光速の走り屋オオサキショウコ 第2部   作:まとら魔術

20 / 20
あらすじ
 オオサキは逆転をしようとしたものの、谷のS15の前に出ることができず、キャノンボールは準優勝に終わる。
 中々の結果だが、彼女に負けたことは悔しかった。
 リタイアしたあきらの方は、C4をエンジンブローさせたことを松平に叱責された。
 幸い、エンジンを載せ変える形で修理が決まり、アコードエアロデッキという代車が用意された。



ACT.15 弱まる力

 

 

 覚醒技……それはドライバーとクルマに特別な力をもたらすものだ。

 

 

 タキオン粒子で出来たオーラをドライバーの精神力で発生させることで、物理法則を越えた、人馬一体の走りをすることができる特殊能力だ。

 その走りはまるで、自分以外時間(とき)が止まっているに等しい。

 

 

 ただし使用するにはドライバーの気力と体力を使い、使用してから数秒間は技が使えない。

 

 

 そんな力に……ある変化が起きていた。

 それは強くなるものではなく、弱くなるものだった。

 

 

 キャノンボールから1夜開けた、6月29日の月曜日の午前6時。

 3台のクルマが赤城山を登っていた。

 車種はR35とワンエイティだけでなく、緑のアコードエアロデッキが走っていた。

 

 

 ヒルクライム最初の5連続ヘアピン。

 そこをドリフトで抜けたおれたち2台は、エアロデッキを引き離していく。

 

 

「速いわぁ、オオサキさんたち。ワシの腕やとついていけん」

 

 

 乗っていたのは、制服姿のあきらだった。

 彼女のC4はエンジンブローで入院中だ。

 そのため、代車としてエアロデッキに乗っている。

 

 

 おれとR35は第3高速セクションへ突入する。

 パワー差が大きいため、離されていく。

 さらにこの前、ミッションをシーケンシャルマニュアルシフトに交換したため、加速力が鬼に金棒となっている。

 

 

 彼女に追い付くために、こんな予告をしていく。

 

 

「次で技を使おうか」

 

 

 それを実行したのは、サクラ・ゾーン最初のコーナーである右中速ヘアピンに入ったことだった。

 サイドブレーキを引き、突っ込む。

 無色透明のオーラを纏い、高速ドリフトの態勢を取った。

 

 

「<コンパクト・メテオ>! イケイケイケイケイケイケイケイケー!」

 

 

 その走りでR35との距離を縮めた。

 前を走る智姉さんが後ろを眺めた。

 

 

「使うのが早すぎだぞ。もっと慎重にならないとな」

 

 

 彼女を追いかけたいから、使ってしまった。

 これを使わなきゃ、ついていけない。

 そう感じた。

 

 

 しかし、それがある悲劇を生むことになる。

 

 

 右高速からの左ヘアピン。

 パワーが必要な登り坂が続くため、離した距離が水の泡となる。

 ヘアピンでは両者ともにドリフトで抜けていった。

 

 

「技を使うのはまだ早いか……」

 

 

 相手はいつ技を使うべきか見ている。

 一度使うとしばらく使えず、使ったら気力と体力を消耗してしまう。

 慎重に使うべきとはその意味だ

 

 

 緩い左からの直線。

 また距離が開いていく。

 

 

 右ヘアピンに突入する。

 今度は萌葱色のオーラを発生させて高速ドリフトしようとした。

 

 

 しかし!

 

 

「オーラが発生しない! なぜだ!?」

 

 

 昨日と同じことが発生した。

<コンパクト・メテオ>使用後は5秒間技を使えないはずなのに……。

 これじゃあ逆転できない!

 

 

「どういうことだよ!?」

 

 

 キャノンボール終盤と同じ状況だ。

 智姉さんについていけない!?

 覚醒技が使えなくなったのか!?

 

 

 

 今、覚醒技はどんな変化が起きているんだろうか?

 もしかして1バトルに1つと限らないよね……?

