【凍結】混沌に雑ざるは、如何なるオモイか。   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

前話投稿時に、新アンケートと情報を新設しました。

アンケートは暫く置いておきます。期限はまだ未定です。決まり次第、お知らせします。情報は、当作品の設定理解に使って下さい。更新される事がありますが、お知らせはしませんので、悪しからず。

では、どうぞ。


喧騒、憧憬、後悔。

「…久しぶりだな、こうして制服に身を包むのは。」

 

 

今日は珍しく、学校に行っての対面授業に参加する。こうして対面に参加する際は、事前に担任に連絡を入れる事になっており、前日のうちに連絡しておいたので、おそらく認知していない等の問題は無い筈だ。

 

…にしても、だ。こうして(たまにではあるが)学校に行くようになるとは。自分で言うのもおかしな話だが、頑張ってるなと思う。俺は、学校に良い印象を抱いていない。「勉強が嫌い」とか「テストや受験が窮屈だ」、「5科目や体育はまだしも、副教科をやる意味が分からない」等といった様々な理由で学校が嫌な学生はいると思う。けれど、俺が学校を嫌う理由に、今挙げた理由は1つも該当しない。態々言うまでもないから周り(親含める)にも話してこなかった。

 

それに俺は、普通に人混みが嫌いだ。街の栄えてる場所よりはマシにせよ、学校もかなりの人が入り混じる空間と言える。俺にとって学校は、そういった意味でも窮屈だった。因みに、図書館にはよく行くが、俺の行く場所は基本的に穴場スポットと言われる場所なので、滅多な事では大勢の人は来ない。だから、そういう施設には行けるのだ。学校はそうやって選べないからね。是非もなし。

 

 

「まぁ、久々に行く分には楽しみなんだけど。」

 

 

等と、誰かが聞いていたら「コイツ、変な独り言言ってら。」と言われかねないような、繋がりのない独り言を宣う。一人暮らしをしていると、自然と独り言が多くなる。寂しいと感じる故の弊害だろうか。前に少し調べた事があったが、すっかり忘れてしまった。次調べたら雑学ノートにでも記しておこう。忘れないように。

 

それはさて置き、俺は登校の準備を進める。教科書だったり筆記用具、参考書等を忘れないようにしないとな。たまの登校でポカやらかすのは嫌だし。何かやだよな、久々に行く(顔見知りのいる)所に行って、ポカやらかすのは。共感者求む。…いない?そっかぁ。

 

 

「よし、後は家を出るだけか。」

 

 

気付けば準備も終わり、後は戸締りをして家を出るのみ。…何だろうこの感覚。ただ学校に行くだけなのに、こんな懐かしい気持になる。別に、学校に行く事自体は初めての事じゃないのにな。……昔の学校に行ってた頃の感覚に戻ったのかな。あの時は……。

 

…いや、止めておこう。折角の学校だ。せめて良い経験になるように、明るくいかないとな。

 

戸締り良し、忘れ物無し、()()()()()()()

 

 

「行って来ます。」

 

 

誰もいない家に、俺は一言。そう告げた。

 

 

 

──────────────

 

 

 

「よっ。あの日ぶりだな、司。」

 

 

「おぉ!刹那じゃあないか!」

 

 

登校してやる事その一は、親友である司に声を掛ける事。…決してコレ以外にやる事が思い当たらなかったとかじゃないからな。きっと多分maybe。

 

そして、司から返ってくるのは、相変わらずの元気ある返事だった。うむ、朝から元気で宜しい。てか、そんなに元気あるん?こんな朝っぱらから。スゲェな、司。羨ましいわ。

 

 

「この前は悪かったな。まさかあんなに避けられるとは思わなかったもので。」

 

 

「いや、こちらこそ済まなかった。えむも謝っていたぞ。」

 

 

「アッチは謝る必要無いんだよなぁ。何か申し訳ないな。」

 

 

このまま行くと、謝罪合戦になりかねないと思った俺は、そこいらで話を切替えようとする。いや、ホントにアッチ何も悪くないからな。コチラが謝られる道理がないだろう。うん、そうだ。そうに違いない(圧力)。

 

そんな事を頭の隅に追いやり、俺達は他愛のない会話をする。久しぶりに長い時間顔を合わせられるという事もあり、中々に会話が弾みそうだ。話題が尽きないかが心配ではあるが。

 

他のクラスメイトは、俺にあまり話しかけようとしない。恐らく、司との話に集中出来るよう気遣ってくれているんだろう。嬉しい限りだ。……ハブられてるとか無いよな?

