勝利の女神:NIKKE ─The Last Kiss─   作:一般指揮官

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第19話

 

 

 

 シーツや毛布が折り目正しく畳まれて積まれたベッド。主に食品等の保存へ用いるチャック付きのビニール袋の中身は戦闘服を始めとした衣類。空気が抜かれ、圧縮されたそれらが次から次に背嚢へ詰め込まれる。

 

「──こんなものか」

 

 背嚢の中身を組み終わり、紐を締め上げたムーアがズシリと重いそれを担ぎ上げた。ボディアーマーは既に纏い、ベッドへ立て掛けていた突撃銃を拾い上げる。

 

 ヘッドセットを太い首へ掛け、ヘルメットの顎紐をだらしなく垂れさせつつ被ると彼は室内を一通り見渡した。

 

 広くもないが狭くもない宛てがわれた居室はさっぱりとした。

 

 その光景に満足し、彼は両足を覆うブーツで床を踏み締めながら居室を後にする。

 

 

 

「──本日、発たれると伺いました」

 

 地上基地の庭園──茶席が設けられた一角のチェアへ腰掛ける3名の姿がある。

 

 この席を取り仕切る撫子色の長髪を持つ彼女──ドロシーは対面へ腰掛けた青年へ黒褐色の湯気立つコーヒーを淹れたカップをソーサーに乗せて差し出した。

 

「──耳が早いな。このコーヒーを暫く飲めなくなるのは寂しいが…やるべきことがある」

 

「…そう、ですか」

 

 戦装束を纏った青年が肩を竦めつつカップを摘み、一口を静かに啜る。あまりコーヒーに造詣が深い訳ではないが、茶席のホストとして提供するに相応しい代物は淹れられたと自負は出来る。その証拠に一口目を啜った彼の眉間へ刻まれた深い縦皺が薄くなっている。

 

 続けてドロシーが彼の眼前へ卓上灰皿を滑らせた。重ね重ねの厚意へ感謝するかの如く青年は軽く頭を下げ、ボディアーマーのポーチからソフトパックとオイルライターを取り出す。振るい出した一本の煙草を銜え、オイルライターの火を点けると紫煙を緩く燻らせた。

 

「パピヨンは……」

 

「──パピヨン様はエデンに残ることになりました。ここが気に入ったようです」

 

「そういうこと」

 

「──なるほど」

 

 ──人質、そして()()()()が理由で残る。

 

 真っ先に浮かんだパピヨンが残留する理由は、やはりエデンの情報を守る為であろう。しかしそれだけが理由だろうか。

 

 それだけが目的ならば、カウンターズ(分隊)も、なによりムーアも実力行使を以てしてでも拘束されねばならない。

 

 であれば別の理由が存在する筈だ。むしろ、こちらの方が本題であろう。

 

 それは果たして何なのか──いくつか候補は挙げられるも推測の域を出ない。

 

 青年は小さな溜め息を漏らし、次いで差し出された卓上灰皿へ溜まった煙草の灰を叩き落とした。

 

「──機会があるかどうかは分からんが、バーニンガム閣下にはなんと伝えれば良い?」

 

 おそらくは紅茶を振る舞われているだろうパピヨンへ彼は尋ねた。彼女はやや考えた後にムーアへ視線を向ける。笑顔と共に。

 

「──()()()()()って伝えて」

 

「…了解した」

 

 口頭、或いは文面となるかは定かではないが、伝えておく旨を彼は約束する。

 

 たった一杯のコーヒー。苦味、渋味や酸味、風味──いずれも彼好みのそれだ。飲み切ってしまうのは少しばかり心残りがある。しかし温くなっては折角のコーヒーが台無しだ。

 

 短くなった煙草を卓上灰皿へ押し潰し、カップの底へ溜まった最後のコーヒーを飲み切る。最後まで損なわれなかった風味に満足しながら青年は腰を上げた。背嚢を担ぎ、ヘルメットを被り直した彼の姿を認めたドロシーが立ち上がる。

