勝利の女神:NIKKE ─The Last Kiss─   作:一般指揮官

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衣服、激昂、異変

 

 

 

 着替えを寄越せと言われれば、ムーアはクローゼットから取り出した戦闘服のパンツと半袖の黒いシャツをルドミラへ投げ渡し、彼はさっさとシャワー室へ消えてしまう。

 

「──相変わらず面白くない男だこと」

 

 彼女もニケとはいえ、諸々の手入れを怠っていない身体には自信があるのだが、全くと言って良い程に()()()()()を見せなかった。少々、腹立たしくもある。

 

 投げ渡された衣服は長身を誇る彼用のそれだ。細身のルドミラに合う筈もない。

 

 とはいえ3日間も掛けて移動したのもあり、彼女が着ていた衣服は汚れてしまっている。帰路へ就く明日までには乾いているだろうが、それまでの替えの服は投げ渡されたこれしかない。

 

 宿舎で誰かの服を借りるという選択肢もあるのだが──

 

「…まぁ、いいわ」

 

 たった一枚だけで肢体を隠していたバスタオルを剥ぎ取り、ウェーブが僅かに掛かる金髪が含んだ水気をそれで吸い取る。あられもない姿となる中、シャワー室からは温水の水音が響き始めた。

 

 身綺麗にしたい、と要望したところラピから指揮官室のシャワー室を勧められたのもあり、遠慮なく使ったは良いが、生憎と着替えの持ち合わせはない。

 

 バスタオルを畳んでソファに置き、投げ渡された彼の服をルドミラは纏い始めるが──

 

「…大きいわね」

 

 予想は出来たが、迷彩柄(デジタルカモ)のパンツのウエストは当然の如く余り、裾も折らねば余ってしまう。彼女も脚は長いが、彼も負けず劣らずのようだ。

 

 半袖のシャツは意外にも余裕こそはあるが、ブカブカと言う程ではない。むしろ少しだけルドミラの薄く縦に割れた腹筋と臍が覗き見えている。豊かな胸の影響だろうか。

 

 勝手に漁るのはマナー違反だが、こうもウエストが余っていては歩き難い。彼女はクローゼットに近付くと、扉を開けてベルトを取り出すとそれをパンツのウエストへ通してバックルを留めた。

 

 これで少しは歩き易いだろう。

 

 それにしても──

 

「…変な格好…」

 

 ムーア(しもべ)の部屋で、彼から渡された服を着ている自身の姿をクローゼットに備え付けの鏡で見たルドミラが肩を竦める。

 

 自前の踵が高い白のブーツを履き、ソファに腰掛け、迷彩柄の生地に包まれた長い脚を組む。

 

 来客なのだから茶の一杯でも出せば良かろうに、などとも思うが──ムーアがそこまで気が回る人間だとは思っていないのでルドミラは()()()()を以て無礼を許すことにした。

 

 ローテーブル上には彼の持ち物である身分証、携帯端末や煙草、オイルライター等が置かれたままである。シャワー室へ消える前に軍服の中へ入っていた小物類を全て並べて行ったのだ。

 

 その内の煙草のソフトパックとオイルライターにルドミラは視線を向けるが──何故か吸いたいという気分にはならない。

 

 彼が一度、銜えた後の煙草には手を伸ばしたくなるというのに不思議なモノだ。

 

 ふと気付けばシャワー室から響いていた水音が鳴り止んでいた。続けて微かな衣擦れの音がルドミラの耳朶を打ち、やがて扉が開いたのだろう。ブーツで床を踏み締める足音が聞こえた。

 

「──早いわね」

 

「──髪が短いからな」

 

 石鹸ひとつさえあれば、頭髪と身体を纏めて洗える上に時短が期待出来る。そう返しながら室内へ戻って来たムーアは──下肢こそルドミラと同じ迷彩柄のそれとブーツを纏っているが、上体は曝け出したままの格好だ。首に掛けられたフェイスタオル、そして2枚が連なった認識票を揺らしつつ彼は備え付けの冷蔵庫へ歩み寄り、その中からミネラルウォーターのペットボトルを二本取り出した。

