【凍結】混沌に雑ざるは、如何なるオモイか。 作:Cross Alcanna
最終回かのようなタイトルですが、まだ続きはあります。ですが、今回で一時期凍結となりますので、ご理解頂けると幸いです。凍結している間は、昔の作品の投稿を予定しています。
では、どうぞ。
「ゲートと変な空間の歪みが発生したぁ?」
「うん。区域も5つだから、多分これで最後だと思う。」
何となしにセカイに足を運んだが、どうやらゲートが発生した模様。……となると、雫達がキッカケか。アイツらもセカイに行けるんかい。何か俺の周り、そういう奴多くない?絶対気のせいで済む問題じゃないだろ。
とはいえ、ゲートが出来たのは俺が探索してなかった最後の区域との事。何でも、コロシアムがあるんだとか。カオスが過ぎる。世界観どうなっとるねん。
ミクの発言が少し引っかかる。恐らく、”各区域に1つずつゲートが発生してるから、これ以上は発生しないだろう”という魂胆からの発言だとは思うのだが。果たして、こんな非常識の塊みたいなセカイでそんな考察が当たるのかが疑問に残る。
今まで、殆ど規則性なんてないような挙動を示し続けたこのセカイ。ミクの言う通りに事が進んでくれれば、それ以上に楽な事は無いんだが。
「……そういや、そこにいる奴に会ってなかったな。」
「折角だし、刹那だけで行ってきたら?見て回りたいでしょ?」
「お、助かるな。地図かなんかあったりしないか?」
はい、と言って簡易的な地図を渡してくれるミク。普ッ通に優秀なんだよな、このセカイの住人。阿吽の呼吸は言い過ぎかもしれんが、俺が頼む事の大体をスッとやってくれる。事がスムーズに運ぶのは、ストレスが貯まらなくて助かる。
俺だけで行くように提案したのも、恐らく、1人で探索して回りたい性格なのを加味しての事だろう。俺の心情から創られたセカイの住人なだけあって、俺の事はしっかり把握してるんだなと、思わされる。
「……因みに、どんな奴なんだ?そこにいるのは。」
「…………う〜ん、表現するのが難しいんだよね。」
おい、その言い方は怖ぇって。何が出てくるか分からんじゃねぇか。そんなとこに行くってなると、大分話変わるんだが?物理的に危ないヤツじゃない事を祈るしかねぇな。
──強いて言うなら、1人になりたがる子、かな。
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「……探索とはいえ、コロシアム以外ないとか聞いてないんだが?」
畜生、何も無い事を知って俺だけで行くよう言いやがったな、ミク。後で文句の1つや2つ言ってやろうか。
……つか、ホントに寂しい場所だな。今までの区域は、何だかんだ他の建物があったりしたが、ここはホントにポツンとコロシアムがあるだけ、後は色の無い草原が広がってるだけ。……その分、コロシアムの違和感といったら、語る必要も無いだろう。
……ミク曰く、ここの奴は1人になりたがるのだそう。だからこそ、他の区域に顔を出さなかったし、俺も見かけた事が無かった訳で。どことなく、この区域はソイツの心情を体現している様にも感ぜられる。ただ、俺の心情に適役な奴が割り当てられてる説も、捨てられる訳ではないのだが。
「ていうかよぉ、廃校に監獄、都市、タワー、コロシアム。俺の心情から創られたとは言うけどさぁ……何を体現してんだか?」
そんな独り言を、漏らす。
セカイが何かを知って、俺のセカイがどんなものかを知って、未だに何も分からない事がある。
俺の本当の心情を表してる事は分かったものの、それが何に基づく物なのかまでは、俺には検討がつかない。廃校と都市は、幾らでもこじつけ出来るかもしれない。やれ現実世界に影響されてだとか、そこに身を置いていたから印象に残ったとか。ただ、タワーに監獄、コロシアムときたらどうか。印象にも残っていないし、ましてや身近な存在かも怪しい。
「ミクだけなら兎も角、他の奴らもそこに関しては言及しないしなぁ。」
俺が口に出していないからかもしれないが、そこら辺の考察を一切していないようにも感じる。あの頭の良さなら、そこに気が付く奴がいてもおかしくないと思うんだがな。そこは少し奇妙ではある。
……敢えてその思考領域に達しないよう、セーブがかかってるとか。…………いや、ないか。薄すぎる線だ。
「……貴方が、刹那?」
「うおっ、ビックリした……結月ゆかりか。」
俺の試行錯誤を吹き飛ばすが如く、背後から声を掛けてきた奴が独り。この区域のバーチャルシンガーであると思われる、結月ゆかり。現実でも有名なVOICEROIDだな。少し前まではミクに引けを取らないくらい聴いた記憶がある。かと言って、今は全然聴かなくなったという訳ではないが。
よく描かれる結月ゆかり像と比較すると……確かに違ぇな。衣装も白いワンピースで、儚げを感じさせる。オリジナルが近所のお姉さんの様だとすると、このセカイの結月ゆかりは、今にも自殺してしまいそうな、屋上に佇む女性という印象が近いだろうか。口調は、どこか可不に似ている気がする。
「意外だな。てっきり姿を見せないものかと思ってたぞ。」
「……貴方は、良い。
私と同じ、ねぇ。間違ってる様で、実に的を射ていると言えるな。自覚しきれていないだけで、俺にもこんな一面があるんだろう。些か、誇張されている様にも感じるが。
……コイツは、俺の影響を受けている事を誰よりも強く自覚している気がする。それが誰かから知らされたのか、自分で考え至ったのか、それは分かりかねるが。
「ゲートは何処にあるんだ?取り敢えず、それを見たいんだが。」
「……コッチ。」
