勝利の女神:NIKKE ─The Last Kiss─   作:一般指揮官

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一言だけ言わせて下さい

この話は書くのが疲れました(主に後半


第3話

 

 

「──病院から退院した旨の報告は聞いていたが…ますます君が人間離れした存在に思えてくるよ」

 

「──閣下。それは誉め言葉と受け取って宜しいのでしょうか」

 

 見舞いに足を運んで以来となるムーアが姿を現すと部屋の主は遠回しな誹りなのか称賛なのか判断に困る言葉を紡いだ。

 

 アンダーソンは軍服姿で出頭した彼の姿を観察する。以前と寸分違わぬ──とはいえ右頬には光線が掠めた痕が、そして右目の瞼も破片を引き抜いた際に生じた傷痕が残っている。極め付けは右脚だ。軍服の生地の上を覆うように、さながらエビやシャコ等の甲殻類の外殻を思わせるギプス代わりの外骨格が存在感を放っている。

 

 応接用のソファを勧め、彼が移動したのを認めるとアンダーソンも対面へ腰掛けた。支障はないようだが、右脚を切断したばかりの人間をいつまでも立たせておくのは道理に反するのだろう。

 

「早速だが本題に入ろう。地上の北部へ向かって貰いたい」

 

 おもむろにムーアへ命令を下達したアンダーソンは端末を操作し、全体の地形情報等を──あくまでも数年前の情報を画面へ表示すると端末を彼へ手渡した。

 

「…いずれも古い情報ですな」

 

「それは仕方ない。偵察は送っているが北部は極寒の地だ。最新の情報を収集するのも一苦労。特にこの時期は吹雪や降雪で絶えず地形が変化している」

 

 情報とは鮮度だ。賞味期限切れの古い食品を口にして腹を壊すのを避けるように、情報という概念、或いは存在にも鮮度はあるのだ。端末へ表示された情報の古さへムーアが眉間へ皺を寄せるのをアンダーソンは見逃さなかった。

 

「君達が目撃したトーカティブを退かせたニケ…それがどうやら北部に現れたらしい。監視カメラが撮影した最新画像を見てくれ」

 

 アンダーソンの指示に従い、彼は画面の一点をタップする。かなり画像は荒いが──吹雪の中を進む人影らしい姿を捉えた写真が表示された。

 

「…彼女ならトーカティブの行方が分かるかもしれない。会ってみると良い」

 

「…あの()()()()()に会いたいのは…まぁ否定はしません。脚と眼をくれてやってまで殺し合いをしたのに途中で勝手に退場されたのです。きちんとぶっ殺して──失礼しました」

 

 彼の素は今の口調なのだろうか。アンダーソンは良い意味でも悪い意味でも豹変したムーアの様子を眺めつつ、彼からの謝罪を受け入れるかの如く頷いてみせる。

 

「…私の個人的な用件はさておき…正直に申し上げれば、奴と交戦するメリットがありません。特殊個体であるのは認めますが…」

 

「…ふむ…」

 

 尤もな意見だと副司令官は頷いた。

 

 やや考え込んだ後──アンダーソンは対面に腰掛けるムーアへ視線を向ける。

 

「…ムーア中尉。君は以前、私にマリアンの侵食について何か知らないかと尋ねた。覚えているかね?」

 

「はい。そして明言こそなさいませんでしたが、閣下はアーク内部で侵食コードが埋め込まれた可能性が高いと保証もして下さいました」

 

 しっかりと意図は伝わっていたらしいことにアンダーソンは安堵した。だからこそ、という訳ではないが──これは彼なりの一種の罪滅ぼしだ。

 

「──そう。私は知っている。秘密厳守を約束するなら話しても構わない」

 

「…どのような()()を支払えば約束と見做されますか?…私の尻でもお貸しすれば宜しいでしょうか?そちらの趣味はありませんが…それで彼女があのようなことになった原因を知れるなら安いモノです」

 

「…その必要はない。ちなみに私もそんな趣味はないから安心して欲しい」

 