 

 ソファに腰掛けるルドミラの眼前へ一本を置き、その対面へ腰を下ろすと彼はキャップの封を切って何口かを嚥下する。

 

()()怪我をしたみたいね」

 

「…しょっちゅう怪我をしているような言い方はせんでくれると嬉しいな」

 

 左の上腕を一周する形で黒い光沢を放っている細い部品は義手の接合部品であろう。ルドミラの記憶に残る再会以前のムーアの姿──左腕がほとんど喪失した光景を思い出すと、やはり義肢を付けたのかと納得が出来た。

 

 その左腕に彫られた黒い狼を象ったトライバルタトゥーは良く似合っている。狼の群れの()()に相応しいとも彼女は考えたが──それよりも左脇腹に残った手術痕へ彼女の視線が向けられる。

 

「──痛かったでしょうに」

 

「…死ぬほどに。だが…苦しんだ甲斐はあった筈だ」

 

 喉が動き、水を嚥下した彼は肩を竦める。総力戦の結末は遠い北部で任務へ励んでいたルドミラの耳にも届いている。

 

「…()()()()()のね」

 

 まったく無茶をする()()()だ。果たして命がいくつあれば足りるのか。ニケ以上に自身の生命を疎かにしている予感がしてならない。

 

 彼の部下達は普段から苦労が絶えないだろうとルドミラは察しつつ腰を上げるとペットボトルを握ったままローテーブルを回り、対面へ腰掛けるムーアの左隣へ座り込んだ。

 

「…良くやったわ。そして…頑張ったわね」

 

「女王陛下に褒めて貰えるとは恐縮だ」

 

 彼は軽く肩を竦め、右腕を伸ばすと机上のソフトパックを拾い上げる。軽く振って飛び出た一本を銜え、オイルライターの火を点ける。紫煙を燻らせて間もなく──左隣から細く白い手が伸び、指先で摘み取られた。

 

 また奪い取られた煙草はルドミラの唇へ移動し、艶のあるそれへ銜えられ、所有者が変わってしまう。

 

 これで三度目だ。

 

 何故こうも自分の煙草を奪い取るのか。色々と問い詰めたくもなるが、それをするのも時間の無駄に思える。

 

 新しい煙草を銜え、再びオイルライターの火を点ければ、隣り合う二筋の紫煙が天井へ向かって立ち昇った。

 

「……アリスは元気か?」

 

「えぇ、元気よ。最近はネヴェも帰って来たから賑やかだわ。まぁネヴェは毎日、ほとんど寝ているけれど」

 

「…ネヴェ?」

 

 聞き覚えのない人名にムーアの濃い茶色の視線が傍らのルドミラへ向けられる。彼女は銜えた煙草を細い二本の指で挟みつつ、紫煙を細く、そして短く吐き出した。

 

アンリミテッド(うち)の隊員の一人よ。ホッキョクグマを探しているのもあって不在の時が多いから、しもべは会ったことはないわね」

 

「…その内、顔を合わせたら紹介を頼む」

 

「あら?ということは北部にまた来てくれるのかしら?」

 

「任務があればな」

 

 面白くない返答だ。どんな育ち方をすればこうなるのか。

 

 面白くない反応を見せる彼への対抗心と悪戯心が芽吹いたのだろう。ルドミラは試しに互いの距離を詰め、ムーアの左肩へまだ湿り気を帯びている自身の頭を預けてみた。

 

 さて、どのような反応を見せるか──と思うが、ムーアは大したリアクションも取らず、泰然としたまま煙草の紫煙を燻らせている。

 

 面白くないに加えて、つまらない男だ。

 

 若い──見た目と雰囲気でそれよりも上に見えるが、年相応の反応を見せれば可愛げはあるだろうに。

 

