勝利の女神:NIKKE ─The Last Kiss─   作:一般指揮官

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第9話

 

 

 ──無惨なものだ。

 

 かつては1万名の住民が暮らしていたと聞く街。それを奪還したは良いが人類連合軍が被った兵力の損害は、かつて住んでいた人口の1/3。

 

 主力戦車を始めとした車輌、航空機も相当数を喪った。

 

 被った損害が果たして多いか少ないかは上層部の評価次第であろう。

 

 なにより、奪還という言葉自体は聞こえこそ良いが──学校、役所、病院等の公共建造物の大半、民家や集合住宅も同様に戦闘と戦火の影響で無惨な有り様だ。

 

 以前は多くの信徒が足を運び、祈りを捧げていた教会も似たようなものである。屋根が吹き飛び、ステンドグラスも砕け散った。

 

 なにもかもが滅茶苦茶だ。

 

 建材の瓦礫や破片が散乱する教会の礼拝堂へ足を踏み入れた完全武装の青年。被っていたヘルメットを脱ぎ、脇へ抱える人影が見据える先には──聖卓の前で跪き、祈りを捧げる金色の聖女の姿がある。

 

 邪魔をするのも憚られたのか、青年はなるべく物音を立てぬよう、ゆっくりとタンカラーのブーツを履いた脚を進めた。

 

 聖卓とは距離があるものの、最も近い場所へ置かれている硬い長椅子へ腰を下ろす。

 

 携えていた突撃銃──まだ硝煙の香りが濃いそれへ安全装置が掛けられていることを確かめてから青年は銃床の床尾板をステンドグラスの細かい破片が散乱する床へ付けて自身の身体へ突撃銃を立て掛ける。

 

「──どうか私の声をお聞き下さい。私達がいつでも、憎しみには愛を、不正には正義をもってあたり、貧困には自己の分かち合いを、戦争には平和をもって応えることが出来るよう、英知と力をお与え下さい。どうか私の声をお聞き下さい。そして、この世から戦争と苦しみを取り除き、争いや苦痛のない永久の平和をお与え下さい」

 

 真摯な祈りの言葉が紡がれ──やがて祈りの結びを唱え終わったのだろう。金色の聖女が腰を上げる。

 

 振り向いた彼女は──長椅子へ腰掛ける青年の姿を認め、僅かだが頭を垂れた。

 

「──集合の命令が?」

 

「……いや。まだだ」

 

 呼びに来たと考えたのだろう。金色の聖女が尋ねるも、青年は左右へ首を振りながら抱えていたヘルメットを長椅子の上に置く。

 

 聖卓を離れた聖女は青年の下へ向かう。そして硬い長椅子へ置かれたヘルメットを挟んで彼の隣に腰を下ろした。

 

「……教会にいらっしゃるのは初めてですか?」

 

「……どうしてそう思う?」

 

「緊張なさっているようでしたから」

 

「……不信心者だからな」

 

 適合者として見出され、手術を受ける以前の金色の聖女は次期教皇としての呼び声も高かったと青年は知っている。その彼女の前で不信心者と口にするのは如何なものか。

 

 頑丈な長椅子の背凭れへ防弾のセラミックプレートを重ねて入れたボディアーマーを纏った上体が預けられる。背凭れが軋むのは青年の体重とボディアーマーの重さ故だろう。

 

 戦闘後の昂った意識が徐々に落ち着きを取り戻す中、青年が低く呟いた。

 

「……キミの言う通り、教会に来るのは初めてだ」

 

「…そうでしたか」

 

 彼の年齢であれば友人の結婚式、或いは近親者の葬儀と言った儀式で教会へ足を運ぶ機会はあっただろう。しかし青年を始めとした()()にその機会は無かった。

 

「…特定の宗教へ価値を見出だせない不信心者の世迷い言だろうが…ここは単に宗教的象徴が安置されているだけの施設だ。神とやらが実際に居座っている訳でもない。静かな場所だとは知っているが……何故、人はここに来るんだ?」

 

「…そうですね。……何故だと思いますか?」

 

