トレセンに来たんだし、トレセンに行こうぜ   作:ryanzi

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ボォォ「あなた、存在するだけで気持ち悪いんですよ?わからないんですか?」
う、う、うわああああああん……
「泣けば許されると思ってるなんて……やっぱりボーガーは救いようがありませんね」


もう素パスタなんてこりごりだ!トレセンの食堂の方がおいしいもんね!

『ロイドノミセデース』

 

「うざい」

 

『ナマ言ってくれるぜ……全くよぉ、灰原ァ!』

 

「まあ、社交辞令は置いといてだ。

実はかくかくしかじかで……当分、そっちには行けそうにねえ」

 

『オー、ソリャタイヘン。アサマノババーヲケイユシテ、オプションパーツオクリマスネ』

 

「ありがと、じゃあな」

 

『リュウセイクンニモツタエテオキマース』

 

今度は誰にも妨害されるに、通話することができた。

目当てのオプションパーツは当分は手に入らないだろう。

まあ、今すぐないと困るというものでもないのでいいのだが。

 

「電話終わった?」

 

「ああ、終わったよターボ。じゃあ、飯でも食いに行くか」

 

「おー!」

 

さて、食堂。そこにはちらほらとウマ娘がいた。

そして、灰原の存在に気がつく者もいた。

一応、ここは天下の女子校、怪訝な目で見る者もいる。

あと、有名人を見るような目で見る子もいる。

おそらく、ボーグバトル界隈の情報をある程度仕入れているのだろう。

 

「ねえねえ、あの人って……」

 

「”黒手袋”?あの勝負のときはすごく卑怯で有名な?」

 

「えー?ボーガーなんて全員卑怯でしょ?精神攻撃するし……」

 

「それとは比にならないくらい卑怯だって噂だよ?」

 

「そうそう、あのリュウセイだって嫌いだって言ってたしさ」

 

少しざわめき始めた食堂を、気にせずに灰原は歩き続けた。

しかし、ターボは少しだけ不安そうな表情を浮かべていた。

 

「……ボーガーさん、嫌われてるの?」

 

「いや、まあ、慣れた」

 

「慣れたって……」

 

「見る人によっちゃ不快になるんだからな、俺の戦い方って」

 

とりあえず、二人はそれぞれ食事を机に運び、椅子に座った。

ターボはカレーライス、灰原はシーチキンおにぎりの山。

 

「それにしても……食べる前からおいしいってわかるな……」

 

「わかるの?」

 

「ああ、わかるさ。こりゃアスリートのために徹底的に計算されてやがる……。

健康も舌も何もかもを完璧にこなそうとしてやがる……」

 

「……ボーガーの食事ってどんな感じなの?」

 

「いや、普通の食事だぞ?

例えばリュウセイの場合はご飯が一膳、おかずがたくさん。

ケンの奴は中華料理を、それも炒飯をかなりたくさん食べる。

まあ、アイツのラーメンはとてもじゃないが喰えたもんじゃない。

あと、勝治は……そういや、アイツ、何食ってんだ?

あと、ベネチアンは……うん、その……まあ、適当に考えといて」

 

「うん、わかった!……あと、ボーガーさんの場合は?」

 

「見ての通りシーチキンおにぎりだ。

ちなみに苦手というか吐くのが白身魚と魚のフライだ。

青魚だろうが赤身だろうが白身だろうが、フライは吐く」

 

「えー……それってケンコーに悪いぞ?」

 

「いいんだ、どうせ技術がどれほどあっても……。

上の奴らは平然と精神攻撃でそれを引っくり返すんだし」

 

「それ言ったらおしまいだもん」

 

「あと、なんとかネイチャーだって精神攻撃(魅惑のささやき)で……」

 

「それはもっとアウトだもん!言っちゃダメ!」

 

「まあ、何はともあれ、好きなもの食べてメンタルを整えるのがボーガーの食生活だ。

下手に苦手な物を食べて、ズタボロに負けるよりはよっぽどいい」

 

そう言いながら、灰原は白い手袋を外した。

 

「じゃ、いただくとするか!いただきまーす!」

 

「いただきまーす!」

 

灰原はシーチキンおにぎり一つを頬張り、その味を楽しんだ。

市販のそれよりも、よっぽどおいしいのだ。

さすがは天下の中央、食材も料理人の腕も一流ということだろう。

しかし、同時にベネチアンのような生活を送る子もいると考えると……。

ほんの少しだけ、複雑な気分になった。

 