そう静かに言い終えると、小さく手招きをしながら何処かへ向かって行くゆかり。俺は、着いていく他に無い。
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「…コレ。」
「コロシアムのど真ん中にって訳か。」
ゆかりの先導により、無事ゲートに着いた。……毎度思うんだが、その辺の景観が景観だからか、割と違和感が凄い。語彙力が有給を取っているような言い方ではあるが、形容するのが難しい。
事前にミクから中の世界観は聞いている。何でも、中世の処刑場みたいなセカイなんだとか。……どういうこっちゃ。
「……中、入らないの?」
「ん?あぁ……今日は取り敢えず、ゲートの存在を確認する為に来ただけだしな。」
そう、と言いながら灰色の空を見始めるゆかり。自分の知ってる姿や言動とはかなり異なるその様相を見ていると、違和感というか、むず痒さというかを感じる。オリジナルの印象が刷り込まれている事もあるのだろうか。
……それは置いておくとして、処刑場か。ミクから聞いて殆ど確信に至ったのが、俺らが見つけられるような規則性は無い、という事だ。
今まで何か共通点や規則性はないかと模索していたが、恐らく、俺らでは見つけられないレベルの規則性しかないのだろう。そうでないなら、ここまででもう少し何かを推察出来ている筈だ。自分で言うのもアレだが、それくらいは出来る自信がある。つまり、そういう事なのだろう。
……と言うより、そうでも思わないとやってられないだけなのだが。
「ゆかり、このゲートの世界観は見て来たのか?」
「…………そうね。」
俺がそう尋ねるが、空を見るのに夢中だったのか、回答に少し時差が生じた。どうやら、ミクから伝えられた世界観というのは、ゆかりが伝えたものではないかという可能性がある。まぁ、だからと言って、何が変わるかとかは無い訳だが。
…………ふむ、少し踏み込んでみるか。
「どうだった?そのセカイを見て、何か思う事はあったか?」
「…………そうね──」
──ある意味、このセカイと似てるのかも。
ビンゴ。俺が思った通りか。
ゆかりは、他のバーチャルシンガーとは違う。とどのつまり、
俺の予想だと、このセカイにおけるゆかりは、
ミク達は手伝いの範囲内にあるが、例外であるゆかり(恐らくレンも)はその制約を受けなかったのだろう。或いは、そういう役割を振られたか。
兎に角、このセカイの核になりうる視点からの考察が可能になったのは、有難い。他の知り合いにこのセカイの存在を明かすかは決めあぐねているからこそ、現段階で頼れそうなのがレンとゆかりのみとなりうる。レンは大体他の奴らといる為、必然的にゆかりと話を進める方が良いだろう。
……仮に、アイツらが他の奴らにコンタクトを取り始めたら、それはそれで良い切り口になりうる為、アリではある。ぶっちゃけ、このセカイが何かを知りたいだけだし、深く考える必要はなさそうだし。
「成程な……よし、割と良い収穫だったな。」
「……もう、帰るのかしら。」
「一旦はな。ただ、また近いうちに来るとは思う。」
相も変わらず、俺の発言に愛想の無い返しをするこの区域の管理主。……管理と言うよりは、ただ居るだけ、なのかもしれないが。
……にしても、孤独…ね。
傍から見て、俺はああやって写ってるのだろうかね。だとしたら、俺は随分つまらない人生を送ってるんだろう。誰も近寄って欲しくない、構わないでくれと思うその心が、染み付いて離れないと言うなら。
──何でこんなに人を望んでいるのか、分からないんだがな。
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「……ッ!?また振動!?ゲートの時より揺れが大きい……!」
視察を終えた刹那がセカイから帰って少し経った頃、セカイが突如として大きな揺れに見舞われる。特に心当たりもなかった私は、困惑するしか無かった。
また、何か起こったと言うのか。ゲートは各区域に1つしか発生しない、という持論は外れたのだろうか。
……結果だけを言うと、ゲートのある区域について変化は無かった。皆がすぐ報告してくれた事もあって、報告自体はかなり早かった。ゲートの内装も、何ら変わりは無いらしい。
特に何も起きなかったと判断した私は、安堵を覚えたのと同時に、疑問が起こる。何故、揺れたのか。セカイに、地震の概念はない……と思う。少なくとも、他のセカイには観測されなかった。このセカイが幾ら特異と言っても、そんな現象が起こるとは、とても思えない。
……だとしたら、
…………あった。1箇所だけ。最近視察に行ってなかった上に、誰の管理下でもない故に忘れていた、あの場所が。
私は、駆けた。
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「はぁ……はぁ……。やっぱり、ここだった。」
刹那がお気に入りだと言っていたここ。他の場所と違って、これといった名称はない、穏やかな場所。一応、仮ではあるが回帰の間と呼んではいるが、あくまで仮である。
そんなここに、あからさまに今まで無かったモノがあった。それは、このセカイの、どれ程まであるかも分からない宙に、永遠と伸びていた。
「……階段。」
──ガラスのような、透明な。天国へ昇る為のような、永い永い階段だった。
はい、いかがだったでしょうか。
就活に向けての準備と、モチベが原因で投稿が遅れました。お詫び申し上げます。同時に、これにて一旦凍結となります。
タイトルの後ろに[凍結中]と付けます。これが消えたら凍結は無くなったという解釈でお願いします。
では、また次回。