【凍結】混沌に雑ざるは、如何なるオモイか。 作:Cross Alcanna
今話は、主にセカイ内での話になります。原作には(描写のない)確認されない設定をここらでまた導入していますが、本家プロセカ世界とのパラレル世界と考えてもらえると幸いです。
では、どうぞ。
「……十中八九、あの日の影響だろうなぁ。」
翌日になり、ふと気になった事があったので、セカイに来ていた。気になった事と言うのは、正しく俺の視界に広がっているセカイの光景である。見て分かるほど、あちらこちらが前回来た時よりも少し崩れている。
どうやら俺のセカイは他のセカイ以上に創造主の心情を反映するらしく、リアルタイムでセカイの光景が変わると考えて良いだろう。例えるなら、他のセカイは"創造主のとある時点での想いを反映した空間"であり、俺のセカイは"創造主の現在進行形の想いを反映した空間"だろうか。
だとしても、だ。こんなにぶっ壊れたセカイをこうして差し出されてみると、理解は出来るが納得したくない、という何とも言えない我儘な心持ちになる。自分はこんな心の中なんだと理解はするが、肯定はしたくない、納得したくないという気持ちになってしまう。非常に不合理だ。
「…一体、何をしたの。こんな事があって、何もありませんでしたは通用しないよ。」
「だよなぁ。」
俺は、あっけらかんにそう言い放つ。元々、何もなかったとは言うつもりなど無かった。信用を得られるルートが無かったが故に。
ミクの雰囲気が、どこか悲しげである。まるで、俺を哀れまんと言わんばかりに。その向けられた感情が、俺には強く刺さる訳だが。
「久々に行った学校で、色々あったのさ。具体的に言うなら、過去を詮索されようとね。」
それ以上でも、それ以下でもない。あったのは、ソレだけ。強いて追加情報を与えるのなら、
俺の一言に、ミクの表情は一段と暗くなる。まるで、自分の事の様に。セカイとリンクしているのだろうか。それなら、こんな反応を見せるのも、納得できるのだが。……何だろう、ここまで親身になってくれるヤツも珍しいせいか、少しむず痒い。俺がそういった事情を隠している事も相まって、この様な感情を向けられるのは、中々にない程新鮮である。どちらかと言われると、困惑に近しいのかもしれないな。
「今日は、歌わないの?」
そんな思考を追いやるような、一声。…このセカイに来てから、聞いた事のない声だ。だが、俺は知ってる。何せ、有名なヤツだしな。
「…悪いが、その予定はない。今日はあくまで確認しに来ただけだしな。」
「そう。」
そう、GUMIである。天ノ弱等で有名なVOCAROID……で良いのか?どっちかっつったらVOICEROIDの方が近いような気もするが。ミク達の少し後に出て来てから、数々の名曲をカバーしているコイツを、知らないヤツは少ないだろう。だが、このセカイに居るとは驚いた。可不と似たような、他セカイに現界が確認されているか微妙なバーチャルシンガーだろうか。何となく、そんな気がする。真偽は知らんが。
きっと、俺の知らない区域に居たんだろう。粗方探索はしたと思っていたが、何区域かは未だ未探索のままである。因みに、探索済みの区域には誰も居なかった。…とすると、俺は奇跡的にバーチャルシンガーの居る区域を探索してないって事か?天文学的確率かよ、こん畜生。
「ねぇ、刹那。」
「ん?」
不意に、GUMIが俺に話しかけてくる。何だ、自己紹介でもする気か?正直、別にしてもらわずとも構わないんだが。
「私の区域に、変なのが出来てるんだけど。」
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「ミク、こんなの最初からあったのか?」
「ううん、私が最後に来た時には無かったよ。でも、別の区域に似たモノは既にあった気がする。」
それは、俺も知っている。恐らく、監獄区域の事だろう。アソコはホントに趣味悪い区域だとしか当時思っていなかった。確かソコにもあった気がする。その時はミクも分からなかった為、危険度合いも分からずじまいだったので、放っておく事にしたんだった。…て事は、今も放置したままなのか。ミクが調査したなら、コレについて多少の情報はあるはずだし。