「まあ、素パスタも健康なんだろうけどな……」

 

「えっ?」

 

「いや、なんでもないよ。しかし……こりゃなかなか……。

ケンもここの食堂で修行すればマシになりそうな予感がするな」

 

「さっきからケンって言ってるけど、龍昇ケンのこと?」

 

「ああ、そうだぞ。アイツはなかなか手ごわい奴でな……。

アイツのチャイナクック・マーベラス・満漢全席なんてとくに怖ろしい。

たった半年の修行で身に付けたのも驚異的だが……。

必殺技が三日三晩、何度も何度も続くんだぞ……もうあれは体験したくねえ」

 

「それは大変そう……」

 

「で、アンタはそれを耐えきったって自慢したいんだ?」

 

突然、声をかけられた灰原は喉を詰まらせる寸前にまでなった。

 

「ぼ、ボーガーさん、水!」

 

「あ、あ、……ふう、ありがと、ターボ。

……ちっ、いったい誰だ……って、タイシン?タイシンじゃないか!」

 

振り向いた先にいたのは鹿毛の小柄なウマ娘。

そう、灰原と同じ小学校だったナリタタイシンである。

 

「ボーガーさん、タイシン先輩と知り合いなのか?」

 

「あ、ああ……そうだけど、しかし、なんでそれ知ってんだ?」

 

「いや、まあ、たまたま見ただけなんだけどさ。

にしても、ここ女子校だけど……ふーん、良識派(笑)のアンタまでもがねえ……」

 

「いや、俺、なんか強制的に用心棒として雇われただけだし……。

あと、絶対に俺のこと良識派って認識してないだろ……」

 

「いや、だってねえ……あんな勝ち方で実力者って言われてもさ。

ま、せいぜい用心棒として頑張ったら?全国大会敗退の”黒手袋”さん?」

 

言うだけ言って、タイシンは去っていった。

 

「ちくしょう、タイシンのやつ……そりゃ世間的にはそうだけどさあ……。

なーんか、G1で勝ってるからって色々と調子に乗りやがって……。

そりゃどーせ俺は全国大会でリュウセイに負けた二番手だっての……。

月夜の晩だけとは思わないことだな……くそっ……」

 

「ボーガーさん!出てるよ!色々とどす黒い何かが出てるってば!

あと、最後の台詞は悪役のものだって!」

 

「どーせ俺は悪役ですよーだっ……!

そーいうわけで、ターボも俺とあまり関わらん方がいいかもな。

あっはっはっはっは……タキオンから代わりのボーグ受け取ってくるわ」

 

そう言って、灰原は手袋をはめて、食堂から去ってしまった。

一人ぽつんと残されたターボは目を潤ませた。

 

「……ボーガーさん、可哀想すぎるよ」

 

「えっ?そうか?」

 

さっきまで灰原が座っていた椅子に、今度はゴルシが座ってきた。

 

「なんだよ、ゴルシ。お前もボーガーさんが嫌いなのか?」

 

「いや、好きな方だぞ、どちらかといえばな。

精神攻撃もしないし、日常生活でも酷いことはしないしな。

かなりの良識派ボーガーだと保証できる。

ただな……ま、百聞は一見に如かず、こいつを見てくれ」

 

スマホに映し出されていたのはどっかで開催されていたボーグバトル大会。

その決勝戦で、相手を精神攻撃もなしに完膚なきまでに叩きのめす灰原が映っていた。

彼のボーグはスピードも攻撃力も何もかもが相手とは段違いだった。

そして、勝利を収めた灰原に対し観客たちは……。

 

『くそが!地獄に落ちろ!黒手袋!』

 

『引退しやがれってんだ、このクズ!』

 

『卑怯者!正々堂々と戦え!チッ!』

 

『あーあ、見に来るんじゃなかった……』

 

『これだったらこの前の菊花賞を見に行けばよかったな。

ライスシャワーだって、正々堂々と戦ってたんだし……』

 

『ライスシャワーはヒールじゃねえ!お前こそが真のヒールだ!黒手袋!』

 

……ターボには、理解できなかった。

どうして灰原がここまで散々に言われなきゃいけないのか。

彼はまったくもって、卑怯な手を使ってないのに。

リュウセイなんて子守歌で無理矢理選手を眠らせるような野郎なのだ。

 

「……おかしいよ、こんなの」

 

「ああ、おかしいよな~……ノーオプションバトルでオプションパーツ使うなんて

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