 聖女からの問い掛けに青年は暫し考え込んだ。しかし明確な答えが纏まらないのだろう。眉間へ深い縦皺が新たに刻まれる様子を彼女は認めた。

 

「……分からない」

 

 簡潔な返答に聖女は頷きを返すと、次いで視線を正面へ戻す。聖卓の奥へ向けられた勿忘草色の瞳の先には辛うじて残った十字架があった。

 

「──あくまでも一般論ですが、ここにいらっしゃる方々は何かしらの悩みを持っています。自分は何者なのか、人生とは何なのか、正しくない行いをしてしまった。その悩みに対する救いを求めていらっしゃいます」

 

「……救い、か。見付かるのか?」

 

「……えぇ、まぁ、時には。ですが…結局のところを言えば、その方々は既に救いを得る為の答えを知っているのです。踏み出す切っ掛けが欲しいのだと思います。私達の役目はその方々の悩みに寄り添い、支え、背中を軽く押してあげること。それだけで充分です」

 

「…まるでセラピストのようだな」

 

「まぁ、似たようなものかもしれませんね。…勇気を出すこと、そして常に寄り添っていることを仰っている言葉が聖書にはあります」

 

 彼の表現が適切なのかどうかは分からない。しかし聖女にとっては言い得て妙だったらしく、微笑を浮かべながら何度か首肯の様子を見せていた。潤った唇が開くなり、聖書の言葉が紡がれる。

 

「──あなた方は、この世では悩みがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている──とも仰っておいでですから」

 

「──ヨハネによる福音書第16章か」

 

 返された言葉に金色の聖女は瞳を大きく見開く。驚愕の表れであるのは言うまでもない。思わず傍らへ顔を向けた。

 

「……信仰なさっておられないのでは?」

 

 問い掛けに青年は横目を傍らへ向け、軽く鼻を鳴らす。

 

「……神を冒涜する怪物(人造人間)でも聖書ぐらい読む。そんなに意外か?」

 

「いえ、失礼しました。…興味や関心がないとばかり…」

 

「その反対だ。──歴史が好きなんだ。宗教と歴史は切っても切り離せない」

 

 なるほど──金色の聖女が頷いた直後だ。青年の両耳を覆うヘッドセットへ、そして彼女の鼓膜へ直接の違いこそあれ、通信が入った。

 

〈──ゴッデス部隊、ならびに随伴部隊はただちに集合。地点は市役所前広場。敵の逆襲に備える〉

 

 機械越しでも聞き慣れた良い声だ。指揮官からの命令を聞き取った金色の聖女が腰を上げる。

 

「参りましょうか」

 

「あぁ。…逆襲は十中八九ある筈だ」

 

 少なくはない兵力と戦力を喪失してまで奪還したのだ。そう易々と再び奪われる訳にはいかない。

 

 青年が長椅子へ置いていたヘルメットを拾い上げようと手を伸ばす。だがそれに先んじて拾い上げた細い手。

 

 金色の聖女が両手で持ち直した戦士の兜(ヘルメット)。それが青年の頭部に被せられる。

 

 ──慈しみ深き主よ。どうかこの方をお守り下さい。

 

 心の中で紡がれた祈り。

 

 かつては次期教皇とされていた者。そして現在は金色の聖女(勝利の女神)。その手によって戦支度を調えた咎人(戦士)が腰を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 ムーアの携帯端末。その液晶画面上へ浮かんだ映像はエニックが送ってきた監視カメラの映像の一部だ。

 

 事の始まりは3日前──と言い切れるのかは微妙な所だが、いずれにせよ、エニックが彼と共有する形で送信した映像ファイルの中身。それを流し始めた当初、画面上に映し出されたのはコインラッシュの店内、対峙する複数の人影。

 

 双子ウサギ──ノワールとブランが対峙する形となった相手はアンダーワールドクイーンの一角、ロザンナ。

 

 エニックが記録した監視カメラの映像内で交わされる双方の会話を聞き取る限り、ロザンナが従えるヘッドニア(組織)の構成員がコインラッシュへ常駐し、店の警護を担う。代わりに法外とも言える報酬を望む──そのような会話が交わされていた。

