に心当たりがないなら、ソレでほぼ確定じゃないかな。…因みに、誰と会ったとかは覚えてる?」
「直近だと彰人とか杏だったっけ。」
その2人の名前を出した瞬間、ミクがハッとした表情を浮かべる。そして、何やらブツブツと言い始めた。
……考えられる事としては、ソレらに因果関係があり、ソレにある程度紐づけられた形で裏セカイが形成される、だろうか。だとすると、割としっくりくるんじゃなかろうか。ただ、どうしてその景観の裏セカイが違う景観の区域に出現したのか、という疑問が生まれる訳だが。
「その名前を聞いてほぼ確定したよ。ゲートの出現は、刹那が
「……ん?って事は、アイツらってどこかしらのセカイに出入り出来るって事か?」
「うん。キミより前にセカイに出入り出来てるよ。こことは別だけど。」
それは興味深いな。さっき考えついた俺の仮説が正しかった訳か。となると、監獄の裏セカイは司達と出会ったのがキッカケって事か。俺らが発見するのが遅かっただけで、結構早い段階でゲートは発生してたって事か。ソレに気付けなかったから、ここまで真相に辿り着くのが遅れたのか。…結構重要な落とし穴だったな、そう考えると。
「それが正しいとして、じゃあ裏セカイの謎は掴めるのか?」
「それはまだ難しいかも。何せ、ヒントが線にならなさ過ぎるから。」
まぁ、そうなるか。各裏セカイ毎に、コンセプトも生成理由も違いがあり過ぎるしな。それに、規則性もほぼないときた。ゲートの出現条件が分かっただけでも、御の字か。にしても、相変わらず不安定なセカイだなぁ。人の心情心理から読み取られて創られたモノだからそうなのか、はたまた映し出した心の持ち主に依存するのか。気になる事が沢山だ。是非とも調べたい。
「なぁ、そういえばずっと疑問に思ってたんだけどさ。」
「ん?」
「セカイを複数行き来出来る人って、いるのか?」
話と何ら脈絡のない話ではあるが、思い出したので聞いてみる。セカイという存在を知ってから、ずっと気になっていた。あるセカイが作られたとして、その本人や親友、関わりの深い人が出入り出来るのは理解できる。が、その本人が親友のセカイに入る事は出来るのだろうか。その人が最初に入ったセカイしか出入りできないのか。
「セカイ自体には認められさえすれば入れるから、自分のセカイに入れたり、友達のセカイに入る事も出来ると思うよ。」
やっぱりそうか。入れるセカイが1つだけって方が無理があるか。第一、自分のセカイが無い人がいるってのも、少し可笑しな話か。俺の疑問は、割と呆気なく解消された。……何か複雑な気分。嬉しいには嬉しいんだが。
……そういや、
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「って事は、ゲートの発生条件は分かったんだ。」
「うん。ただ……それ以外がまだ全然で…。」
刹那が帰ってからのセカイで。私は散策結果をGUMIに共有していた。私はこのセカイの統括管理者的スタンスで現界した。GUMIは、私の補佐的スタンス。他の子は……ここで言うまでもないか。刹那から依頼された調査も、内容や報告纏めは私がしている。他のセカイと違って変化が激しい上、セカイ自体の大きさが桁違いな為、セカイがそういう応急処置を施したんだろう。有難い限り。
私がこうしてGUMIに報告しているのには、もう1つ理由がある。GUMIは、どこか他の子と違う目線で物事を捉えられる。私がある事についてAだと考えるとすると、GUMIはAに見えて実はBでもある、といった様な分析が出来る。その意見が欲しいが為に、こうしてGUMIに積極的に共有している訳だ。
「因みにさ、そのセカイに入れる人って言うのはさ、どんなセカイに出入りしてる訳なの?」
「えっ?…………他言無用だからね?」
正直、言うか言うまいか悩んだけど、GUMIも口が堅い方なので、釘を打てば大丈夫かと思ったので、それぞれの人物とセカイについて教える。因みに、何度も報告共有しているので、GUMIは裏セカイの景観や変化については記憶している筈。
私が伝え終わると、GUMIは珍しくじっくりと考え込む。その表情が、どこか刹那が考え込んでいる表情に似ているなと思った。……GUMIは、考え方やクセに影響を受けているのかな。そんな考えが、頭を過る。
そうしていると、考えを纏め終わったGUMIがこう私に言い放った。
──その人達のセカイ観に沿って、刹那の深層心理が描写されてるんじゃないの?
私は、その一言に、暫く口を閉じる事が出来なかった。
はい、いかがだったでしょうか。
補足ですが、ゲート確認時に刹那と同行していたのはミクだけです。どこかで描写しておいた方が良いかとは思いましたが、思いの外本編で描写するものが多かったので、ここで補足しておきます。
前書きでもお伝えしました通り、ある程度のところまで進行したら、一時凍結します。恐らく、後2~3話くらい投稿したら凍結するかと。その際はお知らせしますので、宜しくお願いします。
では、また次回。