ふたたり   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 『ふたたり』 第5話です。
 えっちっち、です。
 


第5話 「おもいでカオス」

 

 たくさんの思い出ができた。

 でも、中には意味不明な断片も混じっている。

 

 

 おもち(90歳)とみかん(82歳)が、ウエディングドレス姿でボルダリングしていた。

 

 どうしてこうなったのか。

 ざっくり言うと、ふたりは、第三次世界大戦を生き抜いた戦友で、いろいろあって、素人参加のテレビ番組に出演することになり、現在に至る。

 

 お約束通りボルダリングは失敗。ふたりとも落ちて、そこからはスカイダイビングに変わった。やはりふたりとも全裸になった。パラシュートすら無い。この場面は放送されなかった。

 

 そして、エチレングリコールの熱湯風呂に仲良く落ちた。理不尽なことに、みかんだけ18歳に若返った。最後は、ふたりでゾンビ風のメイクをして、撮影スタジオに乱入。

 

 

 めでたしめでたし。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 キツネが一匹佇んでいた。凛とした横顔は、かわいらしくもあり……。

 

 

 

 『みかんに、キツネの耳としっぽを付ければ、超絶かわいくなるだろう』

 完全にわたしの趣味嗜好である。

 だが、みかんの想像力は、思ってたのと違うものを生み出してしまった。

 

 

 今日のみかんは、ノースリーブの白いブラウスに、ライトグレーのキュロット。むき出しの肩が色っぽい。

 

みかん 「おもちのー、えっちっちー」

 みかんが、人差し指をくるくるっと回して、不可解な呪文を唱えた。

 みかんの頭の左右から、シュルシュルっと、キツネのしっぽが生えた。地面に届きそうなくらい大きい。これが本当のツインテールだ。

 

おもち 「わたしは『えっち』じゃなくて『えむ』だよ!」 *1

 ……それはどうでもいい。

 

 

 近くに佇んでいたキツネ。そのしっぽが消えていた。みかんの頭に転送されたのだ。

おもち 「遊んだら、返してあげてね……」

 

 

 みかんは、頭のしっぽを ファサファサ動かしている。かわいいような気持ち悪いような……。

みかん 「おもろ」

 シャンプーのにおいが広がった。隠し味に、ほんのーり ケモノ臭が混ざっている。

 どうすればかわいくなるかな?

 

おもち 「こうやって、しっぽを前に持ってきて……」

 二つのしっぽを、みかんの前にたらした。

おもち 「よし! これで、裸になっても お胸が隠れる!」

 

 ……と言った直後、みかんのブラウスが消えた。

 

おもち 「みかん! 無意味に脱いじゃだめって言ったでしょ!」

 

 これは、『手ブラ』ならぬ『しっぽブラ』か?

 

みかん 「消した」

 真顔のみかん。こういう時もかわいくて困る。

おもち 「消すのはもっとだめ!」

 

 

 例のキツネを見ると、今度は耳が消えていた。丸顔で変な感じだ。

 みかんの頭には、しっぽが生えている。では……

 

おもち 「みかん、けもみみはどこに行ったの?」

 

 

 みかんの、キュロットの左右の裾から、きつね色の もふもふ がはみ出していた。キュロットの後ろが、パンパンに膨らんでいる。

 

おもち 「……ごめん。ちょっと見せてね……」

 わたしは、恐る恐る、みかんのキュロットを下げた。

 

 パタン、と、もふもふが広がった。それと同時にキュロットが消えた。

 

 ……もうツッコまないよ。わたし。

 

 みかんのおしりに、人の顔より大きい、三角形のキツネ耳が生えていた。左右のふくらみに一つずつ。足元の音を聴くように下を向いていて、少したれ下がっている。やっぱり、ちょっとケモノ臭い……。

 

 わたしは、みかんの変態力を甘く見ていた。けもみみとしっぽを逆付けするとは……。

 

 わたしは、おしりの耳のそばで、パチンと指を鳴らした。ぴくっと耳が動いた。

みかん 「 ? 」

 再び指を鳴らすと、耳がそちらを向いた。この耳は飾りではなく、ちゃんと聴こえるようだ。

おしりに下向きの耳が付いていて、何の役に立つのだろう? モグラでも探すのだろうか。

 でもこれ、みかんが裸になったとき、おしりが隠せていいかも……

 ……いや、肝心の前が丸見えだよ! 