 これ以上、彼を逆撫でするのは得策ではないとアンダーソンも理解する。ムーアの左目──生身のままの濃い茶色をした瞳の瞳孔が一気に開いたのだ。誤解されぬよう念の為に一言添えてからアンダーソンは軽く咳払いを漏らす。

 

「──アーク内でニケに侵食コードを埋め込み、その後に地上へ上げて作戦や任務を邪魔する奴等がいる。奴等というのも正確な表現ではないな。個人なのか、なんらかの組織なのかも不明だ。兎も角、私達も奴等がラプチャーと内通していると判断した」

 

「…内通…つまりラプチャー、敵方とのコミニュケーションが可能……あぁ、なるほど」

 

 ──故に言語を理解し、思考し、感覚を有する特殊個体であるTalkative(お喋り野郎)の追跡、接触、捕獲を可能とする情報をアンダーソンは欲していると彼もここに至って理解した。

 

「──ニケの脳へコードを埋め込んで自在に意志を操作する。いわゆる侵食は人類には扱えない技術だ。ラプチャー固有の技術の可能性が非常に高い。そんな技術がアーク内でニケに埋め込まれ、地上へ送られる。内通者がいるとしか考えられない」

 

「…そしてその内通者はアーク内でもそれなりの立場、権限を有している人間である可能性が高い、と?」

 

 彼が尋ねるとアンダーソンは頷いた。ニケへ侵食コードを埋め込むこと自体が一般の市民に出来る真似ではない。

 

 堅固な防護壁を操作する権限、そして傍受されず、特定もされない回線を使用できる存在は限られている。

 

「…獅子身中の虫、ということですな」

 

「私は彼等、もしくは彼を捕まえたい。ムーア中尉、君も同じ気持ちだと信じている」

 

「…信じて下さるのは嬉しいのですが……まずは確認を」

 

「なんだろう」

 

「──閣下がその内通者ではない、という証拠を頂きたい」

 

 ピリッと空気が震え、緊張が室内に満ちる。

 

 アンダーソンは護身用に拳銃を携えているが、彼は丸腰だ。有利なのは間違いなくアンダーソンである。しかし彼は──眼前の中尉に勝てる見込みをなにひとつ発見出来なかった。

 

「…私を疑うのは構わない。確かに該当するだろう。はっきりとした証拠の提示は……残念だが……信じてくれ、としか言えない」

 

「…これほど信用が難しい返事はありませんな。…言葉が過ぎました。お許し下さい」

 

「いや、構わない。それで良い」

 

 彼の疑いは尤もだ、とアンダーソンは理解を示す。その理解こそが、ムーアの信用に繋がることを祈りながらの肯定であるのは言うまでもない。

 

「内通者はトーカティブとの繋がりがある可能性が考えられる。だから君はこれからトーカティブの追跡に力を入れて欲しい。そうすれば自然と真実に近付くだろう」

 

「了解しました。──話を元に戻しますが…そのトーカティブを退けた彼女は?」

 

「通称ピルグリムだ。地上で生きるニケ達を指す」

 

Pilgrim(巡礼者)ですか。確かにお喋り野郎もそう言っていた記憶があります。…()、でありますか?」

 

 記憶に新しいトーカティブとの殺し合いの最中、胴体へ大きな風穴が空いた瞬間に薄気味悪い形の口から漏れ出た言葉を彼等は忘れていなかったが、アンダーソンが「ニケ達」と複数形で話した点に疑問符を浮かべる。

 

「詳しいことは私達も知らないのだ。真偽不明の噂もあるが…確かなのは()()()は地上で活動しているが、これまでまともな接触は一度もなかった点だ。神出鬼没なのもあって追跡も出来ない」

 

「…追跡も出来ない、となりますと……」

 

 彼は手にある端末の画面へ視線を向ける。鮮度はないが地形情報が記載された画面に映る縮尺とスケール表示でいったいどれほど広大な地域なのかは嫌でも思い知らされてしまう。