 

 

 その真相は頂上に到着した後で知ることになる。

 エアロデッキに乗るあきらもそこについた。

 

 

「遅れました……2連ヘアピンの1つ目で<ハヤテ打ち>を使ったんですが、その次の次の高速右ヘアピンでまたそれを使おうとしたら、5秒経っとるにも関わらず、使えませんでした。なんなんですか?」

 

 

 あきらにも同じことが起きていた。

 

 

「本当に起きているのか?」

 

 

「そうです。<コンパクト・メテオ>を使った5秒後に<フライ・ミー・ソー・ハイ>が使えませんでした。昨日のキャノンボール終盤、大沼で<コンパクト・メテオ>の後に<ハヤテ打ち>を使えないことが起きております。何が起きているのでしょうか?」

 

 

 それを聞いた智姉さんが助太刀した。

 

 

「私が調べよう。かつて一緒に戦ってくれたサラマンダー財団と連絡する」

 

 

 サラマンダー財団とは福井県に本拠地を置く団体だ。

 災害救助といったボランティア活動や支援を行っていただき、覚醒技といった特殊能力についても詳しい。

 代表は智姉さんの盟友が務めている。

 スマホを使い、その組織の特殊能力活動課に電話する。

 

 

 通話を終えると、ある出題をした。

 

 

「オオサキ、彩依里、覚醒技のオーラって何で出来ていると思う?」

 

 

「ワシにはわからんです」

 

 

「タキオン粒子でしたよね?」

 

 

 過去に教えてもらったから、そう考えた。

 しかし、それだけではなかった。

 

 

「他にもあるぞ?」

 

 

「何ですか?」

 

 

「オーラはタキオン粒子とマナニウムが合体したものだ」

 

 

「ウェヒヒ……マナニウムが存在していましたか……」

 

 

「忘れていたのかい!」

 

 

 それは置いといて、読者の皆様には聞いたことのない言葉が出てきた。

 

 

「マナニウムって何ですか?」

 

 

 あきらはそれを知らない様子だから、智姉さんが教えてくれる。

 

 

「意思の力や物理現象で稼働し、火や水、風や土といった地球の元素を持ち、相手を火傷させたり、凍えさせたりさせることができるエネルギーだ。走りに関係ない技はタキオン粒子の代わりにマナニウムが発動する」

 

 

 いわば、覚醒技の超能力の源だ。

 

 

「技を使った後にそれをしばらく使えなくなるのはマナニウムの回復を待つためだ。だが、段々マナニウムが弱くなっている。マナニウムは青い隕石が落下することで発生するものだが、隕石が最近降らないせいで、弱体化が発生している。そのせいで回復に時間がかかる」

 

 

 青い隕石とは、覚醒技の源となるタキオン粒子とマナニウムでその色になっている隕石のことだ。

 見たもの人には覚醒技を与えるという。

 落下したところには、隕石草という薬の元になる地球外植物が咲くだけでなく、多くのマナニウムが発生する。

 

 

「それで<コンパクト・メテオ>使用して5秒経っても使えなかったんですか!?」

 

 

「財団曰く、5秒どころか30秒経たなければいけなくなった」

 

 

 そ、そんなに長くなっているの!?

 <コンパクト・メテオ>まで30秒経たないと使えなくなったら……。

 そんな状況、どうすればいいいの!?

 

 

「戦い方を変えなきゃ行けなくなりました」

 

 

「そうだな。覚醒技に頼らない戦い方を考える必要だ」

 

 

「ワシもですか?」

 

 

「彩依里もだ」

 

 

 覚醒技に頼らないドライビングを考える必要があるな……。

 どうしようか……。

 柳田戦の時、それを使わずに距離を縮めた挙げ句に倒したんだよな……。

 

 

「次から走りの基礎も鍛えるべきだろうか」

 

 

「その方がいいかもしれません」

 

 

「ワシもです」

 

 

「決まりだ。今度から特訓を新しくしようか……出来れば、六荒も呼んでこようと考えている」

 

 

 変化した覚醒技。

 これからのおれの戦いにどう影響するのだろうか?

 谷や他の群馬の峠の走り屋には負けられない。

 あと、他の走り屋の覚醒技も変化するのだろうか?

 

The NextLap

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。