 

 そうだ!

おもち 「みかん、お耳を増やしてみよう!」

 

 みかんの キツネ耳を増やして、腰をぐるりと一周させた。

 前に三つ、後ろに二つ、左右一つずつ。計七つの耳ができた。遠目には、異常に もふもふしたスカート……腰蓑(こしみの)に見えなくもない。

 耳の中のふわふわした毛を増量し、もこもこ膨らませた。

 

おもち 「よし! これで、見せられないところが全部隠れた!」

 

 頭から二つのキツネしっぽ。腰まわりに七つのキツネ耳。雑な もふもふモンスターだ。

 

みかん 「あつい」

 ぶわっ! と、腰蓑……じゃなくて、七つの耳が広がった。

 クラゲのように、閉じたり広がったり……放熱しているのだろうか……。

 

みかん 「メンダコ」

 そうか! 何かに似てるなーと思ったら、メンダコだ! でも……

おもち 「惜しいねぇ。足が一本足りないよ」

 

 キツネからメンダコへ、驚異の進化を遂げたみかん。

 頭しっぽの先端がくねくねして、腰耳の一つ一つが ぴくぴく動いている。

 

 ……キモ…………。

 

 

みかん 「みみ」

 みかんが、わたしの頭を指差した。

おもち 「 ? 」

 

 いい予感がした。

 

 自分の頭をさわると、もふもふのけもみみがあった。なぜか右耳だけ。

 自分のおしりをさわると、キツネっぽいしっぽがあった。なんかおしりが重いと思ったら、こんな太くて立派なモノが生えていたのか……。

 

 

 

 わたしは、耳としっぽをそっと外し、キツネに返してあげた。サイズと数は元に戻して。

 

 みかんは、しばらくこのままにしておこう。

 

みかん 「……もどして……」

 

 

 

◇ ◇ ◇ ♡ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ♡ ◇

 

 

 

 えっちっちな思い出もある。

 

 

 耽美なキスは、ラムレーズンの香り。

 

 空気をたっぷり含んだホイップクリームのベッドで溺れる、ふたりの裸体。

 みかんが、わたしの胸元からおへそにかけて、サラサラ……と、粉砂糖を降らせた。

 わたしのプリンの谷間を、みかんのこんにゃくゼリーが、なまめかしく滑っていく。

 ぷるんぷるん揺れるプリンに ちょこんと乗った、赤く艶やかなラズベリー…………

 

おもち 「だめだめだめっ!! 18禁になっちゃう!!」

 

みかん 「 ? 」

 

 スイーツ責めは、あまりにもエロいのでカットされました。残念。 

 

 

 

 

◇ ♡ ◇ ♡ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

おもち 「みかん! 脱いじゃだめだってば!」

 

 広大な田んぼを、全裸で駆け回るみかん。

みかん 「うやーー!」

 服の代わりに、楽しい日向夏の香りをまとっている。

 

 モザイクやボカシは無粋だから、使うのをやめた。

 見せられない箇所がカメラのフレームに入らないように気をつける。稲穂を茂らせたり、電柱を生成したりして隠す。そして、緊急時は、かわいい『みかんスタンプ』を生成して隠すのだ。

 

 まあ、誰も見ていないから、無修正でも構わないんだけどさ。

 

 農家のおじさんでも登場させようか。トラクターで。

 その人は何をする? みかんが怒られる? 警察に通報される? 実はその人も変態で……

 ……おもしろい展開にはならなさそうだ。めんどくさいだけだね。

 

