破邪の洞窟地下20Fー
「イオラ!」
さまようよろいとホイミスライムがポップの放った閃光の中に消えていく。
ポップは額の汗を拭うと迷宮を歩き続けた。
「もうだいぶきたな…そろそろってとこか」
道幅の広い真っ直ぐな道を進んでいくと急に視界が開けた。
遠くに地底湖に囲まれた小島が見える。
湖ぎりぎりまで近づくと、中央に石造りの祭壇のようなものがあるのがわかった。
湖の周辺を見回してみると、反対側にある橋から小島に渡れるようだ。
橋を渡った所から祭壇までの道の両脇に燭台が並び、ひとつひとつに明かりが灯されている。
「ここに違いねえな──」
橋を渡りポップが祭壇の前に立つと、どこからともなく声が聞こえてきた。
「──リリルーラを求める者よ。汝は何故この力を必要とする」
「困っている友達を救うためです!行っても何も出来ないかもしれない、もしかしたら迷惑かもしれねえけど……でも、力になってやれることがないか、確かめに行きたいんです」
「──心清きものよ、この力を受け取るがよい」
ポップの身体が白い光に包まれ、精霊の祝福が聴こえてきた。ポップがホッと胸を撫で下ろした矢先──
光が急に消え、声が再びポップに語りかけてきた。
「──お前に竜の騎士の匂いを感じる」
「ど…どういう事だ!?そんなわけねえだろっ!」
ポップはかつてバランとの戦いに敗れた際、バランの血を受け、蘇った事を思い出した。
それ以来、傷の治りが早くなり、少しの事ではダメージを受けない身体になった事は確かだが、竜の騎士と同じか、と言われると全くそんなはずは無かった。
「──竜の騎士の血を宿す者は災いを呼び込む存在になり得る。マザードラゴンの承認なしには、破邪の呪文を授けることはできん」
「それじゃあ契約は出来ねえってのかよ!ここまで来たってのに!」
「──立ち去るがよい」
「ちょっと待ってくれよ!俺が竜の騎士だって?そんなわけねえ!俺は人間の両親の間に生まれた、ただの武器屋の息子だぜ?」
「──では仕方ない」
激しい光と轟音が鳴り響き、祭壇から光に包まれた岩の巨人が現れた。
「私は破邪の守護者。力を得るに相応しくないものを焼き尽くす為に神に遣わされた」
ポップは悪夢を見ているようだった。
竜の騎士だと因縁をつけられた上に、今まさに神の使いによって自分は消されようとしているのだ。
「……こうなったら神の使いだろうがなんだろうが構わねえ!ダイに会う前に死んでたまるかよ!!」
ポップはキッと巨人を睨み、身構えた。
「一発で決めてやる……!!」
ポップは精神を集中させ、右手に氷、左手に炎のエネルギーを溜め始めた。
ポップの目が怒りに燃えていた。