この…異次元に繋がってそうなゲートみたいなのは、青味がかってるんだな。監獄区域のやつは、確か黄色味がかってた筈だが。別の場所にでも繋がってるのかね。そもそも、どこかに繋がってるかも分からんのだが。
「…刹那、ここ最近で何かあった?さっきの以外で。」
「つってもなぁ……。」
…何だぁ?ホントに検討もつかんのだが。どうにか絞り出すとしても、
それ以上に俺が気になるのは、コレが無害なのか有害なのか、だ。ソレが判明しない事には、コレの取り扱いが手付かずになる。…かといって、無闇矢鱈にコレに突っ込むのもなぁ。リスクとリターンの釣り合いが点で取れない。
「なぁミク。このセカイで死んだら、そのまま死ぬか?」
「そうだね。厳密に言うと、このセカイで死んでも蘇生とかはしないから、このセカイで死んだら、外には出られないっていう意味ではあっちの世界では死亡扱いになる、って感じかな?」
成る程、要点をまとめると、こうだ。
まず、このセカイではしっかり生死の判断が為される。高い所から飛び降りれば怪我もするし、打ち所が悪ければ死んだりする。仮に死んだとして、その状態ではセカイから離脱できないから、アッチには戻れずに実質死亡のとなる、と。生死については、現実同様に慎重になる必要がありそうだ。
等と考えを巡らせていると、いつの間にかIAの姿がなかった。……まさかな。
「刹那、ミク。どうやら、大丈夫みたい。」
「うおっ、ビックリした。……っておい!?死ぬかもしれないモンに飛び込んでるんじゃねぇ!」
コイツ、いつの間に飛び込んでいやがったんだ。つかミク、お前も考え事してたのか。せめてお前は可不を見ててやれよ。コイツが何かしらあって死んでたらどうするんだ。…まぁ、俺もそれを言えたタチじゃないのだが。
だが、可不のお陰でコレがある程度有害ではない事が判明した。勿論、全く以て無害であるとまで判断できる訳では無いのだが。
「……無害そうなら、行くかぁ。」
スッゴイ怖いけど。
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「…………教室?」
「……ここって…」
ミクはこの景色について分かってる様な口振りだが、一旦置いておくとしよう。例の亜空穴の様なモノ(これからは仮名としてゲートと呼んでおく事にする)を潜って辺りを見ると、広がっていたのは高校らしき教室の空間。窓の外を見ると、霧がかってる。
恐らく、この空間は高校の敷地だけを模した世界な気がする。だが、奇妙過ぎる点が1つ。
「…静か。」
そう、可不の言う通り、静か。付け足すなら、静か過ぎる。まるで、ミニチュアの中の様な静けさを感じる。生き物がいないのは宛ら、世界そのものに生気が感じられない。変な表現ではあるが。
生気を感じない要因の1つとして、色が無い。厳密に言うと、白と黒、灰色の3色しかない。モノクロテレビで教室を見てるように感じ、違和感を覚える。
「こんなに静かだと、何の為に創られた世界なのか分からんな。ミク、ここってセカイって認識で良いのか?」
「……合ってるけど、違うかな。強いて定義付けるなら、裏セカイかな。」
裏セカイ、ねぇ。ミク曰く、セカイの中にセカイ(別空間)が存在した例がないらしい。今言った裏セカイは、今し方新しく定義したモノとの事。にしても、ミクの反応がさっきから変である。しどろもどろになる時もあれば、焦りを見せる時も。ここまでミクが百面相しているのも珍しい。コチラとしては、面白いからそのまま続けてもらって構わないのだけれど。
そして、可不の方を見ると、俺らがいる教室を見て回っている。いつもは人見知りの様な、或いはクールの様な性格だが、好奇心が人一倍強い性格らしい。俺のそういった一面に影響されたのだろうかと、どうでもいい思考に浸る。
とはいえ、ここまで静かだと、この裏セカイについて分かる事は無い。誰も居なさそうでありながら、裏セカイ側からのアクションもない。俺らを排斥しようという動きもなければ、俺の現在の心情に左右されて変化する訳でもないと来た。解っている情報から導き出せる結論が、無いに等しい。RPGゲームで言う、今はこのステージは解放されていません、が一番的確な例えじゃないだろうか。
