勝利の女神:NIKKE ─The Last Kiss─   作:一般指揮官

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ほのぼのとしていますね。こんな日常パートが続いて欲しいものです。


第9話

 

 

 

 ──前哨基地の朝は早い。いや、これは正確な表現とは言えない。24時間毎に交代制で基地全体の警備を担う警衛隊が組織されるのだ。前哨基地はどんな時間でも誰かしらが行動している。

 

 それに関しては大概の軍事施設と変わらないのだが──たった数日前に前哨基地へ配属となったパトリック・グリフィス三等軍曹は新しい環境に目を白黒させる毎日だ。

 

 なにせ右を見ても、左を見ても量産型ニケ──いわば女性しかいない。唯一の男性が彼や基地司令官かつ指揮官であるムーアだけという特殊な環境である。

 

 異動して数日しか経っていないのも原因だろうが、居心地は決して宜しくない。悪くはないのだが、宜しくない。特に軍曹のような健全な青年が身を置く環境としては。

 

 宿舎はムーアが直接の指揮を執る特殊別働隊を始めとした量産型ニケ(スタッフ)達が寝起きしている。いわばプライベートスペースだ。前哨基地へ異動配属となった初日こそ宿舎へ泊まったが──継続して寝起きするのは難しいと軍曹は察する。理由は言わずもがなだ。

 

「………ムーア中佐殿。大変申し上げ難いのですが……居室を宿舎から、司令部庁舎(こちら)へ移させて頂けないでしょうか」

 

「……別に構わんが、何故だ?」

 

 女の園の如き空間に耐えられない──と翌日に基地司令官である彼へ自己申告するのは躊躇われたのか、軍曹は一身上の都合とだけ告げる。

 

 正直に申告しても彼は笑わないだろうが、十中八九で理解されるかは怪しいところでもある。いずれにせよ、軍曹の申し出は受理され、当日の内に引っ越しが済んだ。

 

 司令部庁舎の1階──物置き部屋となっていたそこが片付けられ、居室が拵えられる。やっと落ち着ける空間が出来たことに軍曹は心底安堵した。

 

 安堵したのも束の間──軍曹は引っ越し作業を終えて早々にムーアの呼び出しを受ける。今後の前哨基地に於ける彼の任務へ関する下達だ。

 

 下達に従い、軍曹は早朝0430に起床し、身支度を整えて司令部庁舎の正面玄関を抜け出ると、舎前駐車場で長身かつ大柄の人影を、その傍らに頭ひとつ分は小さい人影を発見する。

 

 反射的に軍曹はその場で2名分の人影に正対しながら不動の姿勢を取り、続けて挙手の敬礼を取った。

 

「──おはようございます!」

 

「──あぁ、おはよう。今日も宜しく頼む。……敬礼は省略して構わんぞ」

 

 基地司令官と指揮官を兼ねるムーアだ。黒い半袖のシャツに戦闘服のパンツとタンカラーのブーツを纏った姿のまま彼は準備運動を実施している。その傍らに立つのは彼の副官であり、分隊のリーダーであるラピだ。長いライトブラウンの髪をヘアゴムでポニーテールに結い上げ、レディース用のランニングウェアを纏っている。

 

 これから早朝の駆け足に出掛けるのだろうと伺える。敬礼は省略で構わないと彼は言うが、中佐と三等軍曹では階級の差が開き過ぎており、欠礼するのは礼を失する行為だ。

 

 準備運動を終えたようで、ムーアとラピが舗装道路を蹴りながら駆け出す後ろ姿を見送った軍曹は改めて司令部庁舎と隣接する宿舎へ向かった。

 

 向かった先は──食堂の調理場だ。

 

 調理場の照明が点灯するなり、軍曹は身に付けた迷彩が刻まれている戦闘服の上から調理用のエプロンを纏った。パトロールキャップ(作業帽)を被り直し、念入りに手の洗浄を済ませる。

 

 調理器具のスイッチが次々と弾かれ、起動のランプが灯る。それを認めた軍曹は業務用冷蔵庫の扉を開き、中から大量の食材を取り出しては並べて行く。

 