 

 当然ながらノワールとブランの姉妹はこれを拒否。

 

 交渉は一旦保留──という形となったが、2日間に渡ってコインラッシュにはおそらくロザンナの指示で組織の息が掛かった者達が営業に対する妨害行為を頻発させた。しかし()()()()で処理される程度の行為ばかりだ。違法とは言えない妨害なのは流石であろうか。

 

 そして2日後に現れたロザンナが改めて話の続きを持ち掛けようとしたところで──今度は清明会を束ねるサクラが登場である。

 

 姉妹が困り果てているところにサクラが接触していたのだ。

 

 ヘッドニアに代わり、清明会がコインラッシュの警護を担当する申し出を一度は前向きに考えていたのだろう双子だが、やはりと言うべきか無料(タダ)ではない。

 

 純収益の3割──それがサクラの提示した条件だ。

 

 であればロザンナも同様の割合で警護を担当すると双子へ迫る。

 

 その時だ。

 

 ──オイッ!!このチンピラ共!!

 

 携帯端末のスピーカー機能が壊れかねない大声が再生された。画面の端から姿を見せた後ろ姿──牡丹会を率いる侠客、モランである。

 

 途端にロザンナとサクラ──両名の表情が曇る。面倒なことになった、と表情が物語る。そこでムーアの指先が動き、映像を一時停止する。

 

「──アンダーワールドクイーンが777に手を出したんですねぇ…」

 

 移動しながらの視聴は難儀だ。エニックが送信した映像ファイルは数日分のデータを短く纏めた代物なのだろうが、それに目を通しつつ──現在の状況へ至るまでの過程を掌握するのに必要だとは理解しているが難儀である。

 

 ムーアを中心に置き、その周囲を特殊別働隊とポリ、ミランダがカバーしながらの移動となる。

 

 その最中、映像から漏れ聞こえる音声と会話から状況を推測したのだろうポリが散弾銃を構えつつ呟いた。

 

 777部隊が運営するゲームセンター【コインラッシュ】はテトララインCEOであるマスタングの夢とも言える一種のテーマパークだ。同時にアークで最も稼ぎの良い場所のひとつでもある。

 

 翻ってアンダーワールドクイーン部隊──ロザンナ、サクラ、モラン。彼女達はアークの裏社会、或いは闇の勢力とも言えるが、日陰の中で生きる者達を統率するのが役割だ。

 

 必要悪とも言えるが、裏社会の運営と統率に携わる以上はA.C.P.Uからの監視は免れない。彼女達も真正面からA.C.P.U.(公権力)と激突することは避けたいのだろう。巧みに法の隙間を掻い潜り、傘下の構成員達を食わせている。

 

 しかしポリ曰く、意外、だという。

 

「──ロザンナのヘッドニアもサクラの清明会もお金に困っている組織じゃないんですよん。どうして777に手を出したんでしょうかぁ」

 

「どちらも同じくテトララインが統率しているような部隊だ。それも解せないが……エニック。これと現在の状況──ラプチャーのアークへの侵入と侵攻がどう関わって来るんだ?」

 

 関連性がどうにも掴めない。右手に突撃銃を、左手へ携帯端末を握りつつムーアは口元まで伸びるヘッドセットのマイク越しにファイルの送り主へ問い掛けた。

 

〈──続きを御覧下さい〉

 

 返答は素っ気ないものだった。辟易としつつも彼は一時停止していた映像を再び再生する。

 

 液晶画面上では現れたモランがロザンナ、そしてサクラを糾弾する様子が見られた。しかしどうにも劣勢らしい。

 

〈──なにチンピラみたいなマネしてんだよ!アンダーワールドクイーンの名に泥を塗る気か!?〉

 

〈──ハァ…()()()()はやめてくんない?息の根、止めるよ?〉

 

〈──そういう君の牡丹会も護衛費を貰っているのでは?〉

 

〈──うちは店の商品を貰ってんだ!食べ物とかを分けて貰ってるだけさ!〉

 