 

 

「っと、そろそろ担任が来る時間だな。司も席に戻った方が良いんじゃないか?」

 

 

「うむ、そうだな。じゃあ、また放課の時に!」

 

 

「あいよ。」

 

 

こうして、久々の学校生活は問題なくスタートをきった。うん、やっぱり良いな。こうしてたまに顔を出して皆の顔を見るのも。勉強頑張って正解だった。

 

 

 

──────────────

 

 

 

「類!今日も来たぞ!」

 

 

「相変わらず元気だね。……っと、今日は刹那くんも来ていたのかい。」

 

 

「何でまぁ、当然のように屋上の鍵が空いてるんだか。普通閉めるはずなんだけどなぁ。」

 

 

司に連れられやってきたのは、相変わらずの屋上。そして、その上の方に座ってるのは類。まあまあ高ぇトコにいるけど、落ちねぇのかな。間違って落ちても、助かるか怪しいぞ?

 

「まぁ良いじゃないか。屋上が空いてるから使う、それで良いだろう?」

 

 

「空いてるから使っていい理論は、場合によるんだよなぁ。」

 

 

通常、屋上というのは鍵が閉まっており、教員の許可を得て初めて使う事が出来る。(あまり考えられないが、)元々鍵が空いているか、何らかの理由付けをして、類が鍵を手に入れたかの2択に絞れるが、それ以上考えるのも中々に面倒なので、もう開き直って考えるのを止める事にする。

 

考えるのが好きとは言え、疲れるのだ。休みたいのだよ、俺は。

 

 

「にしても、どうして今日は学校に来ようと思ったんだい?」

 

 

「いや、シンプルに来たいって思っただけだよ。たまに顔出すと、色々得られるものがあったりするんだよな。」

 

 

「そうなのかい。なら、僕もそうしたい所だね。」

 

 

なら勉強を頑張るしかないな、という無粋な言葉は喉で潰しておく。無粋も無粋、言うだけ損だろう。ま、その辺は類も分かってて言ってる冗談の類いだろう。……だよな?たまに冗談に見えるマジな事をさらっと言うから怖いんだよ、こいつァ。

 

類に当てはまる言葉を挙げるなら、"奇想天外"だろう。発想もまあまあぶっ飛んでいて、しかしそれを成し遂げうる。まぁハイスペックだ事。羨ましいぜ、全くよぉ。

 

 

「そういや司、ショーは順調なのか?」

 

 

「うむ!沢山の人が来ているぞ!」

 

 

その一言が聞けて安心だ。

一時期、フェニックスワンダーランドについて一悶着あった。詳しくは憶えてないが、代表が変わるとか、閉園するとか。何故だが、そこら辺の記憶がすっぽ抜けている。

 

その時から俺達は親友だったので、悩んでいた司に何個か言ってみた結果、思いの外スルスルと解決していったらしい。スゲェな。そんなに問題が解決するなんて、ご都合主義の物語とかだけだとばかり思ってたわ。事実は小説よりも奇なり、とはよく言うもんだ。

 

そっからだったか、司が今くらい友好になったのは。類の俺に対する姿勢も、大方警戒を解いて、今では友好な関係を築けている。やったぜ。

 

 

「僕としては、刹那くんも僕達のユニットに参加してくれたら良いなと思ってるんだけどねぇ。」

 

 

「何を言うておる。まずえむと寧々の問題をどうにかせんとならんやろ。つか、俺は人前で歌わねぇんだっての。」

 

 

このやり取りも、初めてではない。何度もやった、なんなら飽きる程やったやり取りだろう。30辺りで数えるのは止めた、という記憶だけ残っている。ここまで来ると、このやり取りも飽きてくるんだが。

 

それに、俺は人前で歌う事はもうしないと決めている。これは、俺が俺であるうちは揺るがないだろう。内に秘めてあるモノの中でも、確固たる意思だろう。それも、1位2位を争うくらいには。

 