 軍曹に達せられた前哨基地司令官からの命令下達とは──当該基地所属のニケ達の福利厚生を始めとした全般の補助要員としての作業に従事せよ、である。

 

 まぁ要するに、雑用をしろ、という意味だ。

 

 その内のひとつが、温食の提供とそれに伴う調理だった。

 

 聞けば、前哨基地では提供される温食とは電子レンジで温められた戦闘糧食が基本、であるらしい。

 

 給食・給養関係の要員はいないのか、と軍曹はムーアへ尋ねたが──人間が1名だけで他は全員がニケを占める基地に、その手の特技を持った人員を配置させることを非効率と考えていた、とか。ついでに言えば、人員確保の予算を申告したとしても経理局辺りが突っぱねると考えていたようだ。その手の技能をインプットされたアンドロイド兵の配置を要請するかどうかも以前は検討していたそうだが、果たして予算が確保できるかどうかは怪しいところだったらしい。

 

 経理局、という組織の名を口にする時、ムーアの雰囲気が刺々しく、殺気じみたそれを醸し出していたことを軍曹は忘れていない。つい先日のことなので忘れようもないのだが。

 

 しかし──高等学校で調理師免許取得を目指す課程に在籍していたが、まさかこんな形で特技が活かせるとは思わなかった。

 

 その特技を活かし、俸給(給料)が安定しているという理由も多分にあったが卒業後は軍隊へ入隊の流れだ。

 

 というか、志願入隊時に希望兵科の欄へ後方支援関連の需品科を記載して提出した筈なのだが、何故に工兵の基礎訓練課程へ放り込まれたのだろうか。今更になって軍曹は疑問に感じつつ、寸胴鍋の中身をゆっくり撹拌する。

 

 ミネストローネをレードルで少量掬い、小皿へ移して味見──悪くはない出来だ。

 

「──おはよう、コックさん」

 

 仕上げに入って間もなくだ。調理場で作業を進める軍曹に掛けられる高い声に青年の顔が上がる。

 

 食堂と調理場を隔てる提供口──その天板へ両肘を置きながら作業風景を覗く人影があった。

 

 やや草臥れて生地が伸びた半袖のシャツから細い首筋や肩が垣間見え、若紫色の髪には少し寝癖が──口元を隠す特徴的なマスクは存在せず、整った形の潤った唇を綻ばせるA分隊長(イーグル)だ。

 

「おはようございます、イーグルさん。早いですね」

 

「宿舎当直だからね。点呼終わったら報告あげないと」

 

 あぁ、と納得する。前哨基地では1日に2回の点呼がある。起床間もなくの日朝点呼、そして消灯前の日夕点呼だ。その報告を電話で前哨基地司令官であるムーアへ伝える役目は各分隊長が持ち回りで担当している。昨日から上番していたのはイーグルなのだ。

 

 ふぁ、と彼女が小さく欠伸を漏らした後、調理の仕上げへ入る寸前の軍曹へ一杯の水を所望する。

 

 それに快く応じた彼はグラスへ良く冷えた水を注いでイーグルに差し出した。

 

 短く礼を告げ、彼女がグラスを握って喉を鳴らしつつ嚥下する中──ふと、思い出したようにイーグルは飲み終えたそれを提供口の天板へ置いてから口を開く。

 

「──1000から時間ある?」

 

 調理の為、腕時計を外していた軍曹は壁掛けの電波時計へ目線をやり、時刻を確認する。6時の起床と点呼が終われば、食堂へ量産型ニケ達や特殊別働隊(カウンターズ)の面々がやって来る。警衛隊へ上番するスタッフの一部も朝食受領へ足を運ぶ。その配膳や引き渡し、食器の回収に後片付け──手早く済ませ、昼食の下拵えが終わるのは8時頃だろうか。手間取ったとしても9時には終わるはずだ。

 

「はい、大丈夫です」

 

「分かった。なら、ボディアーマーと戦闘用鉄帽(ヘルメット)を持って射撃場に前進。A分隊(ウチ)の射撃訓練があるから混ぜてあげる」

 

「……それはありがたいんですが、自分は銃を……」

 