〈──該当の店舗で主に扱っている商品を受け取っているのですね?〉

 

〈──そうだ!それも商売に支障をきたさない範囲だぞ!〉

 

〈──コインラッシュ(ここ)では主にお金を扱っています。ですからお金を貰うだけ。違いはないと思いますが?〉

 

〈──ち、違うだろ!〉

 

〈──何が?〉

 

〈──その…!お金を貰うのはチンピラみたいだけど、商品は違うだろ!〉

 

〈──以前から感じていましたが、モランには話が通じないようですね〉

 

 思わずムーアの指先が一時停止をタップする。携帯端末が握られた左手で顔面を覆い隠しながら盛大な溜め息を漏らした。

 

「──師匠?どうかしましたか?」

 

「ネオン。こういう時はそっとしてあげなきゃダメでしょ。今、指揮官様はダメージを受けてるんだから」

 

「…ダメージ、ですか?」

 

「だって──()がこれなんだもん。()としては、ねぇ?」

 

「──え?」

 

「──?」

 

 ネオンが捉えた彼の異常。それを問い質す彼女をアニスが諌める。それどころか要らぬ一言まで口にしたのは如何なる理由──おそらく彼へ対しての()()()()が多分にあるのは間違いない。

 

 しかしこの場には事情を知らない者が2名もいる。特にポリは反射的にムーアへ視線を向けた。一方でミランダは──状況が掴めないのか、首を捻っていたが。

 

「……ムーア少佐?その、もしかして…牡丹会のモランと血縁関係が?」

 

「いや……血縁関係はない。ない、が………少し複雑な事情があってな。念の為に言っておくが俺は牡丹会の構成員ではないぞ」

 

「…はぁ…」

 

 ()()()()()()()という点は気になる。刑事としての勘が働きかねない。

 

 疑いの眼差しを向けて来るポリから逃れる為、彼は再び映像の再生を指先でタップする。

 

〈──マスタングを持ち出さないで。()()って言葉も使わないで。どうせ、あんたとあたしも同じ裏社会で生きる人間。侠客?笑わせないで。お互いに助け合おうって言ってるだけじゃん〉

 

〈──わざと部下に暴れさせて、脅迫までするのが()()()()なのか!?〉

 

 拳一個分ほど背の高いロザンナへ対し、モランは僅かに見上げる格好になりつつも負けじと言い返す。

 

〈──ヘッドニアではそうやって助け合うみたいだな!それこそチンピラ集団じゃねぇか!〉

 

〈──アハハ!言葉には気を付けろって言ったよね?〉

 

〈──ロザンナ…お前、いつからこんな三流のチンピラになっちまったんだ?〉

 

 憐れみすら感じさせる声音。どうせ同じ穴の狢──その者から掛けられた言葉とあっては、さしものロザンナも我慢ならなかったのだろう。

 

 薔薇の刺青が刻まれた白い片腕が伸び、モランの胸倉を掴み上げる様子が伺えた。

 

〈──テメェ…!〉

 

〈──やめましょう。ここは人目につきます。それに、醜いですよ〉

 

〈──あんたも黙りな。あたしに命令すんじゃねぇ〉

 

 一触即発の雰囲気が画面越しでも否応なく伝わる。

 

 モランはロザンナの腕を振り解き、僅かに乱れた着衣を正すなり、ノワールとブランへ向き直る。彼女は告げる。コインラッシュは牡丹会が護る、と。

 

 しかし双子達は信用しない。当然だ。ロザンナのヘッドニア、そしてサクラの清明会からも莫大な報酬を代価にした契約を迫られたばかりである。

 

 だがモランは続けた。無料(タダ)でやってやる、と。

 

〈──ほ、本当ですか!?〉

 

 不信を隠せない彼女達が尋ねる。それへモランは胸を張り、堂々と口にする。

 

〈──あぁ。損得を考えず、困っている者に手を貸すこと。それが()()ってヤツだからよ。それに──〉

 

 すると何を思ったか、モランはロザンナとサクラを見据えながら吐き捨てる。

 

