先生と聞いて、真っ先に思い出すのは、
亡き師である、ツェペリさんの印象が凄まじかった。
「うーん…」
「ジョースターさん?」
「ご、ごめんね!考え事しちゃって…」
「全く、今は勉強中っていうのに…
それで、ここの問題なんですけど…」
五月ちゃんが、僕の顔を見ると、
質問を繰り返した。
今、僕とスピードワゴンは、
別けあって、中野家五姉妹の家庭教師をやっている。
つまり、彼女は僕の教え子である。
果たして、僕はツェペリさんのような先生になれているだろうか?
お世辞にも、そうとは思わない。
「五月ちゃんは、どうして、先生になりたいの?」
一通り、問題集を終えて、彼女に質問した。
彼女は首を傾げて、数秒、そして、答えを探し始める。
「…母のようになりたいから、でしょうか。
一番の理由を聞かれたら、そう答えます」
「…僕と同じだね」
「え?」
「僕にもずっと憧れている先生がいたんだ。
願わくば、僕もその先生のように、
君たちに教えを残したい」
そこまで語って、ようやく気付いた。
僕が今できること、すべきこと。
僕はきっと彼女と同じだ。
理想とすべき師がいて、その存在に憧れて、目指している。
その事実が何を意味しているのか、
五月ちゃんという、存在を通して、初めて知ることが出来た。
「五月ちゃん」
「どうかしましたか?ジョースターさん?」
だから、僕は提案してみる。
「今度、どこか、出かけに行かないかい?」
「お出かけですか?」
「うん、お出かけ。
勉強ばかり、根を詰めていてもダメだからね。
息抜きだって、大事なことだよ」
「わかりました!」
しかし、どこに行こうか、考えていなかった、
僕に落ち度があった。
五月ちゃんは、努力を惜しまない、女の子だ。
学力テストが5人中4番目であったこと
(ちなみに、ビリは四葉ちゃん)
が、少し気になっていたようだった。
そして、責任感も誰よりも強い。
その気持ちは、僕が良く知っていた。
上杉君たちの期待に応えたい。
でも、どれだけ努力を積み重ねても、結果が比例しない。
そんな状態で、勉強を続けても、
悪い方向に進んでしまいかねない。
まずは、そこから、脱却できたことを良しとしても、
紳士たるもの、エスコートを疎かにする訳にもいかないため…
「そうだな…お腹は空いていない?」
「そうですね…勉強に気を取られて、
昼食を食べていませんでした…」
「うん、それじゃあ、食べに行こう!
僕が誘ったから、お金の心配はしないでくれ!」
「本当ですか!」
瞳をキラキラさせる、五月ちゃん。
純粋たる笑顔も、また、彼女の魅力といえるだろう。
こうして、僕と五月ちゃんは、街へとやって来た。
僕が生きていた、イギリス。
ましてや、1888年当時では、考えられない文化、
それが、食べ歩き。
少し行儀が悪い気がするが、それはそれ。
郷に入っては郷に従えという、感じだ。
ともあれ、彼女との食べ歩きはとても楽しかった。
それこそ、本来の目的を忘れそうなくらいだ。
「ジョースターさん、次はたこ焼きが食べたいです!
あっ、後で肉まんが食べたいです!」
彼女は食べることが、本当に好きなようだ。
今だけは、勉強から視野をはずせている気がする。
その後、たい焼きや、クレープといった、
スイーツも食べていた。
「ちょっと、ベンチで休憩するのは、どうかな?」
「ジョースターさんが疲れるなんて、珍しいですね」
「ちょっと、食べ過ぎたかな…」
僕と五月ちゃんは、しばらく、ベンチで休憩した。
誰をヒロインにしたいですか?
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中野一花
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