 軍曹は人間だ。前哨基地には現在、2名の人間がいる。その内の1名は──対ラプチャー用、ニケ用の突撃銃を扱えるが、彼は紛れもなく純粋な人間だ。一般の民間人よりは鍛えられ、ちょっとは体力があり、それなりに戦闘へ関する基本技能を叩き込まれただけの人間である。

 

 つまるところ、軍曹は対人用の火器しか扱えない。この前哨基地という場所は度々、侵入してくるラプチャーとの交戦も発生するので保有する武装の類はニケ用のそればかりだ。

 

「──今日、届く予定らしいから。あなたの銃」

 

「……僕の?」

 

「そ。じゃあ、またあとで。水、ありがと」

 

 寝耳に水のことだ。軍曹は頭上へ不可視の疑問符を浮かべるもイーグルは点呼前に着替える為、自身の居室へ戻って行く。

 

 武装をしていないと、余計に細く見える後ろ姿を見送りつつ軍曹は調理の仕上げへ取り掛かる。

 

 0559──朝食の準備は終わった。

 

 配膳用のプレートを用意している最中、宿舎へ設置されている天井のスピーカーからザッと電子音の雑音が短く走る。

 

 そして0600を迎えた瞬間だ。

 

〈──起床、起床。宿舎当直は点呼に掛かれ。各分隊、廊下に整列〉

 

 スピーカーから流れる女性的ながらもやや低い声──警衛隊司令に上番している分隊長の1名だ。ここ数日で軍曹の耳にも馴染み始めたそれぞれの声──量産型ニケ達はそれぞれの型式(モデル)で声音は似ているが、個性も出ているのだと改めて思い知っている。

 

 食堂の外では居室の扉が開き、廊下へ並ぶ量産型ニケ達や特殊別働隊の隊員達の気配を軍曹は捉えつつ、調理場で配膳予定の料理の最終点検を済ませていく。

 

「──点呼ォ!」

 

 耳に馴染み始めた各々の声の中でも軍曹は、宿舎全体へ響き渡るこの高い声が聞き馴染みつつあった。

 

 点呼が終わって数分後にはゾロゾロと食堂へ量産型ニケ達がやって来る。大半は寝間着のまま、或いは既に規定の服装や武装を纏っている者もいるが、後者は本日の警衛隊への上番組だ。仮眠や休憩を挟みつつの24時間の特別勤務に臨む2個分隊である。

 

「──おはよ〜」

 

「──わぁ!今日も美味しそ!」

 

「──軍曹さん、なんでもっと早く来てくれなかったの〜」

 

 少しばかり目のやり場に困る寝間着を纏ったままの量産型ニケもいるが──まぁ、それは兎も角として彼女達は軍曹の異動と配置へ対して好意的のようだ。

 

 プレートへ料理を乗せながら渡し、挨拶や短い雑談を交わすだけなのだが──もしかするとこれが自分の天職なのでは、と軍曹は考えてしまう。

 

「……1ヶ月毎に献立表作ろうかな」

 

 それはそれで仕事が増えそうだが、食材の調達や予定を立て易い。金庫番であろう基地司令官(ムーア)の決裁を仰がねばならないが、彼も煩くは言わない筈だ。

 

「──ごちそうさま。今日も美味かった」

 

 なにせ基地司令官本人がわざわざ食堂に足を運んで食事を摂っているのだ。耳に挟んだだけだが、軍曹が異動する以前は、戦闘糧食をパウチから開けて直接か、プレートに盛り付けて食べていただけ──ムーアも指揮官室で作業の如く済ませていた、と聞いている。

 

 そんな無機質極まる食生活をしていて、よくもまぁ士気や戦意を保てると良い意味でも悪い意味でも感心してしまう。

 

 綺麗に平らげられたプレートをムーアが返却し、食堂を後にする中、続けて彼が直接の指揮を執る特殊別働隊の3名も食器の返却に来た。

 

「ごちそうさま」

 

「あ、はい。……あの、中佐殿ですが……お好きな料理を知りませんか?」

 

 分隊のリーダーであるラピ──駆け足を終えて帰ってから普段の服装へ着替えたのだろう。黒衣のそれを纏う彼女からプレートを受け取った軍曹がムーアの好物を尋ねる。

 

