エリート貴族(以上)が集う魔法学院で、一人平民(以下)の僕が生き残るたった一つの方法   作:ガタガタ

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第5話

 

 入学試験が終わり、師であるケイから荷物を受け取った次の日。

 

 魔法学院で行われる合格者説明会に足を運んでいた。学院の中には、合格した貴族王族や、その保護者らしき人も付き添いとしてそばにいた。

 

 当然、平民の僕がここにいる事に不満がある者、露骨に嫌悪感を示す者が多数存在する。

 

 試験前に一喝した女性は、興味ないように視線を外している。

 

 話は変わり、今日の服装。見た目は昨日とは違い、様々な魔法の効果を付与したローブを羽織っている。見る者が見れば二度見するような代物である。

 

 師から助言を受け取りつつ、初めて作った手製のローブだ。

 

 受け取った荷物には、これまで自作した魔道具などがポーチ(空間魔法付与済み)に収納されており、どれもプロ並みと自負しているが、それでも師には敵わない。

 

 この学院を卒業するまでには超えたい。それが無理でも、超える手掛かりくらいは欲しい。

 

 それが今の夢である。

 

 そんな事を思いつつ、説明会場として案内された場所は、広々とした小綺麗な室内。数百人は余裕で座れる広さだ。

 

 特に席は指定されなかったので、僕は端っこの方に腰掛けた。近くに座ると面倒の予感しかないからだ。

 

 「ねえ!ねえ!隣座っていいかしら!」

 

 悲しいかな。面倒事を避けるため端っこに座ったのに、向こうからやって来た。平民だと気付いてないのかな?それはそれで面白いけど、気付いた場合、どんな反応するのだろうか?

 

 「いいけど・・・僕は平民だよ?」

 

 「?」

 

 こてんっ、と音が出たと錯覚するぐらいに首を傾げる。頭の上に?が見える。

 

 彼女の第一印象は天然。容姿なら銀髪ポニーテール。容姿と性格を見れば、間違いなくモテる。在学中はかなりの求婚を申し込まれるだろう。

 

 とりあえず無言で固まるわけにはいかないので、了承しようと声を掛けようとしたら、

 

 「お久しぶりです、リアーナ王女。私は・・・」

 

 いかにもって感じの貴族が礼儀作法を鎧に話し掛ける。僕はその様子を頬杖付きながら見ていた。

 

 当の本人はただただボ~と眺めてるだけ。

 

 てかこの人、王女様だったんだ。

 

 僕の視線に気付いた貴族は、嫌らしい笑みを浮かべて、他の者に聞こえる声で喋った。

 

 「流石はリアーナ王女。運良く合格しただけの平民に友好を示すとは、なんとも寛大な御方だ。しかし、席なら他を当たられてはどうです?王女とは住む世界が違うので、彼も萎縮して倒れてしまうのでは?」

 

 つまり、同情かなんかで僕に近付いた。しかし、王女が隣に座ると緊張で倒れてしまう。そう言いたいのか。

 

 クスクスとこちらを見て嗤う貴族。これで高貴で品性があるって思ってるなら、やっぱり上級階級の人はよく分からん。

 

 「? そうなの?」

 

 知ってか知らずか分からないが、リアーナ王女は僕に問い掛ける。

 

 「そーでございますリアーナ王女。そちらの頭が愉快な男性がおっしゃる通り、私めは緊張でぶっ倒れてしまいまする。どうか他の席へどーぞ」

 

 対貴族用の返答で断った。国によっては打ち首もあり得る。しかし、ここは魔法学院。例え不敬罪でもローカル(カントリー?)ルールは通用しない。

 

 「き、貴様・・・!」

 

 気に入らなかったのか、青筋を立てる。僕はどこ吹く風とした様子で見る。

 

 「よいしょ」

 

 「「は?」」

 

 お構い無しに隣に座るリアーナ王女に、僕と貴族の声が偶然被る。

 

 「嘘はいけないわ。ええ、いけないことよ。貴方はそんな事気にしないもの。だってね、平民がいない魔法学院に行こうなんて、一欠片も思わないでしょう?」

 

 天然なのか思慮深いのか、本当によく分からない性格だ。

 

