光速の走り屋オオサキショウコ 第2部   作:まとら魔術

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ACT.1 谷輝

 あらすじ

 オオサキが雨原に勝って2週間が経過した。

 新聞に入っていたチラシが気になり、それはキャノンボールの広告であり、それに参戦することを決めた。

 和食さいとうに1台のクルマが突っ込みそうになる。

 車種はC4型コルベット、ドライバーは彩依里あきらという名の少女だった。

 あきらは1人前の走り屋になりたいあまり、オオサキと勝負して腕を確認しようとするのだった。

 バトルはあきらの降参で終わり、彼女はオオサキに弟子入りを志願した。

 

 昼11時。

 いつもより早く、赤城山ダウンヒルのスタート地点前にある駐車場へ来ていた。

 あたしの名は雨原芽来夜、かつては赤城最速だったけど……オオサキちゃんに敗れて今は前・赤城最速だ。

 彼女に負けてから何かとふっ切れた気分で、重圧から解放された感じだ 。

 

 あたしがいる駐車場に1台のクルマが来る。

 URAS製TYPE-GTのエアロを身に付け、上からオオサキちゃんのワンエイティみたいに青緑・黒・赤の派手な三色のカラーリングをした日産のS15型シルビアだ。

 

 クルマからドライバーの女が降りてくる。

 彼女は、180cmを越える高い身長をしていて、髪型は腰まで伸びている青緑の長い髪をサイドテールに纏めている。

 服装は髪色と同じ色のジャケットに黒のTシャツ、下は赤いスカートに同色のタイツを履いていた。

 

「谷、来たのか」

 

「雨原……わしはこの前のバトルをギャラリーしとったぞ。おぬし、負けたんじゃのう」

 

 彼女のフルネームは谷輝(たに・ひかる)。

 草レースにおけるあたしのライバルだ。

 

「負けたよ……けど負けた悔しさより新しい最速の誕生が生まれた嬉しさの方が勝っているぜ」 

 

「そうか……あと、これには興味あるのかのう?」

 

 谷はポケットから1枚の紙を取り出す。

 紙は、彼女のS15も写っている、上毛三山を丸々使ったキャノンボールレースを宣伝するチラシだった。

 

「キャノンボールのチラシじゃ。わしはこれに参加するんじゃ。雨原、これに興味あるんか? 開催は再来週(28日)じゃ」

 

「断るよ」

 

「何じゃと!?」

 

「そんなんに興味を持たねぇよ。あたしらDUSTWAY全員は参加しねぇと決めている」

 

「そうか……わしは面白そうと思っとるけえの……」

 

 次に谷はこんな提案を持ちかける。

 

「久しぶりにお主と峠でバトルしとおなった。どうじゃ、誘いに乗るけぇ!?」

 

「キャノンボールには参加しないが、お前とのバトルには乗るぜ。ただし、あたしは最近負けたばかりだから楽しくないかもしれないぜ」

 

「お主が負けた走り屋じゃと聞いても関係ない。すぐ始めるぞ」

 

雨原芽来夜(FD3S)

 

VS

 

谷輝(S15)

 

コース:赤城下り

 

 それぞれのクルマに乗り込み、道路へ出る。

 3ローターとSR20のサウンドを奏ながら、2台のクルマが獰猛に走り出す。

 あたしが先攻だ。

 

 まずは左高速ヘアピン。それからS字からの左U字ヘアピンに入る。

 そこであたしも谷も共にドリフト走行で攻める。

 

「劣っとらんのう、こないだのバトルで負けたとは思えん。冴えとるドリフトじゃ」

 

 コーナーではあたしの方が上で、谷のS15との距離を離す。

 右中速ヘアピンからの直線。

 直線では相手の方が上だった。

 

「さすが530馬力の加速だ。張り付かれている!」

 

 あたしと谷の差はテールトゥノーズになる。

 直線を抜けると3連続ヘアピンに入る。

 

 その3つ目のヘアピンにて、2台のボディは透明なオーラに包まれる。

 

「行くぜ、<コンパクト・メテオ>!」

 

「行くぞ、<コンパクト・メテオ>!」

 

 2台は高速ドリフトでコーナーを通過していく!

 その技は覚醒技の初歩的な技だ。

 <コンパクト・メテオ>同士のドリフト対決は互角の勝負だった。

 

 右U字ヘアピン、S字コーナー、2連ヘアピンを抜けて第1高速セクションに入る。

 そこも抜けると、S字と右U字の複合コーナーであるハンマーヘッドに突入する。

 

 ここで両者共にオーラを纏う。

 あたしは水色、谷は青を纏う。

 

「赤城のテイルガンナー流<ホワイト・エヴァー>」

 

「梅雨前の緑柱流<スライダー・スライド>」

 

 あたしのFDは白い雪が舞うようなドリフト、谷のS15は川が流れるようなドリフトでハンマーヘッドヘアピンを攻めていく。

 

 その頃の和食さいとう。

 ある客たちが来ていた。

 長いもみあげをバンドで留めたジャージ姿の少女、青髪ツーサイドアップに紅白のパーカーを着た少女、えんじ色の髪をポニーテールに纏めて同色のTシャツを着た少女の3人だ。

 

 彼女たちはプラズマ3人娘と言い、おれの取り巻きみたいな人たちだ。

 

「来たべ、サギさん」

 

「お邪魔するで」

 

「見たことない子がいるね」

 

 3人はあきらの方を見る。

 

「こん人たち誰どすか?」

 

「彼女たちはプラズマ3人娘という人で、おれの走り屋仲間なんだ」

 

「はじめまして、彩依里あきらと申します。オオサキさんの弟子です」

 

「弟子とったんだべ!? わだすは熊久保宣那だべ」

 

「うちは川畑マサミやで」

 

「小鳥遊くにちゃんだよ」

 

 プラズマ3人娘はテーブルにあるチラシのほうに目を向ける。

 

「このチラシは何だべ!?」

 

「上毛三山キャノンボール……?」

 

「なにこれ、くにちゃん面白そう!」

 

「レースの開催日は……再来週(6月28日)だよ」

 

「おらは絶対やるぞ!」

 

「お前やるん? じゃあうちもやるわ!」

 

「じゃあくにちゃんもやるよ!」

 

「どうぞどうぞ!」

 

 おれたち4人でダチョウ倶楽部みたいなやり取りをしながら、プラズマ3人娘もキャノンボールレースに参加することが決まった

 

 あきらの方もチラシに注目する。

 

「それ何どすか!? 上毛三山キャノンボールレース!?」

 

「おれもプラズマ3人娘も参加するレース大会で、再来週開催予定だよ」

 

「それならわしも参加します!」

 

「あきらはあの腕だと無理なんで、もうちょっと鍛えないとね」

 

「なら、もっと上手くなります! どんなもんでも耐えて見せます!」

 

 こうしてあきらもキャノンボールレースに参加することとなった。

 

 

 あたしらはバトルを終えて、ダウンヒルのゴール地点前の駐車場へ着いた。

 それぞれのクルマから降りて、会話をする。

 

「中々の走りじゃったのう。こないだ負けた走り屋とは思えん」

 

「あんたも中々だったぜ」

 

「ところで、お主を倒した走り屋はなんちゅう奴じゃ?」

 

「大崎翔子ちゃんだ」

 

「大崎翔子か……会ってみたくなったのう」

 

 あたしが倒したオオサキちゃんに谷は興味を抱くのだった。

 2人が出会うのは、この後の事だ。

 

The Next Lap

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