 軽く鼻を鳴らした彼女は半分すらも吸い切らず、1/3程度で煙草を灰皿へ押し潰そうと手を伸ばすが──

 

「……もう吸わないのか?」

 

「えぇ、そうだけど?」

 

 既に吸い口のフィルター近くまで吸い切った彼が大きく紫煙を吐き出すと、先んじて自身の煙草を灰皿へ潰す。彼女の細い指先にある煙草をそっと奪い取り──それを乾燥気味の唇へ銜えたかと思えば大きく吸い込んだ。

 

「…続けて良く吸えるわね」

 

「…むしろ二本目からが美味いんだ」

 

 喋りながら発声と同時に紫煙が漏れ出ている。一度、吐き出せば良かろうに、とルドミラは彼の左肩へ頭を預けながらペットボトルの封を切る。

 

 他愛もない会話──それも面白くない反応ばかりの男との会話だが、妙に居心地が良い。

 

 紫煙も、妙に落ち着く香りだ。

 

 シャワーを浴びたばかりで体温が少し上がっているのか、ほんの僅かに汗の匂いもする。臭いとは思わない。むしろ──

 

「……ふふっ」

 

「…なんだ?」

 

「なんでもないわ」

 

 悪くない。富裕層(ロイヤル)の身分であった頃には考えられなかったが──まさかこんな男にこんな感情を抱くとは。

 

 今更ながらなのかもしれないが、と彼女がミネラルウォーターを一口嚥下した時──

 

「──失礼します師匠…ん?」

 

「──失礼します。指揮官、エリシオンでのシミュレーション訓練を終えて帰っ……」

 

 ──指揮官室の扉が開き、二人組の人影が入室してきた。ネオン、そしてマリアンだ。今日の任務で彼の弟子が不在だったのはエリシオンで実施されたマリアンのシミュレーション訓練へ同行した為なのだが──帰って来たばかりの二人の眼差しの先には()()()()()()()()が広がっている。

 

 半裸のムーアの傍らにしっとりと濡れたままの金髪もそのままに筋肉で覆われた肩へ寄り掛かりながら頭を預ける見た目が妙齢かつ艷めかしい雰囲気を醸し出すニケの姿があるのだ。しかも彼の服を着ている。

 

 言葉を飾らずに言えば──事後の気配すら感じ取れてしまった。

 

「あぁ。二人共、おかえり。マリアンは初めて会うな。彼女はルドミラ。アンリミテッド分隊の──」

 

「──な、な、な…!」

 

 フルフルと全身を震わせ、続けて色素の薄いガッデシアムの肌で覆われた顔を赤く染めながらマリアンが真紅の瞳をこれでもかと丸くする。

 

「──な?」

 

 何かを言いたげなマリアンの様子に彼は銜え煙草のまま首を傾げる。唇も震わせる彼女はやっとの思いで言葉を発した。

 

「──何をなさっているのですか!?」

 

「…え…?」

 

 マリアンが放った大声が指揮官室を震わせる。その大声で庁舎の外で毛並みを乾かしていたオオカミ達が一斉に顔を上げたのは別の話である。

 

 一方で面食らったムーアは銜え煙草のまま訳が分からぬ様子だ。肩を震わせ──何らかの衝動に耐えているのだろうマリアンが続けて震える指先を彼とルドミラへ向けた。

 

「そ、そんな格好で…!」

 

 ──どんな格好だ。

 

 マリアンが怒る理由が分からぬムーアが首を傾げつつ、ひとまず短くなった煙草を机上の灰皿へ潰した。

 

 その彼の左肩へ寄り掛かるルドミラは──眼前のマリアンの様子に何かを察したらしく、ふぅん、と意味ありげな態度でムーアから身を離すと腰を上げる。

 

 飲み掛けのペットボトルを片手にムーアの戦闘服とシャツを纏った彼女はネオンとマリアンへ歩み寄る。その後ろ姿を何気なく眺める彼は、美人は何を着てもサマになるな、という感想を抱いた。

