ポップはこれまでの巨人の攻撃パターンを分析した。
自分が攻撃に転じようとすると、おたけびをあげ、こちらを威嚇してくる。そしてしばらくすると目が光り、光線を出す。
おそらく、この繰り返しだ。多少移動はできるようだが、その他の物理攻撃などは今の所ほとんどしてくる気配はない。
メドローアを撃つためにはある程度の時間がかかる。その間は回復などもできない。また、光線を撃たれた際は確実に避ける必要がある。とすると、攻撃のチャンスは光線を撃った直後だろう。
しかし、こちらが呪文を撃つために力を溜め始めた時点で巨人は攻撃体勢に入るので、メドローアを放つチャンスは相手の攻撃とほぼ同時になる。
光線をかわした直後のスキを使うには詠唱にそこまで時間がかからない攻撃呪文、または直接攻撃、あるいは光線をかわし損なった際の回復に充てるしかない…
そして、動く的を狙うことはできない。
やはりこれしか手はない…
ポップは小さく頷くと、両手に力を溜め始めた。
「__何度やろうと同じことだ__」
「へっ!お前、割とおしゃべりなんだな」
ポップは巨人の真下に入り叫んだ。
この方法を成功させるには、なるべく相手の懐に入る方がいい。
「おい!石頭のノロマ野郎!当てられるもんなら当ててみろ!」
巨大な一つ目がギロリと眼下のポップを睨んだ。
「さあ!お前の得意技を出してみろよ!」
巨人は大きく息を吸い込むと、一瞬その動きを止めた。不気味な静寂が辺りを包む。
そして次の瞬間、ポップに向かって強烈な叫びとも唸り声ともつかない声を浴びせかけた。
「………!!!」
必死に目を瞑り堪えるポップ。
そして狙いどおり、巨人の目が青く光り始めた。
「これでも喰らえっ!!!メドローア!!!」
標的に向かって放たれた光の矢は巨人の頭をかすめ、真上の天井をえぐると、そのまま上空に吸い込まれていった。ポップはそれを確認すると、一瞬遅れて巨人の目から放たれた光線をギリギリまで引きつけ、当たる直前に斜め前方に転がって避けた。光線は出るタイミングさえ認識できれば、避けられない事はない。
ポップは再び同じやり方でメドローアを打ったが、巨人へのダメージを与える事は出来なかった。
「くそ…おーい!もっとこっちに来いよ!それじゃお前の得意技だって全然当たんねえぞ!」
巨人を挑発しようと叫んだ直後、ポップは異変が起きていることに気付いた。
巨人の目が光っている。
「あれ…?なんかタイミングが早くねえか?」
巨人の目の輪郭がぼやけた、と思った直後、
一つ目が激しく光り、眩しい光がポップを包んだ。思わず腕を目に当て遮ったが、そのくらいでは防げないほどの強い光だ。
「うわっ…や…やべえっ!!!」
おたけびを上げるだけではない。こいつは目を眩ませてくる。
ポップがやっと目を開けられたのは数十秒後だった。
とすると、次にくる攻撃は…
ポップがようやく薄目を開け、敵のいる方向に目を向けると、巨人の目からまさに光線が放たれるところだった。
「!!!」
咄嗟に体を捻って避けたつもりだったが、
光線はマントを貫通し、包まれていたポップの右腕を焦がした。
「があああっ!!!」
呻き声をあげ、その場に崩れるポップ。
服に穴が空き、煙が上がっている。
「__当たらないのではなかったかな__」
巨人が落ち着き払った声で言う。
「大魔道士様にも読みが外れる事はあるさ…」
ポップは激痛を耐えながら、左手で自身にベホマをかけた。