現実逃避を始めてからもう一時間は経ったのだろうか?
周りを見渡しても俺がいたはずだったあの都会の街並みはどこにもない。
周りはすごい田舎で、いや田舎というよりは現代じゃないような……。
なんか馬にパッカパッカ乗って走っている人はいるし、みんなボロい着物は着てるし。
バカな俺でも分かる。ここは戦国時代ではないのだろうか?
「そうか、そうか・・・くくっ、くくくく」
腹の底からこみ上げてくる笑いがとまらない。
俺はタイムスリップをしたのだ。
驚きよりも先に歓喜と興奮が身体を満たした。なにせ元の世界に未練など残っていない。
大学受験に3度失敗し、なんとか滑り込んで入学した3流大学も周りとは相容れずニート生活まっしぐら。
家族からは冷たい視線で見られていて嫌気がさしたところだった。
だがそんな灰色生活とももうおさらばだ。
未来ならまだしも過去に来たのだ、俺には未来の知識がある。
この知識さえあれば天下は無理でもそこそこいいところまでは成しあがれるんじゃないだろうか。
さすがに武力は叶うはずないだろうから、知力で勝負だ。
諸葛亮的なポジションになれるにちがいない。
そうすれば元の世界では彼女の一人も出来なかったが、ここではすごい美少女とあんなことやこんなことができる。
いや、戦国時代は確か一夫多妻、この俺の能力を持ってすれば時代劇の殿みたいに女の一人や二人、いやもっとたくさんの
「----ぁ!」
「あん?」
「若ーーーー!」
すごい形相で俺の方向に向かってじじいが走ってきていた。
違う、お前みたいな老いぼれを呼んでるんじゃなくて美少女をたくさん囲いたいんだよ俺は。
「若っ!あれほど勝手に出歩かないでくださいと常日頃から!」
「おい、馬鹿やめろ、俺にしがみつくな、お前みたいなじじいじゃなくて俺は美少女ヒロインと触れ合いたいんだよ、だから離せじじぃ!」
「また訳の分からない言葉を使って。今度というこんどは騙されませんぞ!さぁ早く私と共についてきてもらいます!」
つーか、このじじいでけぇな、俺の倍近く身長がある。
というか待て、そんなに強引に強く引っ張ったら転ぶだろうが!
じじいならじじいらしくトボトボ歩いていやがれ、運動不足の塊の俺を舐めるなよ!
「って・・・・あれ?」
普段より身体が軽い気が、それによく見てみれば長年共に過ごしてきたあの忌々しい脂肪の塊が身体のどこにも見当たらない。
それどころか全体的に小さくなっているような。
まさか、このじじいがでかいと思ってたけど
俺が小さくなっているのか?