「…ミク、このままココにいても埒が明かないんじゃないか?安全な可能性も出てきたんだし、監獄区域のゲートの方も見てみた方が良いんじゃないか?」
「……そうだね。アッチも、ちょっと確認したい事ができたし。」
そう答えるミクの顔色は、依然として焦燥を浮かべたまま。そんなに焦るような事でもあったのか?こんな教室しかない空間に?まぁ、色んなセカイを見てきているミクだからこそ、分かる事があるんだろうな。あまり情報を持っていない段階の俺が邪推する必要はないだろう。俺が必要になりそうだと思ったタイミングで聞けば良いだろう。
監獄区域のゲートを確認しに行く為に、俺らはゲートを出る事にした。…おい可不、また来れるんだから。駄々こねるな。てか、何時でもここ来れるだろうが、お前は。好奇心に憑りつかれた可不を相手するのがここまで苦労する事が、今日一番の収穫かもしれんな。トホホ。
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「んん~……結局大した事は分からずじまいかぁ。」
家の中で1人、そう呟く。
あれから監獄区域のゲートにも行ってみたが、相も変わらず閑散としたモノクロの遊園地だった。何で監獄の所に遊園地が?とは思った。ダメ元でミクにも何故かと尋ねてみたが、分からないと言われ、結局詰みだった。強いて言うなら、あれだけ閑散としている裏セカイの両方が無機物そのものはボロボロでない事は気にかかっている。閑散として、生気もなく、それでいてモノクロ。しかし、裏セカイ内の建物や設備は今からでも使えるんじゃないかと言える程に真新しい様子だった。おかしくはないが、何となく奇妙だとは感じる。
それに、生成される裏セカイの規則性がイマイチ掴めない。廃墟と高校は何となく分かる。現実世界にある廃校も生気を帯びていないし、閑散としている。その点から概念的に結び付けられたとすると、ある程度は納得がいく。しかし、監獄と遊園地。この2つに、概念的な共通点を見出せない。閉じ込める、或いは外に出させないという曲解した結び付きでも為されているのか?確かに、監獄は幽閉や隔離、閉鎖する為のモノと言える。遊園地も、楽しさで外に出させなく思わせると解釈してしまえば、結び付ける事自体は簡単だろう。だが、そんな蜘蛛の糸の様な僅かな可能性が、果たして存在するのか?そこなのである。
結局、1人では分からない事が多過ぎる為、ミクや可不、GUMIに協力(具体的には監視、実際に入っての調査)を頼んでおいた。これからゲートがまた現れる可能性もあるし、逆も然りである。後者になった際は、これ以上の調査が不可能になる可能性が生じ得るので、早めに手を打っておく事にした。
相変わらず、ミクが考え込んでいる様な表情を解かなかった事が、今の俺の最大の謎ではあるんだが。
「ま、今考えてもしゃーない。そのうちミクから何らかの形で話をされると思っておこう。」
ああいった状態の者は、考えを巡らせている時に話す事を良く思わない傾向にある(俺もそうだし)。だから、考えが纏まったであろうタイミングで聞くのが良い。それまでは、ノータッチの方針で。
「……次会った時に、謝っとくか。」
そういえばと、学校であった件について、思考を巡らせ始める俺だった。
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「それ、ホント?だとしたら、私達が思ってる以上に面倒な可能性があるって事?」
「そう思った方が良さそう。でも、まだ彼には言わない方針で行こう。可能性として薄過ぎる。」
「分かった。」
──セカイは、未だに逆巻いている。
はい、いかがだったでしょうか。
自分で少し見返していると、同じ表現を繰り返している場面が目立つなぁと思い始めています。皆さんはどう感じているのでしょうか。少し、気になります。
一応、次回の投稿は金曜日を予定していますが、前後する可能性もありますので、悪しからず。
では、また次回。