「おれはルフィ…またの名を海賊王ゴール・D・ロジャーだ!」   作:青森の桜前線

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第一話 ロマンスどーん…?

 

 ひとつの時代が終わる

 

「ククク…おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる…探せ!この世の全てをそこに置いてきた!」

 

 ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を残して

 

「…ゴールド・ロジャー、正義の名の下に貴様を処刑する。」

 

「おれの名はゴール・"D“・ロジャーだぜ…?海兵。」

 

「いいや貴様はゴールド・ロジャーだ。貴様とともに一つの時代も終わる。これからは正義と秩序の時代だ。」

 

「ククク…」

 

 とんだ笑い話だ。

これからくるのは正義と秩序の時代だと?そんなわけがあるか。受け継がれる遺志、時代のうねり、人の夢…。これらは止めることのできないものだ。人々が自由の答えを求める限り、それらは決して留まることは無い。

 海軍よ、俺がいたこの海の方がまだ良かったと思えるような荒れた時代が来るぞ。…この熱狂を見てみろ。ローグタウンの曇天に轟く人々の自由への渇望を。これが世界だ!

 

 

 世界が…そうだ!自由を求め、選ぶべき世界が目の前に広々と横たわっている。終わらぬ夢がお前達の導き手ならば…。超えてゆけ!己が信念の旗の下に!

 

ザシュッ。

 

 …雨と人々の狂乱の音に掻き消されたこの音は、その場にいた多くの観衆の耳に届くことはなかった。しかし、刃を振り下ろした海兵の耳にだけは、妙に生々しく響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ROMANCE DAWN】~冒険の夜明け~

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 それは、かつて無いほどの不快感だった。

 

「おぎゃーおぎゃー!!!」

 

 何がそんなに煩わしいのか、不愉快なのか、泣いてるおれ自身でも分からないが、とにかく泣きたい気分だった。空気を吸うのに精一杯で、生きてることに精一杯。思うように動かない手足を闇雲にジタバタさせて自分が今いる世界に抵抗する。…やがてそんなおれを抱き抱えるものがいた。優しげな両腕に包まれた瞬間、ぼやけた視界に誰かが映った気がしたが、それも微睡のなかに溶けていった。

 

 

 

「あー」

 

 次に気がついた時には周りの環境は大きく様変わりしていた。…随分と呑気な村だ。そこはおれからしてみればごくありふれた田舎の港町だった。埠頭に泊まる船はまばら、しかもどれも小型のものばかりだった。おそらくは村の漁業関係のもので、他所と交易をしている船ではないだろう。そう考えるとますますどんな片田舎だと、おれはつくづく思った。

 

 さて、別に誰に説明するわけじゃないが…。おれの名はゴール・D・ロジャー、…正しくはだったと言うべきか。どういう原理か因果か知らないが、どうやらおれはもう一度生を受けたらしい。気がついた時にはこの赤ん坊の姿だった。来世や何やらを信じてたわけではないが、こうして自分で死んで体験してみるとあの聖職者たちが言っていたことはあながち嘘では無かったんだと感じた。問題はこの赤ん坊の中におれという自我があることだが…。それはまあ、考えても仕方がないことなので今は一旦置いておく。そういったことで、おれはこの新しい世界を冒険するぞ!…と息巻いていたまでは良かったんだが。

 

「最近、周辺の海域で海賊が出没するらしいぞ」

「このイーストブルーの辺境にもか!?嫌な時代になったもんだ」

「これもゴールド・ロジャーの死に際に放った一言が原因だろうな…まったく」

 

 …あれ?これおれが死んでからあまり時間経ってなくないか?というかまたこの世界かよ!おいおいおい…聴きたくもねぇ話を聴いちまったぜ。なんだ、また世界一周でもするか?アイツらもまだ生きてるだろ?…ハハハ!アイツら俺のこの姿を見たら驚くだろうな!それを楽しみに生きるのも悪くねぇ…なんたって。

 

海賊は自由だ!!

