【凍結】混沌に雑ざるは、如何なるオモイか。 作:Cross Alcanna
この話を投稿してる事には、アンケートを終了してますので、ご理解の程お願いします。後、凍結については前話を参照して下さると助かります。次回か次々回辺りでもう一度アナウンスします。
では、どうぞ。
「服っつったって、何買えば良いんだか。自分に合うモンなんて、分かんないのにさぁ。」
某日、俺はこの街にある大きなデパートに来ていた。今日はCDショップに用がある、訳ではなく。目的は服だ。何でも、親からの仕送りの際、「きっと見た目に気を遣ってないんだろうから、コレでもう少し見た目を整えなさい」との事。生活費に同封されていた手紙に書いてあった。
親の言う通り、俺は今まで見た目に気を遣った事が殆どない。最低限の身だしなみは整えてるが、流行を捉えてコーディネートだの、髪型や髪色を弄ってオシャレに、なんて事はしてこなかった。……だから彼女とか出来ねぇのかな。
服を買い揃えるのはまだ分かる。ただ、髪をワックスで弄ってみたり髪色を変えたりというのは、未だにやりたくないと思ってしまう。勿論、見てくれは大分変わるのだろうけど、維持の労力や費用が馬鹿にならない。計画的にお金のやり取りはしているので、染髪関連が加わるとなると、最早火の車である。
「どれが合うんだか。店員さんに聞く方が早いのかね。」
服屋に入ってあれかこれかと着てみてるものの、どれがしっくりくるとかがさっぱりである。無難にいくなら黒やグレー、白、ベージュ辺りだろうけど、最近の流行はどうなのか。赤だの黄色だの、一見派手に思える様な物が流行っているのか否かすらも分からない。
……こういう時に知り合いと出会えばなぁ。第三者視点で何が合うのか判断してもらえるんだが。何で散歩とかしてる時に限って結構会うってのに、こういう時に限って会わないん?嗚呼、無情なり。
「……あら?せつくんじゃない!」
……かと言え、コイツと出会わせろとは言ってないやろがい。なんて日だ。出来る事なら、全力でシカトかまして店員さんに聞きに行きたい所だ。…が、コイツはそれを許さない勢いでグイグイ来る。妹を見習えや。
「…何でお前と会うかね、雫。」
「私はずっと待ってたのよ?しぃちゃんに伝言してからずっと。」
そして、俺が雫を敬遠している理由。……まぁ、志歩と同じだ。雫はかなりの世話焼きな性格。それ故、道で歩いているご老人や子どもには勿論の事、自身が気にかけている人に対してはそれ以上に世話を焼きたがる。
別に、それが全く以て嫌だとは思わない。が、度が過ぎている。ベクトルこそ間違えてしまえば、ストーカーやヤンデレの方向に進みかねない程、世話焼きが過ぎる。構ってくれるのは有難いが1人でいたい時ですらズカズカ寄ってくる、それが1番近い例えだろうか。
「悪かったって。どっかで顔見せようとは思ってたけど、予定が割と立て込んでたんだよ。」
「…本当?」
「こんな所で嘘言ってどうするよ。てか第一、俺の軽い嘘なんて大抵見破ってくるじゃねぇか。」
俺に再三確認してはくるが、雫は俺が嘘を付いてないかもう既に知っているだろう。何でか分からんが、雫は俺が軽い嘘を付くと、殆ど確実に見破ってくる。しかも、高確率で。
1度だけどうして見破れるのか聞いてみたが、「せつくんが分かりやすいからよ〜?」と言われたのを思い出す。他の人は見破れないのを加味すると、益々謎が深まるばかりだ。
「……本当に久しぶりよね。かなり前にせつくんに会って以来よね。」
「だな。どうしてアイドルとの交友関係が出来たのか、俺からしてみれば未だに謎だがな。」
雫とは、たまたま道端で迷子になってた所を俺が助けたのが始まりだった。そん時は雫がアイドルだって事に(雫が変装してた事も相まって)気付かなかった。それが気に入られたのか知らんが、それ以来何度か会う事になった。その時に何時間志帆の事を熱弁された事か。
その後、俺が忙しかった事もあり、雫との連絡を取らなくなった。度々雫からはメールが来てたが、かなりタイミングが悪かったので、殆どスルー。神山高校に入って落ち着いてから、こうして会う事に、という流れだ。
時間を置いた事もあってか、今の俺に対する世話焼き度合いが強くなってる気がする。因果応報なのだろうか。
「てか、お前は何でここにいるんだよ。」
「練習を頑張ってる皆に、何か差し入れでも渡そうかなって。」
おう、だとしたらもう行った方が良いんじゃないか?かなり余裕を持って家を出たんならまだしも、そうじゃないなら急いだ方が良いと思うんだが。コイツは機械音痴を拗らせているし、スマホのマップは使えないだろうし。
とは思ったが、どうやら余裕を持って出てきたそうな。何となくだが、志歩にでも「もっと余裕持って出たら?」とか言われたんだろうか。「まぁ!しぃちゃんはお姉ちゃん思いの良い子ね!」とか何とか言って抱き着くのが容易に想像できる。
「良かったら、私が服を選ぶわよ?」
「む……頼めるか?」
「……!任せて!」
俺が普段雫に頼る事が無かった事への反動か、俺が頼った事に対してオーバーリアクションを見せる雫。そんなに頼られたいのか、と思わざるを得ない。
…………少しばかり、態度を和らげた方が良いかな。
