光速の走り屋オオサキショウコ 第2部   作:まとら魔術

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 あらすじ
 オオサキは和倉千路のピアッツァと遭遇する。
 一進一退の攻防の末、追い抜くことに成功した。
 裏榛名を出た途端、スタートを妨害した集団のリーダー格、重信杏里のサバンナと遭遇する。




ACT.7 重信杏里

 

 裏榛名にて。

 ワシはブローしたC4のボンネットを開けた。

 

 

「くそ! 何が壊れたんや?」

 

 

 ワシにはエンジンの知識がないからどこが壊れているのかが分からない。

 

 

 その時、1台のトラックがやってくる。

 

 

「キャノンボールレースのスタッフです。エンジンブローだと聞いて駆けつけました」

 

 

 スタッフはC4をトラックの荷台に載せる。

 

 

「はいこれで、よしと」

 

 

 C4が積まれたトラックに乗り込んだ。

 その状態でスタート地点へ向かう。

 

 

 あきらの状況が気になる者がいた。

 

 

 長い桃髪をツーサイドアップに結んだお嬢様と年老いた執事だ。

 

 

「あのC4乗り、彩依里あきらと言うのか」

 

 

「その通りでございますな」

 

 

「あいつはこの前、あたしのレイスにぶつけてきた奴だ。あたしはあいつを恨んでいる。その影響であいつは借金を背負う羽目になっちまった」

 

 

 レイスとはロールスロイスのクルマのことだ。

 そのクルマが彼女の愛車だ。

 

 

「エンジンブローしたようですね」

 

 

「あたしのクルマをぶつけた天罰だ。奴には相応しい末路だぜ。このままオシャカになったほうがいい」

 

 

 あきらを憎むお嬢様とは一体!?

 

 

 大鳥居を抜け、1台の赤いサバンナを追いかける。

 

 

「重信杏里……おれのスタートを邪魔した件、許さないよ!」

 

 

「大崎翔子……お前は日本転覆の邪魔だ。消えてもらう」

 

 

 互いが敵視しあいしながら、残りの33号線の道路を走っていく。

 途中、2台とも何台かクルマを抜いていき、順位を上げる。

 

 

 211号線に入る途中、あるクルマを見かける。

 カワさんのA31型セフィーロだ。

 

 

「サキはんのワンエイティが来たで」

 

 

 2台はそのクルマを追い抜こうとするも、カワさんの能力で弾き飛ばされる。

 しかし再びその体勢に入ると、A31の前に出ることに成功する。

 

 

 重信は2位、おれは3位となる。

 

 

 その順位になった途端、目の前が真っ黒になる。

 

 

「前が見えない!? どこを走っているの?」

 

 

 前が見えないおれはクルマをふらつかせ、スピードを落とす。

 重信のサバンナとの距離が離れる。

 

 

「クリムゾンバード流<アフターダーク>、しばらくの間だけ相手の目を暗くする技だ。これで我を抜くことが出来まい」

 

 

 しばらくは高速区間が続き、おれはサバンナに離されていく。

 パワーは相手の方が上だ。

 

 

「我のサバンナは400馬力を越えている」

 

 

 差はどんどん広がる。

 

 

 122号への道が封鎖されて左コーナーとなった区間。

 ここで離された距離を縮めようと、萌葱色のオーラを発生させる。

 

 

「小山田疾風流<フライ・ミー・ソー・ハイ>!  イケイケイケイケイケー!」

 

 

 高速ドリフトで追い上げ、距離を縮める!

 

 

「中々やるな。だがここからはどうかな?」

 

 

 また高速区間が来る。

 サバンナとの距離が離れる。

 

 

 122号線と結ぶ右側が塞がれ左90度ヘアピンになったT字路。

 

 

 前のクルマが白いオーラを纏う。

 

 

「クリムゾンバード流<ワンダーフューチャー>!」

 

 

 光を描くような高速ドリフトで攻めていく。

 

 さらに距離が離れてしまい、ついにサバンナの姿が見えなくなった。

 

 

「くっそ! どうやって近づけばいいんだ!?」

 

 

 おれは焦った。

 顔を引っ掻きたい気分だ。

 苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

 

 一方、はるか前のサバンナはあるクルマを捉える。

 

 

「2位の重信選手! 1位の和倉奈々央選手を追いかけていく!」

 

 

 かなりの旧型車っぽい見た目をしたオレンジ色のピアッツァに乗る和倉奈々央だ。

 さっきおれが激戦を繰り広げた和倉千路の姉だ。

 

 

 2台は211号線を終え、406号線、130号線を過ぎていく。

 

 

 まっすぐ続く48号線への進路が塞がれ、左ヘアピンとなったT字路。

 

 

 サバンナはピアッツァに対して仕掛け、赤いオーラを纏う!

