エリート貴族(以上)が集う魔法学院で、一人平民(以下)の僕が生き残るたった一つの方法   作:ガタガタ

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第3話

 

 入学試験。

 

 「では、アーノルド・サバラ。貴方の魔法をどうぞ」

 

 試験内容はたった二つ。

 

 一つ目はこれから行う魔法の披露。不正対策か、それとも測定のためか分からない魔道具が、試験監督の傍に控えている。

 

 魔道具とは魔法の効果を付与された道具の事であり、用途は多岐にわたる。魔法に縁遠い一般市民は生活の一部として使用し、軍人は戦闘道具、魔法使いは研究や魔力向上など、補助的な役割を担っている。

 

 師と一緒に魔道具を作成したり、魔道具を使用したりした。爆発して家が吹っ飛んだのは余談である。

 

 話しは戻って入学式試験。複数人一気に呼ばれて訓練場?とにかく、広々とした場所に移り、遠くには少々焦げた複数の円形の的が置いてあった。

 

 僕が一番らしく、控えには男女がこちらを見ていた。ニヤニヤして見下す視線がウザったい。

 

 「魔法って、何でもいいんですか?」

 

 「? ええ。自分が得意な魔法で構いませんよ」

 

 「了解しました」

 

 疑問を質問として監督に伝える。

 

 「じゃあ―――――・・・()()()()で」

  

 「!? お、お待t」

 

 「【燃え盛れ、氷の礫】"燃氷散弾(アイスバーン・ショット)"」

 

 何か声が聞こえたが、頭の中で術を構築し現実に引っ張り出すイメージで、魔法名を口に出す。

 

 燃え盛る氷の礫がすべての的に突き刺さる。的は貫通どころか塵に変わった。

 

 的を破壊するんじゃなくて、ただ中心に当てるだけに留めるつもりだったけど、師が用意した的と耐久性が一緒なんだと、勝手な先入観を持っていた。つまり、

 

 ・・・うん!やり過ぎた!!

 

 「あ~、これは・・・」

 

 チラリと、それも恐る恐る試験監督を見る。

 

 口を開き呆然としている。それは見学していた受験生も同じのようで、言葉を失っている。

 

 僕の予想では弱すぎて、という訳じゃなく。ただ、的の破壊及び魔法の選択を誤ってしまったからだと思う。

 

 うーん、これは失格か?

 

 「アーノルド・サバラ」

 

 「は、はい」

 

 「もう一度よろしいですか?」

 

 「もう一度、ですか?それは大丈夫ですが・・・」

 

 「了解しました。急いで別の的を用意なさい!とびきり頑丈のやつです!付加魔法を使用して耐久性を向上します!」

 

 後ろの監督方に指示を飛ばす。この人が(この中で)一番上の立場なのだろう。固まっていた人達が戸惑いながら動き出した。

 

 「アーノルド・サバラ。貴方は上級魔法を使用出来ますよね?」

 

 「そりゃ出来ますが・・・」

 

 「「「「!!?」」」」

 

 「ならば次は上級魔法を・・・待ちなさい」

 

 「?」

 

 何かを思い出したように台詞を止める。何だろう、細かく指定されるのだろうか?

 

 「()()()()()使()()()()()()()?」

 

 「そりゃあ使えますが・・・」

 

 これは昔から使えた技術だ。魔法の発動には詠唱が必要なのが通説で、省略すればするほど威力が落ちるのも通説である。

 

 僕も昔はショボい魔法だったが、師との修行の末に、この説の抜け道を見つけた事であの威力を実現出来たのだ。

 

 ちなみに師はすべて無詠唱。年の功だとか。

 

 監督は驚き疲れたように、こめかみを押さえる。

 

 「聞きたい事は山ほどありますが・・・まあ、いいでしょう。魔法は上級魔法に限定。複合は禁止です。詠唱も威力もお好きに。的はこれでもか、というぐらいに頑丈にしましたから」

 

 なるほど。

 

 「【収束する風】"猛進風天"(ブラスト・ストライク)

 

 渦巻く風の塊が的に殺到する。今度はバラバラにするのではなく、一纏めにする。

 

 的に当たった瞬間。

 

 塊が一気に発散される。台風もかくやという威力の暴風が、的をベキベキ音を立ててへし折った。

 

 「どうですか?」

 

 「あ――――・・・合格」

 

 短く合格発表を伝えられた。

 

 合格者は今度は別の場所に案内されるらしく、別の監督が指示を出した。声に元気を感じられなかった。

 

 複合魔法は誰にでも使える技術ではなく、才能ある魔法使いが、研鑽してやっと使えるレベル。なので規模は問わず、これを見せるだけで合格である。

 

 

 

 二つ目の試験にして最後の試験。それは対人戦闘。ベテランの魔法使いが相手になり、どれだけ戦えるかを見る試験らしい。

 

 てっきり筆記だと思っていたのに、何だが拍子抜けである。無駄に緊張した。

 

 「ほう。平民のお前が合格するとはな。俺の目も衰えたらしいな」

 

 本当に魔法使い?と思う人がそこにいた。筋骨隆々の大男。肉体を鍛え上げた証拠である。潔く考えを改める性格は、なかなか好感的だ。

 

 魔法は強化特化型なのか?

 

 「俺の得意魔法は"強化(ブースト)"だ!上級生が撃ち込んでもびくともしない鋼の肉体!さあ!お前の魔法を見せてくれ!!」

 

 強化特化型だった。

 

 無駄に洗練されたポージングをする教官。上級生の実力は知らないが、遠慮なく撃ち込もう手を向ける。

 

 が。

 

 「・・・は?危ないから中止?理由は付加魔法で強化された的をへし折ったから?じゃあ俺の体は・・・」

 

 別の教官が耳打ちする。顔がみるみる青白くなっていく。

 

 「よし、合格だ!!」

 

 「まだ何もしていませんよね!?」

 

 ビシッと笑顔でサムズアップ!ついつい声を粗げてしまった。

 

 合格者の説明会は後日行われると、別れ際に教えてくれた。

 




次は箸休め回。
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