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「皆〜、お待たせ〜。」
「あっ、雫ちゃん!……と、どちら様ですか?」
「事前にメッセージとかで説明しとけよな。」
テレビで見かける面々を他所に、俺が来る事をユニットの皆に伝えていなかった横の奴に対して、俺は呆れを込めながらそう言い放つ。このまんまだと、俺ただの不審者になるんだが。第一印象割とマイナスから始まるんだが。
「あっ、伝えてなかったわね〜。ゴメンなさいね、皆。」
そう言いながら、雫が俺についてユニットメンバーに説明し始めた。因みに、服のコーディネートは済ませて来ている。最近モモジャン(MORE MORE JUMP!の略称)がメディアで取り上げられる機会も出てきたので、一応名前は把握している。
さっき俺が来た事に困惑の声を漏らしていたのが、
そして、雫が説明する前に、俺に対して警戒心を露わにしていた
因みに、青髪の方が桐谷で、桃髪の方が桃井だ。年齢が分からんので、一応名前呼びは控えている。みのりは……まぁええか。何か、苗字呼びって感じしないんだよなぁ。これで実は先輩でした、とかいう展開だったら全力で謝罪する他ないな。
「瀬山さん、ゴメンなさい。誰かを連れてくるなんて連絡がなかったので……。」
「しゃーない。今回ばかりは雫が悪い。連絡の1つや2つは入れるもんだからな。ましてや、全く知らん赤の他人だし、警戒心を持つのが正しいし。」
あんまし人を責めるのは好きではないが、今回ばかりは連絡を入れなかった雫に非があると言わざるを得ない。強いて言うなら、その誘いを断らずにのこのこと来た俺にも非はあるかも分からんが。
桐谷は謝りに来たが……っと、桃井も何だかんだこっちを気にしてる素振りをしてる……のか?雫に注意喚起してるのが見えるから、気のせいかもしれんな。みのりは……慌てふためいとる。うーん。
「つかよ。何でここに呼んだんだよ、雫さんや。『着いたら教えるわね。』の一点張りだった以上、目的を教えてくれ。」
「はぁ!?ちょっと雫!連絡はおろか、瀬山さんに目的も伝えなかったわけ!?」
だってぇ……と少し拗ねながら言う雫は珍しいかもしれん、等と若干意味の分からん考えをどっかに追いやり、「また後で話の続きをするわよ、雫。」と不穏そうな雰囲気を纏う桃井を宥め、俺は雫の言葉を待つ。
「せつくんをここに連れてきたのはね、皆の練習にアドバイスをして欲しいからなのよ。」
「……そうきたか。まぁ、連行された時点で察してはいたが。」
雫から知らされた目的を聞き、凡その納得がいった。コイツは俺が何をしてるかを知っている、数少ない奴だ。俺の事に鋭い雫は、例外なくこの事についても看破しやがったしな。ただ、俺の意図を汲んでいるのか、他者に積極的に漏らそうともせず、知らせるにしろ、俺に(今回は遠回しだが)許可を取りに来る。
世話焼きな事を除けば、至極真っ当な人間なんだ、雫って人間は。俺よりも、ずっと、ずっっと、綺麗な人間だ。
「瀬山さんにアドバイスを?……何かコーチングとかで業績を残したなんて、私の記憶にないわよ?」
「まぁ、だろうな。……んじゃ、コレは知ってるか?」
至極真っ当な正論を突き付ける桃井に対し、俺はとあるSNSアカウントを見せる。するとどうだろう、最初にソレを見た桃井に加え、桃井の反応に困惑した残りの2人までもが驚愕の表情を浮かべた。
「えぇ!?MatatakIさんのアカウント!?って事は……瀬山さんがMatatakIさんって事!?」
そう言葉を放つのは、みのり。
みのりの言う通り、俺はMatatakIの名前で以て活動している一面もある。音楽活動もしていれば、時には著作の執筆もしたりしている。一応、顔と声を出さずに誰かにアドバイスをした事もあった気がする。色々やっていたので、そこまで詳しく覚えている訳でもないが。
俺が様々な情報を非公開にしている事もあってか、ネットではたまにMatatakIについての考察が為される事もある。それを見て笑ったり勉強したりするのが、たまの趣味でもあったりするのだが。
「アドバイスするにしても、時間は言う程確保出来んぞ?それでもいいのか、雫。」
「えぇ。皆が了承してくれたら、それでも良いわ。量より質、って言うでしょ?」
よう回る口なこって。俺と関わっていくうちに、雫も口が達者になった様な気がする。そこは学習せんでも良いのにな。
さて、後は残りのメンバーの反応を待つのみだが、俺の事を知っているからなのか、3人は即了承だった。……期待され過ぎだな、コレ。結構荷が重い仕事になりそうだわ。
「んじゃあ、早速やるか。まず、通しで見せてくれ。」
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ゴゴゴゴ…………
「……ゲートが、開いたのかしら。」
──情は響めく。特異点を産みながら。
はい、いかがだったでしょうか。
次回をもって、一旦凍結とします。その後、いつに解凍するかは未定です。思ったよりも早くなるかもしれませんし、半永久的に凍結状態にする可能性もあります。出来るだけ完結させたいとは思っています。
では、また次回。