勝利の女神:NIKKE ─The Last Kiss─   作:一般指揮官

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相性が良いのか悪いのか…


第15章
第1話


 

 

「──ラプチャー2機、肉眼で確認!!」

 

 聞き慣れた玲瓏な声が緊迫の警告を発する。

 

 その瞬間、腕と脚が動いた。双方とも女性のそれとは異なる。

 

 片や軍服と外套に包まれた機械仕掛けの腕が禍々しい程に赤い単眼(コア)を輝かせつつ肉薄してきた敵機を捉える。

 

 片や全体が薄茶色のデジタルパターンの迷彩が生地に刻まれた戦闘服へ包まれた長い脚が振られる。敵機の横面へ衝突する寸前に戦闘服の内部ではガッデシアムの表皮の下にギッシリと詰め込まれた人工筋肉が収縮し、致命的な打撃を与える為に最適の硬さとなった。

 

 ほぼ同時に重々しい衝撃音が響き渡る。

 

 拳、或いは脚が振り抜かれた途端、敵機の機体には甚大な損傷が与えられた。

 

 大小の部品を撒き散らしながら吹き飛んだ2機のラプチャーがやがて地面をボールの如く転がり、二度と立ち上がることは不可能となったのかピクリとも機動しなくなり、爆発を起こして粉微塵となる。

 

「──オペレーターとの接続を切ると、こんなはめになる訳か。アークやエデンでもそう変わらんな」

 

「──ふん…」

 

「──で、何の話だった?」

 

 即応が遅れたが周辺を警戒する為、各人が携えた武器を構える中、袖や脚を片手で叩き、埃を払う音が響く。

 

「──あぁ、いや、思い出した。ここで帰れ、だったか?」

 

「──そうだ」

 

「──そうか。てっきり俺の耳がおかしくなったのかと不安になったところだ。どうやら美声に聞き惚れていたらしい」

 

 双方ともに長身、ベクトルこそ異なるが低く落ち着いた声音の持ち主達が対峙する。

 

 片や冷え冷えとしたアイスブルーの瞳が細められた。

 

 片や濃い茶色の機械仕掛けと生身の双眸が同様の形に細められる。

 

「──理由なら()()が一番、良く分かっているだろう」

 

「──ほぅ?」

 

 互いに目線の高さが同じなのもあってか──対峙することで出来上がった空間に不可視の火花が散っている幻視すら見えそうだ。

 

「──貴様からは作戦をまともに遂行しようとする意志が感じられない」

 

「──アンチェインドを使用するか否かは俺に選択権が与えられていると認識していたが?たった1発の銃弾──()()()()()()へ対する信頼度がそれほど高いとは思わなかった」

 

「──何が言いたい?」

 

「──いや、なに。()()()()()。作戦とやらを立案する際、随分と重要視したのだな、と感心しただけだ。なにより俺は一言もニヒリスターとは戦わない、と発言した記憶はないが?」

 

「──戯言を」

 

 彼女達──双方の指揮官が指揮を執る部隊、或いは分隊に所属する彼女達は気が気でない。

 

 殺し合い開始1秒前──その雰囲気が否応なしに感じられた。

 

「──つまり一度で仕留められる筈の敵を仕留めず、敵が自己修復するのをただ黙って見ているつもりか?」

 

「──そこまでの損傷を負わせたなら、頭部を脳ごと吹き飛ばしてしまえば問題なかろう。ナノマシンの自己修復機能も…おそらくは追い付けまい。まさか、それも出来ない、と?」

 

 白銀の髪を持つ長身の指揮官──その蟀谷に青筋が浮かぶ。

 

「──なるほど。それが貴様の論理か。では聞こう。仮に撃破に失敗した場合、味方が被るだろう損失や損害は考えたか?作戦が失敗する可能性は?」

 

 ヘルメットを被った長身の指揮官──それに隠れた蟀谷に青筋が浮かぶ。

 

「──これでも口から吐く言葉には気を付けている人間だ。他人の評価は気にしない質ではあるが…短絡的に吐き出すような阿呆と見られているとは、少しばかり腹が立つな」

 

 互いが互いに睨み合ったまま──最早、視線だけでタイラント級なら殺し切れるだろう眼差しを浮かべた二人が歩み寄る。

 

「──貴様にはこの作戦に参加する資格はない」

 

「──生憎と俺は()()()()()()()()()()が与えられているんだが?」

 

「──それはアークでの話だろう」

 

「──地上でも、だ」

 

「──()()()

 

 どちらの拳が先に打ち込まれるか──時間の問題にすら感じられた時、不意に声が掛けられる。

 

 瞬間、双方の色違いの視線が向けられた。

 

「──あ、いえ…ヨハン指揮官」

 

「──なんだドロシー」

 

 拡張武装が展開された白い天使──にすら見える風情の巡礼者が部隊を率いる指揮官を見上げた。

 

「──時間がありません。いつニヒリスターと遭遇するか分かりません。オペレーター通信の速やかな復旧をお勧めします」

 

 ぐうの音も出ない正論。

 

 それが耳朶を打つエデンの指揮官だが──眼前のアークの指揮官は視線を逸らすことなく、ボディアーマーのポーチを開き、取り出したソフトパックを振ったかと思えば慣れた手付きで銜えた煙草へオイルライターの火を点けてみせる。

 

 ──認めたくはないが、良い眼、はしている。

 

「──そうか。()()が我を通したい、ということは分かった。しかし──その為にお前は何が出来る?戦況を変えられるだけの秀でた能力を持っているのか?ニケのサポート無しで生き残れるのかさえ──」

 

「──負傷した部下達を抱えて逃げるぐらいは出来ると思うが?」

 

「──発言を一部訂正する。ニケのサポート無しでも生き残れるだろうが、何らかの秀でた能力を持っているのか?」

 

 紫煙を燻らせ、煙草を銜えたままアークの指揮官はボディアーマーを纏った肩を竦めてみせる。

 

「──さて、どうだろうな。いっそ()()()でもしてみたらどうだ?」

 

 その発言にエデンの指揮官の頬が一瞬だけピクリと動いた。

 

「──若造が…。──良いだろう。こうなったら私がお前を直々に試すとしよう」

 

 お手柔らかに頼む──と言わんばかりにアークの指揮官は紫煙を唇の端から吐き出し、口角を僅かながら緩めつつ携帯灰皿へ煙草を投げ込んだ。

 

「──ただし、もしお前が特別な実力や能力もなく我を通すと言うのなら──その時はニヒリスターの炎の中に投げ入れてやる」

 

 脅迫──ですらない。おそらくこの二人にとっては。

 

 事実、アークの指揮官は緩めた口角から犬歯を覗かせつつ応じようとしている。

 

「──それは願ったりだ。煙草に点ける火には困らなさそうだ」

 

 

 




そういえば今回のイベントのミニゲームで手榴弾が出てくるじゃないですか

ゲーム──もとい()()()()()()()()とはいえラプチャーへ対してそれなりのダメージを与えられる、とスノーホワイトが認識していると思われることに少しだけ嬉しくなった私です(手榴弾結構使ってますし
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