 

「宛もないまま歩き回り、仮に迷ったとしたら氷漬けになりそうですな」

 

「安心したまえ。研究基地がある。シフティー君に座標は伝えておいたから、到着したら何をすべきかを教えてくれるだろう」

 

「分かりました。では準備を済ませ、明朝に出動致します」

 

「宜しく頼む。くれぐれも、()()()()()()ようにしてくれ。話が聞けなくては困るからな」

 

「手加減はしてやれませんので、それは相手の出方次第です。…最後にひとつお尋ねしても構いませんか?」

 

 彼が尋ねるとアンダーソンは小さく頷いて続きを促した。

 

「何故、私にここまでの情報を開示し、援助をなさるのですか?」

 

 ムーアは極々自然な疑問を投げ掛けた。彼は指揮官となって日が浅く、それほど大きな戦果を──ムーア自身の視点で言えば目に見える大きな戦果を上げている訳ではない。

 

 むしろニケ達と共に銃を握って、ラプチャーと砲火を交える問題児だろうと自己分析している。

 

 そのような自殺志願者めいた中尉風情に副司令官の要職にある者が目を掛ける理由が分からなかった。

 

「…感覚も記憶もあるのにそれを自分自身でコントロールできず、我々(人類)の身勝手さと傲慢に存在そのものを左右される彼女達へ捧げる献花だと思ってくれ」

 

 その返答に満足したのか──いや、満足はしていないのだろうがムーアは腰を上げると副司令官へ敬礼、そして返された答礼を受けてから退室して行った。

 

 その姿が見えなくなり、アンダーソンは小さく呟く。

 

「──そして()()()からのささやかな手助け。これは信じては貰えないだろうな」

 

 

 

 

 翌日の5時30分。寒冷地仕様の防寒戦闘服と生地の迷彩が同色となるボディアーマー等を纏ったムーアが地上へ上がるエレベーターへ向かう横を普段と変わらない装いのラピやアニス、そしてネオンが歩いていた。

 

「珍しいね指揮官様。サングラスなんて」

 

「太陽光が雪に反射して眩しいからな」

 

 ヘルメットを被る下にヘッドセットがあるのはいつもの通りだが、今回は追加で彼の顔面には黒いレンズが輝くハーフリムタイプのサングラスがある。

 

「今回はカウンターズのみの単独任務ですか」

 

「あぁ、相変わらずの員数だがな。…増員はないんだろうか。指揮官としてはそこが気になって仕方ない」

 

「はははっ。でも私は今のままで良いかな。()()()()()()()()必要ないし」

 

 それもそうか、とアニスの発言に彼とラピも頷いてしまう。秘密を共有するのにあまり多すぎる人員は却って仇になるものだ。

 

「それはそうと指揮官様。北部の研究基地に行くんだよね?」

 

「あぁ。研究基地について何か知ってるか?」

 

「うーん…私が知ってるのは…あそこは通行許可証がないと入ることすら出来ない、ってことぐらいかなぁ…」

 

「…なに?聞いてないぞ」

 

 アニスが思い出しながら語った情報にムーアはサングラスの黒いレンズ越しに彼女へ横目を向けてしまう。そんな話は全く記憶にないのだ。

 

「研究基地とはいえ防御用の武装は充実しています」

 

「蜂の巣になりかねない、って訳ね」

 

「……ちょっと武器庫に行ってくる。高性能爆薬(C-5)携行式多目的無反動砲(ランチャー)でも受領してから出発だ」

 

「…今日の指揮官様はちょっと過激だわ。破壊して突破する気よ…」 

 

「流石は師匠です!」

 

 彼はここまで火力の信奉者だったろうか。思わずラピは溜め息を吐いてしまう。それとも長すぎる──たった10日の入院生活だったが、鬱憤を溜めるのには充分すぎる期間だったのかもしれない。

 

「落ち着いて下さい指揮官。アンダーソン副司令官から何か貰った物はありませんか?」

 

「激励と説明だけだな」

 

「…あのおじさん、抜けてるのかしら…?」

 

「…ちょっとエレベーターの前で待っててくれ。武器庫へひとっ走り──なんだこのドローン(ミラーボール)は?」

 

「──No!その必要はNo!!