 

 

 

 そんなおれの幻想を破壊したのは、かつての宿敵だった。

 

「ルフィちゃぁぁんっっ!!ガープじぃちゃんでちゅよ〜〜!!」

 

「………」

 

 思わずこう叫びたい。

 

「だあだあっ!!」

おれ、ガープの孫じゃねぇかっ!!!

 

 

「よちよち〜、じぃちゃんがきたことがそんなに嬉しいんでちゅか❤️」

 

ふざけるな!!何が悲しくて宿敵のこんな気持ち悪わりぃ顔を見なきゃならん!おおおッ止めろそれ以上近づくな頼む!ぐわーーー!?

 

 

 

 

 

 

 

 おれの名前はルフィというらしい。ガープの孫だからモンキー・D・ルフィ。いやはや、前途多難である。いっそのこと全部を正直に話してみるか。実はおれはロジャーの生まれ変わりだ、って。言葉が喋れるようになったらガープの奴に言ってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

「何を言っとるんだルフィ!お前は立派な海兵になるんじゃ!今度そのロジャーとかいう名前を口にしてみろ!カームベルトまで風船に括り付けて飛ばしてやるからな!!」

 

 

 まったく、取り合って貰えなかった。

 

「違うおれだ!ロジャーだよ、ガープ!」

 

「……じいちゃんを呼び捨てとは」

 

「あ…?」

 

「何事だあーーっ!!」

「いでぇぇーー!!??」

 

 拳骨のガープ、恐るべし。

 

 

「ふんっ!これに懲りたら海賊ごっこはもう止めるんじゃな!!」

 

 どうやら子どものごっこ遊びだと思われたらしい。それにしても痛ぇよ…お前の拳。今まで何度も受けてきたが、この体だと骨身に染みるくらい痛ぇよ。そうして痛みに悶えているとガープは仕事が何だと言って軍艦に乗ってどこかに行ってしまった。アイツ…まだ海軍なんてやってんのか。いい加減引退しろよ、お前も歳だろ。そんなこんなで育児放棄されたおれは、いつもの場所へと向かう。おれが赤ん坊の頃から面倒見てもらってる小さな酒場だ。

 

 

 

 

 

「マキノおれだ!さけをくれ!」

 

 酒場のドアを勢いよく開け放ちそう開口一番に叫ぶと、カウンターでグラスを磨いていた女性が少し困ったような顔をする。濃い緑の髪をオレンジのバンダナでまとめた10代後半の女性、それがマキノだ。親の顔も知らない俺にとっては、身内と呼べるくらいには可愛がってもらった。…中身がこんなおっさんだと知ったら泡吹いて倒れそうであるが。

 

「こーらルフィ。まだ6歳なんだからお酒なんて提供するわけないでしょ?…それにそんな乱暴な言葉遣いは駄目よ、“ぼく”で、“ください”、よ。」

 

 ませたガキだなぁとでも思っているのだろう。

 

「…ああ!わかった!」

 

(本当に分かっているのかしら…?)

 

 軽くため息を吐きながらも、せっせとカウンターの椅子によじ登って座るおれを愛おしそうな目で見るマキノ。…おいおい照れるじゃねぇか、美人さんからそう見つめられちゃあな。彼女にとっておれは弟みたいなもんなんだろ。おれ自身兄弟がいたことはねぇからよく分からないが…ガキの面倒はよく見ていたから分かる。その顔は、手がかかるが可愛くて仕方がないって顔だ。おれもよくそんな顔をしてレイリーやギャバンにからかわれたもんだ。

 

「お酒は駄目だけど……ジュースならあるわよ。飲む?」

 

「…飲む!」

 

 今はこの少年時代を満喫するのも悪くはねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

「さて…と」

 