 

「──途中までお見送りしても?」

 

 申し出にムーアは頷いた。彼はパピヨンへ視線を向け、軽く目礼。彼女も同様のそれを返した。

 

 突撃銃を握り、彼が歩き出すとドロシーは青年の隣へ侍る。

 

「──このままアークまで?」

 

「…そうなるな。勿論、途中でトラブルに見舞われなければだが」

 

 行きは良い良い、帰りは怖い──ここへ辿り着くまでも災難はあったが、それを凌駕する何かしらが発生しない保証はない。

 

 溜め息を漏らす青年へ傍らの淑女は口元へ添えた細い手の奥からクスクスと微かな笑い声を上げた。

 

 やがて庭園の出入口に辿り着く。

 

「──わざわざの見送りに感謝する」

 

「──とんでもありません。どうか道中、お気を付けて」

 

 会釈を済ませた彼が出入口へ向かって歩き出す。

 

 その後ろ姿──背嚢を背負い、ヘルメットが頭部を覆い、突撃銃を握った姿。

 

 似通った声音と背格好──それがゆっくりと彼女から遠ざかる。

 

 その姿と光景──ドロシーの脳裏に蘇ったのは離別の夜。()()()()()()──()()()と青年の姿が重なり合った。

 

 その瞬間だ。

 

 ドロシーの脚が我知らず進み──青年が担ぐ背嚢へ縋り付いた。

 

「──申し訳、ありません。…少し…もう少しだけ…このまま…」

 

 震える声に果たしてドロシーは気付いているのか。縋り付かれた彼は何も言わず、彼女が離れるまでの僅かな時間をそのままの格好で過ごした。

 

 

 

 

「──指揮官様。荷造り終わったよ」

 

「──弾薬と燃料の受領も終わりました。いつでも出発できます」

 

 地上基地エデンの広々とした車庫。その一角に駐車したトレーラーを牽引する格好の武装車輌の周りへ分隊を編制する彼女達の姿をムーアは認めた。

 

 アニスとラピからの報告へ彼は頷きを返しつつ担いで来た背嚢を車内へ投げ込んだ。

 

「でも私達、このまま手ぶらで帰って良いんですか?」

 

 アークへの帰還に異を唱えるのはネオンだ。この長期に渡った地上での任務、その目的が果たされていない。それを危惧した弟子へ師匠は無言でボディアーマーのポーチを漁り──取り出した1発の拳銃弾を彼女へ、そして彼女達へ見せる。

 

「──……何、これ?」

 

 薬莢がある──つまりは弾薬であるとアニスは理解出来たが、嵌め込まれた弾頭は彼女が知る弾薬とは異なる。首を傾げるアニスとは正反対にネオンは眼鏡越しのリーフグリーンの瞳を輝かせた。

 

「宝石みたいですね。──あっ、もしかして私にくれるんですか、宝石弾?」

 

「…指揮官…もしかして、これは…」

 

「…キミの想像通りだと思う」

 

 確かに美しい代物だ。火力の申し子であるネオンが普通の弾薬とは異なるそれに興味を惹かれる程度には美しい。勿論、物珍しさから収集の衝動に駆られたのかもしれないが。

 

 しかしラピは──ムーアの手袋を嵌めた手の平へ収まる拳銃弾の正体を察し、彼を見上げながら問い掛け、返された言葉に確信が出来たのか整った形の唇を震わせる。

 

「…アンチェインド…」

 

「…え?なんて?」

 

 耳を疑う。探し求めていた代物が何故か彼の手の平の上にあった。

 

「アンチェインドって言ってましたよ?」

 

「それは分かってるわよ!──え、本当に?これが?突然、何処から出てきたの?」

 

「…あぁ、そうだな……セシルから貰った」

 

 端的にも程がある返答。詳細を教えるつもりはない──それを感じさせる低い声音を発しつつムーアがポーチへ1発の拳銃弾を仕舞う。

 