「……指揮官のお好きな物……」

 

「指揮官様の?そりゃ煙草でしょ」

 

「はい。あとお酒です」

 

「……いや、そういうのじゃなくてですね」

 

 その手の嗜好品の話ではないのだ。好みの料理である。無論、特殊別働隊の2名は冗談で言っているのだが。

 

「……ごめんなさい。分からないわ」

 

「そうですか。……皆さんのお好きな物も教えて下さい。献立を決めるのにアンケートを作りますから」

 

「お、マジで?」

 

 食事を終えた量産型ニケ達も続々と返却口に来ている。彼女達と軍曹のやり取りが聞こえたのだろう。各々の目が輝き始めていた。

 

「ミートローフ食べたーい!」

 

「はいはい!私、ロールキャベツ!」

 

「チリコンカン!」

 

「……アンタ、戦闘糧食(MRE)にそこまで毒されて……」

 

 暇とは無縁の生活になりそうだ。それを軍曹は強く実感しながら提供を終えたプレートの洗い物、調理器具の洗浄に消毒、そして昼食の下拵えを済ませた。

 

 既に課業開始の放送は終わっている。今頃は前哨基地の各地で各分隊が訓練や整備、勤務に取り掛かっているだろう。

 

 軍曹は朝早くから詰めていた食堂を後にし、宿舎の外へ出る。

 

 朝から忙しいが、充実した始まりだ。

 

 さて──と彼は隣り合う司令部庁舎へ赴くと、居室で貸与されたばかりの人間用のボディアーマーやヘルメットを纏い、射撃場へ向かう。

 

「──はい、これがあなたの」

 

 射撃場にはイーグルが分隊長を務めるA分隊の面々が揃い、各々が携行する火器の点検が進んでいた。

 

 一足先に点検を終えたイーグルは姿を見せた軍曹を手招きし、交付される各種弾薬が置かれた机上へ歩み寄らせる。

 

 机上の天板に鎮座する真新しい拳銃──45口径の自動拳銃だ。ムーアの携帯するそれと似ている。

 

「指揮官が配属祝いに、と仰っていたわ。あとでお礼を言っておいて」

 

「分かりました。……9mmではないんですね」

 

 対人用の拳銃──その使用弾薬としては軍部でも一般的なそれではない。反動が大きく、握把も少し太めの拳銃だ。

 

「使いこなすには練習あるのみよ。──てな訳で、はい」

 

 イーグルがずんぐりとした.45ACP弾が何十発も詰められた箱をひとつ、またひとつと机上へ並べて行く。

 

 ──え、まだあるの?

 

 既に5箱は並んでいる。だが彼女は纏った服のポケットから次から次にエリシオンのロゴマークが刻まれた箱を取り出しては並べて行くのだ。

 

 最終的に10箱──1箱につき20発。印字された表示を読む限りはそうだ。つまり200発である。

 

「──これ、()()()()()()

 

「……これ全部ですか?」

 

「えぇ、そう。昼食の準備もあるだろうから、取り敢えず11時まで撃って。残りは片付けが終わってから。それでも残るなら夕食のあと。しっかり狙って撃ちなさいよ。無料(タダ)じゃないし、残弾処理でもないんだから」

 

「───」

 

 箱の蓋を開けたイーグルが空の弾倉へ拳銃弾を詰め込みつつ平然と申し渡す。

 

 それに軍曹は──白目を剥きそうになった。実際、白目を剥いていただろう。

 

 情けない表情である。それを認めたイーグルは苦笑を浮かべながらも、7発分の弾薬を詰め込んだ弾倉を軍曹へ握らせた。

 

「──ちゃんと私が側にいて監督するから」

 

「……遅くまで掛かりそうですけど……」

 

「問題ないわ。頑張って」

 

 それは少し無責任なエールなのではないか。とはいえ、新入りが言い返せる訳もない。

 

 分隊員達が各々の射座へ入り、射撃訓練を始める中、軍曹も隅の空いている位置へ付いた。背後から細い手が伸び、彼へ耳栓が渡される。それを受け取った軍曹は両耳へ捩じ込んだ。