それを毎回伝えているというのに、相も変わらず勧誘は収まる事を知らない。なんでやねん。大人しく退いてくれませんかね、類さんや。そして司よ、何故毎回止めない上、首を縦に振りながら話を聞いているんだ。止めなさい。あんたが頼りやねん。

 

 

「にしても、どうしてそんなに頑なに歌う事を避けようとするんだい?」

 

 

「……強いて言うとすれば、トラウマ、って奴かね。」

 

 

…今回は、わざと地雷を踏みに来たか。俺が冷静さを欠いて何か掴めるかって魂胆か?類はそうした荒事はしないと踏んでいたんだが。誤算だったか?

 

つっても、俺の嫌悪が染み付いただけで、大層歌う事を拒絶するに足るものかと聞かれると、俺自身ですら感情論寄りな主張になりかねないんだよな。トラウマって、凡そそんなもんだとは思うんだけどな。リアリスト寄りの思考をする自分としては、論理的に説明出来ないのは違和感を感じるものだ。

 

だからこそ、説明が難し過ぎる。言語化したところで、合理性が伴うか怪しい。勿論、嫌悪感が働くから話したくないのも、あるんだが。類は、そうした感情論に基づく結論は求めてないように感じる(俺の主観だから、真偽は分かりかねるが)。

 

 

「出来ることなら、事細かく聞きたいところだけれどね。」

 

 

ポツリと。類がそう呟いた。ソレはどことなく、俺に語りかけているようにも感ぜられる。と言うより、殆ど確定で俺に言っているのだろう。

 

そんなに聞きたいものか。人の事情に深く踏み込みたい人間は一定数いるのは知ってはいるものの、類がその1人だとはあまり思っていなかった。

 

或いは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から来るものだろうか。だとしたら、止めて欲しい。いや、止めろ。

 

 

 

──とても、反吐が出る。どうせ、期待なんてあっさり消えて行くクセに。

 

 

 

──────────────

 

 

 

「っと、存外重いな。何でこんな量持ってこいって学生に言うんだか。」

 

 

あれから時間はそこそこ経ち、放課後。担任から書類を職員室に持ってきて欲しいとの依頼で、俺は書類を持ちながら、廊下を歩いている。教員が扱う書類を学生に持たせて良いのかと、常々思うのだが。てか、こんな量だとは思ってなかった。重いわ。

 

ふと、廊下の窓からグラウンドを見やる。すると、そこには青春の1枚があちらこちらに。声を出しながらノック練習をする野球部、試合があるのかその想定で試合のムーブを確認するサッカー部、その他諸々。

 

俺が中学、高校で(今までも、恐らくこれからも)味わう事の無い青春の1ページが、廊下の向こう側で繰り広げられていた。

 

羨ましいと、思ってしまう。

今の道は、自分で決めた道ではあるけども。人は無い物ねだりをしたがるのか、たらればを垂れ、自分に無いものを羨望する。今の自分が、正しくそうだろう。何とまぁ、醜い自分だ事。

 

ああやって誰かが汗水垂らして青春を謳歌している間、果たして自分は何をしていたろうか。

 

 

 

青春を取り戻そうと努力していた?否。

 

人に好かれるよう努力していた?否。

 

人に馴染めるよう努力していた?否。

 

 

 

青春は来ないと諦観していた。

 

人に好かれるのを本能的に避けていた。

 

人に馴染む努力から、目を背けてきた。

 

 

 

因果応報が、お似合いだろう。自分には。恐ろしい程、その言葉が相応しいだろう。文句を垂れる前に、頭を垂れるべきだろう。過去の卑怯な自分の選択に、迷惑をかけた人に、希望を持っていた、過去の自分に。

 

 

「あれ?もしかして刹那先輩じゃないですか!」

 

 

感傷に浸っていると、そんな声が1つ。ビックリした。顔に出ないようにしたものの、今回ばかりは自信が無い。正直、腰を抜かしそうになった。ビビるて。

 

 

「あ〜……暁山 瑞希(あきやま  みずき)だっけっか?あまり学校に来てないって話は聞いてるが…。」

 

 

「ゲッ、何で先輩が知ってるんですか〜。」

 

 

