光速の走り屋オオサキショウコ 第2部   作:まとら魔術

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 あらすじ
 オオサキはサバンナに乗る重信と遭遇した。
 彼女を追いかけるも、パワー差で引き離されてしまうのだった。
 その重信はトップを走る和倉奈々央と勝負を繰り広げる。
 レースは妙義山へ突入する。



ACT.8 和倉奈々央

 

 

 130号線を抜けて、48号線へ入る。

 サキはんや赤いサバンナらに離されたうちのA31とくにHCR32の後ろに1台の影が迫る。

 

 

「何かか来る!」

 

 

「またロータリーの音が来るで」

 

 

 そのクルマはRX-7やRX-8、サバンナでもなかった。

 最近発売されたクルマ、ND5RC型ロードスターだった。

 

 

「こっから全力を出すとするかのう」

 

 

 右高速ヘアピン。

 3台共ここをグリップ走行で攻める。

 

 ND5RCは前を走る2台以上の速さで抜けていった。

 

 

「速ァ! なんやねん、あのクルマ!」

 

 

「くにちゃんのトルクでも離せなかったよ!」

 

 

 ヘアピンを出ると、鬼のような速さでHCR32を追い抜く。

 A31の前へ出ようとするも、うちの能力で弾き飛ばされる。

 

 

「もう1回じゃ」

 

 

 再び追い抜きの体制に入ると、今度こそA31の前に出ることに成功した。

 2台を追い抜いたND5RCはそのまま引き離していく。

 

 

「速いわ、あの新しいロードスター」

 

 

「もう1台来るよ」

 

 

 HCR32の後ろに、青緑・黒・赤の派手な3色のS15型シルビアが迫ってきた。

 殺気溢れる気配を持つこのクルマはうちらを狙っている。

 

 

 196号上小坂四ツ家妙義線。

 道の駅みょうぎを抜けて、妙義温泉前のS字から右高速ヘアピンを通る。

 また右高速ヘアピンを抜け、ここからは長い直線だ。

 

 

 先を走る2台との差を縮めたいあまり、鉄のオーラを纏う。

 

 

「小山田疾風流<スティール・ブレイド>!」

 

 

 直線で高速のゼロカウンタードリフトを使い、2台を追いかける。

 

 

「イケイケイケイケイケイケイケイケー!」

 

 

 縮めたのは束の間、左ヘアピンを抜けると高速セクションに入る。

 2台にパワー差で離されてしまう。

 

 

「やっぱパワーでは勝てない!」

 

 

 ただしコーナーではおれの腕で縮めることできるけど。

 高速区間の次は曲線が続く区間へ入る。

 

 

 有利な所であるが、それ以前に問題が存在する。

 

 

 今走っているのが上り坂である点だ。

 ここだとパワーとトルクのあるクルマの方が速く走れる。

 

 

 コーナーで縮めることが出来ても、それはちょっとぐらいだという話だ。

 

 

 智姉さんからの通信が鳴り、車内に設置してあるトランシーバーで会話する。

 

 

「オオサキ、妙義山に入ったようだな」

 

 

「そうです」

 

 

「そこから上り坂だから、WHITE.U.F.Oの柳田と戦った時みたいにタイヤのグリップ力を削るドリフト走行を使わず走れ」

 

 

「分かりました」

 

 

 柳田戦の時、相手がサイドブレーキドリフトを使う走り屋だったため智姉さんから指示された「ドリフト封印」という走りで勝負し、彼女を自滅に追い込んで勝利した。

 

 

 それは2台に通用するのだろうか?

 

 

 ドリフトからグリップ走行に変えて、残りの曲線区間を抜けていく。

 重信のサバンナに接近する。

 

 

「いよいよ追い上げてきたか、大崎翔子。だが、我が潰す」

 

 

 重信はわざと減速して、ワンエイティの後ろへサバンナを後退させる。

 

 

「来たわいね、千路を倒した赤城最速が!」

 

 

 奈々央はバックミラーでワンエイティを確認する。

 

 

 S字を抜けると直線へ入り、ピアッツァはVR38のパワーで2台を引き離す。

 

 

 高速右ヘアピンに入った途端、サバンナが赤いオーラを纏う。

 

 

「潰してやる! クリムゾンバード流<アジアン・カンフー・ジェネレーション>!」

 

 

 物凄い速度でワンエイティに激突してくる。

 その勢いでフラつく。

 

 

「うわ! またやってきたな!」

 

 

 遠くから奈々央がその光景を見ていた。

 

 

「卑怯な走りま……その走りは好きじゃねー」

 

 

 ほんとそれ。

 そんな卑怯な奴からどう逃げようか?