 

 

「大崎翔子はもう離した。勝負だ。和倉奈々央! <アジアン・カンフー・ジェネレーション>!」

 

 

 それを纏ったサバンナがピアッツァのサイドにぶつかっていく。

 火花が飛び散る音がする。

 

 

「危ねぇ走りわいね!」

 

 

 もうちょっとで事故が起きそうな接触だ。

 48号線に入った2台は、ややサイド・バイ・サイド状態となる。

 ピアッツァのフロントフェンダー近くにサバンナがいる。

 

 

 一方、遠く離されたおれとワンエイティはまだ130号線を走っていた。

 

 

「どこにいるんだ? 重信杏里!」

 

 

 重信への怒りは収まらない。

 

 

 だが不利な直線が続き、どんどん離されていく。

 

 

 130号と48号線を結ぶ、真っ直ぐの方向が封鎖されて左ヘアピンとなったT字路。

 

 

 ここで銀色のオーラを纏う。

 

 

「小山田疾風流<スティール・ブレイド>! イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェー!」

 

 

 高速のゼロカウンタードリフトで2台を追い上げていく!

 

 

 48号線を進んでいき、215号線に入る。

 そこのロングストレートで、直ドリのまま<スティール・ブレイド>を使う。

 

 

「イケイケイケイケェー!」

 

 

 ちょっとでも距離を縮めたかった。

 

 

 215号線終えて122号線に入る。

 

 

 郡西商事後を抜けた後の2連続ヘアピンの2つ目に入ると銀色のオーラを纏う。

 

 

「小山田疾風流<スティール・ブレイド>! イケイケイケイケイケイケイケイケェー!」

 

 

 速度の速いゼロカウンタードリフトで、遠く離れた重信を追いかけていく。

 

 

 先頭を争う2台は八本松松井田線へ入った。

 ぶつけられたはずのピアッツァは、その出来事とは裏腹に、サバンナを大きく引き離していた。

 

 

「速い……直線ではついていけない!」

 

 

「うちのピアッツァはVR38DETTとアテーサET-S方式の4WDを移植したクルマま!」

 

 

「このピアッツァは中身はR35型GT-Rだ! サバンナを引き離していく!」

 

 

 ピアッツァとサバンナにはパワー差があった。

 そのVR38はノーマルより少しデチューンされているものの、中々のパフォーマンスだ。

 

 

「石川最速の走り屋、クルマも100万石のパフォーマンスだ!」

 

 

 直線が続く18号松井田バイパスへ入ると、その差は開いていき、約150mとなった。

 しかしその区間の後半に入ると、縮まっていく。

 

 

「トルク重視のセッティングに無理があったな」

 

 

「能登の峠を意識したことが仇になっとるま……」

 

 

 重信はサバンナに萌葱色のオーラを纏わせる。

 

 

「クリムゾンバード流<ブラッドサーキュレーター>!」

 

 

 サーキュレーターの如く加速をしていき、ピアッツァの前へ出た!

 

 

「おっと、重信選手! トップに躍り出た!」

 

 

 18号松井田バイパスに入ったばかりのおれは、実況のアナウンスを聞いて戦慄が走った。

 

 

「重信杏里が1位になっただと!?」

 

 

 彼女は遠くにいる。

 ここで直ドリ版<スティール・ブレイド>を使い、トップ集団を追いかけていく。

 

 

 先頭集団は、真っ直ぐ走る方向と右側が封鎖されて90度の左ヘアピンとなった十字路を抜けると、51号松井田下仁田線へ入る。

 

 

 前を走るサバンナは突如減速し、ピアッツァと接触する。

 

 

「うわッ! 危ねー奴ま!」

 

 

「赤い鳥の存在を示すために、1位にならなきゃ行けない。国家転覆のために」

 

 

 またわざと減速して、ピアッツァと何度か接触していく。

 バンパー同士がぶつかる音が連続でする。

 

 

「うう! うちのピアッツァを壊そうとするんか! こうなったら……」

 

 

「おっと! サバンナはピアッツァの走りを妨害する!」

 

 

 重信に妨害されつづける奈々央は、赤いオーラを纏って窮地を抜け出そうとする。

 

 

「能登のカストル流<カストルの火牛>」

 

 

 烈火に包まれた猛牛の如く加速していき、妨害するサバンナを抜いていく。

 

 

「やるな、石川最速」

 

 

「和倉奈々央選手が再びトップに躍り出た!」

 

 

 奈々央を先頭とした2台は、51号線を抜けて、213号磯部停車場妙義山線を通ると、いよいよ196号上小坂四ツ家妙義線……走り屋の間で妙義山と言われる区間へ入る。

 ピアッツァはVR38のパワーと4WDのトラクションでサバンナを引き離す。

 

 遅れて、おれもそこへ入っていく。

 

 

「あの2台に追い付かないと!」

 

 

 果たしておれは妙義の道で追い上げることができるか?

 

 峠の戦いに慣れているから、逆転できる自信はある。

 

TheNextLap

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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