私はキリシュタリア・ヴォーダイム。
時計塔にて天体魔術を学ぶ一学生であり、ヴォーダイムの次期当主でもある。
魔術師としては天才の部類に入るらしく、日々、期待と羨望と嫉妬を受けている。
誰もが私を完璧に近い魔術師だと思っているだろうし、それ故に次期当主とされるのだろう。
しかしだ。
私の本質、私の正体に気が付いているもの、知っているものは未だ存在しない。
私は転生者である。
私は孤独だった。
誰にも私の真実を話せなかった。
話したところで信じてもらえるかわからなかった。
結局、私はカルデアに来るまで、誰にも転生者であるということを明かさなかった。
そして、西暦2016年、遂にこの日がやって来た。
今思えば、この私が起こした行動によって運命は大きく動き出したのだろう。
「やあ、マシュ。そこにいる彼が最後のマスター候補かい?」
古代メソポタミアの都市国家、ウルクを統べる王である。
父は神と人との間に生まれ、母は女神である我は生まれながらにして支配者であった。
我の貌はあらゆるものよりも美しく、我には誰よりも強い王である自負があった。
故に、我は人に裁定を下す者として自らを位置付けた。
などと偉そうなことを言っては見たものの、結局は我も転生者である。
肉体に引っ張られたのか、尊大な口調や王としての風格はすっかり自らのものとなってしまったが、かつてはただの人間であった。
故に、我の知る英雄王ギルガメッシュとは違い、我のやらかしはかなり減ったように感じる。
まあ、中身が変わってもそこは英雄王。
死後に英霊となることは必然であるがゆえに、我は千里眼で見た未来の同胞に会いに行くことを決めている。
待っておれ、我が同胞達よ!
「鳴らない言葉をもう一度叫んでー、赤色にそま・・・、なんだシドゥリ、我は今日課の体操をしていたのだが、見てわからんか?」
「ええ、それは存じておりますが、王よ、召喚です」
「ふむ、ならば仕方あるまい。行くぞ、カルデア!」
唐突だが、俺、藤丸立香は転生者である。
そう、世界の命運を背負う男、声が回す方のノッブこと藤丸立香である。
・・・ふざけてんのか。
俺は憤った。
藤丸立香が人理を修復出来たのは奇跡がいくつも積み重なったからだ。
中身が変わっても同じようになるとは限らない。
下手すれば、俺が転生した時点で詰んでいるのだ。
もう一度言おう。
ふざけてんのか!
とは言え、今俺が叫んでもどうにもならないことはわかりきっている。
なので、全力でふざけてやろうではないか。
そんな思考に俺がなったのはカルデアに誘拐やって来てすぐのことだった。
なんでそうなったのかって?
「私はキリシュタリア・ヴォーダイム。藤丸君、歓迎するよ、同じマスターとしてね?」
まともな世界線のキリシュタリアが大戦略Tシャツ着てるわけねえだろうが