 

 

 左ヘアピン、右ヘアピンを抜けていく。

 また左ヘアピンに入ると無色透明なオーラを発生させて、内側へ突っ込む。

 

 

「小山田疾風流<ズーム・アタック>!」

 

 

 ピアッツァに近づきたいこととサバンナを離したいという気持ちで、ガードレールに接触寸前のコーナリングで攻めていく。

 

 

 おれに負けずと、前のクルマも白いオーラを纏う。

 

 

「クリムゾンバード流<ワンダー・フューチャー>」

 

 

 白い線を描くドリフトで攻めていき、それと同時にワンエイティに接触する。

 

 

「うわ! またまたやって来たのか!」

 

 

 これじゃあワンエイティが傷だらけになる!

 板金代がもったいない!

 

 

 智姉さんの指示でドリフトが出来ず、<ハヤテ打ち>と<ズーム・アタック>しか使うことが出来ない。

 おれに第3の技があればな。

 

 

 どうすれば2台と戦えるのだろうか?

 

 

 一方のピアッツァは妙義スカイパーク後の直線を抜け、その後の右ヘアピンで白のオーラを纏う。

 

 

「能登のカストル流<グラデーション>!」

 

 

 白い光を描くドリフトで攻めていく。

 ワンエイティとサバンナとの差をさらに引き離す!

 

 

「トップの和倉奈々央選手! 2台の追撃を許さない!」

 

 

「うちには勝利しか見とらんわいね。このままトップを走ったるま」

 

 

 さらに、ジグザグした5つのコーナーをピアッツァは抜けていく。

 

 

 そこにおれとサバンナが迫ってくる。

 5つ目にあたる左中速ヘアピンで透明のオーラを纏う。

 

 

「小山田疾風流<ズーム・アタック>!」

 

 

 コースアウト寸前に内側へ接近し、グリップとドリフトの中間の走りで攻めていく。

 

 

 この後の直線、サバンナが萌葱色のオーラを纏った。

 

 

「クリムゾンバード流<ブラッドサーキュレーター>!」

 

 

 超加速をしながら、ワンエイティを追う。

 同時に後ろへ追突してくる。

 

 

「うあッ!」

 

 

 その影響で左右交互にふらつき、左ヘアピンへ入ろうとすると、道路の外側から出そうになる。

 しかし、華麗なハンドルさばきで事を納めた。

 

 

 ワンエイティをコースの外へ追い出そうとしても、サバンナはまだ後ろにいる。

 

 

 なぜか追い抜こうとしなかった。

 

 

 その影響でピアッツァとの距離が大きくなる。

 

 

「この事は許さない、許さないよー!」

 

 

 おれの怒りはだんだん燃えてくる。

 力一杯ハンドルを握り、タイツに包まれた黒い脚で床までアクセルを踏む。

 

 

 3連続ヘアピンに突入し、3つともドリフトとグリップの中間の走りでサバンナを離していく。

 

 

「サバンナを引き離してやろう」

 

 

 怒涛の走りでサバンナから逃げる。

 

 

 直線を抜けると、また3連続ヘアピン。

 ここもドリフトとグリップの中間の走りで攻めていく。

 

 

 次は右ヘアピンが3つ来る。。

 コースから出そうなほど内側に接近しながら、さっきと同じ走りで抜けていく

 

 

 ピアッツァの後ろ姿が見えてくる。

 

 

「ついに捉えた!」

 

 

 このクルマを抜けば、トップになれる。

 しかし、大量の赤いオーラを纏った。

 

 

「ついに追いついてきたま、こっから本気出すわいね! 能登のカストル流<グローイング・アップ>!」

 

 

 そのオーラは炎の如く燃え上がる!

 さっき以上の走りを見せ、おれを引き離していく!

 

 

「おっと、和倉奈々央のピアッツァ! 突然速度が上がった!」

 

 

「速い! 抜かせてくれない!」

 

 

 S字から左ヘアピンを抜け、ここで<ズーム・アタック>を使う。

 その後の5連続ヘアピンで接近するも、烈火を纏ったピアッツァはそれを引き離す!

 

 

「雨原さんと肩を並べるほどの速さだ!」

 

 

 このレースで彼女並みに速い走り屋と出会うとはな……。

 さすが石川最速の走り屋だ。

 

 

 クルマ1台差の2台は右ヘアピンを抜け、左高速ヘアピンも通りすぎる。

 

 

 筆頭岩前のS字ヘアピンに入ると、2台はオーラに包まれる。

 ピアッツァが白色で、ワンエイティが無色透明だ。

 

 

「<能登のカストル流>グラデーション!」

 

 

「小山田疾風流<ズームアタック>!」

 

 

 ピアッツァは白い光を描くドリフト、ワンエイティはガードレールギリギリにドリフトとグリップの中間の走りで攻めていく。

 

 

 2台の距離が離れる。

 

 

「やっぱドリフト縛りだとキツイ……」

 

 

 グリップでも使える技がないと、ついていけない。

 

 

 直後の左中速ヘアピン。

 内側のガードレールの奥に2人の女性がギャラリーしていた。

 1人は桃色のセミロングの髪に緑色のジャケットを羽織り、髪と同じ色のスカートと左右色違いのカラータイツ(左がピンク、右がマゼンタ)を履いている。

 もう1人はマゼンタのポニーテールに、赤いパーカーワンピース、左右色違いのカラータイツ(左が黄色、右が青緑)を履いている。

 