「──教える気がないのね」

 

「……済まない。今はまだ……」

 

 あの()()()()──もといマザーホエールを撃墜した直後だったか。アニスはムーアへ何故こんなことをせねばならなかったのかを絶対に教えて欲しい、と請うていた。彼は承知を返した。それは間違いない。

 

 しかしこればかりはまだ教える訳にはいかない。しかしいずれの時にか、然るべき時には告白せねばならない。その瞬間のことを想像すると、ムーアは胃がキリキリと痛む思いだ。

 

 彼の心情を知ってか知らずか、アニスは溜め息をひとつ零し、次いで肩を軽く竦めてみせる。

 

「──まぁ兎に角、ここまで来たのは無駄骨じゃなかったってことね」

 

「少しだけ軽い足取りで帰れそうですね」

 

 無理強いして追求するほどでもない、と結論付けたのか、それとも別の理由か。アニスは平素と変わらぬ調子でネオンへ横目を向ける。彼の弟子もその言葉に賛同して頷いた。

 

 その姿と言葉にムーアは無性の安堵を覚えつつ部下達を見渡す。

 

「アークに帰ろう。分隊───」

 

 乗車──武装車輌の定位置へ乗り込むよう命じる寸前。その命令は途切れた。

 

「──薄情ね。挨拶もせずに帰るつもりだったの?」

 

 不意にムーアの背後へ降り立った気配がふたつ。そして歩み寄って来る足音がひとつ。

 

 肩越しに振り向くと背後へ立っていたのはハラン、イサベル。彼女達に向かって歩み寄って来るのはノア。エデンの戦力であるインヘルトの面々だ。

 

 マナーがなっていないとばかりに豊かに波打つ長髪を掻き上げるハランは彼等の行動を咎め、一方のイサベルは長身のムーアを見上げつつ自身の胸の前で片手を握りしめながら震える唇を開いた。

 

「──ムーア少佐。もう少し滞在されては…?」

 

「…有り難い申し出だが…やるべきことがある。それに部下達も待っているんだ。重ね重ねの御厚意に改めて感謝を申し上げる」

 

 ヘルメットを被った頭が軽く下げられ、礼が口にされる。本心からの感謝の言葉──それを感じ取ったイサベルは察する。この青年を留めることは出来ない。どれほど乞い願おうとも──彼は進むべき道を見据え、真っ直ぐに突き進むだろう。

 

 何故かは分からない。心の奥底から湧き出る──妬ましさ。青年を夢中にさせる存在に嫉妬を感じてしまう。

 

 今、どんな顔をしているのだろう。彼を失望させてはいないだろうか。

 

 湧き出るナニかを抑え付けつつイサベルは彼を見上げながら問い掛ける。

 

「……また、会えますか?」

 

「必ず」

 

「……分かりました。お待ちしております」

 

 短い付き合いだが、彼が嘘を吐く性分の持ち主ではないと承知しているイサベルは腰を折って深い一礼を返す。

 

「──それで?ここまで来た目的は達成できたの?」

 

「あぁ。キミ達のお陰だ」

 

「ふふっ、嬉しいことを言ってくれるのね」

 

 おべっかの上手い()()だ。このままでは帰らせたくなくなってしまう。このまま専属の従者として扱き使ってやるのも悪くはない──が、そう上手くいく相手でもあるまい。

 

「──さぁ、行きなさい。これ以上、ここにいるならアークには帰らせないから」

 

「…そうさせて貰おう」

 

「パピヨンという子はドロシーと一緒にいるから迎えに行くと良いわ」

 

「…いや、それには及ばん。彼女は彼女の意思でここに残るそうだ」

 

「……そう」

 

「……指揮官?」

 

 彼がハランと交わした言葉の中に理解しがたいやり取りがあった。それを耳にしたラピが柳眉の根を寄せるとムーアが目配せする。後で話す、という意思を感じ取った彼女は頷きを返した。