 

 何処からともなく浮遊して現れたミラーボールの機能を有したドローン。それが彼等の頭上へ至り、無機質な通路へ色彩豊かな光を放ち始めれば、そこはもはや何らかのステージのような雰囲気となる。

 

 同時に響き渡ったなんとも表現し難いが、しかし人を惹きつける何かを含んだ声音にアニスが真っ先に正体を看破した。

 

「…このミラーボールのライトと声は…まさか…」

 

「──Yes!そのまさかDESU!!

 

「…………」

 

 突然の登場──それこそ旧時代の人類が地下へ逃れる前の栄華を極めた時代から遡ること数百年前。中世とも呼ばれる時代区分に道化師という職業を生業とする人物達が活躍していた。

 

 さながらその道化師達が纏う衣装を現代風にアレンジ──しすぎた感は拭えないが、光沢を否応なく放つ衣装を身に纏った長身の人物が登場するや否やムーアはどんな反応をすれば良いのか分からず、珍しいことだが思考停止に陥ってしまった。

 

MeこそがアークのEntertainmentを担当するテトララインの──C!E!O!マスタングゥゥゥDESU!!

 

「……Oh……」

 

 ──不思議だ。サングラスをしているのに眩しい。

 

Everybody!Say!Entertainment!!エンタァァァァテイメントォォォォ!!

 

 ──俺はツッコまんぞ。

 

 そう言わんばかりに彼は思わず取り出した煙草の吸い口をトントンとオイルライターへ軽く叩き付け、詰められた葉を更に奥深くまで充填する作業を始めた。

 

Oh No. My アニス。拍手はどうしましたKa?」 

 

「こ、こんにちは社長…久しぶりですね…」

 

 アニスがぎこちない笑みと共に挨拶を返す様子を横目に捉える彼は、眼前の珍妙な服装の人物が本当にCEOであるという事実に内心で愕然としていた。──まぁ好意的に捉えれば、会社のトップがこのような服装をすれば格好の広告にはなるだろう。おそらくは。

 

Faceが良さそうですNe!

 

「ははは…そうですかー」

 

じゃあ、そろそろReturn?

 

 CEO──マスタングが尋ねると彼女は弾かれたようにまずムーアを、そして彼と同じ目をしているだろうラピ、そして興味津々と瞳を輝かせているネオンへ横目を向けた。

 

「え!?い、いいえ。まだ…ちょっと…」

 

Oh……

 

 アニスからの返答にマスタングは明らかに肩を落として残念がる様子だが、流石というべきか直ぐに姿勢を元へ戻して堂々と宣言する。

 

All Right!アニス、私は待てますYo!!──You!YouがCommander ムーア!?

 

「…Yes,sir. I'm Lieutenant Moore,sir」

 

 ズビシッ!と擬音が付く勢いでムーアはマスタングから指を差される。相手は特権階級のCEOだ。わざわざ“sir”を2回も付けて彼は頷く。

 

Oh!Cross Fire Hurricane!Good Answer!Northの研究基地へ行くんですNe?

 

 その問い掛けにムーアは素直に頷くと、マスタングはおもむろに胸元へ片手を差し入れ、二本の指へ挟みながら一枚のカードを取り出してみせる。

 

Meが!通行許可証をあげまShow!!But!このPassはちょっとSpecialなものDESU!!

 

 ──いや、何処からどう見てもただのカードなのでは。

 

 マスタングの指に挟まれたカードへ視線を向けるムーアはそれまで弄っていた煙草をオイルライターと共にポケットに仕舞い込む。

 

 なにがどう特別なのか──と考えていた矢先、今度は音響機器が搭載されているのかポップな曲調の音楽を流すドローンが現れたではないか。

 

良く見ててくだSAI.Commander ムーア!一回しか見せませんKara!!