 

「──薬室良し──弾込め良し」

 

「──良し」

 

 基本的な点検を済ませ、握った弾倉を叩き込み、初弾を薬室に送り込む。

 

 両脚を肩幅程度に開きつつ両腕を伸ばし、拳銃を身体の正面中央に構える──射手である軍曹の上空から俯瞰すると肩と伸ばした両腕の線が二等辺三角形(アイソセレス)の形となった。

 

 引き金へ人差し指が乗り、()()が引き絞られる。

 

 ガツン、ドスン──表現は様々だろうが、発砲の瞬間に加わる反動は重い。

 

 ボクサーのパンチを手の平に受けている──そんなところの感覚だろう。

 

 想像していたよりも銃口が跳ねる──気を付けなければ拳銃が手の平からすっぽ抜けかねない。

 

「──ほら、休まない」

 

 身体で慣れろ、覚えろ。そう言わんばかりの物言いで背後から──耳栓もあって明瞭には聞き取れないが、イーグルが次弾の発砲を促す。

 

 改めて基本的な射撃姿勢を取り、彼の指先が引き金を引いた。

 

「──疲、れた……」

 

 たかが200発、されど200発──軍曹は夕食の後片付けを済ませてからも指示されたノルマ達成の為に照明の下で射撃場の標的へ向かって拳銃の射撃訓練を続行する運びとなる。

 

 途中で挟まれた整備の時間も含めれば、200発分の消化は時間が掛かる。なにより、ボクサーのパンチじみた反動を手の平や手首で受け止め続けるようなものだ。

 

 ぶっちゃけ、手が痛い。

 

 45口径の自動拳銃を納めたホルスターごと軍曹は居室の机へ置き、ぐったりと椅子へ腰掛ける。

 

 しばらく身動きもままならない。

 

 そういえば何時だろうか──腕時計を確かめると、20:20が表示されている。

 

「──入るぞ」

 

「──え、あっ、はい!どうぞ!」

 

 不意に居室の扉越しに低い声が軍曹の耳朶を打つ。

 

 直属の上官であるムーアだ。それを察した瞬間──疲労困憊であろうとも、彼の身体は反射的に起立した。

 

 扉が開き、室内へ長身かつ大柄の彼が姿を見せる。駆け足か懸垂か──いずれにせよ、体力錬成から戻って来たのか、微かに汗の匂いがした。

 

「──軍曹、風呂は済ませたか?」

 

「は?あ、いえ、まだ……」

 

「……そうか。なら、さっさと済ませよう。一緒に浴びるぞ」

 

 司令部庁舎に入浴設備は指揮官室にしか存在しない。軍曹は数日前からムーアの許可を取って借りているのだが、今日に限って上官は彼をシャワーへ誘う。

 

 ──まさか……。

 

 軍曹の脳内でどのような光景が展開されたのかは語らないが、一歩引いた様子を目の当たりにしたムーアの眉間が寄る。

 

「……俺にそっちの趣味はない。まぁ、他人のそれを否定はしないが……」

 

「い、いえ、失礼しました」

 

「……2100までに俺がシャワーを済ませるのが暗黙の了解のようなものになっていてな。それを過ぎるとアニスの長風呂が始まる。鼻歌は別に構わんし、慣れたが……たまにネオンも一緒に入ると長くてな」

 

 つまり時間がない、急げ、ということだ。

 

 潔癖症という訳でもない。軍曹も承知し、纏ったままだったボディアーマーやヘルメットを脱ぎ、入浴道具に着替えを持参してムーアと共に指揮官室へ移動する。

 

 そして同年代の青年二人、ただし上官と部下の2名が揃ってシャワー室前の脱衣場で服を脱ぐのだが──

 

「──……?──ッ!?」

 

「……なんだ?」

 

「……い、いえ、なんでもあり……ません……」

 

 ──思わず二度見してしまう程の()()()()()()()()()を目の当たりにした軍曹は男──否、雄としての自信を失いかけたという。






続く訳がないんだよなぁ…ふへへ、次はいよいよ少佐──もとい中佐のアイドルが……
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