ドラゴンクエスト ダイの大冒険Ⅱ   作:だいまどう

16 / 91
ポップの挑戦

ポップが相手の様子を窺おうと顔を上げたその時、巨人は洞窟全体が震えるほどの声で咆哮した。

 

「オオオオオオオオオ!」

 

猛烈な風と衝撃波がポップの全身を襲う。

あまりの衝撃に身体が震え、足元がふらついた。頭の中でキーンと耳鳴りがする。両脚で大地をしっかりと踏みしめると、ポップは再びエネルギーを溜め始めた。

 

もうこれしかこの怪物を倒す術は残されていない__

 

歴戦の経験で培われた本能が彼にそう教えていた。

 

そして、ここで勝たなくてはもう後がない__

 

頭上で巨人がギロリとこちらを見やると、恐ろしい一つ目が青白く光りだした。明らかに攻撃体勢に入っている。

 

「おい…何する気だよ!」

 

次の瞬間、光輪が見えたと同時に

猛烈な光線がポップに向かって放たれた。

 

「うおっ!!!」

慌てて横に飛び退くポップ。

光線が放たれた場所に目をやると黒々とした穴が空いている。

 

「おいおい…まともに当たったらひとたまりもねえな…いよいよやべえかもしれねえぞ。」

 

あともう少し…ポップは心の中で(10、9、8…)とカウントダウンを始めた。

 

巨人はこちらの様子を窺っている。

時折、不気味に岩同士が擦れる音が聞こえる。

 

再び巨人の目が光り始めた。

 

「よし…!」

 

右手と左手に凝縮された炎と氷のエネルギーがひとつになり、それらは巨大な閃熱の弓矢へと姿を変えた。

バチバチと火花が飛び散り、今にも爆発しそうなエネルギーの塊が今まさにその力を解放されようと四方に光を放っている。

 

ポップは憎き巨人の顔めがけ弓を引き、叫んだ。

 

「メドローア!!!!!!」

 

恐るべき閃熱の矢は内部に大きな渦を作り、その回転の速度を上げながら巨人に向かっていく。

 

しかし、ほぼ同時のタイミングで、巨人の目から放射された光線が一瞬早くポップを捉える!

 

間一髪避けたポップだったが、放った呪文は巨人から大きく的を外れ、洞窟の壁を貫いていた。

光線を掠めたマントの端が焼け焦げ、煙が上がっている。

 

「…くそったれめ…!!」

 

ポップが拳を握り締めた。

 

巨人が一つ目を動かしながら言った。

 

「__私はお前の鏡。お前が私を捉える時、私もお前を捉えている__」

 

「じゃあ…まともに的を狙う事なんかできねえって事かよ…!」

 

ポップは地面に開いた穴を見つめながら懸命に考えた。絶体絶命のピンチ。しかし、これまでも何度もあった瞬間のはずだ。自分は一体、どう切り抜けてきた?もし、ダイだったらどうする、アバン先生だったらどうする、マトリフ師匠だったらどうする、マァムだったら…と思いを巡らせていると、不意にある考えが頭をよぎった。

 

「穴…的が狙えない…動くものと動かないもの…そうか!!魔法の聖水のお陰でメドローアはあと数発は打てる…じゃあ、やれるかもしれねえ!!」

 

巨人の方に向き直るとポップは叫んだ

 

「おい!この堅物の勘違い野郎!!神の使いだかなんだか知らねえが、お前をぶっ潰す方法が分かったぜ!!」

 

さっきまでとは別人のような顔つきでポップは全身に力を込めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。