 

 そして始まったのはミラーボールが放つ光、音響機器が流す曲調へ見事に合っているのだろう──旧時代の名作である()()()()()()()()()()()()()()()()()()もかくや、と言っても良いダンスがマスタングによって披露される。

 

 彼にはあまり馴染みのない──というより好みの曲調ではなかったが、不思議と一発で覚えてしまった。悔しいことに、である。

 

「おおおお!!!」

 

 ネオンが瞳を輝かせて拍手を送れば、マスタングは満足げな様子のままムーアへ再び突き出した指を向ける。

 

しっかり見ましたka?では今度はこのPassを見てくだSAI!

 

 言われるがままに彼はマスタングが指に挟むカードを良く見ようとサングラスを外して注視すると──不意にカードの表面がミラーボールの如く光り始めた。

 

今、Meがやった動作を遂行するとPassがActivation!!My Company テトララインのTechnologyが集約されたPassなのDESU!!

 

「Wow!Technology!」

 

「技術の無駄遣いにも程があるわ…」

 

「………え?」

 

 ネオンは無邪気に称賛し、アニスは呆れと諦念が絶妙な塩梅で混ざった表情と共に溜め息を──そしてムーアは絶望に等しい表情を浮かべた。

 

 ──踊らなきゃならんのか?

 

 困惑を突き抜け、絶望を抱いた表情である。

 

さぁ!受け取ってくだSAI!

 

 ──どうしよう受け取りたくない。今すぐに武器庫へ走りたい。

 

「…指揮官。折角の御厚意です。頂きましょう」

 

 ラピがムーアへ受領を促すと彼は弾かれたように彼女へ視線を向ける。濃い茶色の瞳が浮かべる困惑に気付かぬのか、彼女は早く受け取るようマスタングへ向かって手を向けていた。

 

今のDance、望むならもう一度お見せ──」

 

「…いえ、覚えましたので。…ありがたく…頂戴致します…」

 

Oh!これぐらいのDanceは一発で覚えるのですNe!Very Good!!

 

 苦手とはいえ愛想笑いも浮かばなくなるとは彼も予想外だ。真顔のまま受け取った通行許可証を確かに彼はボディアーマーのポーチへ仕舞い込んだ。

 

「…あの社長?ありがたいんですけど…なんで急に社長が?」

 

Good Question. My アニス。カウンターズ。You達は知らないかもしれませんGA. 今、アークでYou達はHotです!Very Hot!Entertainmentを率いる者として未来のSTARとなる人に借りを作っておいた方が良いからDESS!!

 

 アニスから問われたマスタングが堂々と突然の登場となった理由を語り──掛けたサングラスの奥に隠れた瞳をおもむろにムーアへ向ける。正確には彼の右脚で存在感を放つ黒々とした外骨格に。

 

「──イングリッドが気に入っている人を直接見てみたかったのDESU

 

「うん?今、なんて言ったんですか?」

 

Hm?Nothing!…では…Mission頑張りなSAI!エンタァァァァァテイメントォォォォォ!!!

 

 別れ際の挨拶も高々にマスタングが複数のドローンと共に立ち去って行く。その残響がやけに耳へ残る中、アニスは深々と溜め息を吐き出した。

 

「…はぁ…目がチカチカするわ…」

 

「テトラの社長は凄く派手な方ですね!」

 

「これで研究基地へ……指揮官?どちらへ?」

 

「ちょっと武器庫に……」

 

「もう時間が押してるんだから行くよ指揮官様。振り付けは覚えたんでしょ?」

 

「確かに覚えてしまったが…10分、いや7分待ってくれ。直ぐに戻ってくるから…」

 

「ダメです。行きましょう」

 

 ──最近、部下達の融通が利かない気がする。

 

 エレベーターへ乗り込んだ彼は真っ先にそう考えてしまったらしい。

 

 

 

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