 

「──ネオンは久しぶりね。はじめまして、と言っておくわ。私はアンリミテッド分隊のルドミラよ。彼──()()()の女王でもあるわ」

 

「──誤解を招く言い方は止めてくれると嬉しい。変な趣味があるとマリアンが勘違いする」

 

「──し、()()()…!?あ、あなた…指揮官になんてことを…!!」

 

「…師匠。これ、修羅場って奴でしょうか?アニスがこの前、観ていたドラマで似たような状況が…」

 

「…彼女は何を観ているんだ」

 

 睨み合う二人からそっと離れた弟子は、その師へ歩み寄ると質問を投げた。

 

 部下個人の趣味嗜好に口を挟むつもりはないが、アニスが果たしてどのような内容のドラマを視聴しているのかムーアは気になってしまう。

 

「彼は()()()という呼び方を許しているわよ?何がいけないのかしら?」

 

「ニケと指揮官の関係上、ニケは絶対に上位となることはありません!」

 

「そうかしら?どう思う、しもべ?」

 

「……規則上はそうなのかもしれんが…場合によっては、特に現場での判断はニケの方が的確だろうからな。一概にそう決め付けるのは…」

 

「──指揮官!!」

 

「あまり大きな声で騒がないでちょうだい。はしたないわよ?」

 

 ああ言えばこう言う、を地で行くルドミラだ。元々の高貴な性格も合わさればマリアンの怒声など柳に風なのだろう。

 

 腰に手を当て、胸を張るルドミラがマリアンへ余裕たっぷりの視線を向ける。その眼差しを受けた彼女はキッと垂れ目がちの瞳を細めつつ迎え討つが──不意にルドミラが距離を詰め、マリアンへ耳打ちをする。

 

「──安心して。()()()()()()()を取ったりはしないわ。()()だけれど」

 

 耳打ちされた内容にマリアンが眼を見開く。つまりは──と何かを察した瞬間にはルドミラは身を翻して彼の元へ戻っていた。

 

「しもべ。上着を貸しなさい。シャツだけだと少し恥ずかしいわ」

 

「…恥ずかしい?」

 

「あら、()()が見えないの?」

 

 これ、と指差された箇所はルドミラが纏う彼の半袖のシャツ──大きく膨らんだ胸元だ。その頂点がシャツの生地を少し浮かせているのである。

 

「……あぁ、なるほど」

 

 今更ながら気付いた。そう言わんばかりに彼は腰を上げ、クローゼットの中から同じ柄である戦闘服の上着を取り出してルドミラへ放り投げた。

 

 ルドミラが受け取った上着へ袖を通す。こちらも随分とブカブカで、尚且つ袖が余っている。とはいえ悪くない大きさだ。

 

 上着を羽織ったルドミラがマリアンの脇を通り抜ける。その瞬間、彼女へ向けて意味ありげに微笑を浮かべつつ指揮官室を抜け出る。その後ろ姿を見送った彼は三本目の煙草を銜えようとするのだが──

 

「…指揮官…まずは服を着て頂けますか?」

 

「…もう少し涼ませて貰えないか?」

 

「い・ま・す・ぐ!」

 

 

 

 

 

 

「──指揮官様、折角の(メニュー)なのにどうしたの?」

 

「──絞られてな」

 

 量産型ニケ(スタッフ)達も揃う賑やかな宿舎の食堂には珍しくムーアの姿がある。それも先程から溜め息を吐き出している始末だ。

 

 仕切りで分割され、一枚の角型フードプレートへ乗せられた鹿肉のソテーを口へ運ぶ彼は隣へ腰掛けたアニスから問われると肩を竦め、プルタブを開けた缶ビールを呷った。

 

「…詳しくはネオンかマリアンに聞いてくれ」

 

 独特の苦味があるそれを嚥下した彼は同じ卓で夕食を摂る分隊の二名へ視線を向ける。

 