 「私はリアーナ・フォル・ルヴァンよ。リアーナって呼んで欲しいわ。貴方は何て言うの?ぜひ教えて欲しいわ!それに素敵なローブね!高等な付与師にして貰ったの?」

 

 敬語も敬称もいらないわ!と、グイグイと来るリアーナに気圧されつつ自己紹介する。先程の貴族はいつの間にか席に戻っていた。恨みがましくこちらを見ながら。

 

 「僕はアーノルド・サバラ。呼び方はお好きなように」

 

 よろしくアーノルド!と言いながら、一方的な握手を要求してきた。意外と小さな手だなと、変な感想を抱いた。ローブの価値を見抜いた観察眼には感服した。

 

 周囲を見て、学校生活は予想以上に厳しいものになると確信し、ため息を溢した。

 

 

 

 

 「『これより合格者説明会を行います。私語は慎むように』」

 

 司会を勤めるのは、試験監督をしていたあの年配の女性だ。

 

 やはり貴族相手に物怖じしない性格らしく、堂々と説明を始めていく。

 

 「『これより学生証を配ります。この学院において、自身の存在証明と同義に捉え、決して紛失しないように』」

 

 渡されたのはカード状の物。厚さは薄く少々重たい。色は黒。何らかの術式が見て取れる。

 

 「『では魔力を籠めてください』」

 

 指示のもと魔力を籠める。黒色のカードが徐々に明るさを取り戻し、文字が浮かび上がる。

 

 隣のリアーナと同じ反応だ。

 

==========================

 

 アーノルド・サラバ(15)

 

 学部:魔法科

 所属:S級

   ――――

 所持pt.100,000

 備考:  

 

==========================

 

 「『まずは魔力から自身の名前を読み取ります。そしてここにいる皆さんの学部は、一律して魔法科になっており、所属はA~D級。試験の成績が良い上位20人はS級です。また所属については、立ち上げられた研究会があり、登録すれば新たに記されます』」

 

 ほうほう。つまり、上位20人の中には僕がいると。気になっていた、この―――は研究会の名前が入るのか。

 

 「アーノルドは何級だった?私気になるわ!とてもね!」

 

 「僕はSだよ。リアーナは?」

 

 「私もSよ!貴方と同じで嬉しいわ!」

 

 はしゃぐリアーナ。天然で優秀ときた。属性が増えてく増えてく。

 

 「『所持ptは学内で使えるお金です。学食はもちろん、自身の研究で必要な材料を買うのに使え、成績上位者には他の人よりptが多く付与されてます。気を付けて使用するように』」

 

 10万か。これが多いのか少ないのか分からん。

 

 「『最後に今年度の成績上位者三名を発表します。モニターをどうぞ』」

 

 正面には大きな黒い板。あれも学生証に似た魔道具なのか?

 

 主席エリザベート・ヴァレン・マルクス

 

 次席ロイド・ブラックマン

 

 三席リアーナ・フォル・ルヴァン

 

 「見て見てアーノルド!私の名前があるわ!頑張って魔法を特訓して良かったわ!」

 

 「うんうん、良かったね」

 

 キャキャと喜ぶリアーナに称賛を贈る。怠けず努力をするのは良い事だ。

 

 「『続いて特別席に移ります』」

 

 特別席?主席より上だろうか?周囲が困惑している。映し出された名前に、僕は驚いた。

 

 特別席アーノルド・サバラ   

 

 「??? は?」

 

 ザワザワと会場がざわめき、誰だ誰だと探り出す。そんな雰囲気をリアーナがぶち壊した。

 

 「アーノルド・サバラって貴方よね!凄いじゃない!特別席だから1位より上って事よね!おめでとう!!」

 

 「ちょ、あんまり大声出さないで」

 

 パチパチと拍手しながら我が事のように喜ぶものだから、視線が一気に集中する。

 

 信じられないような目で見られるのは当然の事。なぜなら平民だから。

 

 「『特別席なんてこの学院始まって以来、一度も設けられませんでした。それほどまでに彼は、魔法の才に優れていたという事です』」

 

 あの先生?そんな事言ったら、やっかみを貰っちゃうのですが・・・。

 

 怒涛の合格者説明会は、上級階級の人に睨まれながら幕を閉じた。

 

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