 ここにはふたりしかいない。生き物も作れるけど、あやつり人形になってしまう。勝手に動いているように見えるのは、わたしかみかんが、あらかじめ そう動くように決めているから。

 

 農作業小屋の裏から、大きな茶トラ猫が現れて、みかんを追いかけた。ふてぶてしい顔の猫だ。

 

みかん 「きたっ!」

 無邪気な笑顔で攻守逆転。みかんが猫を追いまわし始めた。

みかん 「みゃー! みゃー!」

 かわいいなぁ……背中に白い翼が生えて、頭に輪っかを浮かべれば天使だ。

 ……そう思ったら、みかんに翼と輪っかが追加されてしまった。本人は気付いていないっぽい。

 

 

 出会ってから一か月……いや、1年くらい経ったかな?

 いっしょに遊んでみて、あの天使のことが分かってきた。

 

 みかんは、天然の変態で いたずら好きなのだ。出会った時の物静かな印象とはかなり違う。こちらが本性なのだろう。 みかんは言葉を扱うのが苦手で、『行動だけで口先が伴わない』タイプだから、誤解していた。*2

 

 みかんには、困ったことに『脱衣癖(だついへき)』がある。気分が高ぶってきた時や、海とか見晴らしの良い丘などの開放的な場所に行ったときに、服を脱ぎ捨てて全裸になってしまうのだ。突然服が消えてしまうこともある。

 カラダを作ったとき裸だったから、妙な性癖に目覚めてしまったのだろうか……。

 

 それだけではない。

 

おもち 「うわわ! やられたぁ……」

 いつの間にか、わたしの服も消えて、裸にされているのがお決まりなのだ。わたしのカラダの

8割くらいは、みかんの作品だから、見せびらかしたいのかもしれない。

 *3

 みかんは、嗜好もちょっと変わっている。猫好きなのはわたしと同じ。でも、みかんは、しかめっ面や強面の猫が好きなのだ。そんな子に好かれているわたしって、なんなんだろう……。

 あと、みかんは、甘いものや果物が大好き。だけど、食べ方……というか『食べさせ方』が

えっちで、困ってしまうのだ。

 

 

 全裸で追いかけっこする愉快なふたり……と、先頭で逃げる猫一匹。

 

おもち 「待てこらー!! 服を着なさいっ!!」

 この先は市街地だぞみかん。ストリーキングになるぞ。

 

みかん 「またなぴーー!」

 

 もちろん、服を戻すなんて簡単にできる。

 

おもち 「……ぷっ! あはははっ!!」

 ……全裸で走る解放感……恥ずかしすぎる……。

 

 認めたくないけど、みかんの変態に付き合って楽しんでいるわたしも、ど変態なのだ。

 

 

おもち 「……はあ、はあ…………ん? ……なにあれ……」

 

 

 この後、みかんが、何の脈絡もなく『 蚊の大群 』を登場させてしまい、楽しい……

 いや、阿鼻叫喚になった。正直思い出したくない。本当に、この子の考えはカオスである。

  *4

 

 

 

 

 つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
 エロティックな物事を指す『エッチ(H)』は『Hentai』の頭文字らしいです。おもちも みかんも『えっち』です。

*2
 『行動だけで口先が伴わない』というのは、『不言実行』とは違います。みかんは、『世のため人のため』ではなく、気の向くままに行動しているのです。子供っぽくてかわいいのですが、現実世界では、かなり生きづらい性格かもしれません。

*3
 『見せびらかす』って言っても、ふたりしかいないのですが……。

*4
 この後、かゆみ止め を、お互いのカラダの いろんな所に塗り合う、うれし恥ずかしいイベントが発生しました。みかん的には大成功、おもち的には大満足だったようです。




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 えっちっち、でした。
 出来事の順番(時系列)が狂っているのは仕様です。


 次話では、ふたりが楽しい旅に出ます。


 [ 初投稿日時 2022/11/14 22:28 ]

 
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