〈──()()()──いや、()()()のヤツも同じことを言う筈だ〉

 

〈──……ミスターのことを持ち出さないで〉

 

〈──えぇ。それとモラン。彼の名前は()()()()()()()()()でしょう?〉

 

 ズキリ、と頭痛が走った。

 

「──グッ…!」

 

 反射的に指先は画面上の一時停止をタップする為に動いたが、ムーアの歩みは止まってしまう。突然の頭痛──ズキズキと脳の奥で痛みが暴れ回る感覚だ。

 

「──ッ!指揮官!」

 

「──大丈夫、大丈夫だ。済まない。…進もう」

 

 彼の異常へいち早く気付いたラピが駆け寄ろうとする寸前、ムーアはその動きを言葉で制した。周辺の警戒を解かぬよう促し、彼女を配置へ戻らせるなり、前進を再開しながら指先で再生をタップする。

 

〈──構わねぇよ。なぁ、ロザンナ。お前、あいつにこんな姿、見せられんのか?〉

 

〈──……やめて…お願いだから〉

 

 形勢逆転──という形容がぴったりなのかもしれない。ロザンナは見上げて来るモランから視線を逸らし、声を絞り出すしか出来ない様子だ。

 

〈──サクラ。お前もだ。ショウは、俺の弟は、確かに中央政府の軍人だ。だけど()()のなんたるかを良く知っている人間だろう?俺なんかよりよっぽど侠客らしい人間だ。それも昔気質の侠客。それなのに伝統を重んじる清明会の当主がこんなチンピラみてぇなマネして恥ずかしいと思わねぇのか!?〉

 

〈──……困り、ましたね〉

 

 サクラが絞り出した言葉は本心なのだろう。返す言葉を探すかの如く、或いはその時間が欲しいのか。彼女は広げた扇で自身の目元から下を隠してしまう。

 

〈──え、ちょ、ちょっと待って下さい?〉

 

〈──ショウさん…って、ショウ・ムーア指揮官、ですか?〉

 

〈──あん?あぁ、そうだ。あいつ、俺の弟なんだ。知ってるのか?〉

 

〈──そ、それは勿論…〉

 

〈──実はお姉ちゃんがファンで……ま、まぁ、私もその……一度、オープン前にお店に来てくれたことも……〉

 

〈──なんだ、そうだったのか。なら、尚更だな。ここのことは、このモランと牡丹会に任せてくれ。弟と縁があるってんなら、俺と縁があるようなもんだ〉

 

 何故だろう──物凄い勘違いがノワールとブランの中で加速している気がしてならない。

 

 そして同時に──彼は周囲から向けられる刺すような複数の視線が気になった。

 

「──指揮官様のニケ誑し」

 

「──今更ですけど…師匠は色んな方と親交があるんですね」

 

「───」

 

 特殊別働隊(カウンターズ)の面々──ネオンは呑気な様子だが、特にアニスからの視線が顕著だ。鋭利な刃物を突き立てられている気分でもある。

 

 唯一、ラピだけはポイントマンの役目もあって彼へ背中を向けている格好だが──その紅い瞳が複雑そうに細められていた。

 

「……ムーア少佐。本当に牡丹会とは無関係なんですかぁ?ロザンナとサクラの反応も気になりますが……というか、偽名らしき名前も聞こえましたよん」

 

「……A.C.P.U.(警察)の世話になるような関係ではない。あくまでも個人的な知人ではあるが…」

 

 その()()()とは何処までの範囲を語っているのか。ポリの疑いの眼差しが一層強くなった時である。

 

 ムーアが握る携帯端末──そのスピーカーから突如として爆発音が響き、同時に液晶画面が真っ白に染まった。

 

 




エフェソの信徒への手紙にて「神の武具」の記述がありますが、その中には兜もあるのです。

金色の聖女ことラプンツェルは人間時代、次期教皇の有力候補だった旨が以前の周年イベントで語られていましたが、その手で()()()()()()()ヘルメット()を被せるという──この、なんというか(語彙力低下
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