 後者は、おれと雨原の戦いをギャラリーしていたレクサス・SC430乗りの少女でもある。

 

 

「来たよ、お姉ちゃん」

 

 

 ピアッツァが2人の前を通りすぎる。

 遅れてワンエイティも来る。

 

 

「赤城最速も来たよ、追い詰められているね。見てるの、お姉ちゃん?」

 

 

「う、うん」

 

 

「事故ってから元気がないね。走っていた時はやる気があったのに」

 

 

 この2人は姉妹だ。

 ただし、姉の方は元気がなかった。

 

 

 右ヘアピンと左ヘアピンを抜けていく。

 おれはルームミラーを眺める。

 

 

 その時、衝撃の光景が写る!

 

 

「サバンナが来てる!?」

 

 

 後ろとの距離が縮まってきている。

 接近されたら妨害されるかもしれない。

 

 

 右高速コーナーからの3連続ヘアピンを抜けて直線に入ると、あの技を発動させた。

 無色透明のオーラを纏う。

 

 

「<GTRサウンド>!」

 

 

 耳障りする音へ変化したRB26DETTの爆音が重信の耳に響く。

 

 

 サバンナが左右交互にフラついた。

 が、これは一瞬だけの出来事だった。

 

 

「これで我は怯えるか!」

 

 

 技は喰らっていなかった。

 直線でサバンナとの距離は縮み、テール・トゥ・ノーズとなる。

 

 

 そこが終わってシケインの入り口に入ると、サバンナは<アジアン・カンフー>を使ってワンエイティの後ろにぶつかってきた。

 

 

「ぐはッ! またまた!」

 

 

「やべぇま」

 

 

 それを後ろから眺めたピアッツァが、事態を重く見たのかペースを落としてくる。

 おれたちに近づこうとしている。

 サバンナに近づくと危ない気がするが、大丈夫なの?

 

 

 前のクルマとの距離が縮まり、3台ともテール・トゥ・ノーズで走行する。

 

 

「もうすぐ中之嶽神社だ。そこへワンエイティを外に追い出し、神社の鳥居ごとぶっ壊してやろう」

 

 

 そんな作戦を重信は計画していた。

 恐ろしい事を企んでいるようだ。

 神様の天罰が当たるかもしれない。

 

 

 一方、パワーのあるはずのピアッツァは加速するどころかペースを落とし、ワンエイティと並んで走行していた。

 

 

 中之嶽神社前の右ヘアピンに入ると、作戦が実行される。

 

 

「今だ、<アジアン・カンフー・ジェネレーション>!」

 

 

 カンフーパンチみたいなバンパープッシュをワンエイティに目掛けて行う!

 

 

「行けッ!」

 

 

 ぶつかる!

 と思われた時!

 

 

 赤いオーラを纏ったピアッツァがサバンナをコースから神社へ追い出した!

 

 

「何、邪魔をしたな!」

 

 

 コースから出た2台はそのまま停止する。

 

 

「おっと、ピアッツァがワンエイティを守るかのようにサバンナをコースの外へ追いやった! 何があったんだ!」

 

 

 実況もこの光景を見て驚く!

 

 

 おれもワンエイティを停車させ、2台の元へ向かう。

 ピアッツァの所へ着くと、そのクルマの窓を開けた奈々央と会話した。

 

 

「どうしておれを守るかのようにサバンナを追い出したの?」

 

 

「うちは勝利第一の走り屋ま。けど、負けること以上に卑怯な奴が好きじゃあねぇわいね! せやから、あの危険な走りをしとるサバンナを能登のカストル流<ロングラン>でそいつを追い出したま! うちの事を気にせず、先行き」

 

 

「分かったよ!」

 

 

 サバンナをコースの外から追い出すことを成功したものの、石川最速で優勝候補の1人だった和倉奈々央もキャノンボールレースでリタイアとなった。

 

 

 彼女に言われて、おれはワンエイティと共に先を走る。

 

 

「これでよかったのだろうか?」

 

 

 2台がリタイアしたことでトップになったものの、それらに勝った実感はなかった。

 

 

 そのまま妙義の道を走る。

 

 

 それも束の間、新たなライバルが出現する。

 

 

「トップを走っている赤城最速の大崎翔子選手ですが、遥か後ろから毛利スグル選手が追い上げてくる!」

 

 

 毛利スグルとは、この前、裏榛名の練習中に遭遇したND5RC乗りだ。

 そのクルマにはロータリーエンジンを載せている。

 

 

 後ろからあの名車の色を彷彿させる派手なオープンカーが来る。

 

 

「よくやるのう。じゃが、優勝はワシのもんじゃ」

 

 

 一難去ってまた一難。

 トップを賭けたバトルが始まろうとする。

 妙義の道は終わりに差し掛かり、3つの山を駆け抜けるキャノンボールレースはもう後半に入っている。

 

 

 長く走ったため、おれの精神は限界に近い。

 

 

TheNextLap

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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