 

「──ねぇ、メガネ。──その、また…来るよね?」

 

 怖ず怖ずと問い掛けたのはノアだ。彼女はネオンへ歩み寄り、口にすべき言葉を延々と探した結果、選択したそれを尋ねた。その意味を噛み砕いたネオンは、やがて小さく頷いて肯定する。

 

「──勿論です。また遊びに来ますよ」

 

 約束を示すかの如くネオンはノアへ右手を差し出した。差し出されたそれと彼女の顔を交互に見詰めたノアだが、意を決して細い右手を握り返して握手を交わす。

 

 その様子を認めたムーアは改めてインヘルトの彼女達を見渡す。

 

「──また会おう。乗車」

 

「はい。──また会いましょう」

 

「──元気でね」

 

 握手を解いたネオンが軽い足取りで武装車輌へ駆け寄る。ラピとアニスも彼女達へ別れの挨拶を告げながら武装車輌の扉を次々に開け放った。

 

 車内へ各々の荷物を詰め込む最中、ムーアも運転席の扉を開け放ち、突撃銃に繋がるスリングベルトを右肩から抜こうとした瞬間だ。

 

 視界の端──車庫と地上基地の本棟へ通じる扉が開いた。

 

 そこから姿を見せた二名分の人影。双方とも長身の男女だ。

 

 ヘルメットの顎紐が揺れる格好のまま頭を向ければ、視線の遥か先にはセシルが、そして──ヨハンが立っている。

 

 わざわざ見送りにでも来てくれたのだろうか。

 

 それとも──さっさとアークに戻れ、と言った手前、しっかり帰路へ就くのか見届けにでも足を運んだのか。

 

 理由は分からない──が、こうして姿を見せてくれたのだ。

 

 礼を示さない訳には行かない。

 

 ムーアは今にもスリングベルトを右肩から抜こうとする格好だったが、それを中断した。

 

 代わりに彼は垂れ下がっていたヘルメットの顎紐をしっかり顎の下へ食い込ませ、両脚の踵を合わせる音を車庫に響かせる。

 

 吊れ銃──執銃の姿勢を取ったままムーアは右向け右を節度ある動作で実施し、遥か先に見えるヨハンへ正対した。

 

 アイスブルーの双眸は彼の行動を訝しむのか細められている。

 

 正対した直後、不動の姿勢となり、再び踵を合わせる音が鳴り響く。

 

 右肩に掛けられた突撃銃が繋がるスリングベルト。それが持ち上がった左手で押さえられる。

 

 右腕が伸ばされ──肘の角度は45度、五指を揃えた手の平がヘルメットを被る頭部の額の前へ翳された。

 

 挙手の敬礼──その受礼者となったヨハンは面食らってしまう。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()から、このような敬礼を受けるなど思ってもいなかったのだろう。

 

 面食らった様子と雰囲気は傍らのセシルも、そしてインヘルトの彼女達も察した。

 

 ヨハンの珍しい様子を傍らで観察する機会に恵まれたセシルなどは彼を見上げて悪戯っぽく微笑を浮かべながら無言のまま催促する始末だ。

 

 彼女は軍人ではなかったが──あの格好を取った者が元へ戻るにはそれなりの作法を返されなければならないと知っている。

 

 それを早く済ませるように──とセシルはヨハンを無言のまま急かす。

 

 恨めしそうにヨハンはセシルを見下ろすが、やがて観念したのだろう。

 

 小さな溜め息を漏らすと、携えていた軍帽を被った。

 

 カツンと彼に劣らずの踵を合わせる音を響かせ──不動の姿勢を取るなり、ムーアへ対して右手の五指を揃えての答礼を翳す。

 

 ──また会おう。

 

 ──またいずれ。

 

 十数秒間に渡る相互の敬礼と答礼。

 

 濃い茶色とアイスブルーの瞳から注がれる視線は一瞬たりとも逸れることはなかった。

 