 ネオンはなんと説明したものか、と逡巡するが──マリアンはムスッとした様子のまま缶ジュースを呷る。まだ御立腹らしい、と察した彼はそれ以上は口にしなかった。

 

「…あ〜…なら聞かないでおこうかな」

 

「…そうしてくれると有り難い」

 

「──それにしても、これ美味しいわね。北部でも時々、狩ってきて貰おうかしら」

 

 卓の一番端ではルドミラも同席している。培養肉とは異なる肉肉しい食感──獣臭さは残っているが、充分に満足出来る味であれば女王陛下も満足気だ。

 

「まぁ食い扶持の為にも狩りはするだろうが…解体できるのか?」

 

「今日、しもべのやり方を見ていたから大丈夫でしょう」

 

 そう簡単に出来るモノだろうか、とムーアは疑問符を浮かべるも、()()()()持っていた自分でも出来たのだから可能だろうと考えを改める。

 

 フォークで突付いた鹿肉を口へ運ぼうとした時──羽織った上着の胸ポケットに収めていた携帯端末がバイブレーションを起こす。

 

 何らかの着信だろう。食事の手を止め、彼は胸ポケットへ片手を伸ばすと携帯端末を引き摺り出した。

 

 指紋認証でロックを解除し、着信を確認すると──途端にムーアの眉間へ縦皺が寄った。

 

「……ラピ。悪いがちょっと来てくれ。皆はそのままで良い」

 

 行儀良く鹿肉を中心にした夕食を口へ運んでいたラピにムーアは声を掛けると腰を上げる。

 

 彼が食堂を抜け出る背後を腰を上げたラピが続く。宿舎の舎前へ辿り着くや否や、ムーアは煙草を銜えてオイルライターの火を点けた。

 

「──どうかなさいましたか?」

 

 傍らに立ったラピが尋ねると、ムーアはロックを解除したままの携帯端末の画面を見せた。その液晶画面には着信を受けたばかりのメールが映し出されている。送信元は──

 

「…中央政府…?」

 

「内容は…見ての通りだ」

 

 ラピの手へ携帯端末を譲り渡すと、ムーアは足元へ駆け寄って来た6頭のオオカミ達に腕を伸ばす。乾いた毛並みを撫で回してやると、順に寝転がっては腹を晒した。

 

 弱点となる腹部を晒す格好のオオカミ達のそこを手の平で撫で回す彼の姿を視界の端へ捉えるラピだが──手元にあるムーアの携帯端末の画面を指先でスクロールし、メールの内容を確認すると眉根が寄る。

 

「…中央政府軍での研修…指揮官が、ですか?」

 

「らしいな。正式な命令だ」

 

 研修とやらの期間は10日間。少佐昇任に際して必要な教育を実施する旨がメールには記載されていた。

 

「…この時に、ですか」

 

「…あぁ。しかも中央政府軍で」

 

 どのような教育なのかは分からないが、それなら現在の所属元であるニケ管理部でも可能だろう。わざわざ別組織──或いは()()()()で実施される理由が分からないのだ。理由というよりも真意が分かりかねる。

 

「……キナ臭いな」

 

「…はい」

 

「…命令である以上は従うが、10日も留守にする。分隊のリーダーとして不在中はラピに任せることになってしまうが…」

 

 溜め息と紫煙を緩く吐き出しながらムーアはラピを見上げる。

 

 これから()()()()()()()()()の如き環境へ向かうというのに自分達の心配をしてくれるムーアへ思わず彼女は苦笑を漏らした。

 

「…こちらのことはお任せ下さい。()()()がお帰りになるまで前哨基地は守ってみせます。当然、マリアンも」

 

「…宜しく頼んだ」

 

 感謝をラピへ告げる彼だが──これから向かう伏魔殿の如き環境には辟易とするらしい。オオカミ達を撫で回しても一向に気分は上がらなかった。

 

 




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