 辺りに人の気配がないことを確認したおれは握り拳を片方の手のひらに突き当てる。そうしたことで生じた皮膚と皮膚が合わさる音が、人気のない森の中に響いた。…村の人々の目を盗んでこんな森の中まできたのには理由がある。それは、修行だ。

 いかにおれが前世で海賊だったとは言え、今世では身体能力をそのまま引き継いでいるわけではない。この体は6歳児のそれである。いずれは、おれもまた自由気ままにこの海を旅するつもりであるから、少なくとも自分の身を守れるくらいの力は必要であろう。そう思いたったのが一年前、最初は森の猛獣どもから逃げ回るのでやっとだったが、今では勝てはしないものの何とかやり合うことは出来るようになっていた。…ちなみに

 

「纏え!武装!」

 

 おれは前世の感覚通りに腕に覇気を纏おうとするが、力を込めた右腕が黒色に変化することはなかった。…どうやら精神はおれだとしても覇気を扱えるというわけではないらしい。この通り武装色は扱えず、覇王色も森の獣たちで試してみたがてんで駄目だった(もしかしたらおれが弱すぎるから気絶しないのかも知れないが)。でもまあ素質はあるんじゃねえか?自分で言うのもなんだが、おれは海賊王と呼ばれた男だぞ?前世でできて今世で出来ないって道理はねえ!とにかく修行だ修行!

あ、言い忘れたが

 

「……ん、誰か来るか」

 

 見聞色だけは使えるみたいだ。

 

 

 

?「…ッッ!?誰だ!」

 

 森の獣道を抜けてきたのだろう。露出してる肌にはかすり傷が目立ち、ボサボサの髪にタンクトップ姿の少年が立っていた。手には鉄パイプのような物を持ち、おれの存在に気がつくと鋭い眼光を向けて威嚇してきた。…目つき悪いなコイツ。

 

?「おい!ここはオレのナワバリだ!勝手に入ってきてんじゃねえよ、このチビ!」

 

「おいおい、チビとはずいぶんな言い方じゃないか。そういうお前だっておれとそう歳は変わらんだろう?」

 

?「チッ…そういうことをいってんじゃねえよ!……クソ!もう来たのか。おいチビ!ここは危ないから早く逃げた方がいいぞ!じゃあなッ!」

 

 そう捨て台詞を吐くと、その少年はどこかへと走って行ってしまった。…まさかこんな森の中であんな小さな少年に会うとは思わなかった。まったく!親は何をやっとるんだ!そう思ったのも束の間、近づいてくる妙な気配を察知し、おれはあの少年が足早にここから立ち去った理由を悟る。

 

「なるほどなあ…!」

 

 橙色の体毛に覆われ、ところどころに黒い斑点が散りばめられた獣。体調は2メートルはあろうかという大型の肉食獣“虎”がおれの前に姿を現した。

 

「グルルル…ッ!」

 

「ちょうどいい!お前さん、ちょいとおれの腕試しの相手にならねえか…ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 その後、何とか虎を伸したおれは、ボロボロになりながらフーシャ村へと帰るもマキノに見つかり、怪我の心配をされるのと同時に雷の如く猛烈に怒られた。まあ案の定だが。その結果、おれは常に村の誰かと一緒に行動しなければならないということになり、今までのように森の中へ修行しに行きづらくなった。昼間はマキノにがっつり監視されてるし、こんなの自由じゃないっ!と不満が溜まっていたところに、この退屈した毎日を吹き飛ばすような情報が飛び込んできたんだ。

 

 

“海賊が来たぞ”ってな。

 

 

 




 昨日の夜、課題に追われていた俺は、微睡む意識の中でひとつの妄想を思いついた。
「あれ?ルフィがロジャーの生まれ変わりだったら面白くないか」

 気が付いた時には俺は、課題をその辺に放り出してパソコンのキーボードを叩いていた。明日は英語の小テストだというのに馬鹿なやつめ。


そんな感じで、行き当たりばったりなお話です。
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