エリート貴族(以上)が集う魔法学院で、一人平民(以下)の僕が生き残るたった一つの方法 作:ガタガタ
入学試験。
「では、アーノルド・サバラ。貴方の魔法をどうぞ」
試験内容はたった二つ。
一つ目はこれから行う魔法の披露。不正対策か、それとも測定のためか分からない魔道具が、試験監督の傍に控えている。
魔道具とは魔法の効果を付与された道具の事であり、用途は多岐にわたる。魔法に縁遠い一般市民は生活の一部として使用し、軍人は戦闘道具、魔法使いは研究や魔力向上など、補助的な役割を担っている。
師と一緒に魔道具を作成したり、魔道具を使用したりした。爆発して家が吹っ飛んだのは余談である。
話しは戻って入学式試験。複数人一気に呼ばれて訓練場?とにかく、広々とした場所に移り、遠くには少々焦げた複数の円形の的が置いてあった。
僕が一番らしく、控えには男女がこちらを見ていた。ニヤニヤして見下す視線がウザったい。
「魔法って、何でもいいんですか?」
「? ええ。自分が得意な魔法で構いませんよ」
「了解しました」
疑問を質問として監督に伝える。
「じゃあ―――――・・・
「!? お、お待t」
「【燃え盛れ、氷の礫】"
何か声が聞こえたが、頭の中で術を構築し現実に引っ張り出すイメージで、魔法名を口に出す。
燃え盛る氷の礫がすべての的に突き刺さる。的は貫通どころか塵に変わった。
的を破壊するんじゃなくて、ただ中心に当てるだけに留めるつもりだったけど、師が用意した的と耐久性が一緒なんだと、勝手な先入観を持っていた。つまり、
・・・うん!やり過ぎた!!
「あ~、これは・・・」
チラリと、それも恐る恐る試験監督を見る。
口を開き呆然としている。それは見学していた受験生も同じのようで、言葉を失っている。
僕の予想では弱すぎて、という訳じゃなく。ただ、的の破壊及び魔法の選択を誤ってしまったからだと思う。
うーん、これは失格か?
「アーノルド・サバラ」
「は、はい」
「もう一度よろしいですか?」
「もう一度、ですか?それは大丈夫ですが・・・」
「了解しました。急いで別の的を用意なさい!とびきり頑丈のやつです!付加魔法を使用して耐久性を向上します!」
後ろの監督方に指示を飛ばす。この人が(この中で)一番上の立場なのだろう。固まっていた人達が戸惑いながら動き出した。
「アーノルド・サバラ。貴方は上級魔法を使用出来ますよね?」
「そりゃ出来ますが・・・」
「「「「!!?」」」」
「ならば次は上級魔法を・・・待ちなさい」
「?」
何かを思い出したように台詞を止める。何だろう、細かく指定されるのだろうか?
「
「そりゃあ使えますが・・・」
これは昔から使えた技術だ。魔法の発動には詠唱が必要なのが通説で、省略すればするほど威力が落ちるのも通説である。
僕も昔はショボい魔法だったが、師との修行の末に、この説の抜け道を見つけた事であの威力を実現出来たのだ。
ちなみに師はすべて無詠唱。年の功だとか。
監督は驚き疲れたように、こめかみを押さえる。
「聞きたい事は山ほどありますが・・・まあ、いいでしょう。魔法は上級魔法に限定。複合は禁止です。詠唱も威力もお好きに。的はこれでもか、というぐらいに頑丈にしましたから」
なるほど。
「【収束する風】"
渦巻く風の塊が的に殺到する。今度はバラバラにするのではなく、一纏めにする。
的に当たった瞬間。
塊が一気に発散される。台風もかくやという威力の暴風が、的をベキベキ音を立ててへし折った。
「どうですか?」
「あ――――・・・合格」
短く合格発表を伝えられた。
合格者は今度は別の場所に案内されるらしく、別の監督が指示を出した。声に元気を感じられなかった。
複合魔法は誰にでも使える技術ではなく、才能ある魔法使いが、研鑽してやっと使えるレベル。なので規模は問わず、これを見せるだけで合格である。
二つ目の試験にして最後の試験。それは対人戦闘。ベテランの魔法使いが相手になり、どれだけ戦えるかを見る試験らしい。
てっきり筆記だと思っていたのに、何だが拍子抜けである。無駄に緊張した。
「ほう。平民のお前が合格するとはな。俺の目も衰えたらしいな」
本当に魔法使い?と思う人がそこにいた。筋骨隆々の大男。肉体を鍛え上げた証拠である。潔く考えを改める性格は、なかなか好感的だ。
魔法は強化特化型なのか?
「俺の得意魔法は"
強化特化型だった。
無駄に洗練されたポージングをする教官。上級生の実力は知らないが、遠慮なく撃ち込もう手を向ける。
が。
「・・・は?危ないから中止?理由は付加魔法で強化された的をへし折ったから?じゃあ俺の体は・・・」
別の教官が耳打ちする。顔がみるみる青白くなっていく。
「よし、合格だ!!」
「まだ何もしていませんよね!?」
ビシッと笑顔でサムズアップ!ついつい声を粗げてしまった。
合格者の説明会は後日行われると、別れ際に教えてくれた。
次は箸休め回。