 やがてヨハンが右腕を下ろし、続けてムーアも敬礼を解きつつ、スリングベルトを押さえていた左手を外して右手でそれを押さえる。

 

 かつて軍人であった者、軍人である者──世代を超えて尚も通じる敬意と挨拶の表れである行為。彼等が交わした敬礼に込められた意味は彼等にしか分からない。

 

 しかしその意味するところは察して余りある。

 

 セシルがヨハンを見上げると──彼は気恥ずかしさが勝るのか、軍帽の庇を摘みつつ目深に被り直して彼女から顔を背けている。

 

 表情が伺い知れぬ点に不服を覚える彼女が肩を竦める中、武装車輌の扉が閉まる音が、続けて暫く後にエンジンの咆哮が車庫へ響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

「──それでは話を続けましょうか」

 

「あら、もう少し()()()との別れを惜しんでいても良いのよ?──まぁいいわ。何処まで話したっけ?」

 

「──ふふ。それをまた私の口から言わせるつもりですか?」

 

「何回、聞いても悪くない内容だったんだもの」

 

 エデンの庭園──その一角に拵えられた茶席。ムーアが立ち去って暫く後、ホストが戻って来た。

 

 迎えたゲストは待ちくたびれたと言わんばかりにホストである彼女へ乾いたティーカップをソーサーごと差し出す。

 

 皮肉と軽口、挑発──それらの応酬を交わしながらホストは歓待する者としてポットから紅茶をカップへ注ぎ入れた。

 

 芳醇な香りを放つ湯気立つ紅茶。カップへ淹れられたそれをゲストの眼前へ振る舞ったホストは整った形の唇を開く。

 

「──私をアークに連れて行って下さい。VIPとして」

 

 




 雪が降る。

 こうも寒いと流石の彼でも億劫だ。

 北部は雪と氷に閉ざされた大地。その極寒の地に湧き出た温泉の効能は様々だ。戦傷が夥しく、疲労も溜まっている青年の身体に良く効くことだろう。

 しかしいくら効能があるからと言って、長湯すれば良いというものではない。何事にも限度はあるのだ。

 とはいえ──湯から出た瞬間に感じるだろう寒さから逃れるにはこの温泉に浸かっていた方が良い。なにより居心地が良い。

 夜空からしんしんと降る綿雪を見上げつつ青年はゴキゴキと首を鳴らしながら大きな溜め息を吐き出した。

 その時だ。背後──この露天風呂に繋がる脱衣所から衣擦れの音が微かに漏れ聞こえてきた。

 誰何をするべきか、とも思うが既にこちらは先客だ。脱衣所に脱いだ浴衣も存在する。彼の入浴を知っているのだから構うこともない。

 やがて戸が開く。

 ペタペタと湯で濡れた床を踏み締めながら背後へ迫りつつある足音が青年の耳朶を撫でた。

「──湯加減は?気に入ったかしら?」

 尋ねて来る高い声に青年は、悪くない、と返す。その言葉を誉め言葉と受け取ったのだろう。声の持ち主が微かな笑い声を喉の奥から漏らした。

 桶で湯を掬い、水音を奏でる音──掛け湯をしているのだろうそれを捉えた青年は気負う様子もない。

 桶が床へ置かれ、続けて細く長い脚が青年の隣へ、彼の視界の隅に入り込んだ。

 チャプと爪先が温泉へ浸り、肉付きの良い白い太腿が、絵画の中から抜け出して来たかの如く均整の取れた肢体が湯の中へ消える。

「……ここ混浴だったか?」

「あら、ここは私が管理している温泉よ?」

「……いっそ清々しい程だな。尊敬すら覚えるよ──ルドミラ」

 濡れた金髪が白磁の肌へ貼り付く妙齢の女性──その艶姿を横目に青年は軽く肩を竦めた。 


次回予告【指揮官の冬休み】ご期待下さい(嘘ですごめんなさい
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