有名な話だからな、とは言わないでおく。

にしても、瑞希がいるのは珍しいな。俺が来てた時にはいなかった記憶がある。いや、会ってはいないから断定は出来ないが。こっちも瑞稀の事を知ってる様に、瑞希もこっちの事を知ってるんだろう。でもなければ、話しかけてなんて来ない。

 

可能性を挙げるなら、俺の後輩の友達、とかだろうか。となると、彰人辺りか?彰人が瑞希と絡むなんてイマイチ想像つかないが……違うか、彰人が絡まれる側か。まぁ、また別の可能性も否定出来んが。

 

 

「先ぱ〜い?」

 

 

「ん、悪い。考え事をしていると、つい意識が飛んでいくもんで。」

 

 

「人と話してる最中でそうなります?」

 

 

なっちゃうもんはしゃーない。リアリストは大体この癖を持ってると思って、諦めてもらいたい。ストップを掛けそうと意識する頃には、すでに考えてしまうのだから。

 

にしても、何で急に話しかけてきたんだか。誰かが俺の噂をしていて、聞きたい事が出来たくらいしか思いつかないが、何となく違うような気がする。どちらかと言えば、あの日の類のような雰囲気を纏っているように感ぜられる。神妙でいて、それで何かを踏んでやると言わんばかりの、重苦しい覚悟の雰囲気が。漂う。

 

 

「先輩、()()()()()()()()()()?」

 

 

「うおっ、段階とか踏まねぇのな。まぁ、あるけど。」

 

 

幾つかの問答の後に切り出してくるとばかり思っていたが、まさかいきなり聞いてくるとは。驚きの方が強かったせいで、淡々と答えてしまった。まぁ、聞かれたら話す事だし、無理に隠し通す事もないとは思っているんだが。

 

…だが、俺はおそらくその言葉の核となる質問には答えていない。おそらくコイツは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と聞いてるように感じた。ただ、深読みだった時に恥ずかしいので、答えない。

 

 

「…沢山、隠してますよね。」

 

 

「……まぁね。おおっぴろげに話す事でもないしなぁ。」

 

 

「嘘を吐いてるんじゃないですか?誰かに知られるのが怖「黙れよ。」…へ?」

 

 

嗚呼、止めて欲しかった。藪蛇みたいな事をしないで、欲しかった。ほら、ドスの効いた声が出たじゃないか。それ以上の詮索は、止めてくれ。俺にも、止められなくなるから。本当にギリギリで抑えてるんだ。決して、余裕な顔をずっと保ち続けるレベルで楽勝に平然を保っている訳じゃないんだ。

 

初対面の奴に、こんな事なんて言いたくないんだよ。出来るなら、優しくしたいんだよ。でも、出来ないんだ。俺の身体なのに、俺の心なのに。誰かが操ってるように思えて、この心身の主導権が、俺にないかのような気がして。

 

こんな事になるなら、来るんじゃなかった。また1つ、崩壊に向かって一歩進んじゃったじゃあないか。

 

 

「何のつもりだ?自分なら助けられるとかいうクソッたれな偽善か?大して思ってもいない同情か?或いは、人の過去を洗いざらい吐かせて哂う畜生か?どの道、赦す気は毛頭ねぇぞ。」

 

 

嗚呼、止めて。心が、ざわつく。嵐の中にでも、放り出された気分だ。身動きも取れなければ、声なんて届きっこない。

 

嗚呼、ウゼェ。偽善なんて、同情なんて。全部全部、消えるクセによぉ。どうしてそんな平然な顔して、無いモンぶら下げて人を弄ぶ事が出来る。理解出来ん。否、理解しようとも思えん。

 

 

「偽善は正義じゃねぇ。同情も正義じゃねぇ。少なくとも、俺のナカではよ。」

 

 

 

──お前みてぇな穢れも知ってるヤツが、助けようだなんて面しやがって。

 




はい、いかがだったでしょうか。

ちょっと長くなりました。シリアスが多い本作品ですが、シリアスの方が筆が進む為、こうなってしまいます。日常パートは苦手ですので、逆に短くなりがちですので、ご理解頂けると嬉しいです。
一応現段階では、全ユニットと絡みを入れる予定です。そのつもりでストーリーを進めていきますので、宜しくお願いします。

では、また次回。
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