オベロンこいや・・・!
ジャガーマンの後頭部にフライパンをぶん投げた人物の正体。
それは赤い外套を身に纏う
「悪かったな、少し目を離した隙にどっかいってしまってな」
「あ、あなたは?」
「なんだ、マーリンから聞いていないのか?
なら先に自己紹介だな。俺はサーヴァント・アーチャー、衛宮士郎。ギルガメッシュに召喚されたサーヴァントだ。よろしくな」
その男はそう名乗ったのだった。
「いやー、ごめんねー!時々ジャガーマンになっちゃうのよねえ!普段は私が表に出ているんだけどなー」
しばらく後、ジャガーマンは目を覚ましたのだが、先ほどと違って、いきなり襲ってくるようなことはなかった。
その理由は依り代となった人間が身体の主導権を取り戻したからであった。
「信じられない、まさか精神力と我の強さだけで神霊から身体の主導権を奪っているなんて、そんなことあり得るのか!?」
「正確にはそれだけじゃないのよ、魔術師さん?」
「藤ねえは俺と会うまでは自意識が無かったらしいんだ」
「士郎が呼んでくれたから出てこれたのよ」
依り代となった女性の名前は藤村大河。
とある世界の冬木市で教師をしていた一般人らしく、聖杯戦争の関係者と数多く知り合い、本人もまた、被害にあっていたことが理由で聖杯と縁ができていたと言うのがマーリンの推察だった。
「さて、ここがウルの街よ!みんなー、ただいまー!」
ウルの街に着くと、多少は全体的に疲れた雰囲気は感じるものの、住民は無事であるようだった。
「女神の襲撃があった地域とは思えないな」
「いや、普通にあったわよ?襲撃」
「じゃあなんで被害がこんなにも少ないように見えるのかな」
「んー、ククルンの性格も関係あるけど、大体は士郎が何とかしてくれたから」
詳しく聞くところによると、ここを襲撃したのは南米の女神、ケツァルコアトル。
彼女は基本的に弱者を襲わず、戦うことの出来る男性のみを狙って戦いを挑んでいたとのこと。
何人かの犠牲者は出たものの、異変を察知したギルガメッシュによってアーチャー衛宮士郎が送られ、今まで数週間に渡って女神ケツァルコアトルと戦い続けていたとのことだった。
「俺はこれでも『名も無き正義の味方』という概念を伴って召喚されている。所謂正義の味方として戦った者達の力を結集させたハイサーヴァント、それが俺だ。なまじ並のサーヴァントよりも強いせいで戦いに決着がつかなかったんだよ。俺が切り札を切れないのを察してか、彼女も必殺技じみたものは使わなかったしな」
と、街中を進んでいた一行だったが、先導していた士郎と大河が一軒の家の前で立ち止まったことで歩みを止めることとなった。
「ここが今俺たちが間借りしてる家だ。ここまで暑かっただろ?一回休憩していこう」
「ふいー、生き返るー」
「まさか、紀元前でエアコンの風を浴びられるとはね」
「やっぱり士郎くんの魔術はスペシャルだねえ」
家の中はエアコンが効いており、快適であった。
「さて、それでケツァルコアトルはどうにか出来るのでしょうか」
「このメンツなら行けると思う。俺と藤ねえだけだと支援できるヤツがいなかったからな。マーリンが来てくれている上にギルガメッシュまでいるならうまく説得までいけると思う」
「君は説得することが出来ると言うんだね?」
「ああ、勝てばなんとかなる。そこは確認取ったからな」
「うんうん、ククルン嘘は吐かないからねえ」
冷たい水で体を冷やした一行はウルの神殿へと向かった。
「ここにケツァルコアトルがいるんだね」
「あの、やたらでかい斧は・・・」
「マルドゥークの斧だ。今回の調査で確認しておきたかった物だな」
と、突如女性の声が響き渡る。
「ハーイ!シロウ!今日も私と戦いに来てくれたんですねー!しかも、新しい仲間も連れてきたんですか?」
「おう、やっとあんたと決着を付けられそうだ!」
「それは、楽しみですね!」
そう言うと、神殿から人影が飛び出す。
「あなたが、女神ケツァルコアトル・・・!」
「イエース、その通りデース!あなた達とは始めましてですね?カルデアのことはエルキドゥから聞いていますよ!」
「なら、話は早い。我々はこの特異点を修正するのが目的で、さらにソロモンを止めることが最終目標だ。そのために、この特異点においてのみで構わない、協力していただけないだろうか?」
「んー、私は人間が大好きなので、それ自体は別に構わないんですけど、流石にただで手伝っちゃうのは違うと思うんですよねー」
「まあ、ならやることは一つだ。先に相手に参ったと言わせたほうが勝ち。そういう、勝負でどうだ?」
「私としてはシロウと婚姻を結べれば一発なんですけど、あなた既に相手がいるようですし、それでオッケーデース!私が勝ったらそこのシロウの身柄をいただきマース!」
(流石元祖主人公!)
(私達の知らないところで勝手に女神落としてる!)
どうも、士郎の正義を邁進する姿勢と、その根元にある他者への思いやりがケツァルコアトルに刺さったらしい。
「さあ、行きまーす!」
「来るぞ!マーリンはギルと士郎さんに支援!大河さんは前線お願いします!」
「マシュは大河と一緒に行ってくれ!アナは死角をついてヒットアンドアウェイだ!」
戦いは終始カルデアの優勢で進んだ。
もちろん、ケツァルコアトルも非常に強く、油断すれば、簡単にこの有利は崩れてしまったであろう。
しかし、今回は相手が悪かった。
「そこだ、足枷をくれてやる!」
慢心しないギルガメッシュ、
「I am the bone of my sword. カラドボルグ!」
彼女と何度も戦った士郎がいた。
「やれ、
『捕縛だね!わかるとも!』
「それに捕まるのはデンジャーですからね!当然避けますよ!」
「干将莫耶!」
「しまった!」
決着はついた。
一体どれ程戦ったのか、全員が疲労で倒れそうだった。
「オーノー!捕まってしまいました・・・。これでは素直に敗けを認めるしかないようですね・・・」
「さて、それじゃあ聞きたいことが山ほどあるんだが、答えてもらえるかな?」
「そういえば今日終始ギル無口だったよね?どうした?」
「我、感無量」
「「泣いてる!?」」
「本物の衛宮士郎に会えるとか、我生きてて良かった!まあ、我死んでるんだけどね!」
「号泣してるギルガメッシュとかびっくりだわ・・・」
衛宮士郎のイメージ描いてみました。
だけどトレスなので、問題ありそうだったら消します。
【挿絵表示】